少年と女神の物語   作:biwanosin

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結構書くのが難しい・・・これを書いていて、何度もそう感じます。

では、本編へどうぞ!


第十話

 さて、とりあえず中国に着いたわけだが、どこに向かえばいいんだろう?

 

「林姉、蚩尤はどの辺りに出たの?」

「えーっと・・・こっちのほう!」

 

 林姉はそう言いながら向かって右側を指した。

 人里からは離れていく方向だな・・・まあ、これはよかった。

 被害者は少しでも減らしたい。

 

「じゃあ、私と立夏はテキトーに観光を楽しんでるから、終わったら連絡して」

「頑張ってねー!!」

 

 リズ姉と立夏は、そういってその場を去って行った。

 まあ、元々危険だから、ということで別行動ということになっていたから、特に文句はない。

 でも、もう少し心配してくれてもいいと思う。

 

「じゃあ、行こうか?早く済ませたほうが良いだろうし」

「すいません・・・私のせいでこんなことになって・・・」

「アーちゃんは気にしない、気にしない!」

「林姉のいうとおり。家族なんだから、これくらいはして当然」

 

 まあ、自分のせいで家族が神様と戦うとなると・・・アテの気持ちもかなり分かるんだけど。

 

「まあ、こんな体質になっちゃった以上はこれから先何回も神様と戦うことになるんだ。それが少し、早くなっただけだよ」

「少し楽観的過ぎる気がするけど、それでこそムー君ね!」

 

 林姉にだけは楽観的だといわれたくない。

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

「確かこの辺りのはずなんだけど・・・いないね~」

「だな・・・まあ、顕現したからってそこに留まるわけじゃないし、ここから探していけばいいだろ。間違いなく、ここにいたみたいだし」

 

 林姉に案内されてついた場所には、大量の武器が散らばっていた。

 

「中国神話の蚩尤・・・確か、全ての武器を作り出した神、でしたか?」

「正解。これだけの武器があれば、ここに蚩尤がいたのはほぼ間違いない。もし違っても、これだけの武器があるから、鍛冶の神なのは確定だし」

「でも、どうしてこれだけの武器を置いて行っちゃったの?」

 

 そう、そこが謎なんだよな・・・なんだか、少し違和感を感じるけど・・・

 

「・・・あ、これだけの武器があるのに、槍だけない」

「確かに・・・言われてみればそうですね」

 

 道理で違和感を感じるわけだ。

 これだけの武器の量で、同じ種類のものが一切ないのに槍だけがないんだから。槍を使う、俺だから感じたんだろうけど。

 

「あ~それはね、私がぜ~んぶ盗ったからだよ~」

「・・・また?」

「また!」

 

 林姉はそう言いながら、『召喚』の魔術でいくつかの種類の槍を取り出す。

 材質、デザインが目の前に散らばっている武器の山に似た、だ。

 

「ムー君が使うかな~って思って、全部盗ったんだ~!いる?」

「まあ、欲しくないわけじゃないけど・・・わざわざ神様から盗まなくても・・・」

 

 まあ、これが林姉の特技だ。

 林姉はどんな人からも、どんな場所からも目的のものを盗むことができる。

 もちろん、その作業には呪術も使うし、元々持ち合わせている身体能力も十二分に使う。

 まあ、神様から盗むのはこれが初めてだけど。まさか、できるとは思ってなかった・・・

 ちなみに、林姉はこれまでに、人でないものか、汚い、法外な方法で荒稼ぎしているところからしか盗み出したことはない。

 

「・・・もしかして、蚩尤はそれを探しに行ったのでは?」

「ああ・・・なるほど。せっかく統一して作ったのに、一部なかったら探しにも行くよな・・・」

「じゃあ、この槍を戻したら戻って来たり?」

 

 林姉は、そう言って槍を武器の山の上に置いた。

 

 しばし待つ。

 

「我が槍を盗んだのは、どやつだー!!」

 

 本当に蚩尤が来た。

・・・マジで?

