浄罪の炎   作:ナレイアラ

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原作名をブリーチからBLEACHにしただけでお気に入りもUAもうなぎ上りぜよ(ゲス顔)


第10話

「う・・・ここは・・?」

 

あれから数時間後一護が目を覚ました。場所は相変わらず地下道の中だ。花太郎は治療に疲れて眠ってしまっている。昼寝から目覚め、死ぬほど退屈していた薫は

一護に話しかけようとしていた岩鷲を無言で手で制し自分で話しかけた。

 

「起きたかい?旅禍の少年」

 

「・・・あんたは・・・?」

 

一護は重症から回復したばかりで起き上がることもできなければ周囲を見回すこともかすかに首をかしげることでしかできない。当然一護の近くでつぶれるように

寝ている花太郎は死角になって見えないし岩鷲は薫が視界を塞いでいるのでこれもまた見えない。意識がもうろうとしているようですぐ近くの霊圧も探れないようだ。

そんな一護に薫は嗜虐的な笑みを浮かべゆったりと追いつめるように歩みながら言った。

 

「俺は東條武彦。この牢屋の番人さ」

 

「牢屋・・?」

 

意識が朦朧としているせいかよく言葉を飲み込めなかったらしい。

 

「そうだ、襲撃した敵地で瀕死の重傷を負って気絶したんだ。当然と言えば当然の結果だねぇ」

 

「・・・じゃあ」

 

「そういえば君を捕まえる時君の仲間らしい奴らも捕まったそうだけど詳しく聞きたいかい?」

 

返答の遅い一護との会話が面倒になったのかどんどん話を進めていく。

 

「死んだよ」

 

「!!!」

 

その言葉に一護は重傷を負って霧がかかっていた意識が強制的に覚醒させられた。

 

「かわいそうにねえ、純粋そうな四番隊の子はうまくだまくらかされたのか同じ死神に攻撃を加え旅禍に協力したとしてその場で斬殺刑」

 

一護を攻めたてる薫の言葉にさらに脂がのる。

 

「君と一緒に来たと思しきゴツイ顔の野蛮人は旅禍として後で処刑するために四肢を切断して呼吸をするだけの肉塊に成り果てている」

 

「あ・・・あ、あ・・・」

 

余りの事態に一護は声も出ない。深手を負って力が入らないせいで怒る気力も失せ、その瞳には深い悲しみと絶望しか映っていない。

 

「だがソイツを拷問したら君たちの目的は例の極囚だというじゃないか。だから君たちへの刑の内容も変更されてね」

 

薫はにやにや笑いが止まらない。昔親友と学園でイタズラをしていたころを思い出していた。もっとも親友は一年で卒業してしまったが。

 

「君たちの目の前で朽木ルキアを処刑。しかる後に一人ずつ首を斬ることが決まった」

 

一護の瞳にさらに深い絶望が映る。

 

「そんな・・・」

 

「だが少年、朗報だ」

 

だが、もはや一護は深く絶望しており反応を示さない。

 

「もし君が仲間を裏切り、君の持ちうるすべての情報を開示するというなら君だけでも助けてやろう」

 

ここにきて今日一番のいやらしい笑みが薫の口元に張り付く。その姿はまるで契約を持ちかける悪魔にも貧者に入信を代価に食べ物を与える聖職者にも見えた。

 

「あんた・・・東條って言ったか」

 

「ん?・・ああ、そうだが」

 

(そういえばそんな設定だったっけ)

 

いきなり落ち着いた態度になった一護に少し不満そうに眉をしかめ薫は返事する。

 

「いや、何つうかすごい言いにくいんだけどー――」

 

そういうと一護は薫の後ろを指さし

 

「―――さっきから岩鷲がバカみたいなポーズをあんたの後ろでキメまくってるぞ」

 

即座に後ろに振り返った薫は岩鷲に顔面を唾まみれにせんばかりに文句を言った。

 

「てめえ!岩鷲!!せっかくのイタズラを台無しにしやがって!!」

 

