東方有栖(アリス)伝   作:店頭価格

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前後編だけで終わらせるつもりが、随分と長くなってしまいました。
未熟未熟ぅっ!

反省点も沢山ありますし、やっぱり慣れないジャンルをいきなり書こうというのは無謀でしたね。
これからも、精進精進です。



28・人間が悪い話・妖怪が恐い話(結)

「――言い訳はいたしません。本当に、ご迷惑をお掛けしました」

 

 一夜明け、稗田邸の客間に再び訪れたアリスへと阿求は深々と頭を下げる。

 机に出された菓子は、昨日の物より更に厳選された素材を用いて作られた幻想郷内では最高峰のきんつば。

 しかし、出された菓子に一口さえ手を出さぬまま、アリスはじっと下げられた少女の頭を見ていた。

 

「――頭を上げて、阿求」

「はい」

「謹んで、その謝罪を受け取らせて貰うわ。けれど、それでも貴女は今回の事情を語れないと言うのね」

「はい、貴女には語れません」

「そう……」

 

 「語らない」のではなく、「語れない」。

 アリスが真実を求めれば、容易く手に入るだろう状況にあっても阿求の意思は変わらない。

 この優しい魔法使いに、事情を知って欲しくないという気持ちは確かにある。だがそれ以上に、容易く協力者を売れるほど稗田の名は軽くはないのだ。

 

「――解ったわ。貴方への追求は、これ以上しないであげる。私は、この件について何も知らない――皆がそれほど隠したがるのだもの、もうそれで良いわよ」

「貴女は……本当に怒らないのですね」

「怒る理由が思い当たらないわね」

「お人好しですね。ですが、それも行き過ぎますと何時か痛い目を見ますよ」

「安心して、何時も見ているわ」

「はぁっ……」

 

 皮肉をあっさりと肯定する人形遣いに、阿求は頭痛を抑えるように額に手を置いて盛大な溜息を吐く。

 妖怪専門家として、阿求はアリスの情報も集めている。それを紐解けば、彼女が今までどれほどの苦労を重ねて来たか容易に理解出来るのだ。

 普通であれば、癇癪と共に異変の一つや二つを起こしても不思議ではない遍歴を辿っていながら、彼女は今のように全てを些事だと切捨て平穏な日常を謳歌している。

 なまじ感情が薄い分、アリスは意識を向けない物事に無頓着過ぎるのだ。今回利用された件とて、彼女は然程憤りや不満を感じている様子には見えない。

 

「貴女の危うさを見れば、文さんがあれほど怒るのも良く理解出来ます」

「知っていたの?」

「あれで、それなりに察し易い方ですからね」

「仲が良いのね」

「あの方も、貴女と同じく私の「知人」ですから」

「そう」

 

 文さんの懸念は、きっと現実になるでしょうね。

 

 阿求は一人、アリスと会話をしながらそんな事を考えていた。

 他の者が認識しているより、この魔法使いはずっと深慮でしたたかだ。断じて、使い勝手の良い駒で終わるような性質ではない。

 アリスを利用しようとする者は、これからも多く現れるだろう。そして、何も言わない彼女に甘え何時かは彼女の定めているだろう最後の一線を越えてしまう時が来る。

 報いを受ける者が、自業自得ならばそれは良い。だが、七色の魔法使いが手を広げているその規模を考えると、それは最悪の場合この箱庭の崩壊にさえ届き得る可能性を秘めているのだ。

 普段は温厚な者ほど怒った時は恐いと言うが、もしもこの情動の欠如した少女が本気で激怒した場合、一体どれほどの災厄が撒き散らされる事となるのか。

 

 人里の上役にも、しかと伝えておかないと……

 

「それじゃあ、報酬の話を始めましょうか」

「?」

 

 そんな内なる警戒心を隠す阿求へと、アリスからそっと一枚の紙が差し出された。

 紙の最初に書かれている文字は、「アリス・マーガトロイド製作総指揮。稗田阿求写真集・販売計画草案」。

 僅かな緊張を孕んだ室内の空気が、一気に別の緊張へと変じていく。

 

「……本気ですか?」

 

 ひとしきり内容を読み終えた阿求は、「正気ですか」という言葉を辛うじて飲み込んだ。

 

「勿論よ。冗談で、こんなものは用意しないわ」

 

 アリスの顔は、無表情と言う名の紛れもない本気だった。

 阿求は、自分の顔が徐々に引きつっていくのを自覚する。

 かなり具体的な部分まで練られた内容もそうだが、昨日今日で用意出来る企画ではない。

 この魔女は、最初からこれを狙ってこちらの依頼を受けたのだ。人間の不義理も後に自身へと降り掛かるだろう火の粉も、全て承知した上で。

 何時から計画しているのかも解らないような、この一枚の紙を現実へと届かせる為に。

 阿求側に非がある上、成功報酬だけを確約している今の状況でこの提案を拒む事はほぼ不可能に近い。なにせ、報酬の決定権はアリスの方にあるのだから。

 

 まったく、これのどこが甘いだけの少女だというのでしょうね。

 そしてアリスさん……貴女、どれだけこんな下らない計画に情熱を燃やしているんですか!?

