めだかボックス~北斗七星の輝き~   作:kouma

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第十一話:いざ時計塔へ

13組の13人との戦いから時詠は雲仙姉弟と別れ、アパートに戻っていた。

入浴と食事を終え……今は布団の中で、体を休めている。

 

(……やっぱきついな)

 

明日には動けるだろうが、今はゆっくりしなければならない。

しかし……そんな時詠に突如、携帯が鳴り響く。

 

「ん?」

 

そういえばかばんの中に入れっぱなしだった。

時詠はかばんの中から携帯を取り出し……見知らぬ番号からだった。

 

「もしもし?」

 

『お~霞か?」

 

「って、雲仙先輩!?」

 

驚くことに携帯にかけてきたのは冥利だ。

しかし、番号は教えていないはずで

 

『お前には黙ってたが、ちょっくらお前のかばんにあった携帯から番号もらったぜ』

 

「……あ~そうですか」

 

『ケケッ、悪いな。俺もすっかり言い忘れてたぜ』

 

絶対嘘だ。

むしろ楽しんでいる感じである。

 

『でだ、用件は一つ……明日は八時に風紀委員室に来い』

 

「え?」

 

『風紀委員にお前の顔合わせも兼ねてだ……わかったな?』

 

「わかりました、明日の八時に」

 

『……用件はそれだけだ、じゃあな。よく休めよ……それと、姉ちゃんも待ってるってよ』

 

そう言い冥利が通話を切った。

時詠は……さすが、抜け目がないと思ったようだ。

しかし、さっきの言葉から考えて冥加も引き籠りから脱してきているようだった。

 

「やれやれ」

 

冥利と話しているのは中々……うかつなことは言えなさそうだ。

勘がいい彼の事である、すでに何か気付き始めているような感じがする。

時詠は携帯の充電を行い、そろそろ寝ようと電気に手を伸ばし……再びコール音。

見ると、今度は鬼瀬だ。

 

「もしもし」

 

『こんばんは霞君! 今日のこと聞きましたよ!』

 

「……13組の事?」

 

『はい!』

 

やはり、他のクラスにまで知れ渡っていたようだ。

そうして彼女も、時詠のことでだいぶ心配していたらしい。

 

「俺は大丈夫だけど……鬼瀬さん、もしかして風紀委員の方で何か?」

 

『そうなんです……13組の人たちが』

 

どうやら相当大きな問題になりつつある。

鬼瀬の疲れたような声がそれを物語っていた。

しかし、時詠はそんな鬼瀬の頑張りをよく理解している。

 

「鬼瀬さんなら大丈夫だよ」

 

『……そうでしょうか?』

 

「俺は言葉でしか言えないけどさ……風紀委員が動くことで、安心する生徒もいるってことを」

 

時詠は、確信している。

 

 

 

「忘れないでほしい……無駄ではないって」

 

『…………は、はい』

 

 

 

彼女たちは自身の悪評しか知らないのかもしれないが、頼りにしている生徒もいるのは事実。

そして何より、その曲げない信念こそ……時詠は大好きなのものだ。

 

「溜めこむのは体に毒だし、俺は愚痴ならいつでも聞くって言ったろ?」

 

『……ぁ』

 

「な? 俺は生徒会長じゃないが、友達に言うぐらいいつでもいいんだからよ」

 

と、急に鬼瀬が黙ってしまう。

もしかして失礼なことを言ったのかと思っていると

 

『霞君』

 

「ん?」

 

『私、頑張りますね』

 

「……ああ、頑張れ!」

 

そうしてしばらく雑談を続け、明日も早いということで通話を終える。

どうやら鬼瀬も相当参っていたようだ。

 

「……明日か」

 

おそらく今もめだかと善吉は特訓の最中だろう。

だが、それがなければ彼らは勝てない。

時詠も今回の件では……

 

「いや、行かなきゃな」

 

自身が選んだ世界。

そこで、友達もできて……

 

 

 

「俺も……北斗の名に恥じぬ戦いをしないとな」

 

 

 

