仮面ライダー大戦を見直していると、BLACKに声を当てているのはラジレンジャーでお馴染みの神谷浩史氏。(Fateでも慎二君でお馴染みですね)声を聴いていて、光太郎からキングストーンを引き継いで2代目として活躍する…と考えた3秒後、改造されてないからダメじゃんと即却下したのでありました
今回は短めな上に主役不在。今回の主役はあの人な45話です!
「店主、今日の取れ立てを10匹ほど用意しろ」
「おぅ、王様じゃねぇか!毎度ありぃ!!」
商店街の魚屋で顔見知りであろう店員に命令するかの如く注文をする金髪の青年だったが、店員は気にする様子もなく今朝一番に仕入れた新鮮な魚を発泡スチロールに詰めていく。
「王様ぁ!そっちばっかじゃなくて偶にはウチの肉も買ってってくれよぉ!」
「いやいや、うちの野菜をね…」
注文した魚を待つ青年を発見した途端、次々とかかる勧誘の声。青年は振り向かず、自分を見つけては通り過ぎていく商店街で暮らす人間の声を、不快には思わなかった。
(黒陽を連れて回った結果、か)
大学帰りの光太郎を発見しては無理矢理連れ回していた時、この商店街を紹介させた際は奇異な目で注目されていたが同行する光太郎を見るや、彼の友人と認識され気さくに声をかけてくる面々に唖然とした。
それまで彼が認めた、或いは渡り合った相手以外の者が見る目というのは、彼が持つ凄まじい力の前にひれ伏すか、口には出さないが敵意に満ちた目を向けるかのどちらかだった。人の視線など気にも止めることがなかったが,光太郎が同行しなくとも立ち寄れば笑顔で接し、商品を勧めてくる状況を青年は楽しみ始めていた。青年もまた、高慢な態度と大金を持って商品を買い上げていく姿から商店街では『王様』と呼ばれ始めていたのだった。
「所でよぉ、3日に一度は生魚買ってくみてぇだが、王様はペンギンでも飼ってんのかい?」
「似たようなものだ」
代金を支払い、魚の入った袋を受け取った青年は適当に答えると、自分に向かい走ってくる小さい影に気付く。
「王サマーッ!!」
「ん…?」
小学生程の少女だろうか。少女は買い物を終えた青年の前で立ち止まると、息を切らせながら彼を見上げる。何かを伝えようとしているが言葉が上手く浮かばず、涙目になりながら見上げる少女の顔を見て、只ならぬ事と理解した青年は視線を合わせる為に膝を付いて、少女に自分を探していた理由を尋ねた。
「慌てるな。何があったのだミミ」
ミミと呼ばれた少女はようやく話せるようになると、青年の服を掴んで叫んだ。
「王サマ、お願い!クーちゃんを助けて!!」
港で起きている異形同士の戦いに、子供たちは息を飲んでいた。いや、正確には子供達の知る存在が突然現れた怪物から一方的に攻められているという方が正しい。
子供達は親しくなった外国人の友人の待ち合わせをしていた。いつものようにゲームをし、青年から貰った小遣いでお菓子やジュースを準備。そして海にいる『友達』に乗って海を渡るといつものように楽しい時間となるはずだった。
だが、その友達を怪物が襲った。
友達は必至に抵抗しているが相手は2体。螻蛄とサンショウウオがに似た姿をした怪物はそれぞれ毒液、伸ばした舌で攻め立てるが、友達は回避と防御を繰り返すばかり。歯がゆく思った子供達だが、その行動が自分達が逃げ出すための時間稼ぎと理解したのはしばらくしてからであった。
「どうしよう、このままじゃ…」
焦る子供の1人が思わず声に出すと、誰かが自分の頭頂部に手を当てていることに気付く。見上げれば、待ちわびていた人物の名を叫んだ。
「お、王サマッ!!」
「コウタ。これを持って下がっていろ」
青年は魚の入った袋を手渡すと、両腕をズボンのポケットに入れたまま悠々と友達の元へと歩いていく。自分達に接近する存在に気付いたのか、ケラ怪人とサンショウウオ怪人は青年へと振り返る。
