ログ・ホライズン ~わっちはお狐様でありんす~   作:誤字脱字

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すみません、遅れました
仕事が忙しくて執筆の時間が取れません
4月まで忙しいかも……


『2』んげん、『3』度はモテる!…はず

〈ロデリック商会〉

 

〈円卓〉に席を置くアキバ三大生産系ギルドの一つ。アキバの街二位の規模を誇り、構成人員1900名。ギルドマスターは、おっさんなのに〈妖精〉と言われる〈妖精薬師〉ロデリック

〈海洋機構〉に比べて密なギルド構成を目指しており、そのシステムの中心は徒弟制。中世のギルドに近い形態を運営しているわね。

ゲーム時代に「レシピの図書館」を目指して作られたギルドで、〈大災害〉後は研究や開発に重心を置き、研究開発が好きな〈冒険者〉が元から集まっていた集団が更なるマッドへと変貌したギルド

もはや、〈商会〉と言う名を返上して〈研究所〉と呼んだ方がいいだろう

 

……どうやらアキバ三大生産系ギルドは、私に喧嘩を売っているようだ

………私は、ここに『アキバ三大生産系ギルド』にデザインを書く事はしないと宣言しよう

 

 

 

 

 

 

「第12回!ドキ☆エルダー・テイル追加パック!~突撃!隣人のお宅~」著作者:くずのは

より抜粋……

 

 

 

 

 

 

「香辛料、筋肉、妖精(笑)はデスノート!……しかし~」

 

賑う人々の間をすり抜けながらも、彼女は町の中央に聳える白亜の宮殿を見つめた……

 

「…臭うでありんす……聞こえるでありんす!同族が助けを求める心の声がッ!」

 

大通りのど真ん中で奇声をあげた彼女に集まる視線、しかし特に気にした様子もなく人々は通り過ぎていった……

ザントリーフでの包囲戦から一ヶ月。いま、マイハマでは条約締結を祝う祭典が開かれていたのだ

 

 

ログ・ホライゾン ~わっちがお狐様でありんす~

 

類は共を呼ぶッ!つまりカ0リーメッ!?……ソウルメイトッ!

 

 

 

 

マイハマの都、その煌びやかで美しい街並みは、通商条約が締結されたいま、優先的な契約を結ぶ為に奮闘する領主達、新しい工夫を行なう事で大きな利益を得られる可能性が転がっている商業系のギルド、双方のモチベーションが、お祭りの熱気と相まって熾烈な交渉合戦を巻き起こしていた

 

この交渉合戦に参戦する為に各地に存在する領主、ギルドがここぞとばかりにマイハマ.の都へと押し寄せている為、王宮では貴賓室や客室だけではなく、騎士宮までも解放して来賓を迎え入れている有様、そちらでは領主達が大手ギルドとなんとか専属的な契約を締結しようと交渉に四苦八苦していたのだ

ふくれあがった人口を相手にするあらゆる食堂や物売り、飲食店の〈大地人〉達は顔を真っ赤にして働き、冒険者達も寝る間を惜しんでアイテムを作成し、あるいは販売をして回った。誰も彼もがこのお祝いで多少の儲けを得る事が出来、今日の儲けに乾杯をしようとちょっとしたご馳走やら、いつもより良い服やらを求めるために、需要はうなぎ登りであった。

 

宮廷の方では臨時雇いも含めた使用人が忙しく飛び回り、あらゆる準備を完璧に遂行しようとする家令の指示に従っていたが、このような騒ぎの中では当然のことながら、完璧な接待などと云うものはあり得ぬもので、生真面目な担当者は卒倒しそうになっていたが、贅沢好きで我が儘な貴族達も、いまこの祭りの間だけは比較的聞き分けが良くなり、その結果マイハマの宮殿の環境は何とか維持されている

 

そしていままさに、王族から街の人々、出稼ぎや職人、農民に至るまでを巻き込んだ条約締結の祭典、は最高潮を迎えようとしている

マイハマの中心、〈灰姫城〉(キャッスルシンデレラ)の大広間で楽団の奏でる厳かな調べに乗って大舞踏会が開かれようとしているのだ

 

 

「主君は行かないのか?」

 

