この作品では由比ヶ浜さんは比企谷ルートなので、白野くんはフラグを立てません。
まぁそれに近い行動はしますが…。
それでは今回もよろしくお願いします。
「鶴見先生ありがとうございます。依頼が終わったら家庭科室の鍵を返しに来ますね」
「わかったわ。そうだ岸波君」
「何ですか?」
「その依頼が終わったらでいいんだけどお願い聞いて貰ってもいいかな?」
お願い?なんだろ。まあ、鶴見先生のことだから留美ちゃんのことかな。
「別に構いませんがお願いの内容はなんですか?」
「ありがとうね岸波君。内容は鍵を返してもらったときに言うわ」
「わかりました。それでは失礼しました」
鶴見先生から鍵を貸してもらい職員室を出る。
鍵は借りたから雪ノ下さんにメールしておくか。
『鶴見先生に家庭科室の鍵を借りたので先に行って待っています。
比企谷が来たら由比ヶ浜さんと一緒に来て下さい』
こんな感じでいいかな。
「送信っと。そんじゃまあ、行きますかね」
クーの兄貴みたいに言ってみたけど…やっぱりしっくりこないな…。
「毎度思うのだけれど岸波くんは仕事が早いわね…」
彼からのメールの内容を見て感心する。
「どうかしたの雪ノ下さん?」
「場所の用意が出来たのよ。由比ヶ浜さん」
「場所?」
「あなたの依頼を遂行するための場所よ。岸波君が家庭科室を借りてくれたそうよ」
「は、はや!あたしの依頼はあの二人が出て行った後に雪ノ下さんにしか話してないのに!」
由比ヶ浜さんは驚いてるようね。
「彼は前から仕事をやるのが早いのよ」
「それにしても早すぎじゃないかな」
「岸波君は相手の行動パターンや言動、表情の変化などをいろいろ観察して、相手の次の行動などを推察するのが得意だそうよ。自称『観察眼』だったかしら」
「そ、それ少し怖いかも…」
そうね…。自分の考えが読まれるのは少し恐怖を感じるわね…。
「でも、考えすぎて空周りしたりもするけどね」
彼の焦った顔は見応えがあって面白いのよ。
「それでは由比ヶ浜さん。私たちは移動の準備を始めましょう。比企谷君が来たら家庭科室に行きましょうか」
「わ、わかった」
その後、比企谷君から私は『野菜生活』を由比ヶ浜さんは『俺のカフェオレ』受け取って三人で家庭科室に移動を始めた。
「みんな準備はしておいたけど、クッキーを焼くでいいんだよね?」
俺はみんなが来る前にある程度の道具や材料の用意を終わらせておいた。
「お疲れ様。内容はそれであってるわ」
「「す、すご…」」
比企谷と由比ヶ浜さんは驚いているようだな。
まあ、これぐらい出来ないと俺の前にいるこの女性には勝つことは無理だろう。
「ひ、ヒッキー。やっぱりやめた方がいいって、ここまで用意してくれたんだよ…」
「うるせえ。俺をパシらせたんだからいいんだよ」
「比企谷君。最低…、いやゴミね。ゴミ谷君。だから友達が出来ないのよ」
「お前には言われたくねえよ」
何やら後ろのほうで三人がもめているようだ。
お。比企谷が近づいてきた。
「ほら岸波お前の分の飲みモノだ。ありがたく飲んどけ。値段は三百円だ」
比企谷が嫌な笑みを浮かべながら俺に飲み物を渡す。って三百円って高!しかも缶だ。
総武高の自販機に缶なんてあったけ?
