ハドラー子育て日記   作:ウジョー

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振り返る 親と子

ダイは今 聖母竜の頭によじのぼり はしゃいでいる。

額の紋章が ときおり輝いているが 聖母竜によるとバランが ダイを心配しているだけのようだ 

やれやれ流石に大丈夫だろ・・・ 

 

こうやって ダイの子守りをするようになって 親子というものを考えることが多くなった

ダイとバラン ダイとブラス

 

バルトスとヒュンケル

 

かつてオレの腕を切り落とした 勇者アバンの仲間 戦士ロカと僧侶エイラの娘マァム

 

そういえばアバンの使徒の中でもポップの親とは面識がないな・・・ どう見てもただの人間のはずだが

アバンの使徒の中でも随一の成長力とあの心根・・・魔法使いマトリフやアバンとは師弟のようだった

今考えれば 一度、会ってみたかったものだな

 

獣王クロコダインの親にも興味があるな あの肉体はときにオリハルコンに匹敵する強度を発揮し

その精神は魔王軍でも異質でありながら軍団長を任せる上で 高く買っていた

敵に回せば常にダイ達を支えていた大黒柱でもあった どんな育てかたをしたのか気になるところだ

 

そして オレが けっして忘れてはならん親子が魔軍司令時代の部下 軍団長の一人

妖魔司教ザボエラとその息子ザムザ・・・

オレは かつてダイ達に敗れたときにザボエラを権力と力で脅し やつの研究成果を利用し

オレ自身の体を超魔生物に改造させた

ザムザは その命と引き換えに 貴重な超魔生物や竜の騎士として覚醒したダイのデータ、

覇者の剣をオレに届けた それはオレがダイ達との闘いで完全燃焼するのに大いに役に立った

あくまでザボエラは自分の出世のため ザムザは父ザボエラのためだろうが 

一蓮托生とまで脅して協力させておきながら 超魔生物として生まれ変わった後のオレは

ザボエラのことなど眼中になく あやつの独断行動を招き それを中途半端に許した結果、

ここ一番のところで離反されたわけだ。

その後ザボエラは オレがバーンパレスでダイとの決戦にのぞんだ時 地上でクロコダイン達と 

戦う魔王軍の怪物達の指揮をとっていたようだったが おそらくそのまま敗死しただろう 

手の内をよく知るクロコダインがいたのだ 逃げることも困難な上に 万一逃げたところで

魔王軍がなくなった今 破滅はまぬがれないだろう。

せめて死んだ息子ザムザの功績には上司として報いてやるべきだった 今ならそう思う・・・

 

そして オレにも自分の子とよべる存在がいた 禁呪で生み出した部下たちだ。

あやつらは生み出したときの オレの影響を色濃くうつした存在だった 

部下を振り返れば かつてのオレ自身を感じることができる

だが オレが死ねば 皆 生きてはいけない いかに子とよべる存在だとしても

バランやバルトス ロカのように 死んだ後 自分の子に何かをのこすことも託すこともできない

そこが 大きく違うことだ もっともオレの子は 全員オレより先に死んだ オレの出した使命に殉じた

しかし オレがダイと最後の闘いで アバンストラッシュクロスを受け全ての闘気が吹き飛んだ後

立ち上がり最後の一太刀が振るえたのは その子らが オレを支え そしてそれに応えたかったからだ

オレは決して いい親ではなかった だが このダイに 地上に送り出すそのときまで  

何かを託すことができるチャンスを得た そう考えると次から次にやりたいことができた。

 

「ダイ! さあ今度は体力面の修業だ! 格闘技の稽古をつけてやる」

 

この仮初の体に闘気が満ちてきた、不思議なものだ あのときに全てふきとび 燃え尽きたはずのものが・・・

こんな子供から新しく学ぶことのなんと多いことか。

そして このときのオレはまだ知らなかった。

かつてオレが灰になった後 ひとつの奇跡が起こっていたことを。

まったく 神というのは本当に 粋なやつだ・・・

 

 




親子をテーマで書く以上 どこかで書きたかったザボエラ・ザムザ親子 正直ザボエラの末路は破滅しかないような気もしますが・・・ 
ザボエラ890歳だし 別の生き方ができたも思えない、 原作の万策つきて即興の奇策も見抜いたクロコダインにトドメをさされ最後を看取られる以上の死に方はなかったと思う。

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