◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
男と女はコソコソと、周りを警戒しながら、蠢いていた・・・。
男は、女の服を不器用に脱がしていく・・・。
女は、大きな眼鏡をかけたその眼で、その様子をジッと見ていた・・・。
女には抵抗する素振りも無い。
「誰かに見られたらマズイんじゃない?」
「大丈夫、大丈夫。」
女の、のんびりした物言いに、男が楽観的な返答をする・・・。
男は女の下着を外すと、露になった、大きなソレに夢中でむしゃぶりつく――。
女は、相変わらず抵抗せず、むしろ男の短く刈り上げられた金髪を撫でていた・・・。
「アッ・・・。」
女が突然、大きく仰け反る。
男は、ニヤリとして囁く・・・。
「シズクはここが、弱点?」
意地悪な感じで、男が言うと、女は小さく頷く。
それから男は、女の様々な場所を触れ、女の反応を愉しんだ―――。
――その指で、その舌で。
最初は、無抵抗そのままだった女も、気分が高揚して、余裕の無い声で言った。
「ね、ねぇ・・・ガルナ・・・・・・?」
男は、頷いてから、ゆっくりと女の中に侵入していく・・・。
男と女は、激しく動き始め、その声が、肉が打ち合う音が、ひび割れた建物の中に響き渡った――。
「あ、もう・・・限界・・・。」
女の声に、男は頷いて動きを加速していく―――。
――――――!!!!
男は絶頂を迎えると同時に、自分の胸に手が生えているのに気付いた・・・。
それは、オーラを纏った鋭い手刀――。
男が驚きと恐怖で顔を歪め、ゆっくりと背後を見て、息も絶え絶えに呟く・・・。
「ま、マチ・・・。」
瞬間、背後の女が、無言で手刀を引き抜くと、男から赤い鮮血が辺りに散り、男の体はうつ伏せに倒れる・・・。
男は、最早、息をしていない・・・。
男と繋がったままの、全裸の女は、引きつった笑いをして口を開く・・・。
「えっと、酔っぱらったガルナって怖いよね。・・・あたしは、そんなつもりなかっ・・・ぐ、ひぃ」
女は、念の糸で首を絞められていた・・・。
引き絞られる尋常ではない力によって、眼球が飛び出て、口から泡が出る・・・。
それでも、なんとか生き伸びようとした女は、自分の首を絞める女の手首を掴もうとする・・・。
だが、糸の長さが絶妙で、手は届かない。
終には、バタバタさせていた手はダラリと下がり、女の大きな眼鏡から見える瞳からは光がなくなった・・・。
1人凄惨な場所で立って、冷酷な笑みを浮かべている女は―――それは、アタシだった―――。
「ハアアアアアアア!??」
アタシは、突っ込みどころ満載な夢をぶち壊して、叫び声をあげて起きた。
―――1人で飲んでるうちに、いつの間にか寝てしまったのか・・・。
それにしても何あのヒドイ夢?
確か夢は見る人の願望を―――。
―――なに、それ。意味分からないんだけど・・・。
もう、頭がおかしくなったとしか思えない。
ていうか、アレって場所的にアジトよね。
色々ありえないし・・・。
ああ、でもシズクは意外に、ずぼらな所があるから・・・。
て、違う!夢だし!
―――しかし。
それもこれも、ガルナが悪い。
せっかく3日前のことを、許してやったのに、アレで終わり?