時詠は明日に向け、寝ることにした。

電気を消し、しばし目をつむれば……スッとそのまま意識を失う。

疲労で体が休息を欲していたのか、早い就寝だった。

そうして翌日……目を開け、身支度を整え家を出たのは六時半。

驚くほどに熟睡できたのか……疲労などもだいぶ消えていた。

 

ユクゾッユクゾッユクゾッユクゾッユクゾッ

 

ランニング代わりに北斗無想流舞で登校。

校門にはまだ誰もおらず、時詠はそのまま……風紀委員室へ。

中に入ると、やはり誰もいない。

 

「……」

 

八時まではまだまだある。

時詠は体を本調子に戻すため、ここでイメージトレーニングを始める。

ブレザーを脱ぎ、上はTシャツだけにし……目を閉じ、瞑想。

そうして、周囲の音が何も聞こえなくなると……

 

 

 

その身を、トキの動きに見立て動かす

 

 

 

あの華麗な、そして……静水のごとく。

お師さんである神様を相手に、ただ追いつくために。

目の前にいなくとも、その拳と蹴りが視える。

 

(北斗有情断迅拳)

 

そのイメージを行い、素早く秘孔を突く。

寸分の狂いも許さず……駆け抜けた。

 

パチパチパチ

 

どこからか拍手が聞こえ、時詠は周囲を見る。

すると……

 

「見事な動きだったぜ時詠……華麗すぎて、見とれちまったじゃねえか」

 

いつの間にか冥利が。

いや……視るとドアのところに、他の風紀委員たちがジッと見ている。

皆、ぽ~と見とれているのか全く動かない。

 

「う、雲仙先輩……」

 

「悪いな、来たと思ったらもうお前がいてよ……声をかけようにも、出来なくてな」

 

冥利は当初、時詠に声をかけようとしていたが……気が付けば、その動きに目が釘付けになっていた。

そうして他の委員たちも、見ているうちに誰も声をかけなくなっていた。

皆が見とれているのか、口を開けたまま息を吐く。

 

「おいお前ら! いつまでも見とれてるんじゃねえ!」

 

冥利がそんな一同に気合の入った一声。

ビクッと全員が体を震わし、シャキッとした顔に戻る。

そうして一同が中に入ってきて……と

 

「か、かかか霞君っ!」

 

「あ、おはよう鬼瀬さん」

 

「おはようございます……ではなくて! どういうことですかこれは!」

 

風紀委員一同の中から、小さな体を滑り込ませるように時詠の前へ。

案の定、最初は理解ができず固まっていたようだが

 

「ごめんね、実は昨日付けで俺も風紀委員になったんだよ……」

 

「で、ではどうして昨日」

 

「君を驚かしたくてさ」

 

ニッと笑う時詠。

そんな彼を見ながら、ムスッとした顔になる鬼瀬。

と、そんな二人を見ながら冥利は悪そうな顔をし

 

「今日集まってもらったのは他でもねえ、風紀委員に今日から新人が二人入る」

 

そして時詠の隣に、彼女も来ていた。

 

 

 

「1年13組の雲仙 冥加、そして1年2組の霞 時詠だ……37392(いいぜ)」

 

 

 

冥加が冥利の前に出る。

その顔は相変わらず無表情だが……時詠の方を見て、軽くうなずいていた。

 

「で、霞は……実力は俺が保証するぜ」

 

そして時詠に向かい、こっちに来いといった感じで手を振っており……時詠は冥利の前に。

冥利を挟んでそれぞれが隣に立った所で、再び口を開く。

 

「まあ、俺の姉ちゃんの事は知ってる奴もいるから省くが……霞については、昨日俺がスカウトした」

 

そう言うと、風紀委員の中で……結構な人数が、何かを思い出したかのように時詠を見ている。

見ているのは、例の生徒会との抗争中に時詠が足止めした風紀委員たちだった。

 

「霞についてもう知ってる、というか顔を合わせた奴もいるだろうしな……鬼瀬ちゃんみたいに」

 

「……は、はい」

 

「それで、姉ちゃんと霞は基本的に独立遊撃部隊としてペアを組んでもらう」

 

