ログ・ホライズン ~わっちはお狐様でありんす~   作:誤字脱字

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サブタイトル通り四か月ぶりの更新です

もはや頭を地面に擦り付けて謝る事しか私にはできません

物語もあまり進んでいないので、二度に渡り謝る事しか出来ません

待っていてくれた方、新規で読んで頂けている方の為にも頑張ります


最後に…久しぶりに彼女を書けて楽しかったです
※ ネタバレになる恐れがあるので予告を消去します、


〈悪雲〉: 狐と猫
レイネ『4』ア人形!『3』万円でありんす!


〈アキバの町〉

 

ヤマト地域における最大のプレイヤー都市。現実世界の東京・秋葉原をイメージしたマップとなっており、閉じ込められた日本人プレイヤーの約半数にあたる1万5000人以上のプレイヤーが滞在している。〈大災害〉直後は統治機構の存在しない無法状態であったが、現在はギルドの代表者から結成された自治組織「円卓会議」による管理下に置かれ治安も良くなってきている

 

多くの〈冒険者〉が集まる都市として飛躍的に技術面や生活面で成長を遂げており、関東地域で一番の成長都市として認知されている

名物は、アキバの町の親善大使であるレイネシア姫の「1/6フィギュア・レイネシア姫」

現在、お出かけバージョンと冬薔薇バージョンの二種類を販売しているが、匿名〈冒険者〉達の要望により「1/6フィギュア・レイネシア姫(花魁バージョン)」の制作が狐印の下、取り関われていると噂が立っている

 

アキバの町へ訪れた際は、目新しい物や食べ物ではなく、フィギュアのモデルとなったレイネシアにご挨拶するのもいいかもしれない

 

 

 

「カマンベールチーズ・ゴーダチーズ・セカイチーズ」著作者:くずのは

より抜粋……

 

 

「いやはや人智は、まことに逞しいでありんすね?一年も掛けずにここまでの成長を遂げるとは……そうは思いんせんか、ご隠居?」

 

彼女は書き留めていた本をストレージ……着物の裏地に縫い付けられた〈魔法の鞄(マジックバック)〉に仕舞うと紅茶と一緒に差し出されたアップルパイを口一杯に頬張った

 

「そうですにゃ~、食事に始まり動力、光力、移動手段。全てにおいて吾輩たちの世界に近づいてきていますにゃ」

 

彼女の正面に座る猫人族の〈冒険者〉は、彼女とは違い優雅に紅茶を口にする。

季節は冬が終わり、春の訪れを感じる頃合いになってきた時期に、時たま狐と猫は、狐の弟子が育てている花々が咲き誇る屋上でこうしてお茶をしているのだ

 

「わっち達の世界に近づく……わっち達は此方側に近くぅなってありんすと、おっしゃるのに皮肉なモノでありんすね ?」

「しかし我々が馴染む事で〈大地人〉の生活基準が向上するのであればいいじゃにゃいですかにゃ?……まるで神様が〈エルダー・テイル〉発展させる為に吾輩たちを呼んだみたいですにゃ」

「……随分と身勝手な神様もいたもんでありんすな~?」

 

リスの様に膨らんだ頬袋を上下に動かしながら彼女は空を仰ぐ……雲一つない空は晴れ晴れとしており――――

 

「あっ!ししょーってばやっぱりココにいた!ちゃんと見送りしてくださいよ!」

「ミストレアス・クー!トウヤやミス・ミノリには師匠の見送りがあると言うのに僕達だけないのは寂しいじゃないか!」

 

――――絶好の旅出日和であった

 

 

 

ログ・ホライゾン ~わっちがお狐様でありんす~

 

リンゴを探して三千厘!……スーパーに売っておりんした

 

 

 

古の魔法で幻想的に建造されたお城を背景に5人の若者と二匹の獣が西へと向かう街道前で旅立つ者へと言葉を送っていた

アキバの町の情勢上、町から離れる事が出来なかったシロエ達に代わりに〈エターナルアイスの古宮廷〉まで見送りをする事になったにゃん太とクー

にゃん太自身は、持ち前の世話好きとシロエと話し合った案件の下、彼女はただ単に暇そうにしていたと言う理由で見送りに強制連行されてきたのだ

 

「目的地は、レッドストーン山地、ですにゃ?」

「はい!シロエさんが言うには地球においての長野県、山梨県、静岡県に跨って連なる山脈がモデルになっているそうです!」

「それで自然が一杯あふれているんだよな!」

「そうですにゃ。南アルプス巨摩県立自然公園に指定されている所もありましたし〈エルダー・テイル〉でも美しい自然は健在ですにゃ」

「にゃん太さん詳しいですね」

「にゃに、長生きしていると雑学も覚えますにゃ」

 

