やはり岸波白野の青春ラブコメは王道か?   作:魔物Z

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今回は柔道の話ですが、イベントは行いません。そうなると、いろはすこと一色いろはを出せません。どうやって出すべきでしょうかぁ……。この場合八巻のところまで出せない。まぁ今後考えっていきましょうか

そして今回でザビ子の出番は終わります。まぁ今後また出てくると思いますが


ザビ子はモテまくる。

 

 

 

 

女になって一月が過ぎた。もうじき夏休みになるんだよねぇ。楽しみだなぁ……。

 

服装もすでに女性もの。初日で私の心は汚されてしまった。

 

初日、授業が終わった後、部活は中止になり、雪ノ下さんと由比ヶ浜さんの二人と、何故か桜と小町ちゃんのシスターズに連れられて、いろんなお店に連れまわされ、「お人形さんみたい」とか言われながらいろんなものを着させられた。

 

女装趣味に目覚めたらどうするつもりなのか。いや、目覚めないよ。本当だよ。

 

ギルにどれぐらいで戻るか尋ねたら、だいたい夏休みになるくらいみたい。

 

その間は完全に女の子として生活をしているわけだ……。不幸だなぁ。

 

高校生活は平塚先生がうまいこと話を進めてくれたおかげで、今までと同じとはならないが平和的な日々を過ごしことができている。

 

成績優秀な生徒を別の高校と数日間(最終日不明)交換することにしたって感じだったかな?

 

期末試験は一人で別室で受けた。あれは悲しかったなぁ……。

 

それにこんなウソによく騙されたなこの高校。

 

で、今の私の名前は平塚先生が考えた『櫛花 木ノ実』という名前になった。

 

『キシナミ ハクノ』⇒『クシハナ キノミ』と岸波白野のアナグラムらしい。

 

平塚先生、変なところをこってるよね。たまに呼ばれても返事をするの忘れちゃうし。

 

まぁ私が岸波白野と知っている人は、知らない人がいないときは前と変わらない呼び方だけど。

 

あとみんなが私に対して優しすぎる。

 

男のときの十倍は優しい気がする。または男のときが厳しすぎるのかな?

 

なんか男に戻ったら鬱になりそう……。

 

でも、そんな私に厳しくしてくれる人が一人いるんだ。

 

それはメルト。彼女は女の姿より、男の姿のほうがいいって言ってくれた。

 

『ハクノ、私はその姿も嫌いではないけれど、その姿だとアーチャーのほうが好みだわ。なるべく早く戻ってくれないかしら』

 

この姿であんなこと言われたのは初めて。元に戻ったらメルトの言うことを何か聞いてあげようかな?別に私がMってわけではないよ。

 

そして、この姿になって一番困っていることは……

 

「櫛花さん。俺と付き合ってください」

 

この姿になってから、何故か無駄に男子にモテる。

 

今回で二十回目の告白だ。でも、私って男だから付き合う気は元からない。

 

当たり前にこの告白は断るのだが、今まで告白されたことがないのでなんと言えばいいのか困ってしまう。

 

いろいろ悩んだ結果

 

「ごめんなさい。私、好きな人がいるの」

 

こう答えるようにした。

 

「そうか……。その好きなやつってこの総武校のやつ?」

 

「違うよ。前の学校の人。何度も私のことを救ってくれた優しい人」

 

「そうか。じゃ、じゃあ仕方がないか……。俺、帰るよ」

 

こうして男子生徒は私の前から遠ざかっていった。

 

なんだろうな……すごい罪悪感……。

 

「私も部室に行こうかな」

 

こうして私は部室に移動を始めた。

 

 

 

 

 

部室の戸を開けるとお客さんが三人。

 

それよりも気になることは

 

「雪ノ下さん、髪型を由比ヶ浜さんとお揃いにしたの?」

 

「え、ええ、まぁ」

 

なんだかあやふやな回答ですね。

 

「それで、櫛花さん。今日はどうして遅れたのかしら?」

 

櫛花と呼んでいるわけは、依頼人であろう三人組がいるから。

 

って由比ヶ浜さんが『櫛花さんって誰?』みたいな顔をしているんだけど……。話したよね。

 

