少年と女神の物語   作:biwanosin

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本日二度目の投稿です。

では、本編へどうぞ!


第四十二話

「ふぅ・・・終わった終わった」

「終わった終わった、じゃないわよバカ兄貴!」

 

 つまらない戦いの終わりに拍子抜けしていたら、氷柱の声が割と近くから聞こえてきた。

 声のしたほうを見てみると・・・本当に氷柱がいた。

 

「あれ?何してんの、氷柱?」

「こっちでも神獣がでて、アテ姉様が倒したのはいいんだけど・・・」

「ああ、その衝撃で流されてきたのか。確かに、ビニールボートは簡単に流されそうだよな」

 

 まあ、それで流されすぎなかっただけ良かった。

 流されすぎてたら、どうなってたか分からないし。

 

「・・・って、早く助けなさいよ!状況分かってるの!?」

「何をそんなに焦ってるんだ?特におかしいところは・・・」

「よく見なさいよ!沈んでるのよ、私!?」

「あ・・・ホントだ」

 

 比較的近くとはいえそこそこに距離があったため、全然気付かなかった。

 慌ててそっちに向かい泳ぎだし、どうにか沈みきる前に・・・片手だけ水面から伸ばされている状態で保護することが出来た。

 軽くホラーな絵だったな・・・

 

「悪い悪い」

「悪いじゃないわよ、バカ兄貴・・・」

 

 そう言いながらもしっかりと俺に掴まってくる氷柱。

 よっぽど怖かったんだろうな・・・

 

「さて、このまま岸まで向かうから、しっかり掴まってろよ」

「まったく、何で兄貴なんかに・・・」

 

 そう言いながらも掴まってくれたので、俺は安心して岸に向かって泳ぎだした。

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

「おう、お疲れ武双。悪かったな、神獣任せて」

「別にいいよ、あんなザコ」

「神獣をザコ扱いか・・・武双もかなりカンピオーネになってきたな」

「神と何回戦ってきたと思ってるんだ?あの程度じゃ、なんとも思わなくなってきたよ」

 

 俺はシートの上に氷柱をおろしながら、そう答えた。

 氷柱は既に寝ていたので、とりあえずそのままにしておく。よっぽど不安だったのか、安心するとすぐに眠ってしまった。

 

「・・・そういえば、この辺りでまつろわぬ神でも出現したのか?」

「どうしてだ?」

「いや、神獣が出るってことは、それの大元のやつがいるはずだし」

 

 そこのところが、少し気になっていた。

 この辺りで出たとしたら・・・当分の間は放置だな。で、旅行が終わったら勝手に入国して、さっさと倒して帰る。

 

「いや、その辺りについてはよく分かっていないそうだ」

「そう。んじゃ、当分の間は気にしなくていいな」

 

 分かっていないのなら、どうしようもない。

 どうしようもないのなら、放置しておくしかない。しかたないのだ、うん。

 

「ところで、今回はどんな権能が増えたんだ?」

「ああ、シヴァのヤツか?それなら、まだ分かってないぞ」

 

 俺がそう言うと、父さんは驚いているようだった。

 

「珍しいな。普段なら、すぐに分かってるのに」

「アテと手合わせしてたからな。でも、今回はそんな暇もなかったし」

 

 結構ばたばたしていたので、今回は権能について知る時間がなかった。

 ま、いつか分かるだろ。

 

「で?あの辺りで控えてる人たちは誰?」

「ん?ああ、さっきの話にも出てきた魔術結社の人たちだ」

「めんどくさそうな・・・」

 

 こっちに近づいてくる感じはない。だから、そこまで気にしなくてもよさそうだけど・・・

 

「ちょっと行ってくるよ、これ以上面倒になる前に」

「ん、分かった」

 

 俺はそう言いながら上にTシャツを着て、なんか並んでいる人たちの元まで歩いていく。

 

「・・・初めまして、王よ。このたびは、神獣を倒していただき、ありがとうございました」

「いいよ、アレくらいなら気にしなくて。それよりも、一つ頼んでいいか?」

「なんでしょうか。我々としても、出来る限りの礼は尽くさせていただきます」

「んじゃ、早いとこここから離れてくれ。悪目立ちしすぎる・・・」

 