怪人達の足元には体中を傷だらけにしたクジラと似た異形が倒れている。見る限り、まだ致命傷には至っていない。クジラ怪人の姿を見た青年は明らかに怒りの感情を見せていた。
「…我の庭に土足で入り込んだ挙句、我の民を怯えさせ、蹂躙した罪…呆気なく散るだけで済むと思うなよ」
『ククク…流石は人類最古の王と呼ばれた男か。口だけは達者と見える』
ケラ怪人から聞こえた声に青年は足を止める。青年の知っている限り、怪人には自分から人間の言葉を発する者は僅かだ。だが、怪人自身が話しているにしてはその『意思』が怪人自身が感じられなかった。
そうなれば、怪人が話せるもう一つのケースだろう。何者かが怪人を通して声を出している場合だ。
「…飼い虫の躾がなっていないな。それとも、我の所有するものと知っての狼藉か?」
『フン…そういえばクジラ怪人が裏切った際には貴様もその場にいたのだったな…さらに言えば、仮面ライダーの周りは常にお前がいた!』
青年が光太郎と知り合って間もない頃だった。
光太郎に刺客として放たれたクジラ怪人は最初こそ海を汚す人間を許せずにいたが、海辺でゴミを集めている子供達と光太郎達間桐兄妹(慎二は強制連行)を見つける。
彼等の行動を見て果たして人間は滅ぼすべき存在なのか…悩みながらも光太郎の前に出たクジラ怪人と同時に別の怪人…イカ怪人が現れる。変身した光太郎は戦うが、2体同時の攻撃に苦戦を強いられてしまう。光太郎はクジラ怪人に拘束され、止めを刺されるかと思ったその時、イカ怪人が光太郎とクジラ怪人を同時に攻撃したのだ。
変身前、子供達と共にゴミ拾いをしていた光太郎に対して、隙だらけの姿を奇襲しなかったクジラ怪人を役立たずと決めつけたビルゲニアが処刑命令を下したのだ。
ゴルゴムに情けを持つ者など無用と。
ショックを受けるクジラ怪人に容赦なくイカ怪人は攻撃を放つが、光太郎は身を挺してクジラ怪人を庇う。ダメージを負いながらも、自分達の目的の為なら仲間の犠牲も問わないゴルゴムに怒る光太郎の逆襲が始まった。
触手や破壊光線による攻撃に対応しながらもイカ怪人を追い詰めた光太郎。不利と考えたイカ怪人は墨を吐いて怯んだ隙に逃げ出そうとするが、クジラ怪人が発射した白い粘液で封じられてしまう。
尽かさず光太郎の必殺技が炸裂し、イカ怪人を葬ったのだ。
そして光太郎の勧めで海へと帰ったクジラ怪人。
その一部始終を見ていた青年は光太郎へ更なる興味を抱いていた。
世界を裏から操っている強大な敵を全て倒して見せると豪語し、さらには絶対に分かり合えるはずのない怪人と意思の疎通を成し遂げる。
運命に抗い続けるこの男がたどる道を見極める。
それが彼…現在の英雄王ギルガメッシュが光太郎に接触する理由だった。
『だが、これから行うのは裏切者の処刑だ。貴様は関係なかろう』
「どうやら理解が足りていないようだ…」
ギルガメッシュが一歩前へ出ると同時に、2体の怪人を金属のようなもので思い切り叩かれたような衝撃が襲う。何が起きたのかはギルガメッシュの背後にいる子供達も、2体の怪人も、怪人を通して言葉を送っていた大怪人バラオムも分からない現象が起きていた。
さらにギルガメッシュが歩いた歩数の分だけ衝撃が走る。それも打たれた場所が全てバラバラであり、怪人達の背中、腕、腹部と打ちつけており、傍から見れば不格好な踊りを興じているように見えなくもない。怪人の無様な姿に当初は怯えていた子供達も笑い始めてしまった。
この現象はギルガメッシュの持つ『王の財宝』によるものであり、彼が持つ無数の武具の内、盾やメイス等の打撃に使えるものを選定し、出現場所である空間の歪を怪人の身体から数ミリという密着状態から射出、収納を繰り返し行い、恰も見えない攻撃を仕かけていたのだ。