ミノリやトウヤ、セララは、地球での知識を元に目的地であるレッドストーン山地がどういった場所なのかにゃん太に質問し訪ね、思いを馳せていた

そして狐組であるルディと五十鈴は―――――師匠であるクーのご機嫌取りをしていた

 

「……たかが20日位の旅でわっちを見送りに出すシロエェェ許すまじ!」

「そ、そんなこと言わないでくださいよ~。私達にとっては初めての遠征なんですから?ほら、マリエさんから飴を預かってますよ?」

「こちらには林檎もある。どうかこれで機嫌を直してくれないか?」

「……仕方がないでありんすね」

 

ルディから林檎を、五十鈴から飴ちゃんを素早く受け取り、林檎を懐にしまい飴を口一杯に放り込みバリバリと砕きながら粗食する彼女はこれを狙っていたのかもしれない………年下に食べ物を集るなよ、駄狐ぇ

 

「挨拶は済みましたかにゃ?」

 

なんとか師匠の機嫌を戻す事の出来た二人ににゃん太は笑みを浮かべながら話しかけ、手を大きく広げるとトウヤ達、少年組が最初に進む「八の運河のハイコースト」を指差しながら一人一人の顔を見て声を掛けていった

 

「みなさんにとって保護者の付かない初めての遠征、五十鈴っち曰くツアーですにゃ。失敗する事も後悔する事もあるかもしれないにゃ………ですか、失敗する事を恐れずに思う存分、〈冒険者〉として旅を楽しんできてくださいにゃ」

「「「「「はい!」」」」」

「吾輩は物陰から(・・・・・・)旅の安全を祈っておりますにゃ……クーちも何か伝える事はありますかにゃ?」

「うにゃ~?」

 

口の中に残る飴の残り風味を楽しんでいた彼女は、にゃん太に余韻を楽しむ時間を邪魔されたので、機嫌悪くにゃん太を睨んだ後、少年達に顔を向け、にゃん太と同じく一人一人の顔を確認していってから口を開いた

 

「お土産はリンゴでよいざんす」

「あ、はは…やっぱりそこなんだ」

 

師匠なら絶対にお土産を要求してくるだろうとわかっていた狐組は、苦笑いと共に彼女らしい見送りの言葉に笑みを浮かべた

 

しかし、予想外な事に彼女の言葉は続けられていた

 

「……フジ樹木に行く訳ではありんせんし、レッドストーン山地までの道筋は陽気な旅が続けられるでありんしょう」

 

彼女の言葉は少年たちの顔を綻ぶには十分な説得力があり、彼女がそう言うのであればそうなのだろうと感じてしまう。しかし、彼女が口調強く「だけど」と言い切り直したので、顔を引き締め直した

 

「目的地のレッドストーン山地のレベル分布はかなり広範で、最低レベル四十から九十レベルに近い個体まで存在しんす 。かなんせん 敵との戦闘は逃げてくんなまし 」

 

彼女らしからぬ助言に少年達は、みな同じく口を開けて驚きを露わにした

普段から怠けており、年末に加入してきた『てとら』と呼ばれる〈施療神官〉《クレリック》と悪ふざけしては、シロエに怒られ、口にする言葉は『林檎』……そんな彼女が実に身のある事を口にしたのだから当然であろう

 

「……師匠が師匠らしい事をいった」

「なんと言う事だ!これから雨が降るというのか!いや、林檎が振るに違いない!」

「なんと!林檎雨が降りんすか!わっちがんばりんす!踊りんす!」

 

師事を受ける二人が、そのような事を口にしたのは仕方がない事であった。なにしろ、〈クー〉である時の師匠が、自分達に真面目に師事をしてきたのだから

 

かしくも狙ったかどうかは知れないが、彼女の雨乞いと言う名の奇妙な林檎ダンスのおかげで少年達の心に燻っていた旅への不安は無くなり、今は純粋に旅先の出会いに心を躍らせて二匹に手を振りながらレッドストーン山地…西へと旅を始めるのであった

 

遠ざかっていく馬車ににゃん太は小さく手を振り、彼女は尻尾を左右に振りながら見えなくなるので見送った

 

「行きましたにゃ」

「行ったでありんすね」

「では、我々も行きますかにゃ?」

「……まことに行くのでありんすか?」

「えぇ、もちろんですにゃ」

「………過保護」

 