本当にアイツは―――。
時計を見ると、宴の席を立ってから、まだ30分くらいしか経っていなかった。
アタシは何故かスッキリした頭で、今日のことを思い出しながら、部屋を出た―――。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
―――あのバカは、自分のしたことに気付いていない。
アタシが怒っている事には間違いなく、感付いている。
でも、最悪なことに、3日間、謝罪どころか、目も合わせなくなった・・・。
アタシは3日間、腹が煮えくりかえそうな気持ちで過ごしていたのだ・・・。
そんな今日、シズクと盗みに行ったガルナを、アタシは何の気もなしに目だけで見送った。
そもそも、アイツは本気になれば強いのに、無駄に色々ビビりすぎ。
とにかく、アイツが失敗したりするのは、ただ単に、本気でやってないからだ。
ガルナが結局、フランクリンを連れて行った。
それを見ながら、なんとなく、そんなことを考えていたときに、シャルが言った。
「ガルナと最近、険悪みたいだね。」
アタシは、何も答えたくない、そんな素振りをした。
「それでも、ガルナを見ちゃうのは、何故だろうね?」
「はあ!?」
「うん、気が向いたらでいいんだけど、原因を教えて欲しい。」
シャルの余りに的を外れた物言いに、アタシは不覚にも反応してしまった・・・。
少し悩むが、ガルナがここにいない、という状況が後押しをする・・・。
「・・・アイツが余りに寝坊するから、アタシが起こす係みたいになってるんだけど・・・。」
アタシはゆっくりと説明を始める・・・。
シャルはそれは、知ってるという感じで、先を促した。
「それで、アイツを起こすのに、毎回即死するような攻撃をしてたんだよね・・・。」
シャルは軽く首を傾げてから、頷いた。
おそらく、それが原因ではないことが理解できたんだろう・・・。
「アイツが、4日前くらいに、泣きついてきて、『違う起こし方にしてくれ』って言ってきたんだよ・・・。」
アタシとしては、これ以上を説明するのは躊躇うところだった・・・。
だが、シャルは聡明な、その頭で瞬時に次の質問をした。
「で?マチがした『違う起こし方』って?」
―――直球。
アタシが一番言いたくないところを突いてきた。
まあ、シャルならいいか、と思って、短く言う。
「・・・アイツに朝飯つくった・・・有料で。」
今まで、アタシは足元の瓦礫を見ながら、説明をしていた。
シャルは笑うような奴じゃない。
少なくとも、心の中に留める奴だ。
「ガハハハハハハ!」
ハッとして、後ろを見ると、ウボォーがいた。
ウボォーだけじゃない、ノブナガもいる。
ノブナガも、カッカッカと笑っていた。
アタシは、シャルに文句を言うつもりで、見ると、下を向いている・・・。
―――?
ま、まさか・・・。
「シャル・・・アンタ・・・。」
シャルは、慌ててアタシを見ると、言った。
「ゴメン、プッ、違う、クッアハハ・・・。」
―――――――――――。
「まだ、続きがあるんだけど―――。」
一番言いたくないことを言わされた上に、笑いやがったシャルの顔面をボッコボコにしてあげた。
ついでに他の笑った奴も蹴りを入れておいた。
もう、ここまで聞かれたら一緒だろう、と思って3人に説明を続ける・・・。
「それでさ、アイツに料理の感想を聞いたら・・・・・・・まずいって言われたんだよ!」
それを聞いて、場は一瞬にして、険悪な空気になった・・・。
「そいつは、ひでえな!殺すか!?」
「おい、ウボォ?お前バカか。団員殺すんじゃねえよ。・・・でも、手足斬るくらいはいいよな?」
ウボォとノブナガが、バカなことを言い出した・・・。
正直、悪い気はしない・・・。
でも、シャルだけは何か考えていた・・・。
「ねえ、マチ。そのときの会話を正確に再現できる?」
シャルが言った。
他の2人は怪訝な顔をする。
アタシは記憶に強烈に残っている、それを説明し始めた・・・。
「うーんと・・・。寝ているアイツに、料理出したら、すぐ起きて食べ始めたんだ。で、無言でガツガツ食べてるアイツに対してちょっとイラっときて、つい感想を聞いたんだよね・・・。」
シャルが頷いて先を促す。
「『卵が半熟じゃないやつだね』って、アイツ言いやがった。」
3人の男は顔を見合わせた・・・。
すると、シャルが何か小さく2人に言って、2人はどこかに行く・・・。
「ねえ、マチ。」
「何?」
「言いづらいんだけど、ガルナは・・・。」
シャルはゆっくりと言った・・・。
「ガルナは、マチの料理に文句なんて、言ってないと思うよ?・・・バカではあるけど。」