 

「アテ、林姉。俺の目には蚩尤が来たように見えるんだけど」

「大丈夫です。私にもそう見えますから」

「来たね~。本当にあれ、探してたんだ~」

 

 まあ、それについては一応謝っておこう。

 

「えーっと・・・蚩尤!俺の家族が勝手に槍を取ったりして悪かった!」

「む・・・貴様、神殺しか?」

 

 あ、反応するところそこですか・・・

 

「ああ!つい最近カンピオーネになった、神代武双だ!」

「ふむ・・・であれば、いざ雌雄を決しようぞ!」

 

 好戦的過ぎませんか?もう少し、何かしらの過程はないのか?

 

「まあ、分かりやすくていいんだけど。二人とも、少し離れててくれ!」

「分かりました!」

「りょ~かい!」

 

 二人が距離を置くのを確認し、槍を二振り召喚しながら蚩尤のほうを向く。

 

「では、まずは我が群衆と戦ってもらおうか!」

「おおう・・・そういえば、多くの魑魅魍魎を従えてたんだよな・・・」

 

 蚩尤の宣言と共に、この場にアホみたいな量の魑魅魍魎が現れた。

 しかも、蚩尤のところにたどり着くにはこいつらをどうにかしないといけない・・・

 

「仕方ない、いっちょやりますか!」

 

 とりあえず、一気に走って突っ込み、先頭にいた異形を槍で貫き、軽く跳びながら足を振り切って直線上にいる異形を全て殺す。

 そのままもう片方の手に持っていた槍を地面に刺し、足元に小ぶりな槍を『召喚』すると槍を軸にして回転し、足の槍で異形を切る。

 ここまでの間で、一切の反撃はなかったがさすがにこれ以降も無抵抗、とは行かないようだ。攻撃してきた。

 

「まあ、この程度なら全然なんともないんだけど」

 

 もう面倒になったので、持っている中で一番大きい槍を『召喚』し、横なぎにふるって残りを全滅させる。最初からこうしとけばよかったな。

 

「ははは!流石は神殺し、そう簡単には行かぬか!」

「一応、プライドってもんがあるんでね。念のために言っておくが、まだ権能は使ってないぞ」

 

 戦闘の中で使えるようになるかと思ったけど、あの程度では駄目なようだ。

 もう、蚩尤との戦闘でぶっつけ本番で行くしかないな。

 

「では、我自ら武具を取るとしようか!」

 

 蚩尤はそう言いながら、剣と弓矢を作り出す。

 そして、そのまま矢を放ってきたので、

 

「神槍絶刃!」

 

 槍一本を犠牲にし、上空に弾く。

 威力強すぎだろ・・・

 

「今のを弾くか!中々によき戦士であるな、神殺しよ!」

「そいつはどうも!あと、その呼び方止めろ!名前は名乗っただろ!」

 

 種族で呼ばれてるみたいで気に食わん!

 それと、常識知らずって呼ばれてる気もする!

 

「それは失礼した!では神代武双よ!次は直接打ち合おうぞ!」

 

 蚩尤はそう言うと、弓矢を捨ててこちらに向かってくる。

 人型じゃないやつがしているから、無駄に怖い。

 

「打ち合える気は一切しないんだけどな!」

「うむ。我が武具にかなう道理なし!」

 

 蚩尤の言うとおり、俺の槍は一度で壊れた。

 その隙を突かれるわけにも行かないので、壊れた瞬間に槍を『召喚』し、そのまま突きに出るが、また槍が壊れた。

 

「そのような武具、我を傷つけるにあたわず!」

「もうどうしようもないじゃねえか!」

 

 それでもこのままでいるわけには行かないので、槍を『召喚』して防御を続ける。

 

「どうした!権能は使わぬのか!」

「うっせえ!言われなくても・・・」

 

 使えたら使ってる、と言いかけて、自分の中で何かが目覚めるのを感じた。

 そうか・・・これが、これが権能を掌握した瞬間か!

 

「使ってやるよ、お望みの権能を!」

 

 槍を二本投げつけ、いったん距離を置き、俺は言霊を唱える。

 

「わが内にありしは天空の雷撃。社会を守る、秩序の一撃である!今ここに、我が身に宿れ!」

 




こんな感じになりました。

次回、武双が権能を使います。


それと、感想にて質問があったことなのですが、戦姫絶唱シンフォギアの要素については、キャラが二名と、一部シンフォギアから考えたものが登場します。
じきに原作開始まで跳ぶ予定なので、それまで待ってください。


では、感想、意見、誤字脱字待ってます。

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