ログ・ホライズン ~わっちはお狐様でありんす~ 作:誤字脱字
ログホラ2期開始を作者は嬉しく思うのと同時に「やべ~、アニメと原作のズレが怖い」とドキドキしている所です
シロエの遠征はいいんだ!書かないから!でもカナミとアカツキルートが怖いです
一応、原作を元に構成していますが、ズレが激しい場合は修正するかもしれません
そしてナズナの話し方も不安です……
※新しくSSを書き始めました。ネギまです。ログホラ休載を目安に本格的に書くと思いますので亀更新になりますが、よろしければ読んで頂けると幸いです
〈魔剣ケイオス・シュリーカー〉
高位マジックアイテムの1つ。「タウンティング・シャウト」と呼ばれる敵1体を挑発し、自分へのヘイトを急上昇させる挑発技の射程を10mから15mに延長する効果を持つ剣
戦士3職の中でもっとも仲間の安全を確保する〈守護戦士〉にはうってつけの幻想級な武器である
見た目で判断したら痛い目に合う……しかし見た目が残念
〈メテオロス・シールド〉
ラディ二ウム鉱石を隕石の落下で鍛えた強力な盾。生産品だが、作り上げるためには隕石召喚が可能な術者の協力が必要。〈デザイナー〉が書いた作図を元に生産するとデフォルトカラー以外に黒と赤の2種類が選択できる
余談だがパンツ君のモノは、裏にパンツのシール(狐印)が貼ってある。
〈騎士城の甲冑〉
10番目の拡張パック〈夢幻の心臓〉で実装されたレイドコンテンツ〈ヘイロースの九大監獄〉のレイドエネミー「七なる監獄のルセアート」からドロップする高性能な全身鎧。拡張パックの増加により、今では最新鋭防具ではなくなったが、その能力はいまだに現役である
〈ぱんつ手帳〉
モンスターを倒した「あかし」が記録される手帳。本来は「あかし手帳」だったが、アイテムのリネームが可能なことに気付いたパンツ信者が名前変更し、現在の名前となった。ゲーム上の効果はない……まさに下衆の極みである
「初心者冒険者必見狐印の武器図鑑」著作者:くずのは
より抜粋……
「……ぱんつ手帳、本当にくだらない事だわ」
〈くずのは〉は手に持った本をストレージに仕舞うと、半透明なメニュー画面を立ち上げた
「……でも人の事は言えないわね。ッチ!ご丁寧な事にロックまで掛けたわね」
人目など気にせずに舌打ちした〈くずのは〉のメニュー画面には本来あるべき場所に『りんごてちょう』と記された項目が浮かび上がっていた
「〈りんご〉〈ひるね〉〈ニート〉……ッチ!時間切れね」
ロック画面と格闘していた〈くずのは〉が顔を上げた先で一筋の光が立ち上がった
〈くずのは〉は、ため息を一つこぼし、メニュー画面を閉じると腰かけていた橋の欄干から立ち上がり発光先……〈大神殿〉に足を進めたのであった
ログ・ホライゾン ~わっちがお狐様でありんす~
右の頬を殴られたら……慰謝料を請求しやんす!
意識が浮上して初めに目に見えたのは白大理石で出来た天井、ゲームではカメラ視点を変えてみる事が出来た天井だが、こうしてリアルな感覚で天井を眺める事を何故か新鮮な気持ちで捉えてしまった
壁面も白大理石で囲まれた〈大神殿〉にステンドグラスから漏れる光が反射して〈大神殿〉が〈冒険者〉の復活を祝福しているように感じたのも一つの要因だろう……
「おや?随分と遅いお目覚めだねぇ~、ソウジ?」
「ナズナ…」
聞きなれた声に力なく体を起こした。冷え切った寝台に長時間寝かされた事もあって体が硬くなっているのだろう
「僕は……死んだんですね」
「そうだね、死んだ。ついでに言うと一緒に戦っていたシロエの後輩も死んだよ」
「そう、ですか」
覚醒したばかりでぼんやりとしていた頭がスッと透き通っていった
仲間を討たれた事が許せなく、先陣を立って戦ったが結果は敗北、傲慢していた訳でもない、準備を怠っていた訳でもない、口伝も使ったと言うのに敗北した
殺人鬼の戦闘能力が異常だったのだ。……リベンジ?