もはや某猫型ロボットよろしく四次元に干渉しているのではないかと疑問に思う程に謎を含んだ9本の尻尾から彼女は2人分の旅行鞄を取り出した

 

事の発端はシロエの危惧から始まった

現在、西の…ミナミの情勢が不安定にある中、年少組を〈神聖皇国ウェストランド〉領にあるレッドストーン山地に送り出す事に一種の不安を感じたのだ

噂立っている〈大地人〉同士の戦争にまだ幼い彼らが関わってしまうのではないかと思う反面、〈冒険者〉として自由に行動してほしいと言う願いが混列し、どうしたものかとにゃん太に相談したところ、自身が影から見守ると申し上げてきたのだ

 

ギルド創立からお世話になっている、にゃん太にまた頼る事になってしまったと後ろめたく思うが、にゃん太曰く「若者の手助けするのは年長者の喜びだ」と申し出てくれたのでシロエは、にゃん太に少年達の影ながらの擁護を依頼したのであった

 

一方、彼女は――――

 

「ありがとう。班長にはお世話には頭があがらないよ……ミノリ達の事をよろしくお願いします」

「にゃにゃにゃ、旅は道づれ世は情け……彼女も連れて行きますにゃ」

「なんと!?」

 

……強制連行であった

 

「シロエェェの考えもわかりんすが、些か過剰な気がしんす」

「警戒に越した事はありませんにゃ。それに……若者の未来を汚すような出来事を警戒して損はありませんにゃ」

「………」

 

口では不満をぶちまける彼女であるが、何かとお気に入りでもある少年達に危機が迫る、真っ白で綺麗な心を汚されるかもしれないと言われれば、動かさずにはいられないと渋々とにゃん太と同じく『グリフォンの笛』を取り出した

 

「さて行きますにゃ」

「……あい」

 

上級クエスト攻略者の証でもある『グリフォンの笛』。笛から奏でられる独特な音色は、瞬く間に空を響き渡り一頭のグリフォンを呼び出す。馬とは違い空を飛ぶ為、移動距離も速度も一般的な馬とは比較にならない性能を誇っていた騎乗動物だ

そのグリフォンが一頭だけ姿を現し二人に近づいて来たのだ

 

「くーち?」

 

本来なら彼女も『グリフォンの笛』を所持しているのでグリフォンは、二頭現れると思っていたにゃん太は、笛を吹かなかった彼女を不思議そうに思い声をかけた

 

声をかけられた彼女はと言うと、取り出した笛を着物の帯に巻き付けいつでも使用できるようにしているだけ。代わりに大きな鞍馬の様なモノを両手に抱えていた

 

「これは?」

「〈グリフォンの二連鞍(タンデムシート)〉でありんすぇ。 グリフォンは専用アイテムが無くても二人乗りは出来んすが 、二人乗りすると使用時間を短縮してしまう事がわかりんした 。これを使えば使用時間の短縮を制限されんせん ……万が一に備え緊急時の移動手段方法は残しておいた方がええと判断しんした」

「にゃにゃにゃ、そうですにゃ」

「……笑ってないで早く掛けるがよろし!」

 

にゃん太は、彼女から鞍を受け取りグリフォンに掛ける。心なしかグリフォンも嬉しそうにしており時折、甘えた声を上げていた。グリフォンを一撫でし彼女に準備が出来た事を伝えようとしたが、彼女が新たに取り出したアイテムを見てにゃん太は動きを止めてしまった

 

「……それは?」

「ふふふ、尾行と、おっしゃる 事は隠密行動でありんす 。なんで 隠密性が上昇するアイテムを用意しんした」

 

そう言って彼女が掲げたのは二つのダンボール……ご丁寧に『ススキノ林檎』と『青森リンゴ』と書かれていた

 

「これは、伝説の傭兵が使用したステレス迷彩のレプリカでありんす!被るだけで敵とのヘイト数を50%もカットする優れものでありんすぇ」

 

もはや掛ける言葉がなかった。

『ススキノ林檎』と書かれた段ボールを被り、グリフォンと喧嘩しながら騎乗する彼女をにゃん太は頬を掻きながら見守り、手渡された『青森リンゴ』と書かれた段ボールを綺麗に畳み懐にしまった

 

「さぁ!いくざんす!」

 

彼女に即されグリフォンに騎乗したにゃん太は大空に飛び上がった………なぜか懐と後から林檎の匂いがしたのであった

 

 

 

NEXT ふぁ?…ふぁ…ふぁぁぁぁぁ!

 


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