 

「……今回の件、立案者は文さんらしいんですよ。やはり、事情も私の方からきちんと説明したいと思いますし――」

 

 着物や洋服は何とか我慢出来たとしても、水着の写真が人里で大量に出回るとか私が死ぬ。

 寿命より早く、恥ずか死ぬ。

 

 視線を泳がせ、両手の人差し指をあちこちに振りながら、阿求は必死に伸ばされた影なる魔手から逃れようと言葉を紡ぐ。

 

「ここは一つ、私からは正規の報酬だけを受け取り、文さんの方でこの案を進めてみてはいかがでしょうか?」

 

 保身を優先し、恥も外聞もかなぐり捨ててもがく。稗田の誇りも、人里の上役や天狗への義理ももうあったものではない。

 

「……ねぇ、阿求。私が、それで頷くと思う?」

 

 しかし、魔法使いからの返答は無情そのもの。一切の慈悲はなかった。

 

「……思いません」

 

 死神の大鎌にも似た宣言に、阿求は(こうべ)を垂れて諦念と恭順を示す。

 この茶番を処罰として、稗田家を含む人間側から仕打ちを水に流したいというアリスの意思は、阿求も理解出来ている。

 阿求一人が責任を負うだけで許して貰えるのだ。むしろ、アリスの提案は願ってもない破格の好条件だった。

 後は、阿礼の乙女の純情が耐えられるか否か。

 

「……綺麗に撮って下さいね?」

「任せておきなさい」

 

 せめてもの抵抗を見せる阿求の言葉に、アリスは自信を滲ませる自然体の声で頷いた。

 後に発売される事になる、数量五十冊という完全限定写真集「阿礼のひとひら」は、その殆どを稗田家の当主によって買い占められ処分されてしまう。

 しかし、僅かに市場へと流れた数冊を巡り、紳士と言う名の戦士(へんたい)たちによる熱く壮絶な死闘が始まるのはまた別の話である。

 その件についての勝者は、原本を持つ七色の魔法使いである事を追記しておこう。

 

 

 

 

 

 

 昨日、魔理沙たちに送られて自宅で一夜を明かした私に、夜明け直後の時刻で来訪者があった。

 困った表情で後頭部を掻きながら、「いやぁ、参ったなぁ」などという姿が似合う細身で糸目の青年。

 どこか風来坊を感じさせる独特の雰囲気をした、長く真っ直ぐな髪を後ろで一つに束ねるその青年は、私の知り合いだった。というか、守矢引越し異変で顔見知りになった大天狗だった。

 最初に会った時と変わらず、見た目や態度からは全然そうは見えない。

 文やはたてなどの問題児たちを担当する機会の多い上司らしく、しかし、彼女たちを無理に矯正するよりある程度自由に行動する事を許すという器の大きい天狗である。単純に、気が弱いのか放任主義なだけなのかもしれない。

 弱きを倒し強きに従うと言われる天狗の中で、非常に珍しい部類の性格だ。

 今回の件について、文の提出した計画にゴーサインを出したのも彼らしい。とりあえず、家に入れる前に一発左腕で全力ビンタしてチャラにしてあげた。

 詳しい事情は知らないが、こんな無茶な作戦を実行するほど人間と天狗が切羽詰っていたのは、私だって察してあげられる。なので、私としてもそれほど重く罪を問う気はない。

 私への謝罪の為に来たそうだが、山の組織の幹部がわざわざ私のような個人経営の家に尋ねるとは、実は暇なのだろうか。

 「俺は若輩者だから」。そう言って笑いながら、実は名前の知らないその青年は今回の件についての謝罪と具体的な賠償の説明を行ってくれた。

 まずは、予想よりも遥かに多い金銭。

 次に、一年間有効な妖怪の山への立ち入り許可証。

 最近取れた山の幸や、年内に限り山の資源を優先して回して貰える権利など、書面として書き出された内容は多岐に渡るものだった。

 

 わぁ、予想以上の超特盛りだぁ。

 え、これってもしかしてどこかの国のマフィアみたいに、殺す前に贈り物をするとかそういうアレ?

