さてようやく見れましたレジェンタリー版ゴジラ。こちらとしては我らの知っているゴジラであり、モンスター映画なら最後は全滅!というのがセオリーであるアメリカにとっては珍しい最後であったのではないでしょうか?
そんな日記に書くような感想とは無縁の42話です!
「久しいな、セイバーよ」
「なっ…!?」
「ふむ…本日はマスターと同伴か。かつてのように単独というわけではないらしい」
セイバーは目の前にいる男の姿に目を丸くして驚いる。彼女の背後にいる衛宮士郎と遠坂凛も同じ状況だ。
「小僧も両手に花とは、男冥利に尽きると言ったところか」
呆けている士郎達の顔を見て、相変わらず不適な笑みを浮かべていた。
「…アサシン。説明して下さい」
意を決して、セイバーは一度自分と剣で切り結んだ相手に尋ねる決意を決めた。
予測の付かない剣捌きで自分を翻弄し、魔力が上手く供給されていない状態とはいえ、聖剣を使わんとする寸前まで追い詰めた無名の剣士。同じく剣を使う者として、決着を着けたい相手が置かれている状況を、セイバーはどうしても知りたかった。
「アサシン…なぜ…」
「なぜ貴方がサクラの家の前にいるのですかッ!?」
「それも箒を持って枯葉集めとはッ!?」
さらに詳しく言えばアサシンが纏っているものは以前にセイバーが見た栁洞寺の山門で着用していた陣羽織ではなく、動きやすさを優先させたのか、紺色の作務衣である。
はっきり言って似合い過ぎていた。
「おかしなことはあるまい。俺は変わらず門の前にいる。それがこの間桐家の門においても同じと言うだけのこと」
「いえ、私が聞きたいのはそういう事では―――」
「佐々木さーん、お疲れ様です。そろそろ一息いれて…あ、みなさん、いらっしゃい!」
アサシンに問い続けるセイバーの言葉は、トレイに緑茶を乗せて現れた桜の言葉に遮られた。満面の笑顔で間桐家を訪れた一同を迎え入れる桜はいつも通りである。しかし、先ほど桜の口から出た名称は聞き逃せないものだった。
「さ、サクラ…なぜアサシンの真名を!?」
「ちょっとまって。真名うんぬんよりもなんでお茶を出すような間柄なの!?」
最もな疑問を抱くセイバーと情報処理が追いつかず額を押さえる凛を見た士郎は、ともかくこの場を収めなければと桜に迫る2人に待ったをかけた。
「と、ともかくお邪魔しよう遠坂、セイバー。俺達には目的があって今日は来たんだし、説明なら中で聞けるはずだから!な?」
士郎の声を聴いてハッと我に返った2人。
「そ、そうでしたね。すみませんサクラ…見苦しい所を」
「悪かったわ…ちょっと取り乱してたみたい」
セイバーと凛に謝罪される桜は気にも止めず、微笑んだままどうぞと凛たちを玄関まで案内を始めた。ため息を付いた士郎が振り返ってみると、湯呑を手にしたアサシンと目が合う。
アサシンの「苦労しているな」と言いたげな視線に苦笑いで答えた士郎はセイバー達に続いて間桐家の玄関へ向かって行った。
その先がさらなる混沌の空間となっていることを知らずに。
「…つーわけだ。術式を今より単純にして、さらに魔術の循環が互いに邪魔しないように刻んどきゃ…」
「なるほどね。複数の属性を同時に使役出来るってことか。けど単純にした分、解放できる力に制限が…」
「そればっかは使用する奴の魔力しだいだな」
テーブルの上に広がるルーン魔術書の内容で熱く談義している慎二とアロハシャツ姿のランサー。
「この葉が入っている缶でよかったかしら、ライダー」
「いえ、その隣にある赤のラベルが貼ってあるものでお願いいます」
「わかったわ。あら、いい香りがするのね」
キッチンでお茶の準備をライダーと共に進めているエプロン姿のキャスター。
「貴様ァッ!!我の電気ネズミに傷を負わせて生きていられると思うなッ!!」
「そっちこそさっき俺の星の子を場外に吹っ飛ばしたろ?お相子だ!」
リビングの大型TVでスマッシュなゲームで大いに盛り上がっている光太郎と金髪の青年。
その光景を目にした反応はそれぞれだった。
ランサーに一度殺され、さらに殺されかけた士郎は彼にへはなぜここにいると問い詰め、セイバーは前回の聖杯戦争で因縁のある金髪の青年がこの世に存在していること自体に驚愕した。
凛はこの間桐家になぜサーヴァントがこんなにも揃い、殺し合いどころか打ち解けているのかと眩暈を起こしていた。