頭に浮かんだ言葉を振り払うように首を振った
たとえ再戦したとしても勝てる望みは低い、あの時に僕は全てをぶつけたのだから…それに一緒に戦ったシロ先輩の後輩の顔が浮かび上がった事で更に戦う気が無くなっていった
殺人鬼の存在を認めた訳ではない、彼女にかけてみようと思ったのだ
装備は自分より劣る、腕だって劣っているかもしれない……でも彼女がシロ先輩の後輩と考えると妙に納得してしまう自分がいてクスリっと笑みがこぼれてしまう
沈んでいた気持ちが上がっていき、暗かった表情は一切消えていつも通りの笑みでナズナに話しかける事が出来た
「ギルドホールで待っているんじゃなかったんですか?それにみんなは?」
「ん?あぁ、待っていたさ。でも念話で呼び出しをもらってね?呼び出した相手が相手だから私だけ来たのさ」
「…相手?」
疑問に思うソウジロウの答えを伝える為にナズナは首だけでソウジロウの後ろ……大きなステンドガラスが嵌められた場所を示した
つられるように後ろを振り返った先には、色鮮やかなステンドグラスの光に照らされた一匹の狐がグラスに入った液体を揺らしながら微笑んでいた
「good morning、セタ……記憶の方はいかがかしら?」
「クーさん、いえ〈くずのは〉さんですね。記憶は……まだ何とも言えないです」
苦笑をこぼしながら答えるソウジロウに〈くずのは〉は上機嫌でグラスを口につけた
「あはは、確かに〈くずのは〉さんならみんなを連れてこなくて正解でしたね」
「だろぉ?〈くずのは〉に口出しされたらうちの子達はみんなトラウマをかかえちまうよ」
「あら?私を危険物扱いとは……あなた達も偉くなったものね?もういっぺん死んでみる?」
〈大神殿〉に破壊音が響いた……
空になったグラスをたたき割り、鋭利な刃物になったモノを二人に向ける〈くずのは〉。しかし、向けられた二人は笑みを浮かべ全くと言って危険が迫っているとは思っていないようであった
次第に目じりを上げていた〈くずのは〉にも笑みが浮かび上がっていき、三人は同じタイミングで声を出して笑った
3人とも所属していた集団〈放蕩者の茶会〉……彼ら達だけで通じ合えるモノがあると感じられる光景であった
〈大神殿〉の室内に光が集まりだす。笑っていた3人もその光景を眺めた
光はソウジロウの隣の寝台に集まると小柄な女性を形作り上げていった
「さて、僕は行きますね!ギルドのみんなも心配していると思いますし」
「そうね、今回の件から手を引くのであれば早く家に帰って愛人でも愛でていなさい」
「愛人って…あれ?今回の件、彼女に任せるって言いましたっけ?」
不思議そうにソウジロウは首を傾げたが、〈くずのは〉は「私を誰だと思っているの?」と笑みを浮かべた
「ははは、それで納得しちゃうのは
「あいよ、ちゃんとみんなの相手してあげるんだよ」
「勿論ですよ?仲間外れは可哀そうじゃないですか」
「はいはい、わかったよ。早く行っておいで」
シッシッっと手で追い払うようにし、ソウジロウを見送るとナズナは〈くずのは〉の肩に寄り掛かるようにしてため息を吐いた
「はぁ~…無自覚と言うか天然と言うか、お姉さんはソウジの将来が不安だよ」
「今に始まったことじゃないわ。それと重いわ、退きなさい」
「たまにはいいだろ?私でも誰かに頼りたい時だってあるさ」
「嫌よ、退きなさい」
いまだなお寄り掛かってくるナズナを押し返し、向かいのベンチに腰を下ろした〈くずのは〉は新しくブラスを二つ、封の開けていない果実酒を取り出し隣に座るように即した
「まぁ、私と貴女の仲でもあるわ。……私の酒の相手ならやらせてあげる」
「朝から随分と景気がいいねぇ?…久しぶりに二人の〈茶会〉と行きますか!」
アカツキが寝台に横たわる中、二人はグラスを合わせるのであった
◆
「ありえませんわ!アカツキちゃんが大神殿に送られたと言うのに二人して酒盛りなど開いて!」
「うにゃ~、わっちかて心配でありんしたよ?でもおちゃけも飲みとうなりんして」
「だからと言って空き瓶をアカツキちゃんの周りに並べるのもどうかと思いますわ!……一瞬、怪しげな儀式の生贄にしているのではないかと思いましたわ」
二人で開いた宴会は、アカツキの事を心配し〈大神殿〉に訪れたヘンリエッタ達が訪れるまで続けられていた
飲んだ量、空き瓶にして28本。
その全てを二人で飲みほした事実に驚くだけではなく、その全ての空き瓶を眠りが深いアカツキの周りに置いていた事にヘンリエッタの雷が落ちたのだ
