そしてついに修羅場に……
恐れていたことが起きた。
絶対にあってはいけないことだ。
薄々予想はしていた。
でも、本当に起きてしまうとは……。
「岸波くん」「兄さん」「白野先輩」
凍えるような鋭い視線を向けてくるライバル、背後から禍々しいオーラを発している義妹、今の俺の状況を絶対に楽しんでいる後輩(結果によってはお仕置き決定)。
「時間がないのだから」
「早くこの中から」
「選んでくれませんか?」
どれを選んでもバッドエンドでしょ。
俺のライバルと義妹と後輩が修羅場?いや、怖すぎる。
ま、まずどうしてこうなったかを説明しよう。
遡ること一日前……
「奉仕部の強化合宿って、泊りがけでボランティア活動をするってことか」
平塚先生から来た強化合宿についてのメールを確かめる。
でも、どの辺が強化合宿なんだ?あの先生のことだから何考えがあると思うけど……。
ああ、何となくわかってきた。
まず間違いなく多くの人と関わると考えていいから、奉仕部メンバー以外の人のグループとの接し方とかを強化するってことかな?
自分で言ってしまうと悲しくなるけど、完全に奉仕部って異常なグループだからな。普通なグループとうまくできるようにしたいのだろう。本当に気が利くいい先生だ。なんで結婚できないんだろ?
「でも、俺は行けないかな。俺が泊りがけでボランティアに行ったら、桜が家で一人になっちゃうからな」
ということで、その理由をメールで送る。
メールを送信して一分もしないうちに平塚先生から着信があった。
早いな……。なになに。
『では、岸波くんの妹さんも一緒に来てはどうでしょうか?』
うーん。人数が増えても大丈夫ってことか。そうなると奉仕部メンバー以外も来るってことだな。
当てはまりそうなのは、戸塚くんと比企谷の面倒見役として小町ちゃん、材木座は……ないな。
移動は車と考えるべきだな。さすがの平塚先生も大型車の免許は持っていないだろうし。車の大きさはワンボックスカーの七人乗りになる。
運転士の平塚先生と奉仕部の四人で五席が埋まる。残るは二席。残るは戸塚くんと小町ちゃんと桜。
一人分足りないな……。そうだ。俺がバイクで行けばいいか。
って、まだ誰が来るかわからないのにそんなことを考えても意味ないか。
「まずは桜を誘ってみるか」
その話を桜にしたら了承してくれた。
しかし、桜、嬉しそうだったな。
そういえば家族で旅行に行ったことってないな。
俺に限っては小学校も中学校も修学旅行や林間学校みたいなの行かなかったし。
時間は流れ、集合場所。
俺は桜と一緒に歩いてきたのだが、まだ人が揃っていないようだ。現在いるのは平塚先生と雪ノ下さんの二人。
「おはようございます」
「おはようございます。私も呼んでもらえて嬉しいです」
「何気にするな」
「平塚先生。今日って誰が来るんですか?」
「今のところ、君たち奉仕部メンバー四人と、戸塚、岸波の妹の桜くんだが」
「そうですか。俺は比企谷の面倒見役として小町ちゃんも来ると思っていました」
俺が思っていたことを口にしたら
「ええ、それは私も考えているわ。でも座席の人数がオーバーしてしまうのよ」
「それなら、俺はバイクで行こうか?というより小町ちゃんがいないと比企谷はまず家も出ないだろうし」
平塚先生は少し驚いたような顔をした。
「ほぉ、岸波はバイクの免許を持っているのか?」
「まぁ一応、去年取りまして」
雪ノ下さんと平塚先生は少し考えてから、
「岸波、頼めるかね」
「わかりました。荷物はそちらに任せてもいいですか?」
「ああ、構わない」
「それならお願いします。あ、あとどこに行くか教えてもらえますか?」
まだどこに行くかは聞いてなかったんだよな。
「群馬県にある千葉市の保養施設の千葉村だ」
千葉村、何処かで聞いたことあるな。
「私行ったことありますよ。その千葉村というところに」と桜が口にした。
「え?そうなの?」
「はい。兄さんは学校のそういう行事は出てませんから覚えがないと思います。一応、中学の自然教室で行くんですよ」
「へぇ、そうだったんだ」
そういえば、卒業アルバムに書いてあったかもな、千葉村って。
「場所はわかったんで、今からバイク取りに家に戻りますね」
俺は携帯電話と財布を持って家に引き返した。って群馬かぁ。ガソリンあったかな?
