俺の嫁?黒ずくめの二刀流剣士の子ですけどなにか?   作:シャラシャラン

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第一層は始まってすぐ終わる。





第五話 一層始め!

 

 

 

 

「よっしゃ」

「これで大体ここら辺の敵は片付いたね」

 

俺とキリナは武器を納める。

現在大規模なチームで第一層の一番奥のボス部屋に向かって絶賛進行中である。

そんな中でもやはり敵は襲ってくるので一番近いグループが対処するようにしている。

もちろん手助けしてもいいのだが、それでは相手のチームプレイの邪魔になってしまうので基本ノータッチだ。

そして俺のグル-プは三人、俺、キリナ、そしてキリナの友達アスナである。

まさかこんなメンバーで行動するようになろうとは。ってか「アスナさんは実力大丈夫?」って言ったら細剣スキル「リニアー」でザコ敵を瞬殺してくれました。本当にありがとうございました。

 

「着いたぞ皆!」

 

戦闘に立っているディアベルが言う。

俺らは結構戦列の前の方にいる。

 

「よしアイテムの最終チェックだ!」

 

俺は指示を出す。

各グループに分かれてアイテム欄を出して確認する。

俺も指示を出した後に確認を始める。

 

「全員大丈夫?」

「うん、私は大丈夫だよ」

「……私も同じく」

 

あいかわらずアスナはフードを取らないし、なんだか怖いし。

なかなか警戒を解いてくれない。やはり男だからだろうか?

 

「よし!それじゃあ皆聞いてくれ!」

 

ディアベルがボス部屋の門の前に立ち手を叩き注目を集める。

俺も自然に隣に立つ。

 

「これからのボス戦は大変になるだろう。でもこれだけは言わせてくれ、ここで勝てば、始まりの町で怖がって出られない人や、今から戦おうとしている人たちの後押しになるかもしれない。だから皆で絶対に勝とう!!」

 

ディアベルがそう言った後皆が腕を上げ声をあげた。

まったくあいかわらず盛り上がる事は大好きだな。

 

「カゼキ、君は何か言う事ないかい?」

「そうだな」

 

俺は手を顎にあてて考える。

この状況で言う事か。

 

「皆、この戦いは確かに大事だ。一回目で成功してボスを倒すことも大事だ。でもそれ以上に大事な物がある。それは自分の命だ。もしポーションがきれて戦闘の続行が不可能だと思ったら、もう戦えないと思ったら、すぐにボス部屋から出てくれ。ボスは部屋の外には出られないし、攻撃もしてこない。逃げることをみじめだなんて思わないでくれ。もし危ないと思ったら、帰ろう、帰ればまた来られるからな」

 

皆俺の話に静かに耳を傾ける。

 

「皆、頼むから死ぬなよ。皆で、生きて、帰るぞ。わかったな?」

 

「もちろんだ!」

「死んでたまるか!」

「まだ脱童貞してないからな!」

「俺この戦い勝ったら、クニに帰るんだ……」

 

「わかったらいいんだ。だが最後の奴、お前は気をつけろ。完全に死亡フラグだぞ?」

 

そこで笑いが生まれる。

ちょっと緊張がほぐれたっぽいな。

 

「それじゃあ行くか、これからの未来のために!」

「総員、構え!」

 

俺は槍を抜き小さな盾を左手につける。

キリナもアスナも剣を抜いている。

 

「開門!」

 

誰かがそう言い門を開ける。

 

「進め!」

 

最前列の俺たちが走り、次々と部屋になだれ込む。

全員が入ったとたんボス部屋の光が灯り、この第一層のラスボスが姿を現す。

 

「よっしゃ、作戦通りにいくぞ!全員行動開始!」

 

ディアベルのグループ、俺のグループとウニ頭のキバオウは前に進む。

それ以外にも前に進む奴らもいる。それ以外はボスの取り巻き殺しに走っていく。

 

「全員でタゲとりあうぞ!」

「わかっとるがな!」

 

キバオウがそう言う。

いつも喧嘩腰のやつだが根は優しいやつっぽいからな。

でもβテスターのこと悪く言いすぎな。キリナが半泣きだったのは許さない。

 

「それ!」

 

俺は飛びボスとそれ違いざまに槍で切りつける。

攻撃されたことによりボスは俺を見るが、俺が攻撃される間に他の奴が攻撃する。

そして今度は俺の後に攻撃した奴の方を向く。こうして敵を翻弄して行けばある程度は敵のHPを削れそうだ。

 

「ぐあっ!」

 

そんな時誰かがボスの攻撃に当たったそうだ。

まだ通常攻撃で得意危ない攻撃ではないが、万が一がある。

 

「回復しておけ!」

「下がります!」

 