そして現在、二人では持ちきれないと言った理由から一緒に〈大神殿〉を訪れていたレイネシアとリーゼの手も借りて空き瓶をアキバの町郊外にあるリサイクルショップに換金しにいった帰りだった
「ごめんねぇ手伝わせちゃって?」
「い、いえ、アカツキさんもまだ起きなそうでしたし…」
「……でも、そろそろ目を覚ますと思います」
頬を引き攣りながら答えるレイネシアとリーゼは大凡同じことを思っているであろう…
750mlを28本、いくら果実酒だとしても21ℓを二人で飲んでいたというのに当事者の二人は足取り正しく酔った様子を見せていなかったのだ
「……クー様はいつも屋敷で飲んでいらっしゃいますからお強いとは思っていましたがナズナ様もお強いのですね?」
別に批難する事でもないので(いや、護衛の身で飲酒はいいのか?)話の話題になると思いレイネシアは隣に歩くナズナに尋ねた
「いやぁ~、私もあまり強い方ではなかったけど〈くずのは〉に付き合っていたら自然と強くなったよ」
「よくぞわっちの試練を耐えたでありんすな!ナズナん!」
「はい師匠!ってね?あははは!」
「……あまり飲まれますと体を壊しますよ?ってアレはッ!」
ナズナに抱き付きながら奇妙な師弟関係を結んでいる二人をしり目にヘンリエッタは一目散に走りだした
レイネシアとリーゼもヘンリエッタのとった行動を不思議に思い、彼女の目指した場所へと視線を移すと〈大神殿〉の広い階段からアカツキが今まさに降りて来る所であった
……降りれなかった理由はご存じの通り、ヘンリエッタに確保されたからである
「だいじょうぶですか? 怪我なんて残ってありませんか?」
蘇生して間もなかった性もあるのか、普段のアカツキに珍しく油断していた所を抱きつかれていた
目を白黒させるアカツキを他所に当のヘンリエッタは彼女が見せた珍しい表情に「かわいいぃ~」ととろけながら頬ずり振り回した。いくら小柄とは言え、女子ひとりをあっさり抱き上げるのは〈冒険者〉の腕力だからなのだが、ヘンリエッタはまったくそのことには気がついて いないようだった
「そろそろ起きるのじゃないかと思っていました」
石造りのスロープの手すりに寄りかかりながらリーゼが声をかけ、その後ろに、もこもこと着ぶくれたレイネシアが申し訳なさそうに頭を下げていた。遠回しではあるがアカツキが死亡した原因に一枚自分も噛んでいる事が後ろめたいのであろう
そんな彼女達の他所をにアカツキの口は引き結んでいた。どんどん顔が暗く、険しくなっていくのがわかる
・・・その後ろで腕を組んで不敵に微笑んでいるナズナは兎も角、彼女に抱き付きながらヘンリエッタと同じ様に頬ずりをする駄狐、空気よめ
「……」
しばらくの沈黙の後、ヘンリエッタはそっとアカツキを開放し地面に降ろしていた
彼女はびっくりしたように口を閉じており、アカツキの顔とアカツキに握られた手を交互に見て驚きを露わにしていた
他の面々もジッとアカツキに視線を移され困惑しながら彼女を見つめる、そしてただ単純にアカツキは頭を下げtのだ
「ぶしつけなお願いだとは思うが、皆様にすがりたい。〈口伝〉を教えてくれないだろうか。あの殺人鬼を、取り押さえたい」
アカツキの口にした言葉にナズナとヘンリエッタは驚き、レイネシアはまたあの殺人鬼に挑もうとするアカツキに心を痛めた
そんな中、リーゼだけが険しい表情のままナズナに言葉をかける
「〈口伝〉ならばソウジロウ様も使えたでしょう? ナズナさん」
「ああ。そうだ」
「でも、それでも及ばなかった」
「そうなる」
リーゼの問に、ナズナは淡々と答えていく……そして駄狐、いい加減離れろ、空気嫁
「それでも〈口伝〉を求めるのは、なぜです?」
「………ッ!」
リーゼはそのまま話をアカツキへと向けた。
アカツキは唇を噛んだ。
「アカツキさん」
更に答えを催促するリーゼにアカツキの表情はさらに険しくなった
そんな中、ナズナは4人には聞こえないように小声でいまだ頬ずりを続ける彼女に話しかけた
「……ただ〈口伝〉が欲しいって言う訳ではないだろ?」
「うにゃにゃにゃにゃにゃ」
「私も色んな子を見てきたけど、アカツキだっけ?あの子、口は上手くなさそうだ」
「うにゃにゃにゃにゃにゃ」
「でも、何かを必死に伝えようとしてる。後は一歩踏み出すだけなんだね?」
「うにゃにゃにゃにゃにゃ」
「……聞いているかい?」