家に着き、倉からバイクを取り出そうと思ったのだが、座席にエルが丸くなって寝ている。
「エル、起きてくれ。今からバイク使うから」
『ん?マスター、バイク使うの?』
「うん。使うの」
エルは欠伸しながら身体を伸ばしたあと、動くと思いきやまた丸くなって寝た。
「……」
前から思っていたけど、エルってよく寝るよねぇ。子猫のころからよく寝てたし。
俺は寝ているエルを抱え、前まで子猫たちが使っていた毛布の上に乗せる。そのあと頭を撫でる。
子猫たちは動きが活発になり、この家の敷地内をよくうろうろしている。そして気に入った場所で寝ている。やはり家族だな。
「それじゃあエル行ってくるよ。明後日の夕方に帰ってくると思うから」
『……いってらっしゃい』
って起きてんじゃん。なに?さっきの俺への嫌がらせ?
俺はバイクを押して倉から外に出す。
家の門を潜り外に出て、ヘルメット被ろうとしたそのとき、
「白野先輩。お出かけですか?」
ん?カレン。珍しいなここに来るとは。
「おはようカレン。まぁお出かけになるのかな。部活で、泊まりがけでボランティア活動するんだって。もしかしてカレン何か俺に用事でもあった?」
「いえ。昨日からお店が夏休みに入り、ヒマだったので散歩をしていただけです」
「俺、バイトなのにそれ知らないよ。まず夏休みって、俺がバイトに誘われたときの言葉を思い出すとあっちゃいけないと思うんだけど」
「ですが、白野先輩はお父様の考えにではなく、まかないの麻婆豆腐に釣られているので、あの言葉はなったことにしていいんじゃないんでしょうか」
「おかしすぎるでしょ!?どれだけ俺をバイトさせたかったんだよ!」
「白野先輩は見ていて面白いですからね。いい暇潰しになるんでしょう」
そんな理由でバイトさせないでほしいよ。別にバイトがいやではないけどさ。
「じゃあカレン、俺もう行くから。またね」
俺がバイクに跨ろうとしたとき、がっしりと肩が掴まれた。
「なんでしょうか?カレンさん?」
「そういえば白野先輩が泊まりがけでどこかに行くって珍しいですよね。修学旅行ですら休んでいたのに、どういう風の吹き回しですか?」
「どういうって言われても、行かない理由がなくなったから」
「………。ああ、なるほど」
カレンは少し考えてから、俺の言葉の意味がわかったように納得した。
さすがだな。頭がいいだけはある。
「現地妻を作りに行くんですね」
前言撤回。
「ってどうしてそうなったの!?まず俺には妻がいないよ!」
ムーンセルに行けば、自称、良妻と嫁はいるけどね。
「はぁ、私にあんな乱暴なことをして責任を取らないつもりですか?」
「ため息交じりにウソを言われても困るんだけど……。自慢じゃないけど俺って童貞だよ」
「本当に自慢じゃないですね。それで童貞の白野先輩はどこに現地妻を作りに行くんですか?」
「カレンの頭の中では俺は『現地妻を作りに行く』って前提で話が進んでいるんだけどさ、初めに話したと思うけどボランティアに行くんだよ」
「ボランティアで現地妻を作りに行くんですか?日本には面白いボランティアがあるんですね」
「だから、前提がおかしいでしょ!そろそろ『現地妻を作りに行く』から離れようよ」
「あの妹が一人にならなくなったから行くんですよね。そうなると一緒に行くってことになるんでしょうね」