総武高の自販機はパック系の飲み物が主で全て百円で買えるはずなのだが、三百円の缶って…。
比企谷に渡された缶を見てみる。
「こ、これは…」
「岸波は何が欲しいとか言ってなかったから。一番高いヤツ買って来たぜ」
「ヒッキーがすごく嫌な顔してるんだけど…。キモッ」
「ええ。ゴミのような顔をしてるわね」
「比企谷…。お前…」
俺は比企谷の肩に手を置く。
「な、なんだよ」
「ナイスだ!いや、いいセンスだ!」
「「「は?」」」
「まさかホントに存在するとは…。この泰山の激辛麻婆缶」
すごいなこれ…。前に店長が言ってたけどホントにあるとは。後で写メるか。
「比企谷なんでわかったんだ。俺の好きなモノが」
「えっ、いや…そのー」
「そうだ。三百円だったな。あっ今手持ちの硬貨が五百円玉しかない。いいか。これには五百円以上の価値が俺にはある。比企谷お釣りはいらない」
俺は比企谷に五百円玉を渡す。
「あ、あのー」
「早く食べるか。スプーン借りよ」
ホントにすごいな。おっと写メらないと…。
携帯電話を取り出して写真を撮る。
「いやー。比企谷は本当にいい奴だな」
「……」
「私は初めて悪意の行動が善意に変わるところを見た気がするわ」
「あたしも…」
俺が麻婆缶を食べ終わりクッキー作りが始まった。
女の子の制服エプロン姿っていいよな。
「曲がってるわ。あなた、エプロンもまともに着れないの?」
「ごめん、ありがと。…えっ!?エプロンくらい着れるよっ!」
「そ、ならちゃんと着なさい。適当なことばかりしているとあの男のように取り返しがつかないことになるわよ」
と雪ノ下さんはなぜか比企谷に言い放つ。
「俺を躾の道具に使うな。俺はなまはげかよ」
そこから比企谷の頭皮の話に変わり、その二人の会話を聞いてくすくすと由比ヶ浜さんが笑う。由比ヶ浜さんはまだエプロンを着れてないようだ。
「由比ヶ浜さん。ちょっといい?」
「な、なにかな?」
俺は由比ヶ浜さん後ろに回り由比ヶ浜さんが着ているエプロンの紐を綺麗に結ぶ。
「これでよしっと」
「あ、ありがと。上手だね」
「まぁ今はもうやらないけど、昔は妹にもこうやってエプロンの紐を結んであげたんだよ」
「そうなんだ。ありがとね。えーっと岸波くん?」
そういえばまだ自己紹介してなかったな。
「うん。岸波白野。よろしくね」
「よろしく。岸波白野?どこかで聞いたような…。まあいいか」
「ねぇなんでみんなこういう反応するの!?比企谷のときもこんなことあったよ!」
俺ってあんまり人の記憶に残らないのか…。まあ俺自身、自分の名前以外全て忘れたことは何度もあるけど…。
「もういいや。よろしくね由比ヶ浜さん」
そうして俺は自分のいた席に戻ろうとしたのだが、他の二人から嫌な視線を感じる。
「な、何でしょうか。二人とも…」
「岸波くん。さっきの行動はセクハラということでいいのかしら?」
「どうして!?」
「このジゴロが。だがこいつは天然のほうか…」
「ジゴロってなんだよ!」
最後のほうは何を言ってたか聞こえなかった。
俺は自分の席に座るが他の二人の視線が痛い。
「あ、あのさ、ヒッキー」
「な、なにかね?」
助かった。由比ヶ浜さんが比企谷に話しかけてくれたおかげで痛い視線が…、まだ雪ノ下さんの視線はあるけど…。
「か、家庭的な女の子って、どう思う」
「別に嫌いじゃねぇけど。男ならそれなりに憧れるもんなんじゃねぇの」
「そ、そっか…」
それを聞いて由比ヶ浜さんは安心したように微笑む。
この反応は…。比企谷も隅に置けないな。でもこれってエリザベートの二つ目のSG『料理好き(愛妻願望)』と同じ臭いが…。比企谷に合掌。
「ねぇ岸波君」
「ん?なにかな雪ノ下さん」
「あなたも…その家庭的な女の子というのはどう思うのかしら?」
急にどうしたのかな?まあここは普通に答えるか。
「好きだよ。俺も料理はするから一緒に台所に立って料理とか憧れるかな」
桜とは毎日そんな感じだけどな。
「そ、そう」
雪ノ下さんからの痛い視線が収まった。なぜかはわからないけどよかったよ。
「よーしっ!やるぞ!」
由比ヶ浜さんは気合いを入れてブラウスの袖をまくり、クッキー作りにとりかかる。
うわーすごいなこれは。
比企谷は少し引いてるし、雪ノ下さんは青い顔をして額に押さえている。
