ハドラー子育て日記   作:ウジョー

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目指すは地上への帰還 ダイの教育方針

ダイの修業をはじめて早3日 もうアバンの指導時間と並んだが、今のダイの能力の把握に費やした

その上でこれからどうするかを 聖母竜とバランを交えて相談をはじめた。

ちなみにダイ本人は オレのひざの上で熟睡している 

 

《スー・・・   スー・・・》

 

動いているときは あの小さな体のどこに あんな体力があるのか?と思うが

こうやって寝ているときは あれだけ動き回っていた元気はどこにいったんだ?と思うほど 静かなものだ

 

「さて この3日間ほど ダイの調子を見てきたわけだが」

 

『元気でしたね 小さな体で目一杯走り回って すっかり天界の地面にも慣れて走っても転ばなくなりました』

 

ヒィーン

 

『【あの走りはすでに オレの少年期を超えているな 間違いない】と 言ってます』

 

「まあ 体力面は順調にそだっている と見ていいのだろうな だが・・・ 

格闘面となると問題があるな」

 

『そうでしょうか?』

 

「ああ オレにパンチを打ち込んでこいといっても ためらうばかりでなにもできない」

 

『ですが あの小さく柔らかい手では 手を痛めるだけでしょう 力をいれるのは危険では?

あなたもそう思ったからこそ おいかけっこに切り替えたのでは?』

 

「たしかに一見弱そうな手だ だがあれほどの素早さを発揮できる以上 脚力は十分だと思うが 

キックもできない そのときの表情を見る限り 攻撃そのものに抵抗があるように感じるのだが」

 

ヒィーン

 

『【おまえの顔がこわいのだろう】ですか? まあたしかにあなたの顔は生前とあまりかわりませんから・・・』

 

「今更そこか!?だがオレはかつて何度もダイと闘い 格闘戦もあったが あんな表情は見たことないぞ」

 

ヒィン ヒィン ヒィーン

 

『【では おまえの体を気遣っているのだろう 妻に似て優しい子だ

仮初の体のおまえを本気で攻撃できないのだろう また灰になっても困るしな】

と、今のハドラーの体はたしかに仮初ですが この天界にいる限りは

よほどのことが無い限りは大丈夫だと思いますし そのことはダイにも話したのですが』

 

「・・・まあそれはいいとしよう 次に魔法の方なのだが」

 

『発動はしてますね 少年時代に育ての親ブラスの指導でありとあらゆる魔法の儀式を行っただけあって

ほとんどの魔法の契約ができているとは 流石ですね』

 

ヒィン

 

『【私もできなかった魔法の契約もあったのだ すごい才能だ】

成る程、その点でもバランを超えてるのですか』

 

「たしかに そうかもしれんが あの威力では スライムにすらダメージがないぞ

紋章の力を使ってないとはいえ 魔法力がなくなるまで練習しても 一度も成功しなかった

これでは実戦で役にたたんぞ ダイが地上に帰った後 紋章の力を暴走させて一番困るのは ダイ自身だ

少々のことでは紋章の力を必要としない自力を高めるのは必須だ」

 

どうも聖母竜とバランはダイに甘すぎるが 天界で修業ができるこの貴重な時間で褒めてばかりもいられん

 

『たしかに 現状のままでは楽観視ばかりもしていられませんね』

 

《スー・・・   スー・・・》

 

ヒィーーーーーーーーーーーーーン

 

『【ダイは人間を地上を愛していた もし自分が危険を及ぼす存在になったときは地上を去る、と口にした

私はダイにそんなことをしてほしくはない 愛する女性と子を作り 育てる幸せをこの子にも知ってほしい

そのために必要なことが あるならどんなことでもしよう】

とバランはやる気になってますよ』

 

「ウム、では ダイの心にある攻撃へのためらいの原因を見つけて解消する必要がある

本人に聞いても わかっていないようだったがな

まずそのために ダイが目が覚めたら オレが死んだ後の話を 本人の口から直接聞いてみようと思う

オレとの闘いではあのような目を していなかったから あの後に何かあったのかもしれん」

 

『なるほど ではダイが眠りから覚めるのを待つとしましょう ほかに何かやっておくことがありますか?』

 

「そうだな 一つ聞きたいのだが ここでも呪文の契約の儀式は 可能か?」

 

『ええ 問題ありません ですが ダイはほとんどの魔法の契約がすんでいるのでは?』

 

「今度試すのは ブラスも知らない魔界の秘術だ ダイなら可能かと思ってな

成功すれば条件つきだが 魔法に関してはかなり改善されるはずだ」

 

『流石ですね では魔法のことは お任せするとして ダイが目覚めるまで待ちますか?』

 

「たしかに ダイがオレのひざの上で寝ている以上 身動きがとれんが まだやることはあるぞ

まずバラン おまえはダイの紋章の中からダイに助言が出せるのか?」

 

              ヒィーン

 

『【できるが 感覚的なことは伝えにくいぞ 特に魔法を使うときは 集中力を乱すから 何もできん

それに 無理に伝えようとすると かつてのように記憶に障害をきたすかもしれん】

難しいんですね』

 

「過去の竜の騎士の闘いの経験のようなものは伝えられるのか?」

 

           ・・・ヒィーーーーン

 

『【・・・難しいな 竜の騎士の歴史は数千年 私自身にもそれが全て伝わっているわけではない

ダイにも紋章を通じて 受け継いだものがあるようだが・・・

ダイ自身の闘いの経験に磨かれて独自の進化をしているのだ

私なりに ダイに伝えたいものもあるが今はまだ様子を見たい】』

 

「わかった ならば・・・」

 

その後 今後の修業について 方針を固めていった

現在のダイは自身の竜の紋章と バランから受け継いだ紋章の2つが 額で重なっているらしい 

オレとの闘いの後 目覚めた力のようだがこの状態で紋章の力を発揮させると 

とんでもない事態を招きかねないとのこと そうならないためにバランが力を抑えているのだが

かつてのようにダイが紋章を手に移動できるようになれば 暴走のリスクを かなり下げれるようだ

まずはこれを目標としながらも 紋章の力に頼らないで闘える様に修業を進めていくことに決まった

 

 

 

 

 

・・・そして ダイの目が覚めた・・・

 




今回はちょっと 難産でした ダイが成長するにつれ、ただ可愛がってばかりもいられなくなってきたのが難しいところ。

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