浄罪の炎   作:ナレイアラ

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第6話

あれから旅禍達を追っていくと倉庫の一つに入っていった。隠れるつもりか休憩のつもりかは分からないが、彼らが侵入してから早数時間。廷内の混乱も戦闘中

のところ以外は落ち着いてきていて今うちに強行突破しないとルキアのいる懴罪宮まではおそらくたどり着けないだろう。

 

(あいつらもそれが分からないほどバカ・・・ならここまで来れないか)

 

恐らく少し休憩をしたらすぐにまた行動を開始するだろうと考えつつも何か有益な情報が手に入らないかと期待しつつ倉庫の空気穴から聞き耳を立てた。その結果

あのオレンジ頭の少年の名前は一護、バンダナをまいた男の名前は岩鷲であること、彼らの目的は朽木ルキアの救出にあるということが分かった。しかもそうして

いるうちになんと花太郎が懴罪宮への抜け道の案内を申し出たのだ。この不測の事態に薫は驚くしかなかった。

 

(おいおい花太郎、そりゃ護挺十三隊への明確な反逆だぜ?まあ俺でもそうするが)

 

当然、花太郎と彼らの戦闘力の差を考慮すれば脅されて仕方なく・・・という言い訳は立つ。しかし、花太郎は本来瀞霊廷を守る立場にいるものである。それは四番隊

であっても変わりはない。それを脅されてたとはいえ敵に利する行動をとったということはバレれば花太郎は厳しい罰を受けることになるだろう。ヘタレだが、それ

が分からない花太郎ではない。この道案内には花太郎も並々ならぬ覚悟を持って臨んでいることがうかがい知れる。

 

(花太郎・・・・いや、まてよ・・・?なんだ?この違和感は・・・・)

 

と、ここまで考えた薫は何かが頭に引っかかる感じがした。重要なようで、それでいてどうでもいいような何か。それを見過ごしている気がした。あのオレンジ髪

じゃない方。

 

(あのごつい三下顔を見ていると何かが引っ掛かるんだが・・何だ?)

 

「って、あ!」

 

薫がどうでもいい思考にふけっている間に花太郎含め三人の姿が忽然と消えていた。どれくらいの間見失っていたかはわからないがそう長い間ではない。薫は冷静に

次の方策を立てることにした。

 

(ふう、いや、まだ焦る必要はない。奴らの目的地は分かっている。懴罪宮だ。なら、先回りしてやればいい。誰にも見つからず懴罪宮に行く方法。花太郎が思いつく

方法。おそらく奴らは地下道を使っているはず。つまり、懴罪宮に一番近い地下道の出口に向かえばいいってことだ)

 

この間0.5秒。考え事をしている間に監視対象ににげられた間抜けは一瞬で名探偵へと転じ自分の失態を押し隠すように霧のかかった白い塔に向けて走り始めた。

 




 

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