では、本編へどうぞ!
日本に帰ってきました。
すると、千葉県周辺の沿岸部が石化していました。
・・・何この状況。
「えっと・・・」
「あ、もう帰っていいぞ。俺はもう、ここから戻るから」
そう言って窓を開け、ジェット機から飛び降りる。
途中でペガサスを呼び出して、それに乗って降り立つ。
「さて、と・・・とりあえず、現状の把握からだな」
そうきめて携帯を取り出し、確実に知っているだろう相手に電話をする。
『どうしたんだい、武双?こっちは忙しいのだけれど』
「ああ、いま日本に帰ってきたところなんだけどな・・・何で石化してんだ?」
『ああ、そのことか。いや、ちょっとアテナが権能を発動したんだよ』
どこか疲れ切った、そして開き直ったような声でそう言ってきた。
うん、間違いなく疲れてるな。
「そ、そうか・・・色々と頑張ってくれ」
『そうだね。いっそ、護堂さんが決意してくれれば簡単に解決するんだけど・・・』
「ん?・・・ああ、そういうことなのか」
話の流れを読み解くために馨の頭を覗き、情報を得る。
えー・・・何この面倒極まりない状況。
「確かにそれなら、護堂次第なんだけどな」
『とはいえ、そのご決断をしてくれる人ではない・・・面白いからいいんだけどね』
「それはよかった。ただでさえ、これ以上に仕事を増やすんだからな」
その瞬間、馨が絶句した。それこそ、息すら止まっていそうな勢いで。
『・・・なにをする、つもりで?』
「外国で神に攻撃された。たぶん、追いかけてきてると思う」
『・・・それ、一切の冗談はないのかい?』
「ないぞ。まあ、俺の推測だけど」
『・・・・・・最低限、その神のことだけはお願いするよ』
「了解了解。俺が殺すよ、ちゃんと」
そして、俺はそのまま電話を切った。
はぁ・・・面倒そうだなぁ・・・神の正体も分からないし。
◇◆◇◆◇
「と、言うわけで。今回の神の正体について探ってみたいと思います」
「急に何を言っているんだい?」
「まあまあ、ナーシャちゃん。しといたほうがいいのは間違いないんだからさ」
「・・・そうは言っても、彼らはその場のノリで戦う生き物じゃないのかい?」
「・・・まあ、否定はできないけどね」
否定してくれよ、崎姉。と思う俺と、だよなぁ・・・と納得してしまう俺がいた。
「それに、今分かっている情報が少なすぎる。どれだけ該当する神がいると思うんだ?」
「数えきれないくらい、じゃないのか?俺が初めて殺したゼウスも、雷の属性を色濃く持った神だ」
「そうなるわよねぇ・・・」
そう、今分かっている情報が雷一つだけなのだ。
そこからどうやって、神の特定をしろと?
「・・・変更します。特にすることもないので、何か起こるまではのんびり過ごしましょう」
「それもそうね。何にしても、直接会えればナーシャちゃんが霊視できるかもしれないし」
「・・・本来、霊視というものはそこまで期待するようなものでもないのだが・・・」
とは言われても、相手の正体を知るのに一番楽なのは霊視だし。
名乗りでもあげてくれればどうにかなるんだけど・・・俺が相手するまつろわぬ神、大抵何も言ってくれないからなぁ・・・すぐに名乗ってくれたの、ゼウスに、蚩尤、シヴァくらいじゃね?
「まあ、武双君の権能は数があるんだし、相手について分からなくても何とかなるんじゃないかしら?」
「分からないと使えないのも二つくらいあるけどね」
それも、片方は最後の切り札・・・
とはいえ、分からないなら分からないなりに戦うしかない。それに、戦うための権能は、まだいくつかあるわけだし。
「・・・ま、そういうわけだから。馨から何か情報が渡されるまでは、こうして過ごそう・・・折角、いいホテルに泊まってるんだから」
「それも、正史編纂委員会に出費で、ね。他の子も来ればよかったのにね~」
「とはいえ、アテ君はギリシアの神に近づくのは危険。他のみんなは、ここに来ても出来ることが少ない。・・・これは、ボクたちにも言えることだが」
「そうね。まつろわぬ神との戦いで人間に出来るのは、本来、祈ることだけだもの」
「それは、俺がおかしいという意味か?」
「そうだ」
「ええ」
二人から肯定された。
はぁ・・・俺も、二年ちょい前までは同じ意見だったんだけどなぁ・・・その立場になってみると、中々に複雑なものだ。
人間やめたみたいに言われるから否定したいし、とはいえ否定できないだけのことをした&否定できないだけの力があるから、何も言えない。
はぁ・・・もういいや。って、毎回この葛藤してるな。
「そう言えば、武双君ってまだ掌握してない権能がなかった?」
「ああ・・・使えすらしないのが一個あったな。玉龍から簒奪した権能」
「それより後に殺した神の権能は、使えるようになってるのにね」
「確か、無三殿大神だったか?」
「あの、読みがよくわからない神な」
本当に、初見では読めやしない。
それにしても・・・本当に、掌握する気配がないな。無三殿大神は水にかかわる神。
あの時、同じ水に深くかかわる神から簒奪したあの権能も、掌握できても良かったもんだけど・・・あの時使えるようになったのは、オオナマズの権能、
本当に、カンピオーネの権能というものはよくわからない。
「と言っても、怪力何だけどな」
「シンプルかつ、便利な権能だな・・・荷物運びに便利そうだ。今度、ボクたちの買い物についてこないかい?」
「荷物持ちしろ、と?」
「なんだ、君はボクたちと一緒に出かける代償がまだ足りないというのかい?変なところで謙虚なものだな」
「はいはい、分かりましたよ。・・・って、ボク
何か引っかかったな・・・もしかして・・・
「今度、十三人でショッピングに行くことになっているんだ。・・・荷物持ち、任せたよ?」
「うっわー・・・すんごい量になりそう。いっそ、蚊帳吊り狸で異世界に落とすか」
「本当に、日常生活で役立つ権能の数々だな・・・そこまで乱用するカンピオーネ、君くらいじゃないのかい?」
「確かにそうね。他の方々、戦うことしか頭にない人ばかりだし」
「俺からしてみれば、使える権能がないだけな気がするけどな」
それこそ、戦闘向きの権能しか持ってないイメージがある。
それか、ドニの
「まあ何にしても、そんな家庭的な権能でもコントロールを誤れば世界を脅かす脅威にしかならないんだけど」
「確かに、冷静に考えてみるとそんなものばかりだね・・・君も結局、魔王ということか」
「その言い方やめて」
かなりマジで俺はそう言った。
「そう言えば、武双君あだ名みたいなのができてたっけ?」
「な、なぜ知っている・・・」
「この間、正史編纂委員会の人たちが言ってるのを聞いたの」
うっわー・・・日常的に使われるくらい広まってるのか、あれ。
「ああ、ボクも聞いたことがあるな・・・『天災の王』だったか?」
「あ、そっちがメジャーに変わったんだ」
「雷、地震がそろったからじゃない?後は、そうねぇ・・・洪水、とか?」
「後は台風とかの天候もだな。それがあれば、今度こそあだ名は消えないんじゃないかい?」
「早いところ消えてほしいんだけど・・・はぁ」
そして、その後も他愛のない話をして過ごして・・・
次の日の朝、馨から電話が来た。
太平洋側から、巨人が進撃してきた、と。
こんな感じになりました。
では、感想、意見、誤字脱字待ってます。