シャルはアタシの反応を伺いながら、続ける・・・。
「アイツにとって『感想』は、どんな料理かを説明したことだと思う。知識の無さと語彙力の足りなさが、さらに人を怒らせるけれど。」
「でも・・・。」
シャルの言い分に、アタシは口ごもる。
―――このムカつき方を治すには、どうすればいいんだろう。
「じゃあさ、マチの望みってなんだったの?ガルナに、なんて言ってほしかったの?」
シャルは噛み砕いて、アタシに問い掛ける・・・。
「・・・おいしいって言って欲しかった・・・。」
「うん、そうだね。じゃあさ、リベンジしようよ。」
アタシの答えに対して、シャルはそう言った。
―――――。
シャルにそう言われて、作り方を教わり、アタシは半熟の卵料理をアイツに食べさせてみた・・・。
バカだけど勘は悪くない・・・。
アイツはアタシの意図に気付いたようだ。
でも、シャルに作り方を教わったことを言っても、あろうことか、アイツは自分の釈明をしようとした・・・。
マジで殺そうかと思ったときに、視界に入った箱・・・。
アイツが屋敷で見かけて盗み、アタシにくれたもの―――。
ちなみに、あの箱に本気で点数をつけるならば、85点だ。
アタシがヒントを出したら、ようやく分かったようだから、許した・・・ギリだけど―――。
★★★★★★★★★★★★★★★
ガルナは嫌な予感を感じた。
慌てて周りを確認するが、驚くべきことに、いつのまにか、マチの姿が消えている―――。
正直言うと、ガルナはマチと少し話をしたかった・・・。
だが、マチは血気盛んそうな連中と、トランプなんかしていたので、ガルナはその輪に入るどころか、目も合わせられなかったのだ。
そこに、シズクが来た。
唯一、ガルナの具現化した拳銃で念弾を撃つ能力を知っている存在・・・。
ガルナの意識は完全にそちらに向いた。
ガルナは放出系の能力者である。
ガルナの能力は、具現化した黒い弾丸によって瞬間移動の「対象」を指定し、銀の弾丸によって瞬間移動先の「地点」を指定する。
「発動」については、自身の念によるものだが―――。
放出系能力者にとって一番の苦手系統が具現化系である。
事実、ガルナは長い期間、放出系を中心に山なりに系統別修行をし、「弾丸」の具現化に成功するまでに約1年、「拳銃」の具現化については更に1年の歳月を費やした・・・。
習得できた具現化レベルや具現化の精度も低く、「弾丸」や「拳銃」は大雑把に形を真似ただけの、細部は現実の物とは違う具現化しかできず、具現化にも相当な時間がかかった。
だが、付加能力をつけたおかげで、瞬間移動は可能となったのだ――。
ガルナは能力の要である目的意識から、「弾丸」の具現化速度を上げる訓練は念入りにしていた。
しかし、ガルナにとってイメージが難しい複雑な構造の「拳銃」の具現化の修行を今まで怠っていた。
―――マチに出会うまでは・・・。
本来の構想では、2色の「拳銃」は、対応する色の6発の「弾丸」しか撃てないだけの能力。
ガルナはそれだと折角イメージ修行を頑張るにも関わらず、「拳銃」自体の付加能力が少なすぎる気がした。
故にガルナはつくった。新しい「拳銃」の能力を―――。
「瞬間移動する度に、グリップしている拳銃の対応する番号の弾倉に念弾を込める」という能力。
ガルナは、弾丸の具現化をしない弾であることから、その念弾を【
練習中の、未完成ともいえる攻撃能力――。
フォーク野郎のときに、ガルナが撃ったのは、銀の
最初から撃つわけでなく、わざわざ「瞬間移動」してから「念弾」を撃った。
シズクが初見で、それを全て分かるとは思わなかったが、それでもガルナは不安だった。
幸運なことに、シズクとガルナは互いに、それを「なかったこと」にした。
ガルナのシズクへの懸念は払拭されたのだ。
―――だが、今マチがいない。
(マチが宴中に、どこかに行く筈はない。酒も強いし、いつも最後までいるのに・・・。)
ガルナは今、本心からマチの心配をしていた・・・。
「おい!こっちこいよ!」
ノブナガが、ガルナに声を掛けた。
ガルナは、内心それどころではなかったが、そちらへ向かう・・・。
シズクはキョトンとした目でそれを見ていた・・・。
「テメエは前から、いけすかなかったんだよな!」
ノブナガはそう言いながら、机の上に肘をのせた。
「腕相撲だ。ルールは分かるだろ?」
ガルナは、嫌々ながら、ノブナガと手を組んだ・・・。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(どういう状態?)