 

 明らかに過剰過ぎる賠償に、「これでも少ないくらいだよ」と申し訳なさげな青年へしばらく疑いの視線を向けてしまった。

 まぁ、一年で終わる契約が多いのはそれが終わった後でまた利用させて欲しいという、彼らなりのメッセージなのだろう。

 一応、青年にもはたてに言った事と同じく「最低限の礼儀と筋を通せ」と釘を刺しておいたが、天狗の上層部は頭でっかちが多いそうなのでそれほど期待はしていない。

 青年から、去り際に「ごめんね」と本心からの謝罪を受け取ったので、今回の件はそれで許してあげる事にする。

 その後、昼頃に人里におもむき阿求との交渉を終えた私は、稗田家を後にして大通りを脇に逸れた場所に立つ茶屋へ立ち寄り、つらつらと思い出しながら軒先の長椅子で一服していた。

 

「ふふんっ。最強のあたいが付いているからには、もう安心よっ」

「そうよそうよ。もう、アリスを誘拐なんてさせないんだからっ」

「……」

「あ、あはは……」

 

 チルノ、メディスン、フラン、大妖精。

 誘拐された私を心配し、護衛役買って出てくれた少女たちが傍へと座っている。

 多分二、三日で飽きてしまうのだろうが、それでもこの娘たちの優しさは嬉しいものだ。

 

 やばい。

 何がやばいって、この場に漂う幼女ぱぅわーが半端じゃない。

 ら、らめぇ。(多分)ノンケの私が、ロリコンになっひゃうぅぅっ。

 

 私のお馬鹿な思考はともかく、これだけ頑張ってくれているという事は、それだけこの娘たちに心配を掛けてしまったという事。

 その点は、深く反省しないといけない。

 散歩がてらに、地上へと遊びに来ていたらしいお燐とキスメも一緒に居たいと言ってくれたが、お燐は間欠泉関係の仕事、キスメは保護者役なのかヤマメが迎えに来たので泣くなく地底へと帰って行った。

 人外が密集し、店の迷惑になるかと店内へと振り返ると、頭に頭巾を巻いた茶屋の女将さんが微笑ましいものを見る目でこちらを見ていた。

 通行人も特には気にしていないようで、時折女将さんと同じような目で私やチルノたちを見てはそのまま通り過ぎて行っている。

 

 私を含めて、単体で暴れても人里に結構な被害が出せると思うんだけど……

 

 人里の人間が、人外を受け入れ始めた事を喜ぶべきか、警戒心が薄れている事に危機感を覚えるべきか――何とも難しい問題である。

 そんな事を考えながら、私は山に盛られたみたらし団子の串を一つ手に取り、口へと運んでゆっくりと咀嚼する。

 

 うん、甘さ控えめでもっちもち。

 高級なのはそれはそれで美味しいけど、庶民の私にはやっぱりこっちの味の方が舌に合うね。

 

 たまに甘味が欲しくなった時に寄らせて貰っているが、腕は確かで料金もお手頃と大変優秀なお店だ。

 私のような里の外に住む者たちも良く利用しており、その人気がうかがえる。

 

「沢山頼んだから、好きに食べて良いわよ」

「そうなの!? じゃあ頂きます! はむはむっ!」

「ありがとう、アリス。あーむ」

「チルノちゃん、そんなに一度に食べたら喉に詰まっちゃうよ?」

「らいじょふぶ! あらい、ざいぎょ――んぐぅっ!?」

「はわっ。お、お水、お水を貰えませんかっ?」

「あははっ。チルノったら変な顔!」

 

 お転婆で元気な少女たちらしい、何時も通りの騒がしさ。

 

「……」

 

 だが、先程からフランだけが一言も喋らず、手に持つ日傘の下で顔をうつむかせもそもそとみたらし団子を食べている。

 

「どうしたの?」

「お姉ちゃん……あのね――」

 

 私の服の裾を掴み、不安に揺れる瞳をこちらへと向けるフラン。

 

「前の異変の時に、魔理沙と萃香がやってた事を美鈴に聞いたの。あの天狗さんがお姉ちゃんにしようとしてたのって、愛するひと同士がするものなんでしょう?」

 

 私が助けられた場面の誤解は、一日経ってもまだ解けていなかった。

 私の口から何度「違う」と言っても信じて貰えず、ほとほと困り果てている。

 

「お姉ちゃん、文のものになっちゃうの……?」

 

 上目遣いのフラン可愛過ぎワロタ。

 

 実際に笑みは浮かべてはいないだろうが、私の心の中が悲しみに暮れるフランへの愛情で満たされていく。

 

「大丈夫よ。私は、今の所誰のものになるつもりはないわ」

「……本当?」

「えぇ、本当よ」

「本当に本当?」

「えぇ、本当に本当」

 

 フランの頭を優しく撫でながら、繰り返される疑問符に何度も同じ答えを返してあげる。

 

「――よかったぁ」

 

 花が咲くように、とは正にこの事を言うのだろう。寄せられていた眉が離れ、吸血鬼の少女が満面の笑みを浮かべてくれた。

 もう、抱っこして髪の毛をわしゃわしゃしてあげたいほどの愛くるしさだ。

 