「わかってるなら最初から言ってほしかったけどね」
実際にカレンは俺や陽乃さんほどではないけど、人の内を見るのがうまい。比企谷といい勝負かな。
カレンも比企谷と同じでまずは疑って人を見る。だから信じるという行為はあまり好きでないようだ。
「では、私も行っていいってことですね」
「まぁそうだ……ん?今、カレンも行くって言った?」
「それでは、私は用意したいので私の家まで連れて行ってください」
カレンはそういってバイクの後ろに乗る。
「……」
「さぁ白野先輩、急ぎましょうか」
こうしてカレンもボランティアに参加することになった。
カレンが用意している間に平塚先生にカレンが参加したいと言ってきたことをメールを送る。
そうすると一分もせずに平塚先生と雪ノ下さんと桜からメールが来た。
「あれ?平塚先生だけじゃないの?なになに……」
平塚先生から『わかりました。そうなると車の座席について困るので、一度戻ってきてもらいますか?』
雪ノ下さんから『今すぐさっきの集合場所に来なさい』
桜からは『兄さん、話があります』
何かあったのか?カレンが来てから急いで戻ろう。
そしてカレンが用意を終えて出てきたので、カレンにもう一つのヘルメットを渡し、荷物をバイクに取り付け、急いで集合場所の駅に戻った。
そして今、この回想を0.1秒で終わらせた俺は悩む。
車に乗れるのは七名。運転士の平塚先生を抜いて六名。
そしてここにいる平塚先生以外の人は、俺、雪ノ下さん、桜、カレン、比企谷、由比ヶ浜さん、小町ちゃん、戸塚くんの八名。
二人余ってしまう。だけど俺がバイクに乗れるから、一人が抜ける。
あともう一人は、俺のバイクの後ろに乗るわけだ。
俺は長時間女子にぴったりくっつかれたら困ってしまうので、男子の比企谷か戸塚くんに頼もうと思ったのだが、平塚先生曰く、比企谷は助手席で平塚先生の暇潰しをするらしい。だから戸塚くんにしようと思ったら、比企谷がダメって言うんだよ。
で、そうなると女子になるのだが個人的に由比ヶ浜さんは無理だろ。あれが背中に長時間当たるわけだし。そうなると桜もアウトか。
ってことは雪ノ下さんやカレン、小町ちゃんはある程度大丈夫だろう。
と思ったのだが桜から禍々しいものを感じたので、桜を外すのは諦めた。
クソ!誰を選んでも、死兆星が見えてしまう。一人しか選べないということは、二人から狙われるということ。
「は、八幡。ぼく怖いよ……」
「大丈夫だ戸塚。お前は俺が守ってやる」
「うわぁ、お兄ちゃんかっこいい。それにしてもここまでアニメみたいな修羅場が見れるとは、小町満足」
「お前、結構最低だな。さすが俺の妹」
「ヒッキー、自分が最低って認めちゃうんだ」
「なに、間違ってはいないのだからいいだろう。だが岸波も困ったものだ。比企谷とは違う意味で将来が不安になるな」
他の人は気楽でいいなぁ。俺のバイタル値…急激に低下しています!!
「さぁ、岸波くん。早くしてくれるかしら」
「そうですよ兄さん!早く選んでください!」
「白野先輩。ペットの犬が主に歯向かえばどうなるかわかってますよね?」
ペットの犬が主に歯向かったら?もしかして自爆コマンド?
いや、そんなことはどうでもいい。どれを選んでも『死』なのだから……。
…………死にたくない。
『!』閃いた!
