めっちゃ短い&ツマンナイかもしれませんがどうぞよろしく。
もうすっかり日の暮れた夜。
資源回収のために遠征へ出していた第六駆逐隊の面々が鎮守府に帰って来た。
「艦隊帰投だって。ふぅ……」
艦隊を率いる長女『暁』がそう言って司令室の戸をノックする。
回収した資材の受け渡しと帰還を知らせるためだった。
ややあってからドアが開き、提督が直接無事の帰還と報告を確認した。
無論、いつものスキンシップも忘れない。
「頭をナデナデしないでよっ! もう子供じゃないって言ってるでしょっ!」
妙にムスッとした、だけどどこか嬉しそうな顔をして司令室を辞そうとする暁。
が、その時じっと黙っていた響が提督を呼び止めた。
「……待て。提督、電の様子がおかしい」
響の言葉に釣られて電を見ると、なるほどどうにも様子がおかしい。
目は妙にトロンとして頬は赤く、おまけに体が左右に揺れている。
「い、電の本気を見るのです……?」
「電、あまり無理はするな。具合が悪いのか?」
日頃は口数の少ない響も姉である。末っ子である電を気遣うが、
「電はらいじょうぶなのれす……」
「……重症だな」
資源回収とは言え長距離の移動だ。疲労がないわけではないのだろう。
「元気ないわね。そんなんじゃダメよ。ちょっと見せてみなさい!」
「はわわ!? だ、大丈夫なのです。心配はいらないのです!!」
見かねた雷がフラフラの電に近づいて額に手を当てる。すると――
「うわっ!? 全っ然大丈夫じゃないじゃない!! すごい熱よ」
察するに疲労による発熱か。
すでに呂律も回っていない電を抱きかかえると、雷は入渠ドッグへと急いだ。
――翌日
「はーい、電。ちゃんとアーンしなさい。お姉ちゃんが食べさせてあげるわ!」
「じ、自分でできるからいいのです!! 雷ははやく演習に行くのです!!」
鎮守府の入渠ドッグには、水玉模様の布団に包まり額に氷嚢を載せた電の姿があった。
その横には鳳翔お手製のお粥を食べさせようとする雷もいる。
「恥ずかしがるな、電。たまには姉にも世話を焼かせてくれ」
「ふにゃぁぁぁ!? か、体は自分で拭けるのです!!」
「ふふん。暁の出番ね。見てなさい!」
いざ危機が迫れば砲火を撃ちあい敵陣へ突撃する彼女らも、平時は小さな乙女に過ぎない。
姉妹仲睦まじい看病の様子は、その後しばらく鎮守府の話題となったのだった。
「――ったく、しょうがねぇな。遠征はオレが行って来てやるか……」
そうそう、電の看病でキャンセルになった遠征を天龍が肩代わりしてあげていたというのは、ここだけのナイショである。