その広間を見下ろす暗い2階席で一人、黒薔薇茶で喉を湿らせていたシロエは隣に視線をやった。

そこには、ヘンリエッタに装飾されたのだろう、「エターナルアイスの古宮廷」で見た、あの可憐な衣装に身を包んだアカツキが居る

真珠色のドレスは前回と同じものだったが、今日はその上に青紫色のショールを合わせていた。淡い色合いの重なり合うドレスに、アカツキの絹糸のような黒髪はこの上なく映えている

 

「僕は今回はパス。今日の主役はクラスティさんだよ。僕が行っても、なかなか場が持たないし……。疲れるしね」

 

シロエがそう云うと、アカツキは無言で近づいてきて、シロエの隣に座る。

 

この露台には、小さなテーブルと幾つかの椅子があり、人の気配は薄い。本来は、高位の貴族が休憩などに使うものであろうが、今日は冒険者も参加する祭りのような舞踏会であるから、宮廷の使用人もこちらにまで回す手がないのだろう。

 

……そう、人の気配は薄いのだ。そして祭りという事もあり、賑やかで外の音も聞こえづらい

 

「……あ」

「君主?」

 

熱心に見つめているアカツキがシロエを振り返って、二人の視線が絡む……がアカツキの後、ちょうど反対側の露台に二つの物陰が動き騒いでいる事に気づいたのだ

アカツキも目が点になったシロエを不思議がり後を振り返った……

 

「ピィィィィ!」

「静かにしなんし !グリ丸!気づかれんす !」

「ピィピィ!」

「なぜいつなるときも 言う事を聞かな い!あっ!噛むな!ッ!もう帰れなんし!」

「ピィッ!?ピィ~……」

 

高難度クエストをクリアした証であるグリフォンを蹴飛ばし、追い返す……そんな行動をとる者など、口調からも一人しか居ないと判断しシロエは頭を抱えた

 

「……なんでクーさんがいるの?」

「クーは確か……ミノリ達と露店を周っている筈だが……迷子?」

「いや違うでしょ?グリフォンで裏から入ってきたし、何か理由が……」

 

そこまで言ってシロエは言葉を止めた

ふっと彼女を見て思ったのだ。先までは薄暗く分かりづらかったが彼女は普段とは逆の和服、清楚で絵羽模様が入った礼儀に則った服装を着込み、いつもは適当に刺していた〈帰蝶の髪留め〉を上手く使い上品に髪を纏めていたのだ

 

「……理由がどうであれ、彼女も騒ぎを起こす気はない、か」

「……では、何故表から来ないのだ?」

「たぶん……立場かな?僕は〈円卓会議〉を形作るギルドの長、アカツキは護衛。……何かしらの立場がないと門前払いを受けると思ったんじゃないかな?」

 

シロエは知っていた

いつも部屋でグータラして働かずニートな彼女は演技であると……本当は仲間を思いやり裏で自分達が動きやすい様に働いてくれている頼りになる存在だと言う事を……

 

そう、あの時も―「いざ行かん!貴族の林檎を食べに!」―――……

 

彼女の発した言葉によりシロエは名前の通り白くなった

9本の尻尾を陽気に動かしながら大広場へ踊り出る彼女は一体何を考えて此処に来たのか理解してしまったのだ

 

「……君主、言い辛いのだがクーは 「言わないでくれ」……君主」

 

アカツキが可哀想な人を見る目で見てくるが理解してしまったからには仕方ない

……彼女の不法侵入の理由、それは………林檎を食べたいから

イーストンに名立たる貴族が集まる場所で出される料理はどれも一級品、なら林檎も一級品だと考えたのだろう

 

林檎が絡むと彼女は絶対に騒ぎを起こす、

今後共〈大地人〉と友好に付き合っていく為には此処で騒ぎを犯す事はあってはならない、だけど今の自分には止める術がない!