「よし、決めた。俺は」
「平塚先生、俺は二人乗りなので高速道路で運転できないので国道で行きますね。少し遅れるかもしれませんけど大丈夫ですか?」
「ああ、構わんよ。安全運転で来てくれ」
「それに限っては大丈夫ですよ。俺一人ならまだしも他の人も乗っているので」
俺は後ろを振り返って同乗者のほうを向く。
「それじゃあ行こうか、小町ちゃん」
「はい。小町、一度乗ってみたかったですよ。平塚先生、兄のことよろしくお願いしますね」
そうして俺はバイクのエンジンを掛け、運転を始めた。
俺が選んだのは、小町ちゃんではなく、じゃんけんをして勝った人を選んだ。
俺が「俺は、俺と二人乗りをしたい人で一番運が強い人と乗る」と言った。
そういうと俺の意思で人を選ぶわけではないしな。
それで俺と一緒に乗りたい人って言ったら、雪ノ下さんは辞退した。そうなったらカレンと桜になるわけだが、小町ちゃんも乗りたいと言い出したので、三人でじゃんけんをしてもらった。
で、小町ちゃんが勝ったわけだ。
最初は比企谷が反対したが、平塚先生と小町ちゃんが「これ以上時間を使うわけにはいかない」とかいろいろ言ってくれたおかげでどうにか決まった。
よかった、よかった。危うく死ぬところだった。
岸波に小町を連れ去らわれて一時間。俺が乗っているワンボックスカーは高速道路を走っているのだが。
「「「……」」」
ヤバい。後ろの三人がヤバすぎる。てか誰だよあの三人並べたやつ!死にたいの?威圧感だけで殺されるぞ。
十分ぐらい前までは由比ヶ浜と戸塚が健気に頑張って話しかけてたけど、今では涙目だ。涙目の戸塚可愛い。
ん?平塚先生がアイコンタクトをしてきた。
俺にどうにかしろと?
先生は頷く。
どうにかしろって言われてもな、俺の会話スキルはかなり低い。……まずは話題を作る必要があるだろう。だが何を話題にする。
よし。ないな。この空気をどうにかできるような話題は俺にはない。
ならどうするか。それは決まっている。他の場所から持ってくればいい。
「平塚先生。ラジオとか聞きませんか?」
「構わないぞ」
平塚先生が車の前の機械を弄り、ラジオを流す。
『さて、次は『お悩み聞きます』コーナーです。今回の手紙は恋愛事が多いですね。それでは一人目の手紙です』
よくある感じのコーナーだな。それにしても恋愛事ねぇ……。嫌な予感がする。
『ペンネーム、カレイドルビーさんのお悩みです。『私に好きな人がいます。その彼はかなり鈍感なせいで私の気持ちに気づいてくれません。そのうえどうしようもない程のお人好しなせいで彼のことが好きな人がどんどん増えています。どうすれば彼が私の気持ちに気づいてくれるのでしょうか?いい方法ありませんか?』』
この『彼』って岸波じゃねぇよな。こんな岸波みたいなやつ他にもいるのかよ。というよりこの悩みはここで流れてよかったのか?
俺はルームミラーで後ろを確認する。
後ろの三人はがっつり食いついてるな。って由比ヶ浜も食いついてるし。あと平塚先生も……。なに平塚先生も岸波狙ってんの?いや、この人はもう後先考えてねぇだけか。もう誰か貰ってやれよ。
『なるほど。こういうアニメの主人公みたいな人っているんですね。解決方法は簡単です。既成事実。これを使えば簡単です。お人好しな人は責任感も強いですからうまく事が運べば結婚まではいけると思います』
「「「「「既成事実……」」」」」
このワンボックスカーに乗っている女子全員がその単語を口にした。怖い!怖いよ!今日の平塚先生からのメール以上に怖いよ!
はぁ今頃小町は岸波と一緒にいるのか……。もし小町に何かあったら岸波に後ろの三人を嗾けるか。
ビクッ!