鎧を着たソイツはすぐに下がりアイテムを出してポーションを飲んでいるのを横目で見る。まだHPをそこまで削っていない。攻撃パターンの変化はないはずである。俺も回避でも当たる危険性のある攻撃は盾受けをしていく。

 

「HPバー一本削りました!」

「よし、まだまだ頑張るぞ!」

 

『オォーー!!』

 

雄々しい声が聞こえる。

こうして全員で活をいれながら戦っていく。そう攻略前に決めたルールでもある。ちょっとした精神のゆるみが危険な事態を招くことだってある。そんなときに一緒に戦っている仲間や友の声である。これがないのとあるのでは、心の支えがあるのとないのでは違う。

 

「二本目削りきりました!」

「よっしゃもうすこしだぞ!」

 

ディアベルが声を出す。

俺も前に出てタゲを取りあいながら戦う。

 

「次は俺が行く!」「頼んだ!」「左翼!もう少し、取りまきをボスから離してくれ!」「了解!オラかかって来いよ、このクズ野郎!」「回復します!」「俺が前に出る!」「次は俺がタゲ取る!」「任せた!」

 

全員が連携を取り合いボス戦は順調に進んでいった。

 

「三本目削りきりました!!」

「よし!!あとちょっとだ!!頑張るぞ!!」

 

そんな時ディアベルが指揮を放棄して前に出た。

 

「おい、おま」

 

ディアベルはソードアーツが発動する構えを取っていた。

あれは片手剣のスキル、それも序盤では一番攻撃力が高い奴。

まさかディアベルの奴、ラスト・アタックを?

ラスト・アタックとは、最後にボスにダメージを与えることだが、倒した奴にはなんとボーナスで何かがもらえるのである。大抵はレアアイテムである、しかも装備品である。

ここで狙いに行くのか、せこいとは言えない、いや言いたいけど状況が状況なんだ。誰だって強い武器や防具を欲しがる。でもどう考えてもちょっと残るだろ。

 

そんな時ボスが武器を持ちかえた。

今まで持っていた斧と木の大盾を捨て、腰挿してある大きな剣の柄に手をかける。

 

「なんだありゃ!?」

 

俺はβテストの時とは段違いな武器を見る。

恐らく刀系統の武器。一撃の攻撃力では先ほどの武器よりはるかに強い。

 

「待てディアベル!!はやまるな!!」

 

俺はグループのメンバーを置いていき走る。

ディアベルも異変に気付くがスキルの溜め中であるため動けない。顔は驚きに染まっている。そして半面あきらめていた。

 

「あほか!!まだ終わってないだろ!!」

 

俺は何とかボスの攻撃とディアベルとの間に入る。すぐに盾を構えて攻撃を防ぐが敵の攻撃力が上まった為ダメージを受け、後ろにディアベルと共に弾き飛ばされる。

なんとか後ろに居た他のメンバーに受け止められる。

だが俺のHPバーは一気にレッドゾーン突入である。

 

「いってぇ……」

 

そう言いすぐに立ち上がり俺はやりたい事をやる。

まずディアベルを殴る。

 

「話は後だ、まず勝つぞ」

「……ああ、すまない」

 

俺はアイテムからすぐにポーションを出し一気飲みする。回復するのはゆっくりだがそれまでダメージを受けなければいい。

 

「キリナ!」

「うん!」

 

俺は相方の名前を呼びすぐに俺は装備を変更する。

この際装備を軽量型にする、盾を外し、両手用の槍を出す。

 

「よっしゃ行くぞ!」

「了解!!」

 

俺とキリナは同時に走り出す。

他の奴らなんて置いてけぼりである。知らん、付いてこないのが悪い。まぁ、俺とキリナのレベルはちょっと周りよりか飛びぬけているから、ついてこれる人なんていないけどな。

 

「まず一発!」

 

俺が槍スキル「ポイント・ストライク」を発動。槍が緑色のエフェクトに包まれる。そして高速の突きを繰り出す。

 

「二発目!」

 

次のスキルに繋げる。共通スキル「スラッシュ」、横に大きくなぎ払う。

 

「三発目!」

 

次のスキルは槍スキル「ダブル・ポウク」。「ポイント・ストライク」と違い、ダメージは少ないが二回連続で攻撃できる。こんな感じで連続にスキルを叩きこんでいく。

 

「キリナ!」

「まかせて!」

 

俺はキリナとバトンタッチして後ろに下がる。

その間にキリナも次々とダメージを与えて行く。

 

「交代!」

 

キリナのスキル後の硬直の間に俺が割って入りボスに攻撃を加える。

ひたすらそれの繰り返しである。

 

「すげぇ……」

 

周りからは感嘆の声が聞こえる。

いや仕事しろよ。

 

「敵HP残り少し!」

 