「!?」

 

その言葉に反応したのは、鬼瀬だった。

 

「ど、どうしてですか!?」

 

「あ~……まあ、姉ちゃんは少しコミュニケーションが苦手でな、あと霞については」

 

冥利は少しバツが悪そうな顔をし

 

 

 

「あまり、他と組むとな……バランスが悪くてよ」

 

 

 

それはどういう意味なのか。

時詠はなんとなくわかっているのだが……

 

「バランス、ですか?」

 

「ああ……簡単にいえば、こいつはこの中で一番強いぜ……鬼瀬ちゃんよりもな」

 

「!?」

 

その言葉に全員がざわめく。

しかし、冥利が嘘を言うとは思えない……先ほどの動きを見て、確信へと変わっていた。

だからこその独立遊撃部隊。

他と違い、独自に動く。

 

「……不満はあるかもしれないけどよ、おめえらも知ってのとおり13組が一斉に登校してきた」

 

以前は冥利とめだかのみ。

それ以外に登校している13組の生徒はいなかったのだ。

 

「昨日だけでも相当な問題が起きてやがる、だが……生徒会の奴らばかりにいい顔させられねえぜ?」

 

「……」

 

「この学園の風紀はてめえらの双肩にかかってると思え! 新しいメンバーも入った、今日からが始まりだ!」

 

「は、はい!」

 

全員が全員、新入りの冥加と時詠に友好的ではないとわかって冥利はそう言ったのだ。

それだけ13組関係の問題というのは、深刻なのだろう。

 

「この二人についてはそれだけだ……全員、頼むぜ? 解散!」

 

冥利がそう言い、場を閉める。

風紀委員たちは静かに、それぞれの教室に向かって出て行くが鬼瀬は時詠に詰め寄ってきたのだ。

 

「……鬼瀬さん?」

 

「霞君は、どうして風紀委員に入ったんですか!?」

 

「まあ、色々あってね……それに、鬼瀬さんがいるから」

 

「え?」

 

時詠の言葉の意味は、鬼瀬という真っすぐな女の子が頑張ってるのを応援したい。

友達として助けたいというものだった。

 

「俺も一緒に頑張るから、鬼瀬さんも遠慮なく頼って欲しい」

 

「……は、はい。こ、これからよろしくお願いします」

 

「こちらこそ」

 

時詠は鬼瀬に笑顔でそう言う。

そうして鬼瀬は続けて口を開こうとした時

 

「とき」

 

クイクイと、袖を引っ張る冥加。

こういった動作をするところが……普段、一緒にいないと見られない光景でもある。

 

「あ、鬼瀬さんちょっとごめん」

 

「え」

 

時詠は正反対を向き、冥加の方へ。

それに鬼瀬は……少しムッとした顔になっていた。

 

「どうした?」

 

「……7364(忘れ物)」

 

冥加はゴソゴソとエプロン部分のポケット。

そこから何かを取り出し、時詠に渡す。

受け取ったものは……

 

「あ、俺の生徒手帳」

 

「52937473635(昨日渡し忘れていた)」

 

「あそこで拾っておいてくれたのか……ありがとな!」

 

時詠は数字言語を理解していないがおそらく……昨日、渡し忘れていたとかだろうと考えていた。

昨日冥加は、鉄球の回収と同時に時詠の生徒手帳も持ってきていたらしい。

その後古賀との戦いがあり、すっかり忘れていたようである。

だが、鬼瀬は……どうも時詠と冥加がやけに親密に見えるのを不審がっていた。

 

(な、なんですか彼女は……人が話してるのに!)

 

そしておそらくだが、時詠は冥加の言葉を……なんとなくだが、理解しているように見える。

自身には意味が全く分からなかったが、時詠の顔と声からそう思えるのだ。

さっきも普通に返していたし、冥加の数字言語を聞いても即座に返している。

 

「しかしなんだ、冥加さんはいつもその格好なんだな」

 

(な、名前で呼んでる!?)