「……小悪魔の言った通りにやったら、本当に上手くいったよ。ありがとう、小悪魔」

 

 そして、私から日傘で顔を隠し小声で喜ぶフラン。

 台無しである。

 

 小悪魔グッジョブ――じゃなくて、何いらん事教えてるし。

 

 無垢な少女をこんな形で汚すとは、実に悪魔らしい堕落のさせ方だ。

 今度大図書館にお邪魔した時に、彼女へ人形たちによるお仕置き、「肩を叩かれ、振り向いて見たら誰も居ませんよの刑」と「再び肩を叩かれ、誰も居ないと振り向いて見たらチャッキー人形の刑」を、コンボでお見舞いしなければならない。

 

「おい、あれ……」

「えぇ、大変だったみたいね……可哀想に」

 

 そんな想いを胸に秘める私の周囲から、通行人たちが何やら私を見てボソボソと小声で会話を行っている。

 彼ら彼女らが手に持つのは、はたてが発行している新聞「花果子念報(かかしねんぽう)」。

 彼女が朝一番でばら撒いた記事の内容は、私も把握している。

 

 「抑え切れなかった禁断の愛! 誘拐事件の裏で行われた、烏天狗の大暴走!」

 

 写真右 被害者である七色の魔法使いAさん。服は破かれ、壁に押し付けられた絶対絶命。

 写真左 自称幻想郷の伝統文屋S。荒い息で獣の如く覆い被さり、時・は・正・に・発・情・期!

 尚、本人の特定を防ぐ為に写真には目線を入れさせて頂いております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――これは酷い。

 

 記事の内容も、大体こんな感じである。

 確かにこの記事で、誘拐事件に関しての噂は綺麗に吹っ飛んだものの、通行人たちの哀れみの視線が次々と私に突き刺さってどうにも居心地が悪い。

 一時の間、私は人里に近寄らない方が良いかもしれない。

 はたてに悪気はないのだろうが、文や他の天狗から受けた被害を上回る迷惑だ。これも、ある意味善意のすれ違いなのだろう。

 

 人の噂は七十五日続くらしいけど……二ヶ月半かぁ。

 ――長いなぁ。

 

 私は団子を持ってはしゃぐチルノたちを愛でながら、小さくそっと溜息を吐き出すのであった。

 

 

 

 

 

 

「見てみて椛ぃ! 「花果子念報(かかしねんぽう)」の購読契約が凄い事になってるぅ!」

「おめでとうございます」

 

 はち切れんばかりに膨れ上がった封筒を掲げ、嬉しい悲鳴を上げるはたてを椛が目礼をしながら褒め称える。

 

「は~た~て~」

 

 山の中に建つ治療院の個室。はたてが以前寝ていた寝台には、現在全身包帯だらけとなった文が怨嗟の呻き声を上げていた。

 魔法使いへの想いは伝わらず、酷過ぎるゴシップ記事を書かれた挙句、全治二ヶ月の大怪我。自業自得な部分も確かにあるが、本当に踏んだり蹴ったりである。

 

「もう良いわよ……私なんて、何時だってこんな扱いばっかり――ふーんだ」

「文様。今回の件についてお聞きしたい事が幾つかあるのですが、よろしいでしょうか?」

 

 不貞腐れてそっぽを向く文へと、椛が手の使えない彼女に代わり毛布の位置を直しながらそう問い掛ける。

 

「……どうぞ」

「今回の件、山の麓から野盗を排除する事だけが組織の目的なのであれば、我々白狼天狗に任を与えて頂けるだけでよろしかったのでは?」

「はっはっはっ、椛は相変わらず犬頭ねぇ――ぐぼほぉっ!?」

 

 文からバカにされた椛は、その怒りを一切抑えたりせず全力で怪我人の腹へと肘鉄を落とす。

 

「失敬、手が滑りました」

「うぐぐぐ……どこでどう滑らせたら……全体重を乗せた肘打ちなんてものが出るのよ……」

「では、わざとです」

 

 脂汗を浮かべて呻く文に、椛がそしらぬ顔で訂正を入れる。

 実直で礼儀正しい椛だが、文に対してだけはなぜか慇懃無礼な態度で接していた。そこにいかなる想いがあるのかは、少女の胸の内だけしか知らない。

 

「こんの駄犬っ。首輪を着けて躾けてあげるから、今すぐ表に出なさい!」

「上位の立場を傘に着て、私に対する性的虐待がお望みとは――最低ですね」

「もーみーじー!」

「まぁまぁ、大人しくしておかないと傷に触るわよ。文」

 

 周囲から見れば険悪にも見える光景だが、三人にとっては何時も通りのやり取りだ。

 文がからかい、椛が噛み付き、はたてがとりなす。三人の関係は、それで不思議と上手く回っていた。

 

