艦これ@SS文庫   作:ゆめちゃん

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拙いながらも第2話目です。
短編系はネタ切れが怖いですね(汗)

シチュやカップリング等、いろいろ考えなくては・・・
今回は金剛デース。


Burning Love!

「Hi! 今日も良い天気ネー!」

 

 最近、鎮守府の司令室が非常に喧しい。

 おまけにいつの間にか内装が変更され、紅茶の茶葉が常備されるようになった。

 それというのも、新たに配属されたある艦娘に原因があるのだが――

 

「英国で産まれた帰国子女の金剛デース! ヨロシクオネガイシマース!」

 

 金剛型Ⅰ番艦『金剛』英国はヴィッカース社生まれの帰国子女。

 強大な火力に重厚な装甲。戦艦としては希にみる高速性能を誇る優秀な戦力――のはずだった。

 

「Tea timeは大事にしないとネー♪」

 

 ところが、である。

 着任早々何を思ったか、持ち込んだ家具で内装を塗り替え、英国から取り寄せた茶葉とティーセットを完備。あまつさえは事あるごとに「紅茶が飲みたいネー」などと言い出す始末である。

 当初の期待はどこへやら、気づけば「妖怪紅茶クレ」なる不名誉極まる渾名を頂戴することになっていたのだった。

 

「私たちの出番ネ!Follow me!皆さん、着いて来て下さいネー!」

 

 しかし、そんな彼女もひとたび戦場に出れば勇壮な戦艦であることに変わりはない。

 陽光に煌めく波を蹴立てて大洋を疾走する彼女は真実美しい。

 重巡や軽巡を率いて敵を蹴散らし意気揚々と帰還してくる。

 無論、出撃のご褒美に紅茶をねだる事も忘れない。

 

「私の活躍見てくれたの?もっと頑張るから目を離しちゃNo!なんだからネ!」

 

 出迎えに来る提督にそう言って笑うと、決まってお気に入りのティーセットでお茶にするのだ。

 そんな彼女がやって来て、どれくらいの月日が経っただろうか?

 

 当初は変人と思われていた金剛も次第に鎮守府に馴染み、いつしか底抜けに明るい彼女の声が当たり前になって来た。

 すっかり見慣れたティータイムは鎮守府の名物となり、緑茶派と煎茶派を巻き込んだ三つ巴の派閥抗争の様相を呈し始めていたりする。

 そんなある日の夜。溜まった書類を黙々と片づける提督に、ふと金剛はこう漏らした。

 

「……提督は、金剛のことLoveデスカー?」

 

 いつになく沈んだ調子で言う金剛にふと顔を上げてみると、金剛はカップの縁をなぞりながら申し訳なさそうに笑っていた。

 

「ときどき、こうして紅茶を飲んでるのが夢じゃないかって思うネー。戦う身である以上、絶対無事に帰ってこられる保証はないデス」

 

 ああ、そういうことなのか――

 それを聞いて、提督はようやく理解した。なぜ彼女がこんなにも眩しく鮮烈なまでに振る舞うのか。

 

「私は提督のことLoveデスネー! 必ずここに戻ってこられる気がシマース!」

 

 焔のように生き、嵐のように駆け抜け、華の如く散り果てた。

 その終わりを識るが故に、彼女は今目の前にある一瞬がどれほど尊いか理解しているのだ。

 

「Oh……あんまり私らしくないデスネー。今のは忘れてくだサーイ」

 

 ――否。それは決して忘れてはいけない大切なことだ。

 金剛から貰った、わざわざ名前を刻印してもらったカップに紅茶を注ぎながら、提督はそっと金剛の頭を撫でた。

 

「て、提督ゥ!? 触ってもいいけどサ、時間と場所を弁えなヨ……///」

 

 いつもとは違う赤面した金剛の顔を見て、自然と提督もほおを緩めたのだった。

 

 

 

 

 ――翌日

 

「Yes! 私の実力、見せてあげるネー! 抜錨デース!」

 

 いつも以上に張りのある声で金剛は艦隊を率いて鎮守府をあとにした。

 戦艦を全て出払わせるわけにもいかないので、重巡と軽巡を中核にした艦隊だ。

 

「フフン♪ 今日の私は一味違うネー!」

 

 海を駆けるその横顔は実に嬉しそうで、さながら恋する乙女のようである。

 今日の朝、金剛と提督が一緒に司令室から出てきた時は皆が何事かと驚いたが、

 

「Sorry.それは2人の秘密ネー!」

 

 といって、金剛は夜の出来事を誰にも教えなかった。

 結局、事態を重く見た比叡や榛名が光の速さで提督を工廠裏に連れて行ったが、まあ無事であることを祈るしかないだろう。ついでに霧島が表情を変えぬままそれについていったが、もはや何も言うまい。

 

「あの、金剛さん。昨晩は提督と何をお話しされたんですか?」

「ノンノン。いくらMs,古鷹でも教えられまセーン。恋の戦いは熾烈デース!」

「え!? こ、恋ですか!?」

 

 仰天して口をポカンと開ける古鷹を置いて、金剛はグイグイ進んでいく。

 

「――I love you, my master. I am deffinitely going to make you mine.」

 

 いつかきっと振り向かせて見せる。

 そのためになら、どんな任務でもこなして見せる。

 帰った時には必ず、待っていてくれる人がいるのだから。

 

「全砲門、Fire! 私に続くネー!」

 

 会敵を告げる声は高らかに。

 恋も戦も、全ては再び始まったばかりなのだった――

 




ロクに英語もできないのに気取った結果がこれだよ!
というワケで第2話でした。

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