ナズナの問に答えず、頬ずりを続ける彼女に苦笑いがこぼれるが、彼女が何もいわないのであればそれが答えなのであろうと長年の付き合いから把握しアカツキの答えを待った
「あの殺人鬼を終わらせたい。〈口伝〉だけではない。あいつを止める方法があれば、なんでも教えて欲しい。すがらせていただけないだろうか」
必死に何かを伝えたいのは伝わった。しかし、アカツキが口にしている事はココにいるみんなが思っている事なのだ。……まだ足りない、あと一歩たりないのだ
「勝てると思ってるのかい?」
ぶっきらぼうな問いかけをしてしまった。問いかけて直ぐに表情が険しくなってしまう。
決してアカツキの事を苛めようとしている訳ではない。先程まで頬ずりをしていた彼女がいきなりナズナの腹を甘噛みし始めたのだ
「わからない。でも、勝っても、討っても終わらない。終わらせるなにかをしなければ終わらない……のだと、思う。終わらせようとしなければダメだ」
「……で?(痛いのとくすぐったいの中間はやめてくれ)」
アカツキは伝わらないもどかしさを振り切るように必死に言葉を続けた。
「それにたぶん、主君なら、できる。……から、しなきゃならない」
疑問を抱いた視線がアカツキに刺さる。シロエなら出来るという言葉にだ……だが、思わぬ所から横やりを入れられてしまう
「シロエェェェはパンツ君とランデブーでありんす~、男色の道を進みだしたでありんす~………マリーーー!まだ戻れんすよ!!!」
……意味不明である
しかしながら、ニュアンス的にはシロエがアキバの町にいないことは伝わった
コホンっと咳を払うとリーゼは先程の駄狐の発言が無かったかのようにキリっとした視線をアカツキに向けた
「ナズナさんは出来るのか? とご質問ですよ」
リーゼの言葉にアカツキはびくんと怯えてしまう。
しかし、アカツキは何か痛みを耐えるようにしながらゆっくりと、しかしみんなに聞こえるようにしっかりと―――
「……ひとりじゃ出来ないんだ。だから助けて欲しい。助けて、ください」
助けを求めたのであった
いてもたってもいられずヘンリエッタは、ぎゅっと後ろからアカツキを抱きしめ、ナズナは毒気と駄狐から抜けたと言わんばかりのだらけた笑みを浮かべた。
「だいたいそんな話になりそうだって思っていたのさ。ソウジが手を引くっていったときからね。シロエのところは、意地っ張りばっかりだ。類は友を呼ぶのかねえ」
「半分だけ、合格というところでしょうね。教導部隊基準でいえば、重ねて演習の必要有り、です。現在、我が〈D.D.D〉において確認されている検証過程にある“口伝”は八つ――ミロードの許可はすでに得ています。アカツキさんに伝承するように、と」
金色の髪の少女は穏やかに告げる。
「わたしにも、やらなければならないことがあります」
押し黙ったままのレイネシアが青ざめた顔で頷く
「……本当に、こんなところ《セルデシア》まできて、中学生をやり直すなんて」
リーゼの小さなため息を合図に、小さでささやかな討伐隊は組織されたのであった
……………このやり取りの間、
NEXT コミュ障、心に触れる
裏話
一旦、ギルドに報告も兼ねて解散した討伐対であったが、狐尾族二人だけはギルドに戻らず大通りから少し外れた喫茶店でお茶を注文し口に付けていた
片方は無言で不機嫌を体で表し、もう片方は苦笑いを含めながらお茶を啜っていた
「……であれはどういう意味かしら?両手を拘束するなんて貴女はそういう趣味でも持っていたかしら?」
目を閉じながら物静かに尋ねる〈くずのは〉。側から見ればクールビューティーな女性がお茶を楽しんでいるように伺えたが……彼女を知る人間が見れば彼女が怒り心頭である事に気づくだろう
問を投げられたナズナは、苦笑を交えながら答えを口にする
「どういう意味もなにも、あそこで嗚呼やって抑えとかなきゃあの子殺していただろ?」
「殺さないわよ。……でも殺してくれた方がマシと言う程の拷問はするわ」
「勘弁してよ、あの子が成長するには必要な事だった事だろ?」
「だからと言ってやり過ぎよ、精神的に追い詰めても人は成長するけどやり方が下手過ぎる。……思わず舌を抜きたくなったわ」
〈くずのは〉の言葉にナズナは大きくため息を吐いた
「ゲームがリアルになって行動の自由は増えたけど、それを人をイタぶる為に使うのは〈くずのは〉だけだよ」
「褒めても何もでないわよ?」
「………」
ナズナはこれ以上なにも言えなかった………