「いやあんたが俺のことを野蛮人なんて言うから!!」

 

「やかましい!!」

 

そういって二人は当の一護を無視して言い争っていた。当然そんな風に煩くすれば寝ている花太郎が起きないわけはない。起き出した花太郎は何をしているんだろうと

音のする方を見ると一護が起き上がっていることに気が付いた。

 

「一護さん!!大丈夫ですか!?」

 

「ああ花太郎か。いやからだの方はもう大丈夫なんだがよ、コイツだれだよ」

 

また変なのが増えた、みたいな顔をして岩鷲と言い争っている薫を指さす。

 

「コイツじゃあない。初石薫だ」グギッ

 

そういうと薫は自分をさす一護の指を掴んで思いっきり曲げてはいけない方向へ曲げた。

 

「ギャアアアアアアアア!!何しやがる!!てか、あんたの名前は東條じゃなかったのかよ!」

 

「あれは偽名だ」

 

「偽名ってなんでだよ!!」

 

一護が至極まっとうな突っ込みを指をさすりながら入れる。

 

「なんでって・・・イタズラ中に自己紹介とかシまらねえだろ?」

 

「いや、今しても全然シまらねえよ!?」

 

 

 

 

少しして――

 

「ん”ん”っ、では改めて初めまして俺の名前は初石薫。四番隊特別救護班班長・・・つまり花太郎の直属の上司だ」

 

わざとらしい咳払いとともに薫の自己紹介が始まった。それを一護は胡散臭い目で見ている。

 

「君たちが花太郎を人質に取っていた時から君たちを監視していて、阿散井恋次と半ば相討ちの形でぶっ倒れた君を花太郎たちとともにここまで運んできた・・」

 

「ちょっと待ってくれ」

 

「ん?」

 

「その話が本当なら俺はあんたにとって部下を危機に陥れた敵のはずだ。何故あんたが俺たちの味方をするようなことをしてんだ?」

 

その言葉に薫は呆れたようなめんどくさそうな顔で一護を一瞥した後溜息を吐きすべてを花太郎と岩鷲に丸投げした。

 

「フー、俺は何度も同じ説明をするのが好きじゃないんだ。面倒だからな。というわけで花太郎、岩鷲、後の説明よろしく」

 

・・・  ・・・ ・・・・ ・・・・・・・・・

 

「なるほどな、薫、アンタが味方なのはわかった。でもワリィけど俺はすぐ出発しなきゃなんねぇんだ」

 

説明を聞き終わった一護はそういうとふらつく足で立ち上がると地下道の出口に向かって歩き出した。

 

(あらら、話の途中でルキアちゃんの話が出た途端顔色が変わったと思ったけどここまでとは・・・・予想以上だね)

 

「一護、君そんなふらつく体でどこに行こうっていうんだい?そのざまじゃ一般隊士に囲まれただけでやられちゃうよ」

 

「ワリィな薫。それでもいかなきゃならねえんだ。俺が、俺が行かなきゃ・・・」

 

そういうと一護は無理をおしていこうとする。

 

「ふう」バッ

 

溜息の音とともに黒い布が一護の眼前に現れ、とっさに構えた斬月の刃先をものともせずに刀ごと一護を簀巻きにした。

 

「ム”-!む”-!!」ドッタン バッタン

 

黒い芋虫が床の上をくねくねと這い回る。

 

「そうしてしばらく寝ているといい。なに、朽木の処刑まであと十日以上あるんだ。君が寝ている間に警備も整っただろうし、君のほかの仲間もバカじゃなけりゃ

隠れて体を休めてるよ。だったら今は傷の回復に専念して休んだ方が賢明だよ」

 

そういうと静かになった一護を見て薫たちはほっと溜息をついて自分たちも休み始めた。

 

(斬月と密着した状態で寝ろってか)

 

一護の仲間たちが隊長や副隊長の相手とかち合っていたらどちらにしろ手遅れだというのは、あえて言わなかった。

 




そういえば評価してくれると嬉しかったり

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