ほとんど考えも無しに腰を浮かせたが……大広場にいるクラリスを見るや否や身体を180度変え―――

 

「踊ろうか?」

「え?」

 

シロエは立ち上がり、びっくりした表情で椅子から見上げてくる小柄な少女に片手を差し出す。折しも、階下の大広間からは盛大な拍手と2曲目の前奏が聞こえ始めた。

 

「……現実放棄か、君主?」

「……此処での対応はクラスティさんの方が上だよ?さぁ踊ろう」

 

薄暗く狭い2階席のバルコニーで、〈記録の地平線〉の二人は、流れてきた円舞曲に合わせてたどたどしいステップを踏み始めたのであった

 

「こちらフォックス!侵入成功♪これより武力介入を開始するッ!……でありんす♪」

 

……シロエに言っておこう

『まいた種 善悪問わず 我が身にかえる 』と……

 

 ◆

 

 

 

その同じ円舞曲を、おびただしい輝きに包まれて漂っているのはレイネシアとクラスティである。

よどみない流れのようなフルート。甘く切ないヴァイオリンにとろけたような陶酔を乗せ、クラスティとレイネシアは舞う。

フロアの中央に踊る二人に、周囲からはため息とも賞賛ともとれる呟きが漏れる。それは確かに非常に見栄えのする、絵画のような光景だった……が、レイネシアの心境は暗いままであった

 

今回のゴブリン襲撃に伴う〈冒険者〉への援助はレイネシアの独断であり個人の判断として片付けられ責任としてアキバの町の大使となり、他の貴族が言う『借り』と言うモノを返していく立場へとなってしまったのだ

 

本来領主達の貴族文化において、淑女というのは象徴的存在であるが、その容貌が政治利用される事はあれど、本人に政治的な才能や実務能力が期待される事はあり得ない事なのだが、今回はそうは言っていられない

レイネシアは将来を考えて嘆息する

 

「そんなにいやですか?」

「そうではありませんが……」

 

嫌ではない、納得も出来る。しかし、些か以上にへこんだ気持ちになってしまう

 

「三食ひる 「お邪魔しんす~!」…… 」

「へ?狐?って、わぁっ!」

 

そんなレイネシアにクラスティが彼女にとって魅力的な言葉を伝えようとしたが―――第三者の手によって遮られてしまった

 

そう、彼女である

 

にゅるりと二人の間に割り込み、引き離すと二人の手を持って外のテラスへと引き連れていったのだ

当然の乱入者に当事者の二人は勿論、二人を眺めていた周囲の貴族達は驚きをあらわにするが、乱入者と目があった瞬間、何事も無かった様に会話やダンスを開始しはじめたのだ

 

主役である二人が大広場から消えたと言うのに最初から存在してはいなかったとばかりに動き出す周囲にレイネシアは別の意味でも驚きを隠せなかった

 

つれらるがままにテラスに到着し、自分達の手を放す乱入者―――

レイネシアはここでやっと、乱入者の姿をマジマジと見る事が出来た

 

狐の耳と尻尾、ウェストランデの貴族が着ている服装に似ているがどこか違う服を身に纏った彼女にレイネシアは最初、ウェストランデの貴族が来たのか?と思ったがクラスティの言葉によって、その疑問は解決される事になる

 

「レイネシア様、かの者は私達が戦場に着くまで現場の指揮をしていた〈冒険者〉です」

「へっ?あ、はい。そうですか……コーウェン公爵家皇女レイネシアと申します、この度はなんとお礼を言っていいことやら…」

 

形式に則り頭を下げるが、いつになっても返って来ない応答の言葉、代わりとはなんだが隣にいるクラスティの押し殺したような笑い声しか聞こえない……

不思議に思い、軽く頭をあげて彼女を薄目に見て見たが……

 

「ん~…ご隠居のアップルパイの方が美味しいでありんすね~」

「へ?」

 

当の彼女はレイネシアなど気にした様子も無く、いつ持ってきたのかわからないアップルパイに嚙り付いていたのだ

思わず奇声を上げてしまったのは仕方が無い事であると言い訳をしてもいいだろう

 

「……クラスティ様、この方は?」

 

完全に頭を上げて、未だ嗤っているクラスティを睨みらがら尋ねた

 

「これは失礼……〈九尾のくずのは〉……いや、今は〈クー〉でしたね?シロエ君のギルド〈記録の地平線〉のメンバーです」

「……〈くー〉様、ですか」

「彼女は〈冒険者〉の間では有名な〈放蕩者の茶会〉で参謀をしていた方です」

「参謀……作戦を考えつくような方には見えないのですが?」

「事実です、なにより町をゴブリンから守った実績があります。ほかにも……なんです?」

 