「いつもと同じって言えばいいかな?」

 

「そ、わかったわ」

 

「それで、こちらの三人は依頼人さん?」

 

私が三人のほうを向いくと

 

「柔道部の城山だ。こいつらは自分の後輩の……」

 

「津久井っす」

 

「藤野っす」

 

柔道部の人か。

 

「初めまして、こちらの高校の岸波白野という生徒と交換で一時的に通わせてもらっている櫛花木ノ実です。この奉仕部には仮入部として入っています」ニコ

 

笑顔で自己紹介をする。

 

「お、おお」

 

「かわいいっす」

 

「清楚系っす」

 

「彼氏とかいるんですか?」

 

「え?いませんけど……、私、好きな人がいるんで」

 

「告白する前にフラれたっす」

 

「玉砕したっす。自分たちが言わなくてよかったっす」

 

「うるさい、黙ってる」

 

「「うっす」」

 

なんだかよくわからないけど、面白い人たちかな?

 

「それで、どういったご用件で……」

 

「そのことについては私たちが先に聞いているから、後で話すわ」

 

「あ、うん。わかった」

 

「それでは、よろしく頼む」

 

そう言って、柔道部の三人は出ていった。

 

 

 

 

 

「なるほど、現在の柔道部の部員が減ってきているからどうにかしたいって依頼なんだね。で、その理由が、去年卒業した先輩が最近来るようになって、現在の部員たちを練習という名目でイジメているわけね。それに耐えきれなくなった部員たちが次々辞めていって、このままだと団体戦に出れなくなってしまうと」

 

「粗方そんな感じだ。で、岸波はどう思う」

 

「うーん……。実際に見にいかないとわからないけど。予想、その先輩をどうにかしたほうがいいかな」

 

「それだが、顧問も現三年生も無理だってよ。それに部外者の俺たちが言っても意味ないんじゃねぇかって、じゃが山言ってたな」

 

「じゃが山?」

 

そんな人いたっけ?

 

「あ、すまん。城山だ」

 

「ふーん。なるほど、でも無理ではないと思うけど」

 

「はくのん、それってどういうこと?」

 

「いや、これは現状を見にいったあとに言うよ。明日行くんだよね?雪ノ下さん」

 

「ええ、だから今日はここまでね」

 

明日しっかりとその先輩を見極めることにしよう。

 

 

 

 

現在、私たちは柔道場を覗き見をしている。

 

そして柔道部の現状、先輩の態度などを含めて、私の出した結論は

 

あの先輩にこの柔道部からいなくなってもらうこと。

 

ということで早速行動に出よう。

 

私は奉仕部の三人が覗き見をしている間に、柔道場の入り口に移動をする。

 

移動中、「あれ?岸波は?」みたいなことが聞こえたけど別にいいか。

 

そして、柔道場の入り口を開けて

 

「頼もうー」

 

さっきまで柔道部に漂っていた不穏な空気が壊れ、変な空気になった。さっきまで私がいた場所から何か聞こえるけど、今は無視。

 

「さっきまでヒマだったから、この柔道部の様子を覗いていたんだけど、とてもいい雰囲気とは思えない。特にそこの偉そうな人」

 

まずは自分が奉仕部で依頼で来たことを隠す。ってなんだろこのキャラ?

 

「あなたのせいで柔道部員が私の知り合いみたいに目が死んだらどうするんですか。責任とれるんですか?社会に通用する以前に社会にすら出れませんよ」

 

さっきまでいたところから、文句を言う声と笑い声が聞こえるけど、これも無視。

 

柔道部全員が何を言ってるんだ?みたいな顔をしているな。そして今の私のキャラは自分でも意味がわからない。

 

「単刀直入に言わせてもらいます。そこの偉そうな人、私と勝負だ!」

 

 

 

 

現在、奉仕部の部室

 

「岸波さん。なぜあんな勝手な行動をしたのかしら?」

 

私は今、雪ノ下さんから説教を受けています。正座で。

 

一応、あの先輩はここにくると思うけど、やっぱり雪ノ下さんは怒るよね。

 

「あの……、えーっと……、テヘッ」

 