そして俺は微笑んでいる。
よかったな比企谷。由比ヶ浜さんはエリザベート程ではないから死ぬことはないぞ。
由比ヶ浜さんのクッキー?作りは進み、インスタントコーヒーとか入れたり、いろいろとミスを繰り返し完成したのが、真っ黒なホットケーキみたいなもの。
「な、なんで?」
自分で作って愕然としてる由比ヶ浜さん。
「理解出来ないわ…。どうやったらあれだけミスを重ねることができるのかしら…」
雪ノ下さんは由比ヶ浜さんに配慮したように小声で呟く。
「見た目はあれだけど…食べてみてみないとわからないよね!」
「そうね。味見をしてくれる人も二人もいることだし」
「ふははは!雪ノ下。お前にしては珍しい言い間違いだな。…これは毒味と言うんだ」
「どこが毒よっ!…毒、うーんやっぱ毒かなぁ?」
由比ヶ浜さんは毒でいいのか?
「おい、これマジで食べるのかよ。それに岸波はこれを食べろって言われたのになんで平然としてるんだよ」
「これは可愛いもんだよ。俺はこの上…、いや、この十段階は上のモノを食べさせられたことがある…」
「な、なんだよそれ…」
「見た目は普通だが口に入れた瞬間に死を覚悟するパスタ、スープ、フルコースの三食を一日で食べさせられた…」
思い出したくない。思い出すだけで胃が焼けるように痛くなる。
「この世にはそんなモノを作る奴もいるのか」
正確にはこの世ではないがまぁいいか。
「それにこれは食べられないって程ではないよ」
「お前それマジで言ってんだな。ならお前が一人で食えよ」
「比企谷何言ってんだ。雪ノ下さんは俺たち二人に食べろって言ったんだぜ。それに感想を言う奴は多い方がいいに決まってるだろ」
「ぐ。岸波、俺から逃げ場を奪うな」
「大丈夫。材料は普通に食べれるモノだから死にはしないって」
そう言って俺はクッキー?を一枚?摘まんで口の中に入れた。
「まぁ、味は予想道理で美味しくはないけどこれぐらいなら俺は大丈夫だ」
俺に続いて他の三人もそれぞれクッキー?を口にする。
女子二人が口にしたのは驚いたが感想を言うのは多い方がいいからな…。大丈夫かな?
全員が食べた後クッキー?の残りは俺が何とかするということにした。
「さて、じゃあどうすればより良くなるか考えましょう」
「由比ヶ浜が二度と料理をしないこと」
「全否定された!?」
「比企谷君、それは最後の解決方法よ」
「それで解決しちゃうんだ!?…はぁ、やっぱりあたし料理に向いてないのかな…。才能ってゆーの?そういうのないし」
そうなるのか…。才能って単語は本当に怖い。その言葉一つで人の努力を無駄にすることがあるからな。その先にある可能性を人は見つけることをしなくなってしまう。
でもそんなこと言ったら彼女は許さないだろうな。まぁ俺も許さないが。
「…なるほど。解決方法がわかったわ」
「どうすんだ?」
「比企谷そんなの決まってるだろ」
予想彼女も俺と同じことを考えてるな。
「「努力あるのみ」」
「それ解決方法か?って言うか息ピッタリだなお前ら」
比企谷は努力は最低の解決方法って考えてるだろうけど、そうではない。
「努力は立派な解決方法よ。正しいやり方をすればね。由比ヶ浜さん。あなたさっき才能がないって言ったわね?」
「え。あ、うん」
「その認識を改めなさい。最低限の努力もしない人間には才能がある人を羨む資格はないわ。成功できない人間は成功者が積み上げた努力を想像できないから成功しないのよ」
その通りなのだが、ちょっと言い方があれじゃないかな。
「俺は雪ノ下さんみたいなことは言わないけど、俺は努力して来た人間だから才能って単語で終わらせて欲しくないかな」
「で、でもさ、こういうの最近みんなやんないって言うし。…やっぱりこういうの合ってないんだよ、きっと」
あのー俺やってるって言ったんだけど…。
「…その周囲に合わせようとするのやめてくれるかしら。ひどく不愉快だわ。自分の不器用さ、無様さ、愚かしさの遠因を他人に求めるなんて恥ずかしくないの?」
おお。すごいこと言ったな雪ノ下さん。そうやって人に思ったことが言えるなんてな、やっぱりこの人はかっこいいよ。
比企谷は「う、うわぁ」って小声で引いてるけど。
「……」
由比ヶ浜さんは俯いてしまっているけど、どっちに転ぶかな?