「このままいくぞ!」

「うん!まかせて!」

 

まだ同時に走り出す。

敵のHPはあと少し。あと数回で倒せるだろう。

 

「せいや!」

 

キリナは回転して傷を付ける。

 

「はっ!」

 

俺もすぐに次の技に繋げられるように攻撃して構える。

 

「これで最後だ!!!」

 

持っている槍を軸にし、回転してから地面を蹴り敵に突っ込む。

槍はボスを貫きそのHPを全て食らう。

ボスは固まり、ポリゴンの破片へと変わった。ガラスが砕け散るような音が響く。

とりまきも同じように次々と消える。

 

「勝った?」

「うん!」

 

俺は槍を掲げ勝ち誇ったような顔をする。

すると周りの奴も声を上げ剣を上げた。

 

「やった!勝ったぞ!」

「やった!やったんだ!俺たちは!」

「よかった、フラグ立てたけど、俺、生きている……」

 

よかったな最後の人、でもやることがあるんだな。

それで俺はディアベルの方へと歩きその胸倉をつかむ。

 

「あほかお前!俺言ったよな!?皆で生きて帰るって、あんな無茶すんじゃねぇよ!」

 

もう一回ディアベルを殴る。

腹が立ってもう一発殴ろうとしたがキリナに止められる。

 

「ま、待って!それ以上殴ったら、イエローになるよ!」

「知るか!」

 

俺はキリナに止められるが気が済まなかった。

 

「……すまない、ちょっと欲がですぎたかな」

「ですぎだよ!死んでいたぞお前!」

「迷惑をかけたな」

 

ディアベルは殴られた頬を擦りながら立ち上がる。

そしてゆっくりと腰を折る。

 

「すまなかった。俺が悪かった」

「……いいよ。もういいんだよ。生きていれば」

 

もういい。

俺もちょっとカっとなって殴ってしまった部分もあるしな。冷静でいなければならない。もしあのまま殴り続けていれば名前の色が変わった今後の冒険に支障がでるかもしれないしな。

 

「それでカゼキ、ラスト・アタックの報酬は?」

「あ?」

 

ディアベルに言われて気付く、そういえば俺がボスにとどめを刺したんだよな。

俺はポップアップが待機しているのを発見してそれをタップする。するとラスト・アタックの報酬名が書かれている。

 

「装備だ。コート類だな」

「なら着てみてくれよ」

「お?お披露目か?」

 

人が集まってくる。

 

「今回のMVPはどう考えてもあんただしな。俺らもセコイ事は言わないよ」

「だな」

「ほらさっさと着ろよ!」

 

自然と野次馬ができる。

俺はしぶしぶ装備欄を広げ、上藩士防具の隣の空欄を触れ、新しく手に入れたコートを着る。すると真っ黒のロングコートが現れ、羽織っている状態になる。

おおぉ~、とざわめく。確かにカッコイイが……

 

「真っ黒だな」

「だね、なんだかカゼキ、ダークヒーロみたいだよ?」

 

キリナがにこっと笑いかける。

可愛いなぁ、こんちくしょう。

 

「でも真っ黒か」

「また染めアイテムでも探すのかい?」

「俺は赤色が好きだな」

 

赤色が大好きである。

なので髪の色を染めた時も赤色にしたのだ。

 

「ならこれをあげるよ」

 

《ディアベル》からトレード要請がとどきました。

 

機械音がして俺はそれを許可する。

中には染めアイテムが入っていた。

 

「俺を助けてくれたお礼だよ」

「ならありがたくもらうぞ」

 

俺は何もアイテムを入れずにデャイベルと交換する。

するとアイテム欄に染め用アイテムが入った。俺はそれをダブルタップして「使用」のボタンを押す。そして対象を選ぶ、もちろん黒のロングコートである。

すぐに漆黒のコートは色を変えて綺麗な赤色に染まる。

また野次馬たちがどよめく。

 

「やっぱコッチだな」

 

俺は満足したように微笑む。

 

「それじゃあ転異門を開けようか」

「そうだな。よし皆!今日は体がぶっつぶれるまでパーティーだ!!」

『おおぉ!!!!』

 

俺は赤色のロングコートを揺らしながらキリナと一緒に戦闘を歩く。

 

 

 

 

「深紅の神槍、カゼキ」「黒の姫騎士、キリナ」

「赤き怒涛の双槍」「漆黒の風の双剣」

 

そして 「最強夫婦」

 

後に俺とキリナは服装や、常にいっしょにいるので様々な愛称がつくことなんて思ってもいなかった。

 

 

 

 




第一層、終わり

いやー
最近艦これにはまってしまいましたww

ん?
あ、なんか建造終了してる。
なんだっけな?

え……
天龍ちゃん……?
まじかよ……

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