右手で自分の頭をコツンと叩いて惚けてみる。

 

あ、雪ノ下さんの目が鋭くなった。これは危ないやつだ。

 

「岸波くん。その行動は可愛いから今は許してあげるけど、次、同じことをやったら……」

 

ザビ子じゃなかったら、血を見るところだった。それに岸波くんって言ってるってことは本気で言っている。次やったら、完全にやられてしまう……。

 

「それで、どうしてあのようなことをしたのかしら?」

 

助けを求めようと周りを見回すけど、比企谷も由比ヶ浜さんも目を逸らす。

 

「岸波くん。早く言いなさい」

 

「…………わかりました。少しね……、彼らを、あの場所を見ていると過去の自分を思い出すんだ。ただそれだけだよ」

 

ムーンセルのあと、私(俺)の過去の五年間のこと。

 

「だから私は自己満足であんなことをしただけ。だけどしっかりと考えて行動したから、しっかりと今回の依頼は遂行できるよ」

 

「ねぇ、はくのん。その過去ってキッシーのときに言ってたやつだよね」

 

「そうだよ」

 

「それ、あたしたちに言えないこと?話してくれたら、私たち力になるよ」

 

力になるか……。

 

「ありがとう。そう言ってもらえるのは嬉しいんだけどね。言う気はないかな。もし力になりたいなら、今までと同じように接してくれると嬉しいな」

 

「今までと同じようにって、岸波、お前……」

 

比企谷なにか引っかかったのかな。やっぱり比企谷は侮れないね。人を見ることは得意って言うのは間違いないかな。

 

「まぁ、そんな話は置いておいて、依頼の話しに戻すよ。私があの先輩と勝負をするってことだけど。簡単に言うよ。あの先輩に『ここがあなたのいるべき場所ではない』って思わせようと考えているんだ」

 

「それってあの先輩に言ってた挑発のことよね」

 

「岸波が言ってたのは挑発じゃなくて、事実だろ?あの先輩の顔、図星をつかれた感じだったし、完全にキレてたからな」

 

「でも、はくのんが言ってたことが本当なら、あの先輩ちょっとひどいかも……。ていうか、それよりもはくのん?あのときなにしたの?」

 

「あれはね」

 

みんなが言っていることは私があの先輩に勝負をするために、あの先輩の現状についてを私の予想して口にした。

 

というか、みんなもうあの先輩のことを『あの先輩』で決定なのかな?まぁあの先輩の名前を知らないから『あの先輩』としか言えないよね。

 

 

 

 

 

「単刀直入に言わせてもらいます。そこの偉そうな人、私と勝負だ!」

 

柔道場がざわめいた。

 

「君が言っていることがわからないんだが、これは柔道部の問題だ。部外者に文句を言われる筋合いはない」

 

まぁ予想通りな返答だな。

 

「そうですか。ですが偉そうなあなたはここの柔道部のなんなんですか?」

 

「俺はこの総武高を去年卒業した、ここの部員だ。スポーツ推薦で大学に行った」

 

ここも予想通り。私って悪女?なんか陽乃さんみたいだなぁ……。

 

「なら、文句はないじゃないですか。同じ部外者同士なんだから」

 

「な!?」

 

「卒業した先輩がどうして高校の部活に来ているんですか?」

 

「それは、こいつらに世の中の厳しさを」

 

「高校を出て半年も経ってないのに、社会の厳しさを人に教えられるなんてすごいですねぇ先輩。てっきり私は『大学でうまくいかなかったから高校の柔道部に逃げてきて、大学で貯まった鬱憤を晴らすために、後輩相手に八つ当たりをしていた』のかと思いました」

 

あの先輩は苦虫を噛み潰したような顔をした。私が元の男だったら胸ぐらを掴んできてもおかしくないぐらいの状態かな。

 

私、あまりこういうこと好きじゃないんだけど、言ってみよう。

 

「あ、もしかして先輩、図星ですか?怖いですねぇ。大切な後輩を八つ当たりの道具にしか思っていないんですか?先輩のそういう行動で迷惑している人がいるんじゃないんですか?しっかりと周りを見渡したほうがいいですよ」

 