 

「3843927347(これが当たり前なのだが)……とき?」

 

 

「いや、おかしくないし似合ってるよ。まあ制服についてはいいんだけど」

 

(ふ、普通に話してる!? しかも霞君を名前で!?)

 

今も時詠が冥加の服を指さして、冥加は自身の改造制服を軽くつまみ……上目づかいで小首をかしげている。

これだけでどういった意味か、だいぶわかりやすくなった。

対して時詠は、明るい声で右手を軽く横に振り……サムズアップ。

そういった仕草や声、表情で冥加も判断しているようだ。

鬼瀬の前で、時詠は冥加と普通?に話している。

ただ、時詠も冥加もだいぶ話すときにジェスチャーを織り交ぜているのだが……

 

「ケケッ、霞もだいぶ姉ちゃんに慣れてきたようじゃねえか」

 

「雲仙先輩……まあ、仕草と目線でなんとなくですが」

 

二人のやり取りを黙ってみていた冥利。

その会話に割り込み、面白そうなものを見たという顔をしている。

 

「昨日、俺も話すときにそういった仕草を混ぜろって頼んだからな……完璧でなくとも、理解者がいるだけ助かるしよ」

 

それでも無表情で口だけ、な会話よりはずっと楽しい。

数字言語はいまだ解読できないが……おそらく、意味と気持ちは通じ合ってるはず。

冥加も冥加で、時詠との会話ではだいぶ口数も増えてきている。

明らかに違う時は互いに首を横に振っていたりしているので、まだこれからだろう。

しかし……

 

(……うう)

 

急に時詠が遠くなったような気がした鬼瀬。

彼は友達も多いし、今話しているのは冥利部長のお姉さん。

彼女は確かに数字言語など、不可解な部分も多いが……自分よりはるかに美少女だ。

 

(なんか、嫌ですよね……)

 

いつも楽しく話しているのに、今日はあまり楽しくないのだ。

鬼瀬はそんな感情に顔をしかめていると

 

「姉ちゃんは黒神と同じ教室だからな……58363647(そろそろ行こうぜ)」

 

「4773935……46793894(あいつとか……まあ今は仕方ない)」

 

「じゃあ霞に鬼瀬ちゃん、俺らは行くからよ」

 

そう言い時詠と鬼瀬を置いて、二人は出て行く。

残された二人も……

 

「行こうか」

 

「そうですね」

 

それぞれの教室へ向かい、歩き出す。

もう朝のHRが始まるからだ。

 

「……霞君は、雲仙先輩のお姉さんと仲がいいんですか?」

 

「ん?……どうなのかな、わからない」

 

「わからない?」

 

鬼瀬は妙だと思った。

あれだけ普通に話しているのに……

 

「彼女は、今も俺の首を狙っている」

 

「へっ?」

 

「昨日、彼女はそういったのさ……ま、俺もいつでも受けて立つと言ったんだけど」

 

そう言い苦笑する時詠。

その笑みは……悪戯小僧のそれに見えた鬼瀬である。

 

「ただ、俺は彼女とも仲良くしたいと思ってるよ」

 

「………どうして、ですか?」

 

「別に、可愛いからだとか13組だからとかそんなのじゃない……」

 

時詠は前を向いたまま続ける。

 

 

 

「彼女も、誰かとわかり合いたいんだって……そう思ったんだ」

 

「……わかり合う」

 

「一緒にいればわかる……彼女も普通の女の子だって。だから俺も……」

 

 

 

と、急に時詠は黙る。

その顔はどこか、悲しそうだった。

しかし鬼瀬は13組に対して、そういうふうには取れなかった。

彼らは、彼女らは……

 

(あ……こういう考えがダメなんだ)

 

時詠はそういったことより、触れ合うことを大事にしている。

誰とでも……話して、ぶつかりあって。

 

「まあ、俺の勝手な妄想かもね」

 

「……そんなことありませんよ」

 

「はは、ありがとう……と、それじゃまた」

 

「はい……」

 