「椛の質問、私も気になってたの。なんで貴女、あんな面倒な作戦なんて立てたのよ?」

「はたて……貴女は椛より情報を持ってるんだから、もう少し自分の頭で考えなさいよ」

「う゛……」

「ふぅっ、まぁ良いわ」

 

 溜息を一つ吐き、文は退屈しのぎの一つとして今回の事件での裏事情を説明し始めた。

 

「野盗たちが根城にしていたのは、人里との協定で人間の侵入を認めた領域だったわ。認めているのにこちらから手を出せば、人間側に交渉の手札を一枚与える事になってしまう」

「ですが、あの者たちは人里から追われる罪人だったのでしょう?」

「それでも、彼らは人間だったのよ。我々が、妖怪である以上はね」

 

 人間とは違い、強い自尊心を持つ妖怪は条約を軽々しく破る事が出来ない。もし自分たちから約束を破ったとなれば、それはいかなる不利な交渉も受け入れざるを得ないという覚悟を持っての行動となる。

 組織の妖怪は手出しが出来ず、山の外に住む妖怪は天狗たちとの衝突を避けて近付かない。

 犯罪者たちが隠れていた場所は、ある種の空白地帯だったのだ。

 

「人間側も、我々が我慢の限界に達するのを期待して野盗の討伐には積極性を欠いていたわ」

 

 しかも、長居されるだけ山の組織の威厳は失墜していく。焦れていたのは、圧倒的に天狗の方が上だった。

 

「そこに、誘拐事件での天狗の関与が噂され始めた……」

「始まった当初は、人里の自作自演の疑いもあったわ。けれど、進退窮まった人里から山の組織に協力の要請が来た時点で、その可能性はなくなった。そして、協力する交換条件として私たちが山の麓に住み着いた害虫を駆除しても文句を言わない約束と、人里拡張計画の白紙撤廃を要求したわけ」

 

 裏取引が成立しても、条約は生きたままだ。天狗を含む山の妖怪が堂々と野盗たちを排除する訳にはいかず、しかし、外の妖怪を呼び込んでも人間の替わりに居座られるだけでは意味がない。

 そこで用意されたのが、アリスの誘拐を起爆剤にした山の麓の一掃計画。アリスの無事さえ報道すれば、山に集った妖怪その他はその事実に満足して再び山から立ち去ってくれる。

 

「人里の拡張計画――そんなものを阻止して、人間たちの生活は大丈夫なのですか?」

「人里の人口密度は、今すぐ土地を拡張しなければいけないほど高くはないの。閑散としてる場所だって幾つもあるし――要は、今回みたいな交渉時に使う生贄(スケープゴート)として用意した実のない計画なのよ」

 

 計画推進派の一部が、今回捕らえられた誘拐事件を裏で手引きしていた協力者だったというのだから、呆れるやら感心するやらだ。

 それでも、妖怪側は人間が領土を広げるのを黙って看過する訳にもいかず、要求の一つとして突き付けねばならない。

 どこをどう転んでも、大体の場合で人里側は利益を得られる算段が付けられていたのだ。仮に被害が出たとしても、それは別の策によって最小限に抑えられていた事だろう。

 人間の悪知恵は、普通の妖怪には及びも付かないほど老獪で深遠だ。

 

「野盗たちや他の犯罪者が好き勝手に消費していた分と、そんな彼らを警戒して近づけなかった領域が丸々使えるようになるんだもの。人間たちの山の資源事情も、これで問題はなくなるわ」

「結局アリスさんだけが、何の関係もないのに巻き込まれた形になるのですね」

「人妖入り乱れての知名度で言えば、彼女がダントツである事は疑いようもないわ。例えば白黒を攫ったとしても、これほどの規模の騒ぎには出来なかったでしょうよ」

 

 そこに文自身の思惑もありはしたが、作戦の成功を確実にする為には多少強引でもアリスの協力は必須だった。

 実際、既に山に集合していた人外たちは各々の住処へと帰り、麓の犯罪者たちは全員があの世行きとなっている。文の立てた計画は、大成功だと言って良い結果を出していた。

 

「博麗の巫女も、そのお役目を十二分に果たしてくれた――騒動を拡大させる事もなく、一夜限りのバカ騒ぎとして治める辺り、流石よね」

 

 博麗の巫女は、妖怪にとって抑止の象徴。

 彼女の活躍は、今回暴れて増長した人外たちにとって巨大な楔となって打ち付けられた事だろう。

 

「しかし、人里側はともかく我々天狗がそこまで解決を急ぐ理由が解りません。仮に噂が現実となり本当に抗議されたとしても、事実無根で人間側を糾弾出来たのではないでしょうか」