なんだろう。嫌な予感がした。
「どうしたんですか岸波さん?」
「いや、少し寒気がしたんだ」
現在、俺は小町ちゃんを乗せてバイクで移動をしている。
俺の使っているヘルメットにはトランシーバーが付いているので乗っているときでも会話ができる。
「確かにバイクは風を直接受けますから、冷えちゃったんじゃないですか?」
「そうかも。もう少し行ったら何処かコンビニとか探して休憩しようか」
「はい。小町も少し休みたい気分です」
「ごめんね。気づいてあげられなくて」
「い、いえ、気にしないでください。お兄ちゃん以外の男性に長時間くっついたことがないから少し緊張しただけなので。それに小町からバイクに乗りたいって言ったんですし」
「でも気づいてあげられなかったのは事実だから、お返しってことで休憩のとき何か奢らせてよ」
「え?いいんですか?」
断らないところが比企谷と似てる気がするな。いや比企谷は『養われる気はあるが、施しを受ける気はない』とか言ってたな。
「うん、いいよ」
さっきまで聞いていたラジオが聞き終わり今はCMが流れているのだが、さらに空気が悪くなった。
なんだよ、どうやって相手を出し抜くとか、料理を作ってそこに媚薬を入れるとか、昼間から流すような内容じゃねぇよ。
結局、いい話題は見つからなかった。そしてCMが終わり、明るい音楽が流れ『ビィビィーチャンネルー!出張版。スタートでーす』と明るい声で次の番組が始まった。
「ん?なんかこのラジオの声、岸波の妹と声似てねぇ?」
というか最初に流れた音楽を一度何処かで聞いたことがある気がするな。
「そうですか?」
「あ、本当だ。桜ちゃんと声そっくり」
よし、少しはさっきの沈黙を壊した。
『この番組を進めるメインMCは、小悪魔系後輩ヒロインのこの私、BBちゃんでーす。そしてこの私をサポートするのは、私の妹のような娘のようなよくわからない私の分身のこの二人』
『パ、パッションリップです……』
『メルトリリスよ』
このクールで冷たさを感じる声を俺は身近なところで似ているやつを知っている。
「このメルトリリスというやつは雪ノ下と声が似ているな。ってか似すぎじゃね?」
「そうかしら?」
「本当ですね」
と岸波の後輩の言峰だったけ?まぁ言峰だかが言った。
「声が似てるというと、言峰さんもあたしのクラスの川崎さんと似てるかも。ねぇヒッキー、さいちゃん」
「あ、そうかも。八幡もそう思うよね?」
「お、おお、そうだな」
えーっと誰だっけ?一応うちのクラスらしいな。その川なんとかさん。
『ところでBB。なぜ私がこんなどうでもいいことを手伝わなくてはいけないの?それともこれを彼が聞いているの?』
『いいえ、センパイは今、部活仲間の妹と一緒にバイクで二人乗りしてると思うわよ』
「「「「「「「「………」」」」」」」
岸波のことじゃねぇよな。ここにいる全員がそう思ってると思う。
『こ、このラジオを岸、じゃなくて、あ、あの人は聞いて、いないんですか?』
『だから、センパイは今、部活仲間の目が死んでる国語が学年三位の自称まあまあイケメンな人の妹さんと一緒にバイクで二人乗りしていると言っているでしょう』
完全に岸波じゃねぇか。岸って言ってたし、なんか俺の情報まで出てきたぞ。いや待て、この条件を満たすやつなんて探せば山のようにいるはずだ。だから別人だ。
『文句はこれを終わらせてからよ。はい、メルト、これを読みなさい』
『はぁ、仕方がないわね。その代り彼との会話する日をBB、あなたから一日分もらうわよ……。この放送は月、ムーンセルの提供でお送りします』
月ってなに?もしかしてあの月?あの衛星の月?
『それで、BBこの番組は何をする番組なのかしら?』
『特に決めていないわ。一応、サーヴァントの皆さんからもらった愚痴などを書いてもらったのよ』
『お、お母様、でも私たちってあそこに干渉できないって……』
よくわからないことがラジオから流れている。
なんだよこのグダグダな感じ。これ聴いてたやつは絶対に違うのに変えるだろ。俺も変えるつもりだし。
俺が別の番組に変えようと前の機械を弄ろうとしたそのとき
「『『『ッ!』』』」
ラジオ番組の三人と岸波の妹が何かに反応をした。
「桜さん、どうかしたのかしら?」
「え、ええ。あのですね」
『メルト、リップ』
『ええ、間違いないわね』
『はい……』
「兄さんが」『センパイが』『彼が』『あの人が』
「『『『フラグを建てた』』』」
なんだ?この四人、連動してんの?
それから少しして俺の携帯にメールの着信が。
アマ〇ンか?いや小町からだ。
『大変だよお兄ちゃん。小町フラグ建てられちゃう』
……………は?
次回はこの続きからですね
小町は白野くんのことは『理想の男性』と思うだけで、白野争奪戦は参加するか曖昧な感じですね。どうしましょう?
それではまた次回!