アップルパイと戯れていた筈の彼女が、いつの間にかクラスティの目の前に移動しており、じっと彼を見つめていたのだ

距離は1m程、仲間なら遠い距離、他人なら近い距離。その絶妙な距離で彼女は何かを訴えかける様にじっとクラスティを見つめているのだ。――――そして次の瞬間……

 

「呻れ眼鏡割りぱーんち」

「ッ!……なんのつもりですか?」

 

棒読な台詞と共にクラスティの顔面を目掛けて放たれた幻の左は、惜しくも顔の横を通り過ぎる結果に終わってしまった

まさか、あの場面で攻撃されるとは思ってもいなかったらしく、クラスティも最初は驚いていたが流石戦闘系ギルドの長、落ち着いて避け物言いたてた。その態度が気に食わなかった様子で先の棒読の台詞とは反対の火をつけた台詞をクラスティに言いかけた

 

「さっきからぬしは、わっちの個人情報をばらすのはよしんさい!罰として飲み物を取ってくるなんし!」

「なぜ私が?」

 

攻撃を仕掛けておきながら傲慢な態度をとる彼女……人としてどうなのかと思う

クラスティも反論するが彼女から送られる眼圧に耐え切れず「わかりました」と言い残し大広場へと歩いていったのだ

 

その光景を目の当たりにしレイネシアは目を見開いた

戦場では雄雄しく振る舞っていた彼が目の前の女性に何も言い返せないで追い遣られてしまっているのだから……

驚き彼女を凝視していたが当然、彼女は振り返り私を見て微笑み―――

 

「どうですか?気が少しは軽くなりましたか?」

「あ……」

 

優しく声を掛けてくれた

それが自分に対する気遣いであるとわかるとスッと肩の荷が下りた様な気がした

 

「はい、おかげさまで」

「そう」

 

今の私は先程までの不機嫌な表情ではなく、彼女みたいに優しく微笑んでいるであろう

この方は自由な〈冒険者〉の中でも特に自由な方だとわかってしまう……なにせ私をあの場から連れ去ってしまうのだから

気を使う必要も堅苦しい言葉を並べる必要も無い、ましてや同姓という事もあり、クラスティと一緒にいるよりも安らげると思った

 

「パーティーに主役がいないのは戴けないわね?本題に入りましょう」

 

微笑んでいた表情が一転、目を細め私を見つめてきた

……この目は知っている、私を見定めているんだ

貴族の中に身を置く者として当たり前の様に送られてきた視線ではあるけど、彼女には、それ以外の事も見られている気がして自然と手に汗が出てきた

 

「今回の援助は貴女が発案らしいわね?……何故、貴女が動いたのかしら?」

「………」

「いくら大貴族コーウェン公爵家のご令嬢とは言え、自身の立場を危なくなる事は考えなかったのかしら?」

「………」

「現に貴女の好きな堕落したニート生活が遠のいてしまっている事態」

「うっ!……クリスティ様から聞かれたのですか?」

「さね、一つ言える事は知り合いに貴女と似ている人を知っているだけ……話がずれたわね……答えなさい、何故貴女が奮起したのか?」

 

私が〈冒険者〉に援助を求めて義勇軍嘆願演説を行った訳……わたしは……

 

「わたしは、愚かな女に過ぎません。あの時はただ『出来心』で動いていたと思われてもしかたりません……ですが、わたしは人として貴族としてコチラ側がお願いする立場なので礼を尽くす事を忘れたくなかったのです」

「礼節、ね……」

「はい……なにより、私はここ、マイハマを守りたかった」

 

城下に広がるは、意気揚々と沸きあう民と冒険者。みなが先の侵略防衛を喜び湧き上がっている

彼女が求めていた答えなのか判らない、けどあの時自分が思っていた事を隠さずに伝えたつもりだ

この答えによって彼女から嫌われても私は後悔しない、そう言いきれる程に……

暫くの沈黙の後、目の前にいる彼女は何処からか扇子を取り出し扇ぎ、そして笑った……

 

「私も聞きたかったわ、貴女の演説」

「……そんな立派なものではありませんよ。……終始、足が震えていましたし」

「いえ、誇りなさい。貴女は私が見てきた貴族で一番美しいわ」

 

〈くずのは〉は扇子を閉じ、レイネシアに近づくと優しく頬をなでた

 