「か…、かっこいい…」
「「は?」」
「ぷっ」
ちょっと噴き出しちゃった。この女の子は俺と同じ考えか。意気が合いそうだから今度お菓子の作り方とか教えてあげようかな。
「建前とか全然言わないんだ…。なんていうか、そういうのかっこいい…」
由比ヶ浜さんが雪ノ下さんを熱っぽい表情でじっと見つめる。
「な、何を言っているのかしらこの子…。話聞いてた?私、これでも結構きついことを言ったつもりだったのだけれど。それと岸波くんはなぜ噴き出したのかしら?」
「由比ヶ浜さんと同じで雪ノ下さんをかっこいいと思ったからだよ」
俺の言葉に雪ノ下さんは驚いてから顔を赤くして俯いてしまった。
雪ノ下さんってたまに可愛い行動するよな。
「確かに言葉はひどかったし、ぶっちゃけ軽く引いたけど…。でも、本音って感じがするの。ヒッキーや岸波くんと話しているときも、ひどいことばっかり言い合ってるけど…ちゃんと話してる。あたし、人に合わせてばっかだったから、こういうの初めてで…」
この子も雪ノ下さんに救われたのかな?それなら前に進めるはずだ。
「ごめん。次はちゃんとやる」
「うん。それはとてもいい答えだと思う。俺も手伝うよ。こう見えて料理はまあまあ得意だとは思うけど」
「あ、ありがと。岸波くんって料理できるんだ。すごいね」
まぁ家事は俺と桜がやってるし、ムーンセルでは今でもよくアーチャーやキャスターに聞いているし、日頃上達してるしね。大体のことは小学生までに修得したけど。
「でも俺は今から先生に家庭科室を貸してくれたお礼の品を作りたいから雪ノ下さん頼んでいいかな?」
「わかったわ。一度お手本を見せるから、その通りやってみて。それと岸波くん。久しぶりに料理で勝負なんてどうかしら?」
それをここで持ってくるか…。まぁやるけどさ。
「わかった。お題はまたクッキーかな?」
「ええ、あれ以降の勝負も料理はしてもクッキー作りはしなかったもの。ちょうどいいわね。私かなり上手くなってるわよ」
怖いな…。
「お手柔らかに」
「おい、俺たち置いてきぼりだぞ…」
「う、うん。でもすごそうだね!」
そうだ。一応由比ヶ浜さんに言っておくか。
「勝負の前に由比ヶ浜さん」
「なに?」
「見本は雪ノ下さんが作るクッキーだからしかり覚えるんだよ」
「わ、わかった。がんばるね」
これでいいかな。それじゃあ俺はアレをどうにかしてみるかな。
「雪ノ下さん始めようか。俺は隣の机のほうで作るよ」
「ええ、今回はしっかりと判定してくれそうだから前のようにはならないわよ」
それって俺が負けるみたいに聞こえるぞ。
「それじゃあ、スタート!」
クッキー作りが始まり十数分。俺と雪ノ下さんが作ったクッキーが比企谷と由比ヶ浜さんの前に置かれる。
ホントに雪ノ下さん上手くなってるな。綺麗なキツネ色に焼かれたクッキーはお店に出しても大丈夫な程の出来栄え。
そして俺のは生地にアレを入れたから少し濃い茶色をしているが味は確かなはずだ。見た目も悪くないし。
「お前らすごいな。なにパティシエにでもなるの」
そういって比企谷は雪ノ下さんのクッキーを口に入れて、
