黒子のバスケifストーリー「もし、黄瀬に幼馴染みがいたら」   作:和泉春

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一話を読み直してみたら、
やっぱり海常バスケ部も仲いいなと思ったw




幼馴染み

体育館から出て走り出した黄瀬は

携帯を開いた。

 

「もしもし母さん?

今出たとこ、直ぐ着くよ。

あと15分くらい。」

 

途中でタクシーを捕まえた黄瀬は、

「羽田まで」と運転手に告げると、

母親との会話を終えた。

 

一息ついた黄瀬は、

後ろに寄りかかり、しばらくの間、

流れ行く夜の街並みを眺めていた。

 

 

ぼーっとした意識の中、黄瀬は携帯を再び開く。

メニューを開き、

データフォルダのピクチャーを押して、

その中の一番はじめの画像を拡大した。

 

そこに写っているのは、幼い黄瀬ともう一人。

 

金髪でロングヘアの肌が白い

可愛らしい女の子。

 

黄瀬と手を繋いで、

カメラ目線でピースをしている。

 

 

「……ふぅ。」

 

 

黄瀬はそうため息をついた後

携帯を閉じ、また街並みに視線を戻した。

 

タクシーが赤信号で止まったその時、

運転手が黄瀬に話掛ける。

 

 

「おにーさん、

空港へはどんなご用事で?」

 

 

優しい笑顔を浮かべる運転手に、

黄瀬は軽く笑って返す。

 

年は結構いってそうで、

笑った時の目尻のしわがよく目立つ、

おっとりとした男の運転手だった。

 

 

「幼馴染みが帰って来るんスよ。

その迎えってところッス。」

 

「幼馴染み?…ははは。

こんな偶然があるもんだねぇ。」

 

「は?偶然?何がッスか?」

 

 

黄瀬がそう訪ねると、

タクシーは青信号で進み始める。

 

ハンドルを右に切ると、

運転手は口を開いた。

 

 

「今日で二度目でしてね?

幼馴染みを迎えに行くっていう子を

ついさっき羽田に送ったとこなんで すわ。」

 

「ははっ、確かに凄い偶然ッスね。

どんな子だったんスか?」

 

 

対して聞きたいとも思わないが、

黄瀬は運転手が妙ににやにやしている事に気づいた。

 

 

これは何かあったに違いない。

 

そう思ったのだ。

 

 

運転手は待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべながら喋り始めた。

 

 

「それがね、とっても可愛い子でね。

桃色の長い髪の。

幼馴染みの男が羨ましいねぇ。」

 

「桃色の長い髪…?」

 

 

黄瀬ははっと思い当たる人物を

一人あげた。

 

 

「なんで幼馴染みが

男って分かったんスか?」

 

「電話があったのさ、

タクシー乗ってる時に。

受話器から少々低い男の声がしたもんだからな、

親しそうに喧嘩しとった。」

 

「へ、へぇ…。そうなんスか…。」

 

 

も、もしかしてその子って…。

 

桃っち…?

 

 

黄瀬はまさかまさかと頭の中で繰り返し、

「うーん」と唸っていると、

運転手はさらに続けて言った。

 

「その子な、

電話で相手を大ちゃんと呼んどったしな。」

 

 

その一言が、唸る黄瀬を圧倒させるのだった。

 

 

…桃っちだぁ!!!!????

 

 

でも何で青峰っちが羽田にいて、

桃っちが迎えに行ってんの?

 

帰ってくるって…

青峰っちどっか行ってたのか?

 

 

黄瀬が考えを巡らせていると、

タクシーは空港へ着いた。

 

お勘定を済ませた黄瀬は

運転手と別れた。

 

タクシーを見送って、

空港へ振り向く。

 

その時にはもう、

桃井らしき女の子の事は頭になかった。

 

 

もうすぐ会えるのか。

 

 

その事しか頭にない黄瀬は、

小走りで空港の出入り口へと向かう。

 

何故か鼓動が高鳴るのと、

口元が緩むのとが、なんだか気恥ずかしい感じがした。

 




幼馴染み を読んで下さって、
ありがとうございました!!

気に入って頂けたら嬉しいです!!


次話もお楽しみに!!

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