マチは、疑問に包まれながら、この光景を見た。
マチがふと見ると、シズクが先程と変わらない位置に座っている。
「ねえ、あいつら、何してるの?」
マチがシズクに聞くと、シズクがゆっくり答えた。
「腕相撲だって。ノブナガがガルナを誘ったんだよ。」
マチは溜め息をつきながら、現状を見て心の中で呟く。
(トランプの後は腕相撲か・・・。どうせ、ウボォーに負けて、イラついてるだけでしょ。)
ガルナとノブナガは何か会話をしながら、拮抗した勝負をしていた―――。
「―――テメエ!とぼけるんじゃねえ!」
ノブナガがそう言うと、ガルナが答える。
「な!!俺はマチとまだ付き合ってないよ!」
―――トン!
軽い音とともにガルナの拳が、テーブルに打ち付けられた。
「あいつはなあ!マチは、俺が小さいときから、常に一緒だった・・・。」
ノブナガがゆっくりと静かに語りだし、ガルナを睨む―――。
「テメエみてえな野郎にマチは渡さねえよ・・・。」
ノブナガが、威圧的にそう言った瞬間、ガルナのオーラが急激に高まった。
「なんだそれ。マチは渡さないって・・・?
お前はマチの何なんだよ!?」
ガルナは、殺気に近いオーラを出しながら、ノブナガに聞いた。
ノブナガは何も答えることなく、驚愕と怒りの目でガルナを見る・・・。
「大体マチが宴の途中に、突然どこかに行って、心配じゃないのか?俺は早くマチの様子を見に行きたいんだ。」
ガルナがそう言うと、ノブナガが、挑戦的な笑みを浮かべて答える。
「だったら、腕相撲で俺に勝って―――。」
―――ダァーン!
瞬間、ノブナガの拳が机に強く打ち付けられた。
「これで、いいんだろ?」
ガルナは、あっさりと言うと、その場から離れようとする―――。
「な、テメエ!今のは、なしだ。もう1回―――。」
「俺はアンタからマチを奪うよ!」
ノブナガの言葉を遮るように、ガルナが堂々と大声で、挑戦的に言った。
すると、ノブナガは、唖然とした顔でガルナの方を見た。
ガルナではなく、その背後を―――。
―――ガン!!!
鈍い音とともに、ガルナの後頭部が殴られた。
「言っておくけど・・・。」
ガルナを殴って口を開いたのは、マチだった。
ノブナガとそれに一瞬遅れてガルナは、マチの言葉を聞く―――。
「ノブナガ=ハザマはアタシの兄よ。」
それはガルナに向けた言葉。
あまりの衝撃で、ガルナは、その場で尻餅をついた。
「あとね・・・。」
マチは、さりげなく背後を見てから、ガルナの方を向き、誰に言うわけではなく言った。
「ガルナはアタシのモノだから。アタシの許可なく手を出したら殺すよ。」
それを聞いたノブナガは困惑した顔で、腕相撲をしていた机と、ガルナを交互に見る・・・。
ガルナは、頭の整理がついていないようで、目を回していた・・・。
マチが一瞬、シズクの方を見たのを、おそらく誰も気付いていないだろう。
「最後に!!アタシは誰のモノでもない!!!!」
マチが威圧的なオーラを纏い、有無を言わせぬ調子で断言した。
ノブナガとガルナは黙ったままコクコクと、何度も頷いていた―――。
設定創作(改悪も含む)ごめんなさい!!でも反省はしてない()
あと、能力が大体判明したのでぶっちゃけますが、ガルナ君の念能力の元ネタはTVアニメ「スクライド」です!!(。≧∇≦。)
ガルナの能力は、黒と銀の弾丸がそれぞれ1~6番まであります(゚_゚)(。_。)
次回予告【07.テスト】よろしくです☆ヽ(▽⌒*)
(↓11月17日追記)
PS-先に感想で言われちゃった!Σ( ̄□ ̄;)
至らない点には申し訳なく思います(T_T)
まあ、生暖かく見守ってくださいませm(__)m