隣同士のクラスだが、教室は別。

二人はそこで別れそれぞれの席に座り……朝のHRが始まる。

時詠が風紀委員に入ったことは、またたく間にクラス中へ知れ渡った。

しかし……普段も結構おちゃらけてたり、服装にそこまで厳しくないのを理解してるクラスメイトらは時詠に声をかけてくる。

 

13組関係で、頼むという声も多かった

 

時詠は任せろと……しっかり返す。

そうして授業は終わり、空いた時間は見回りに費やしていた。

今も一人でぶらりぶらりと周囲を見回っていたのだが……

 

「ヒャッハー!」

 

「……」

 

いきなり、しかも見慣れぬ顔で……おそらく13組だろう。

時詠はどこぞのモヒカンかと思いながら……なんか危ない得物を持っている13組の生徒らに声をかける。

 

「すみません、少しいいですか? 風紀委員の者です」

 

「ん?」

 

男女の……結構な人数だ。

全員が全員……少し変わった出で立ちだが、まあそこはいい。

問題はその持っているものだ。

 

「13組の方々でしょうか? もしそうなら、明らかに校則違反なので……それらを渡してください」

 

「おいおい、ノーマルがアブノーマルに干渉するんじゃねえよ!」

 

「……誰かを襲う気ですか?」

 

「決まってるじゃねえか! 生徒会長以外にいるかい!」

 

「……」

 

もう出会ってしまった。

こういう、疲れる輩に……しかも話してもノーマルを見下しているのか、聞く気もなさそうだ。

 

「得物を渡す気はない、と」

 

「当然だろうが……ちょうどいい、風紀委員さんならウォーミングアップがわりに!?」

 

言いきる前の、その13組生は廊下に倒れる。

その倒れた13組生の前に……いつ移動したのか、時詠がいる。

 

「なっ!?」

 

「……警告はしました」

 

「この、ノーマルがぁ!」

 

残った他の13組生らも向かってくる。

しかし、時詠の眼には彼らの動きが冥加以下の時点で話にならず……その身をユラユラと、左右に揺らす。

両手がゆっくり動き……無双が始まった。

 

 

 

『暴力はいいぞ~』

 

『ん? 間違ったかな?』

 

『どうやらきさまは最高の木人形のようだ』

 

 

 

そうして数分後、時詠が身なりを整え……背後に積まれた何かが見える。

少しキレかけていたようで、普段よりだいぶ凶悪な顔になっているが。

ただ、一応保健室に連絡を入れてあるだけ……まだ有情だった。

 

「……しかし、こうも荒れてるとはね」

 

本当に大変である。

そこまで魅力的なのか、そこまでフラスコ計画に参加したいのかと。

時詠には理解できない。

 

「……で、君は誰かな?」

 

「あれ~ばれてた?」

 

さっきからずっと見られている。

しかし……この喋り方、そして甲高い声の女子にあのアホ毛。

一人しかいない。

 

「確か、不知火さんだっけ?」

 

「そうそう。しっかし、あたしのこと知ってるんだね~」

 

「まあね……で、どうしたの?」

 

「ん~……実は今生徒会が時計塔の地下で大ピンチなんだよね~」

 

不知火 半袖。

相変わらず掴みどころのない……いや、今はそういったことを気にしてはいけなかった。

 

「……それで?」

 

「ツイッターで知らせたんだけどね、あんたは知らないだろうからさ」

 

そう、時詠は不知火のツイッターをフォローしていない。

興味はない、というわけではないが……不知火がどうしてそれを知っているかも、今は無視。

 

「で、どうして俺に?」

 

「……気まぐれかな」

 

「そうか、助かるよ」

 

「あひゃひゃ、そう言われるとはねえ」

 

言うことはそれだけなのか、彼女はトコトコと歩いていく。

引っかきまわすだけ回して自身は隠れる。

といっても……彼女の行動は、意味あってのものだと理解していた。

 

「……行くか。雲仙先輩たちも向かってるだろうし」

 

だが、もう少し。

他の13組を静かにさせてから……時詠は一人、時計塔へ向かった。




次回はバトル多め……だと思われます。
13組集合、そして生徒会と時詠の運命はいかに。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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