「それが、そうでもないのよねぇ。これは箝口令が敷かれてるから、そのつもりで聞いて欲しいんだけど――」

 

 椛のもっともな質問に、文は再び小さく溜息を吐いて首を振る。

 そう出来ない事情が発生したからこそ、文はあの作戦を立てたし、大天狗はアリスへの迷惑を承知でそれを認めたのだ。

 

「人里から協力の嘆願が来た直後、私たちの集落に「誘拐されたはずの人間」が送り付けられて来たの。差出し相手は不明でね」

 

 人里に情報攻撃を仕掛けた「誰か」は、天狗に対しても攻撃を仕掛けて来ていたのだ。

 偽りの証拠を押し付けられた状態で静観を続ければ、相手の思う壺でしかない。

 そして、早急に解決を図ろうと策を巡らせた天狗と人里の行動もまた、その「誰か」にとっては思惑通りの動きでしかなかったのだろう。

 

「……なるほど、それで」

「え? え? どういう事? 私、全然解んないんだけど」

 

 全てを察した椛が頷く中、はたてだけが一人頭の上で疑問符を飛び回らせている。

 

「貴女は……」

「これも、はたて様の魅力の一つなのでしょうね」

「単に阿呆なだけじゃない。貴女、ちょっとコイツを甘やかし過ぎよ」

「まさか。箝口令の敷かれた事実をあっさりと教えて下さる文様には、とても敵いませんよ」

「?」

 

 可愛らしく首を傾げるはたてを放置し、文と椛はこの自称敏腕記者を肴に苦笑を交し合う。

 

「噂の出所共々、私たち天狗がこれだけ探っても首謀者が見つからないのよ? それでもう、答えは出ているようなもんでしょう」

「なによぉ、文の意地悪。けちけちしてないで、ちゃんとはっきり答えを教えなさいよぉ」

「貴女も記者でしょうが! 真実が欲しいなら、自分の足と目でぶん取って来なさい!」

 

 寝ている文に縋り、身体を揺らし始めた楽したがりのはたてへと、入院患者の少女が苛立たしげに怒鳴り声を上げる。

 

「ね~ぇ~あや~、あやってば~」

「あぁもう、うっとうしいわねぇ! 離れなさい! いたたた……っ」

「文様、大丈夫ですか?」

「そんな事言いながら、しれっと腕を反対方向に捻らないで! 本気で痛いわよ!」

 

 ドタバタと騒いでいた三天狗だが、その耳に突然近くの部屋から盛大な悲鳴が聞こえて来た。

 

「ひぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「ひゃっ」

「……見当は付くけど、一応聞いておきましょうか。何の悲鳴?」

 

 驚いて身を竦めてしまうはたてとは違い、然して音に反応しなかった文が胡乱気な瞳になって椛を見た。

 

「――どうやら、今回の件で入院した白狼天狗たちの病室に、アリスさんが見舞いに訪れられたようです。後で、こちらも訪ねられるのではないでしょうか」

「……はぁっ」

 

 空中に視線を投げ、能力の千里眼によってその様子を眺めているのだろう白狼天狗の返答に、包帯だらけの烏天狗は脱力と共に息を吐き出す。

 

「え、アリスが来てるの? 迎えに行った方が良いのかな」

「しなくて良いわよ、そんな事。受付に聞いて、この病室の場所も知っているでしょうし」

「文様、アリスさんへの謝罪はまだきちんと行っていないのでしょう? 私たちが付いていてあげますから、誠心誠意謝って下さいね」

「誰が頼んだのよ。っていうかしないわよ、謝罪なんて」

 

 椛からの優しい気遣いを振り払い、文は心底嫌そうな顔をしてそっぽを向く。

 

「もう知らないわよ、あんな唐変木。勝手に利用されて、勝手にどこぞで死ねば良い」

 

 病室へと入る扉に背を向け、文は完全に我感ぜずを貫くつもりらしい。

 

「文様?」

 

 冗談めかしていても、文の傷はそれなりに深い。

 椛からの問い掛けに答える気力も湧かず、傷は熱を持ち、それより更に深い睡魔が彼女へと襲い掛かる。

 

「もう知らないわよ……あんな、分からず屋……」

 

 まどろみ始めた文の言葉は、紛れもない彼女の本心だった事だろう。

 

 

 

 

 

 時は遡り、事件解決目前となった夜明け前。

 屋敷の一角で、九尾の狐がその主に対し報告を行っていた。

 

「――博麗の巫女や白狼天狗が尽力した為、罪人ではない一般人の犠牲は三名に収まっております。この規模の騒動であれば、それなりに優秀な数字でしょう――報告は、以上となります」

 

 九尾の主の名は、八雲紫。

 境界を操る幻想郷の賢者は、優雅に扇子を口元で広げそんな式神の言葉を満足気に聞き入っている。

 

