ハリー・ポッター ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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転生からおよそ11年。ヴォルデモー太君を倒してから10年には少し届かないくらい。つまりそろそろ原作が始まるよってくらいの時期になったわけだが、そんなときに初めて我が家に客人がやって来た。

アリス・イン・ワンダーランドは解除してあったとは言っても、家の回りにはそれはもう様々な危険動物が居たって言うのにそれを平然と抜けてきた魔法使い。その名は……(一巻確認中)……アルバス・ダンブルドア。白くて長い髭と半月眼鏡がチャームポイントの、現在この世界で最強に近い魔法使い。

一応俺は魔法史やら魔法薬学やらと言った多数の教科書を読んでいた人間達の記憶の殆どを持っている。その中のほぼ全てに彼の名があるのだから、驚くべき事なのだろう。

ただ、残念なことに俺の持っている記憶の数々は闇の魔法使い達の物ばかりなのでその名は悪名と言った感じに広まっているんだが、それについては俺が自分で違うもんだと理解していればなんら問題は起きない筈だ。

 

「とりあえず、紅茶をどうぞ。自家栽培した物で恐縮ですが……」

「いやいや、むしろその年で紅茶を育てて淹れられるという時点で驚くべきことじゃ」

 

校長先生は紅茶を受け取り、早速一口口をつけた。別に変なものは入っていないが、俺はちー姉さんに淹れてあげる以外で紅茶とか緑茶とかコーヒーとかそういった目の覚めるものはまず使わないので、若干味に不安がある。

コーヒーだったらともかく、紅茶はどちらかと言うとなのちゃんの領域だしなぁ……。

 

だが、校長先生はそれなりに気に入ったらしく笑顔を浮かべた。もしかしたら愛想笑いかもしれないが、そのあたりは知ったことじゃないね。

 

「さて、ハリー君。君はなぜ私がここに来たのかわかるかね?」

「誘拐、暗殺、遺産目的で養子縁組……って言うのは違います?」

「違うのぅ……と言うか、始めに出てくる言葉がそれと言うのはどうなのかの?」

「言ってみただけです。それ以外に思い付かなかったって言うのも事実ですけど」

 

……いや、冗談だよ? 普通に予想できてるからな? その方が面白くなりそうだったから言ってみただけだ。

 

「……とまあ、冗談は置いておきまして……ホグワーツ魔法学校への入学案内ですか?」

 

と、言ってみた瞬間に校長先生の視線が鋭くなった。まあ、マグル生まれってことになっている俺が突然そんなことを言い始めたらおかしいとも思うだろう。

本当ならこの家の周りに居る多数の動物(千の顔を持つ英雄で死にたてほやほやの死体を出して核金を入れて蘇生した)を見てその事をおかしいと思ったりするのだろうが、うちの動物達はあまり動こうとはしないから気付かなかったのかもしれない。

そうじゃなかったらバジリスクとかマンティコアとかグリフォンとかヒッポグリフとかセストラルとか、そう言った魔法生物が見付からないなんて事は早々無いからな。

ちなみにバジリスクはフリスクから卵をもらったので育てている。産まれたばかりでまだ小さいし、直死の魔眼は未熟で相手を睨み付けても目を合わせている間だけ相手の動きを止める程度の事しかできないし。

 

「ほほう、ホグワーツの事を知っておるのか?」

「ええまあ。昔から集中して耳を澄ましたり目を凝らしたりする度に色々と見聞きしてきましたからね。色々なことを知っていますよ?」

「ほう……例えば、ホグワーツの事でどんなことを知っておるのじゃ?」

 

そう聞いてくる俺に向ける視線は未だ厳しい物ではあるが、一時のような殺気を滲ませるような物ではなくなっていた。

気楽になった俺はとりあえず原作を読んで自分の知っていることを話す。勿論校長先生の使ってくる『開心術』への対策をしながらではあるが。

 

「そうですね……魔法薬学の先生が未だに初恋の相手の事を引き摺っていることとか、校長先生が時々夢で妹さんに謝って」

「それ以上言うでない」

 

校長先生からストップがかかった。やっぱりこれをバラすのはまずかったかね? なんて考えながらも、俺は笑顔の仮面を崩さない。

 

「俺、耳はいいんです」

「耳がいいと言うレベルの話ではなくなってきておるような気がするのじゃがの?」

「気のせいですよ。きっと。ところで妹さんに何を謝っていたんですか? 若い頃に妹さんの下着を盗んで頭から被ってみたことを懺悔してるとか?」

「君はわしをなんだと思っとるんだね?」

「若い頃の黒歴史が山のようにありそうな一見優しげに見えるお爺さん」

 

笑顔を崩さず本心からそう言ったら、校長先生は突然テーブルに突っ伏して撃沈してしまった。……あ、『開心術』への対策が一瞬緩んでたわ。いかんいかん閉め直さないと。

 

「ところで、結局なんのためにこんな辺境までいらしたのですか?」

「……君がさっき言っておったじゃろう。ホグワーツ魔法学校への入学案内じゃよ。ハリー・オライムレイ君」

 

そう言われて手渡されたのは、綺麗に折り目のつけられた封筒。裏にはホグワーツの紋章が描かれている。

それをその場で開けて読んでみる。内容は原作で読んだものとほとんど変わらない。違うところと言えば使われている言語が日本語ではなく英語であることくらいだが、それよりも問題になるのは……。

 

「……俺ってふくろう持ってないんですけど、グリフォンかマンティコアに届けてもらっても?」

「今ここでわしが受け付けよう。あと、グリフォンもマンティコアも個人で飼うのは禁止されておる」

「飼ってるんじゃなくて餌付けしてるだけですよ。庭にそれなりの数いるんで」

「庭に? それは驚きじゃ」

 

校長先生の声は落ち着いていたが、実際にはかなり驚いているようだった。庭にそんなものが居るような家で、よくもまあ今まで生きていくことができたものだと言いたいのかね?

別に校長先生が何を言いたいのかはどうでもいいし何であっても俺に関係なければそれでいいが、庭に居る奴等は基本的に全員俺になついている。卵から孵して刷り込みをしたフリスクの息子……フリーザもそうだし、その他にも千の顔を持つ英雄で作った死にたての死体を蘇生させた幻獣も俺に逆らうことはしない。なにしろ俺は『千の顔を持つ英雄を完全に操ることができる』ようになっているのだから。

 

まあ、その話はまた今度することにして……俺は校長先生に向き直る。

 

「それじゃあ今ここで。俺はホグワーツに入ることにしようと思います」

「うむ、承った。……それでは、またすぐに案内人をよこそう。ダイアゴン横町で必要なものを買うとよい」

 

俺はこうして、ホグワーツの生徒になることに成功したのだった。

 

次回作は……?

  • 鬼滅の刃
  • 鋼の錬金術師
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • 他の止まってるやつの続き

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