 こんなに人が並んでいたらそりゃ目立つし、しかもここはプライベートビーチ。

 先ほどまで避難させられていたこともあり、何事かと人が集まって仕方ない。

 

「これはこれは・・・家族水入らずの場に水を指してしまい、申し訳ありません、王よ」

「わかったら、とっとと行く」

 

 俺が手を振りながらそう言うと、並んでいた人たちは結構な勢いで立ち去っていった。

 めずらしいな・・・こっちの言うことを素直に聞くのって。

 お礼をさせてくれ、ってうるさくなることが多いのに。

 

「はぁ・・・全く、何でこれくらいのことでこんな面倒なのか・・・」

「えっと・・・向こうからしたら、わざわざ王様の手を借りたことになるんだから・・・」

「あー・・・そうなのかもな。で、どうしたんだ桜?」

 

 いつの間にか横にいた桜に、俺はそう尋ねた。

 桜は家族の中で、一番気配を隠すのがうまい。気付いたらすぐそばにいることも、結構あるのだ。

 

「あ、みんなの水分がなくなっちゃったから、買いに行こうかな、って・・・」

「なるほど、な。手伝うよ」

「ありがとう、ムーにいちゃ」

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

「はぁ・・・たのしかったぁ」

 

 俺はそう言いながら体を伸ばした。

 周りでは姉や妹が寝ているので、声は潜めている。

 

「っと、電話だ」

 

 と、そんな事を考えていたら電話がかかってきたので、俺はポケットから取り出して出た。

 

「はい、もしもし」

『もしもし、武双君ですか?』

「あ、梅先輩。どうしました?」

 

 電話の相手は会長・・・梅先輩だった。なんかあったのかな?

 

『いえ、ちょっとこちらで問題が起こりまして』

「なにかあったのですか?」

『はい。急ぎ、王に対処していただきたい案件が』

 

 そうきたか・・・全く、面倒だな。

 

『と言うわけですので、急ぎ戻っていただけませんか?』

「お断りします」

 

 はっきりとそう答えると、電話の向こうで息を呑む音が聞こえてきた。

 

『なぜでしょうか?』

「今は家族旅行中ですので。終わるまでは、離れるつもりはありませんよ」

『そこを何とかなりませんかね・・・』

「なりませんね。日本に帰って、荷物を家に置くまではそちらには向かいませんよ」

『そうですか・・・分かりました』

 

 これ以上何を言っても無駄だと考えたのか、向こうも納得してくれた。

 

『では、いつごろになりそうですか?』

「そうですね・・・あと二時間(・・・)もあれば日本につくかと」

 

 俺はそう言いながらカーテンを開け、雲の上からの風景を見る。

 そう、今は絶賛帰国中。ウチがもっているジェット機で日本に向かっているところだ。

 

『・・・そうなのですか?』

「ちょうど帰国するタイミングでしたから。運がよかったですね、そうじゃなければ日本を見捨ててでもバカンスを楽しんでいましたよ」

『冗談じゃない辺りが怖いですね』

 

 当然、冗談な訳がない。

 家族優先に決まってる。

 

『では、こちらはお待ちしておればよいですか?』

「ま、そうしてください」

『きて欲しい場所などは、こちらから連絡させていただきます』

「はーい」

 

 そこで電話を切った。

 

 その後来たメールには、大阪に来て欲しいこと、そしてシヴァが死んだ辺りで顕現したと思われることから、シヴァに関連する神である可能性が高いことが記されていた。

 

 何が来るかなぁ・・・どうせなら、今の目的をどうにかできる可能性があるヤツだといいなぁ・・・

 




こんな感じになりました。
旅行短かったですね・・・よくよく考えてみたら、自分、こういうの書くの苦手でした・・・


今回も神様当てクイズやろうかな・・・


では、感想、意見、誤字脱字待ってます!


追記
神様当てクイズ、やることにしました。
活動報告にて。

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