「結果はまずまずと言った所ね。久しぶりに、妖狐としての本分を果たした気分はどうかしら。仲介屋さん?」

「御戯れを」

 

 襲い食らうだけが、妖怪の本質ではない。他者を欺き利用する、俗に言う「化かす」行為もまた妖怪が得意とする分野だ。

 変化、甘言、幻術、脅迫――その中でも、妖狐のそれは最高峰に位置する最悪の悪戯として知られている。

 藍にとって、人間や他の妖怪を手玉に取る事など児戯にすら及ばないただの雑務だ。

 

「橙が突破されました。結界への干渉を開始――到着予測時間、およそ二十一秒後です」

 

 藍に焦りはない。全てが予定調和であり、その一切を知る紫もまた余裕の表情で虚空を見つめていた。

 

「戦闘開始から四十六秒――本気の彼女が相手とはいえ、もう少し頑張って欲しい所ねぇ」

「ならば、更なる修練を課しましょう」

「ほどほどにね」

「委細承知しております」

 

 のんきな会話の終わりに、藍の背後の空間へと亀裂が走る。亀裂は一気に規模を広げ、そこから一人の少女を吐き出した。

 

「――喜びなさい、紫。アンタの首は最後に取っておいてあげたわ」

 

 現れたのは、博麗霊夢。一対の陰陽球を傍へと飛ばし、霊力を滾らせた本気の体勢でスキマ妖怪へとその眼力を叩き込む。

 

「あら、それは光栄ですわ」

 

 しかし、紫の余裕は崩れない。

 扇子を閉じ、立ち上がる主に合わせて藍が脇へと下がって行く。

 

「もしも、貴女がアリスを助けに行ったらどうしようかと不安だったけれど、杞憂に終わってくれて本当に良かったわ」

 

 今回の事件は、詰まる所その一点を確認する為だけに起こされたのだ。人間同士だけで不快感や恐怖を循環するのは妖怪にとって害悪だからという他、緊張感を忘れ始めた人里と妖怪の山に対し軽い牽制をしてあげようなどは、全て後から付け足された理由に過ぎない。

 博麗の巫女は、平等でなければならない。平等とは、誰に対しても優しくも厳しくもしてはならないという事。

 博麗霊夢に、己が役目と天秤に掛けるほど大切なものは必要ない。そんなものを、管理者である彼女は作ってはいけない。

 否、それも結局はただの適当な言い訳に過ぎず、大した価値などありはしない。

 紫が仕組み、藍が影として動いた一連の流れで彼女の求めた様々な利益を全て重ねたとしても、それは「暇を持て余した賢者の遊び」程度の意義しか生まれはしなかった。

 

「心にもない事を、胡散臭げにほざいてるんじゃないわよ。本気で殺すわよ」

「恐いこわい、まるでどこぞの吸血鬼みたい――けれど、魔理沙たちが動くのを確かめる為に神社で待っていたのは減点かしら。短い時間だったけれど、その時間だけ早く動いていれば救える命もあったのではなぁい?」

「私の役目は妖怪退治よ。人間を守る事じゃない」

 

 博麗の巫女は脅威を貫く矛であり、決して誰かを守る為の盾ではない。

 似ているようで、その在り方はまったくの別物だ。

 

「うん、正解。博麗霊夢の言う事は、全て正解ね」

 

 本心はどうであれ、霊夢は己の責務をまっとうした。巫女として、判断を鈍らせる事なく十分な取捨選択を選べている。

 

「感情的にはなっていても、集中にも霊力の練りにも乱れはない……合格よ」

 

 全てを包み込む笑顔で、紫は己の作り上げた傑作を満足そうに慈しんだ。

 そこに、確かな愛情が含まれている事は疑いようもない。だが、同時にその感情には腐った果実にも似たおぞましい毒もまた含まれていた。

 幻想郷は、全てを受け入れる。その器は途方もなく大きく、そして沼地のごとく底などない。

 

「何時まで師匠面してるのよ。私にとって、貴女はもう退治するべき妖怪の一人でしかないわ」

「うふふ、本当に光栄ですわぁ。高が妖怪一人を相手に、そこまで自己嫌悪してくれるだなんて」

 

 博麗霊夢は平等だ。誰に対しても、何に対しても。

 好意の反対は嫌悪ではなく、無関心。その理論から言えば、紫に向けてこれ以上ないほどの敵意を向ける霊夢は、それだけこの妖怪の賢者を特別扱いしているという事。

 これまで役目を背負って来た自分を信用されず、子供染みた手法で試された事に苛立つ程度には、八雲紫を想っているという事。

 

「藍、手出しは無用よ」

「御意」

「さぁ、いらっしゃいな。久々に、稽古を付けて差し上げますわ」

「人間を、舐めてんじゃないわよ!」

 