ギルガメッシュが怪人2体の前に立っていた時は、ケラ怪人の翼は折れ、サンショウウオ怪人は大口を開けられないほど頬が腫れ上がっていた。既に膝をついている怪人2体を見下す青年の目はどこまでも冷たかった。
「いいか。我の庭たる世界では生殺与奪も全て我の手の中にある。我の許しなく、処刑などと大事を抜かす輩はこの場を持って始末したいところだが…」
背後にいる子供達に一度視線を向けるギルガメッシュ。既に2体の怪人から逃げ出していたクジラ怪人の傷の具合を見ている様子で、こちらに目を向けている子供はいない。
「貴様たちの血肉が吹き飛ぶ様など小童達が目が穢れるだけだ。どこへでも消えるがいい。二度と此処に醜き姿を現さなければ、な」
ギルガメッシュは今度こそ自分の背後に『王の財宝』を展開。無数の剣や槍の先を怪人達へと向けた。
『おのれ…撤退だ!大事を控える今、戦力を失うわけにはいかん!!』
指示に従うように、ケラ怪人を抱き上げたサンショウウオ怪人は指を押し込み、強引に口を開けると煙幕を吐き出す。晴れた頃には、怪人の姿はどこにも無かった。
「フン…」
鼻を鳴らして踵を返したギルガメッシュはクジラ怪人を介抱する子供達の元へと歩いて行く。彼をまっていたのは、感謝するのように頭を下げて喉を鳴らすクジラ怪人と、子供達の賞賛であった。
「すっげーッ!!あれ王サマがやったの!?」
「歩いてるだけでアイツらボコボコにしたの?どんな仕組み!?」
「理由などない。我が王というだけだ」
意味の分からない理由の説明に「オォ~」「かっけ~」という自分を称える声を聴き、自分の購入した魚を少女に与えられているクジラ怪人の頭を撫でながら、ギルガメッシュは怪人が放った言葉を口にするのであった。
「大事を控えている、か」
ゴルゴム秘密基地
「ええぃ!生意気な奴め!!」
「落ち着けバラオム。既に聖杯は我らの手にあるのだ」
「だが、肝心の『中身』共が仮面ライダー達と結託してるのだぞ!」
怒る大怪人バラオムを落ち着かせようとダロムは自分達が有利であることを伝えるが、バラオムの言う通り、聖杯としての『器』であるイリヤスフィールは現在、シャドームーン自身により軟禁状態にある。しかし、『中身』である英霊達は魂の状態どころが生存し、大半が仮面ライダーの元へと集っている。先程の前回の聖杯戦争の生き残りであるサーヴァントもどちらかと言えば仮面ライダー寄りである状態だ。これではゴルゴムによる『忠誠を誓った者以外の人類抹殺』が叶うことができない。
「最悪の場合、聖杯を取り戻す為にこちらへ攻め込んでくる可能性も…」
「むぅ…」
情報の提供者から聞いた通りならば、まず英霊を倒さなければならない。だが、先ほど裏切者に差し向けたように、英霊相手に怪人2体でも返り討ちに会うのが落ちだ。シャドームーン直々に出向けばバーサーカーのように倒す事も可能だろうが、世紀王であるシャドームーンにサーヴァントの始末を願うなど、大怪人である彼等のプライドが許さなかった。
「手段はある。仮面ライダーに与する英霊共を殺さずとも、聖杯を機能させる手段が」
「そんな手段が!?どのような方法があるのですか!」
低い声で告げたダロムの言葉に食いつくビシュムは喜々として聞こうと耳を立てる。
「聖杯の予備システム…これを作動させれば、さらに7つの魂を呼び出すことが可能とされている」
王様は日が暮れるまで遊び倒しました。ちなみに一番盛り上がったは一度も死なずにどこまで進めるか競った初代マリ〇ランドだったり。
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