「気にいったわ……その『思い』が折れない限り、私は貴女の傍にいましょう」

「え?」

「永久永遠など言わないわ……でも私が見ている、その限り……」

 

一通り撫でて満足したのか、〈くずのは〉は懐から見慣れぬ笛を取り出し奏でた

すると直ぐにクラスティにも乗せて貰った事があるグリフォンが掛けるけ、彼女の前に降り立つ

いきなりの事態の変化に戸惑うレイネシアを尻目に〈くずのは〉はグリフォンに跨った

 

「え、7え!?どういう意味ですか?」

「鈍いわね……後はそこのクラスティに聞きなさい」

「え?うわぁ!?」

 

レイネシアが振り返った先には両手にグラスを持ったクラスティが佇んでいた

 

「丸投げですか?……私は貴女と言う人がまるで読めません」

「ふん、未熟者ね?……まぁ、私を『読もう』なんて馬鹿らしい事は考えない事ね?」

 

手綱を引きグリフォンに命令を伝え空を翔る

 

「『イースタルの冬バラ』レイネシア=エルアルテ=コーウェン……今宵は貴女の『心』。確かに魅せて貰いました………また会いましょう、レイネシア?」

 

星が輝く空に、彼女は一陣の風となって〈灰姫城〉(キャッスルシンデレラ)を後にしたのであった……

 

「……クラスティ様、あの方は何を?」

「貴女の味方になってくれたようですよ、姫?」

「私の……味方……?」

「自信を持っていいと思いますよ?彼女は誰にでも膝を折る様な方ではありません」

「…………」

 

姫は神秘的に光る月と一緒に狐の姿が見えなくなるまで見つめ……

 

「……ことによっては冒険者に強敵を生んでしまったかもしれもせんがね」

 

狂騎士は姫に聞こえないように、冒険者の危惧を呟くのであった……

 

 

 

 

 

Next お祭りになるとなんだかテンションの上がる奴

 

 




その後~腹黒眼鏡×2

「やぁ、シロエ君」
「クラスティさん、ダンスの方良かったですよ?お疲れ様です」
「お疲れ様、ね……率直に言おう。……彼女の事、丸投げしたね?」
「………なんのことですか?」
「彼女の侵入経路は西口のバルコニー、おしくもシロエ君が出てきた所と同じだ」
「……」
「彼女は招待されてはいない筈……不法侵入かな?」
「…」
「これはギルドだけの問題だけではない。貴族の社交界に侵入したんだ」
[…わ、我々には貴族の称号はないです。先の功労者の彼女がいても対した問題にはならない]
「そうともとれる、しかし……彼女が私たちを広場から連れ去る時に使った技はなんだろうね、シロエ君?」
「ッ!……気軽に使うなって自分から言っていたのに……」
「〈暗殺者〉の技であるかもしれないが……彼女は〈妖術師〉だ。……どういうことなんだろうね?」
「……この事は内密にお願いします」
「貸し…という事でいいかな?」
「……はい」

シロエ……
『まいた種 善悪問わず 我が身にかえる 』


その後~新人パーティー

「.そう言えばクー姉はどこいったんだ?」
「へぇ?師匠なら『あっちから林檎の匂いが~』とか言ってどっか行っちゃったけど?」
「……大丈夫なのかよ、それ」
「く、くーさんも大人の女性ですから大丈夫だと思います……たぶん」
「心配ないさミス・ミノリ。ミストレスは直ぐに現れるさ」
「随分、強気だけど……どうしてなんだルディ兄?」
「ふ……見たまえ!」
「……え」
「……それって」
「……りんご、飴?」
「そうさ!飴細工によって光沢されたこの輝く林檎ッ!このルンデルハウスのミストレスならば匂いで此処がわかるはずさ!」
「……いや、ルディ。無理あるよ」
「そうですね…いくらクーさんでもりんご飴じゃぁ 「うにゃ~!」 きゃッ!」
「おぉ!ミストレス!流石です!このルンデルハウス=コードッ!貴女の為にこの輝く林檎を用意しました!」
「ッ!なんとっ!よくやったでありんす!我が弟子!」
「感謝の極み」
「……あれが私の師匠と同門、か」
「「…五十鈴姉/五十鈴さん」」

五十鈴は後に語る……
星が綺麗であった、と……

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