 スキマを使って藍が姿を消した後、霊夢の咆哮を持って室内に弾幕の嵐が吹き荒れる。

 床を貫き天井を破砕する光弾の群れを、紫は庭へと飛び去りながら軽い軌道で回避していく。

 

 さぁ、宴の始まりだ。

 誰も知らず、誰も見ていない二人だけの宴。

 人間と妖怪が踊る、素敵で美的で滑稽な音頭。

 

「――あぁ、本当に可愛いわ、霊夢。食べてしまいたいくらいに」

 

 三日月の形に歪む口元で、紫は優雅に笑っていた。

 愛でては掻き混ぜ、試し、壊し――また作っては再び愛でる。

 愛しい愛しい幻想の園で、賢者は何時までも笑い続ける。

 それはそれは、残酷に過ぎる話だった。

 

 

 

 

 

 

 追記

 さて、恒例の宴会である。

 今回も居るのかと博麗神社の境内で紫を呼んでみたが、とんと返事がない。無視されたのか、本当に居ないのか。

 あちこちに痣を作った不機嫌な霊夢も気に掛かるし、中々に不穏な立ち上がりだった。

 そんな中、お見舞いに行った白狼たちから全力で拒絶されてしょんぼりしている内心を読んだのか、当事者でありまた被害者でもある私はその中心として皆から延々と構われた。

 得意ではないお酒をじゃんじゃん注がれ、飲み干しては注がれるという悪循環。

 更には宴会芸の強要までされ、無理やり舞台に立たされる始末。

 

 うーむ、困った。

 皆のは見てたけど自分で立つのは初めてだから、何をしたら良いのかさっぱりんぐだ。どうしたものか……

 

 迷いに迷った私は、深く酔った勢いもあり長年温めて来た渾身の一発芸を披露する事にした。

 芸名は、「びっくりして、腕が取れちゃった」だ。

 小話の途中で義手の取れた私の姿を見て、驚いた後に質問攻めくらいを覚悟していたのだが――そんな予想を遥かに飛び越え、阿鼻叫喚の大騒ぎになった。

 

 あっるえぇ? おっかしいなー。

 ちょっと皆を驚かせようと思っただけなのに……あっるえぇ?

 

 私とガチで戦った事のある面々が軒並み視線を逸らし、そんな彼女たちを別の少女たちがビームでも出そうな血走った瞳で睨む。

 困ったのはフランだ。半狂乱になって泣きじゃくり、「ごめんなさい、ごめんなさい」と何度も繰り返しながら危うく狂気モードが再発し掛けた。

 説明をしようにも聞き入れて貰えず、抱っこして頭を撫でながら全力であやす事で何とか治まってくれたが、なんとも危険極まりない。

 そして現在。

 服を掴んでてこでも動かなくなったフランの頭を膝に乗せて正座する私に、霊夢やパチュリーたちが「お前はバカか」「空気を読め、この阿呆」、などといった罵倒を散々に投げ付けるという「罵りわっしょい祭り」が開催されていた。

 

 はい、すいません。不謹慎でした。

 はい、反省します。

 ――だけど、ちょっと待って欲しい。

 宴会部長の萃香がバカ受けしている所を見ると、ネタとしてはそれほど間違っていなかったんじゃないかなぁ、とか――はい、何でもありません、はい。

 

 この件で、私が芸人に向かない事は良く解った。

 これからも、宴会の時は壁の花として目立たずにいようと心に誓いながら、ひたすらに少女たちからの説教を耐え続ける。

 止まらない文句の数々に、もしかして日頃の鬱憤もここで晴らす気なんじゃないかと邪推してしまう私を、どうか許して欲しい。

 

 そろそろフランの体重もあって、痺れるを通り越して足の感覚がなくなって来たんだけど……

 ほら、「もうその辺で――」とかやんわり言って、誰か止めてくれても良いのよ?

 そんなお優しいお方、どこかに居ません?

 居ませんか、そうですか……

 

 私を見る皆の目は、怒っているか呆れているか、ムカつくほどにニヤついているかの三つ。救いはまだまだ訪れそうにない。

 

 ぬぅ、一体どこで選択肢を間違えた……

 

 自問自答を繰り返せど、明確な答えは出てくれない。

 こうして、幻想郷の一日は私の疑問を放置したまま何時も通り騒がしく終わっていくのだった。

 




え? 前回に引き続きオチが酷過ぎるって?
なぁにぃ~、聞こえんなぁ~。

今回の一番反省すべき点は、モブの扱いですね。
野賊たちと白狼たちェ……人里で成敗された悪代官たちも、もうちょっと活躍させられなかったものか。

まぁ、次回への糧としてこれからもヌルヌル書いていきたいと思います。

次回はめーぱちぇかな。
気合を入れ直して、砂糖とスパイスを多めでいきたいですね。

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