余りにも騒がしくなったリビングでそれぞれが落ち着きを取り戻して、設けた席つくまで10分以上の時間を有したのであった。その途中、ランサーと金髪の青年は用があると退席し、青年の後姿をセイバーは仇敵を見るような鋭い目つきで睨んでいた。
「じゃあ、最初に質問させてもらいたいんだけど…」
用意された紅茶を口にした凛は、エプロンを外してこの場にいる、存在だけは知っていたサーヴァントへと目を向ける。白桃のセーターにロングスカートと人間の衣服を纏っているキャスターは凛の視線を見て察し、長い髪の毛をかき分けて自ら説明を始めた。
「利害の一致よ。それだけ」
数日前
ライダーとの戦いで傷だらけとなったキャスターは敵のマスターである間桐光太郎…仮面ライダーブラックの言葉に耳を疑った。
「手を…組むですって?」
「ああ」
相手の警戒心を解くために、光太郎は変身を解除する。その姿はキャスターが捉えた時以上に傷だらけであった。その姿に思わず目を逸らしながらキャスターは息を荒立てながら答えた。
「貴方、正気なの?死にかけのサーヴァントに止めを刺さそうとしないなんて…」
「確かに、聖杯戦争ならそれが正しい。けど、俺には別の目的がある。その為に君の力を借りたいんだ」
キャスターは信じられなかった。倒れている自分を勧誘する男は、先ほどまで自分の毒により死にかけていたはずだ。だというのにその報復もせず、こうして手を組もうと手を伸ばしている。目的があると言ってはいるが、事前の調査でもお人好しという事は分かっていたが、ここまでとは度が過ぎている。
「…私が何をしていたが、分かった上でのこと?私は―――」
「聖杯戦争の為に、多くの人を巻き込んだ、と言いたいんだろう?それでもだ」
聖杯戦争では反則とされる行為である魂喰いだけでなく、この時の光太郎は知らないがキャスターは既に人を殺めていた。この男はなぜ、自分に協力を仰ぐのだろう…キャスターは光太郎の本心を見抜こうとするが、分析よりも早く光太郎の言葉が続く。
「さっき倉の時にも思ったけど、今のキャスターは目的のために誰かを傷つけ、苦しめていたけど殺すまでに至っていない。理由は、その人なんだろう?」
光太郎はキャスターの隣で眠る葛木総一郎を見た。学校では挨拶程度しかしていない相手ではあったが、少なからず自分と同じようにゴルゴムという鎖に縛られていた。彼の口ぶりからして、誰かを殺す為だけに生きてきた男だったが、今は彼女にとってマスター以上の存在となっている。そしてキャスターも、そんなマスターを守るために力を欲し、多くの人々を襲った。だが、それ以上に自分が誰かを傷つけるという事を知られたくなかったのだろう。
倉で光太郎を魔力でいたぶっていた時も、総一郎が現れた途端に攻撃を止めていた。知られたくなかった一面を見られてしまったように萎縮したキャスターの姿を見て、光太郎は確信した。
「キャスター。君は偽悪的、というよりそれが自分の役割であるように振る舞っている。それが英霊として召喚される前に起きた事と関係あるかは俺は知らない。けど、そんなキャスターだからこそ安心して頼めるんだ」
ただ1人であっても、誰かを大切に思える人。
もし、前回の聖杯戦争で召喚された狂人のキャスターであれば元より交渉の余地はないと慎二から苦言をうけていたが、彼女ならば自分がやろうとしている事に賛同は貰えなくても、理解して貰える。
そう光太郎は直感していた。
「…わかっているの?私は『裏切りの魔女』と呼ばれた女よ?」
ヨロヨロとキャスターは起き上がる。目は真っ直ぐ光太郎を見つめ、自身で言うことすら悍ましい二つ名を敢えて名乗った。
一国の王女として生まれながらも、様々な思惑に翻弄され、『魔女』とすら呼ばれた悲劇の女性。キャスター…メディアは、膝を付いた状態から立ち上がる光太郎の言葉を待つ。
彼女は『自分はいつ裏切っても可笑しくない』と言ったのだ。もう総一郎意外の人間を信じることが出来ないキャスターはこう言うしか自分を守る手段がない。かつてのように、裏切られてしまうくらいなら、最初から相手と関わらなければいい。だから決まりきっている答えをキャスターは待っていた。
ならば交渉は決裂だと。
だが、光太郎の意思は変わらなかった。
「…なら、いつ裏切って構わない」
「え…?」