「うまっ!お前何色パティシエールだよっ!?」
なんだその何色パティシエールって。
由比ヶ浜さんも雪ノ下さんのクッキーを食べて、
「ほんとおいしい…。雪ノ下さんすごい」
「ありがとう。岸波君。これは私の勝ちかしら」
「まだ、誰も俺のクッキーを食べてないからそう言うのはちょっと…」
「そんじゃあ、岸波のも…」
そして比企谷は俺のクッキーを手にとって口にした。
「これもうまい!なんつうか、程良い苦みがいいな。MAXコーヒーに合いそうだ」
「確かに甘い飲み物と一緒に食べたいかも。でもこれだけでも十分おいしい」
「どういたしまして。喜んでもらえて嬉しいよ」
やっぱり食べてくてる人は笑顔じゃないとね。
二人はどんどん俺と雪ノ下さんの作ったクッキー食べていく。
「それでは、どちらが美味しかった聞かせて頂戴」
雪ノ下さんの言葉に二人は目を逸らす。
「どっちかにしろって言われても…」
「両方ともおいしかったから…」
「「選べない…」」
雪ノ下さんはため息を漏らす。
「はは、今回も引き分けだね」
「…そうね。今回で84勝84敗52引き分けね」
「なんのこと?」
比企谷は知ってるけど由比ヶ浜さんは知らないもんな。
「俺と雪ノ下さん勝負してるんだよ。で、さっき雪ノ下さんが言ってたのが今までの勝負の結果だよ」
「えっ!そんなにやってんの!?」
「まぁ、付き合い長いからね」
「そうなんだ。すごいね!」
「ありがとう。それじゃ由比ヶ浜さんはクッキー作ってみようか」
「そうね。私が作ったクッキーは、レシピに忠実に作っただけ。だから、由比ヶ浜さんにもきっと同じように作れるわ。むしろできなかったらどうかしてると思うわ。さ、由比ヶ浜さん。頑張りましょう」
いちいち言葉に毒を入れるよね雪ノ下さんって。
「う、うん。…ほんとにできるかな?あたしにも雪ノ下さんみたいなクッキー作れる?」
「ええ。レシピどおりにやればね」
雪ノ下さんはしかっりと釘をさした。
二人が調理を始めたから、俺はお礼の品でも作るか…。まだアレが残ってるし。
「この材料ならマフィンを作れるかな」
俺も隣の机でマフィン作りを始めた。
「おい岸波。お前は何やってんだ」
「さっき言ったろ、先生にお礼の品を作るって」
「ああ、そうだったな…。なぁ、この黒い粉はなんだ?」
気付いたか。
「これはアレだよ」
今クッキーを作っている二人には聞こえない大きさで比企谷に教える。
「アレって、アレか。もしかしてお前が作ったクッキーにも?」
「入れたよ。でも美味かったろ?」
「マジか…。アレがあんなにもうまくなるもんなのか…」
「大切なのは心だろ比企谷」
俺は笑顔でマフィンの生地に残りの黒い粉ことアレを入れる。
「まぁ、そうだけど。それを入れるところだけだと悪意にも見えるな…」
「……」
うるさいよ…。
…確かにそうかも。
次回で由比ヶ浜さんの依頼は終了。
やっぱり岸波白野くんは相手のことには敏感だけど、自分のことには鈍感でないと行けませんよね。
わかってるかもですが、泰山の激辛麻婆缶はどの世界にも存在しないオリジナルです。
それではまた次回に!