「もしキャスターが俺を裏切りたいと思ってしまうなら、俺が信じられるように努力を怠っただけだからね。だから、キャスターは俺達をいつ見限ったって構わないんだ。けど、これだけははっきりと言える」
「俺は、君を裏切らない」
「…っ!」
光太郎は、再び手をキャスターへと伸ばす。キャスターは気が付けば、その手に向かって自らの手を動かしていた。
「…2つ、これから言うことを守って頂戴」
「ああ」
「総一郎様の命は、保証して」
「慎二君達の先生を、無碍にできないよ」
「そう…なら、もう一つ」
キャスターの細い指先が光太郎の手に近づく。
「あの人と、可能な限り、一緒にいさせて」
「約束する。決して、邪魔はしないよ」
「…というわけでアサシンはここでの門番についてもらっているの」
「待って、そのオチは可笑しいでしょ!?」
ふぅっと話を終えたキャスターに凛は全力で突っ込んだ。喋りつかれたのか、キャスターはそれ以上は話そうとせず、紅茶を口に運んでいた。凛や士郎が気になっている部分に関しては慎二によって補足がされた。
あの後、戦闘を続けていたアサシンとランサーは栁洞寺の戦いが集結したと分かった途端同時に刃を収めた。あくまで時間稼ぎであったランサーと門番であるアサシンは城が落ちたとすればそれ以上戦う理由はない。本心を言えば戦い続けたいところではあるが、今回は私闘ではない。その点はサーヴァントの役割を果たしていると言えるだろう。
気を失った総一郎はロードセクターの体当たりを受け、打ち身と片腕の骨折というだけ済んでいた。だが暫くは安静が必要ということであり、病院ではなくこの間桐家の空室で療養をとっている。これを提案したのは慎二であり、キャスターに対する保険と考えていたがここで予想外の事が起きる。
キャスターも間桐家に住むと言いだしたのだ。おまけにアサシンを間桐家の門に縛り付けるというありがた迷惑な方法までとってだ。
流石に許容できないと光太郎に訴えたが、『2人の邪魔しないって約束しちゃったしなぁ』と笑う兄の足を蹴飛ばした(無論ダメージは返ってきた)慎二はその後大いに荒れたという。
これにより間桐家ではライダー含めサーヴァントが3人も滞在する形となったのだ。
「それでは、話にあったランサーの用というのは?」
セイバーにとって疑問だったのは、先ほどまでいたランサーが敵であるライダー陣営に味方してまでキャスターに接触を求めた理由だ。マスターの命でもなく単独で行動し、彼が得ようとしたものが気になるセイバーだったが、それはキャスターによって却下された。
「本人から口止めされてますからね。それに個人情報は教えられないわ」
そう言われてしまえば追及は出来ないと判断したセイバーは黙るしかない。黙りながらお茶菓子に目を光らせるセイバーに誰もが疑問に思ったことを桜が思い出したように尋ねた。
「そう言えばセイバーさん…もう、大丈夫なんですか?」
「いえ、これと言って不調はありませんが…?」
「違うわよセイバー。桜が知りたがってるのは、数日前までは消えるしか道は無かった貴方が今ここでお茶菓子を頬張っていられるかってこと」
凛の回答に他の間桐家は『そう言えば』と手を叩いていた。忘れていたわけではなかったが、彼らも色々とあり過ぎてセイバー達に気を配る余裕がなかったのだろう。
「ええ、その説明に伴う形になるんだけど、光太郎さん」
「なんだい?衛宮くん」
突如自分が指名されたことに驚きながらも、光太郎は士郎の声に答えた。
「貴方にもこれから話すことを聞いて欲しいんです。恐らく、関係があるはずなんです」
「…わかった」
士郎の真剣な目を見て、光太郎も真顔で頷く。それを確認した士郎は凛に目配りして彼女が頷いた、話を始めた。
「…不覚にも俺がバーサーカーのマスターであるイリヤという女の子に誘拐されたんです。それから色々あって、セイバーも戦えるようになりバーサーカーと対峙してたんですが…」
「そのイリヤが誘拐されたんです」
「シャドームーンって名乗る、変身した光太郎さんにそっくりな奴に」
キャス子さん落城です。でも彼女の言うとおりあくまで利害の一致で聖杯戦争が終わるまで、と彼女も理解した上での同盟です。
最後に久々登場して貰った世紀王の目的は…?
そして桜ルート劇場化決定ヤッター!大画面でライダーが活躍する姿が楽しみで仕方ありません!!
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