なんかBBみたい。まぁアレぐらいのほうが人を怒らせるのにはいいかな。まずはこの人を怒らせて、私へ敵意を向ける。今の私は女だから中途半端に怒らせても意味がない。徹底的に怒らせる。

 

「あなたは自分の勝手な行動でここの部員が減っているって知っていますか?あなたは『こんなことで諦めるようなやつは社会に出ても通用しない。世の中はもっと厳しい』とか言っていたんじゃないんですか?迷惑にもほどがありますねぇ。あなたもその『社会に通用する人間』じゃないんですから」

 

「……うるせぇ」

 

先輩は小声で言う。

 

あと少し。もう少しで完全に怒る。

 

「また逃げるんですか?そうやって目を逸らして、今いる現実から逃げるんですか?惨めですねぇ。逃げてばっかりの弱虫さん」

 

「うるせぇ!っつってんだろう!」

 

先輩はそう大声で叫び、私にむかってすごい勢いで突っ込んできた。

 

城山くん率いる柔道部員が先輩を止めようとしたが間に合わず、すでに私の目の前までに来て掴みかかろうとしている。

 

 

 

 

 

「うるせぇ!つってんだろう!」

 

あの先輩は大きな声で叫び、岸波に向かって突っ込んでいく。

 

「おい、これヤベェじゃねぇか!?」

 

「あわわわ、はくのんが危ない!ゆきのん!ヒッキー!急がないと!」

 

「由比ヶ浜さん。危ないのは岸波さんじゃなくて、あの先輩のほうよ」

 

「へ?」「は?」

 

すでにあの先輩は岸波を掴もうとしている。が、そのとき、パンッ!という音が鳴り先輩が横に倒れた。

 

「え?今何が起きたの?」

 

由比ヶ浜が俺と雪ノ下を交互に見てさっき起きたことを尋ねてきた。

 

「俺にわかるわけないだろ。雪ノ下、お前わかるか?」

 

「いえ、何をしたかはわからないけど、彼女の護身術みたいな感じじゃないかしら?それより私たちも柔道場に行って岸波さんと合流しましょう」

 

そう言って雪ノ下が歩き始めた。

 

 

 

 

 

城山くん率いる柔道部員が先輩を止めようとしたが間に合わず、すでに私の目の前までに来て掴みかかろうとしている。

 

私は男のときよりも筋力は落ちて、さらにコードキャストも使えなくなっていた。

 

でも、動体視力と運動能力はあのままだし、私には英雄たちから習った武術がある。

 

私は今出せる力の全てを使い、先輩の顎を裏拳で擦る。

 

パンッ!

 

先輩はそのまま横に倒れ、柔道場は静まりかえった。

 

これは技名もないただの打撃です。それと、手の甲が痛い……。

 

手は後で湿布でも貼っておこう。それよりも次の段階に行こう。

 

「柔道部の皆さん。練習の邪魔をしてしまい申し訳ありません」

 

「い、いや、構わないが……、先輩はどうなってるんだ?」

 

柔道部を代表して城山くん返答をした。

 

「少し気絶してもらっただけです。あと三十分もすれば目を覚ますと思いますよ」

 

「すげぇっす」

 

「マジぱねぇっす」

 

この前一緒にいた後輩くんたちも声を上げる。

 

「こんな無理矢理な方法をしたことは悪いと思っています。それで、この先輩は私に敵意を持っていると思うので、先輩が目を覚ましてから、奉仕部の部室に連れてきてください。そのままうまく行けば、今後この先輩はこの部活に来なくなると思うので、それから来なくなった部員さんたちを連れ戻してみてはいかがでしょうか?」

 

「ああ、わかった」

 

「はい、それではこれで失礼します。本当に部活の邪魔をしてしまい申し訳ありません」

 

私は深く頭を下げて、柔道場を後にした。

 

これで今回は三通りの解決方法ができた。あとはあの先輩の心しだい。

 

移動中、奉仕部のみんなに会った。

 

「岸波さん。話はしっかり聞かせてもらうから、部室、行きましょうか」

 

笑顔だけど怖い……。絶対に背後に『ゴゴゴゴ』みたいな効果音が出てるよ。ガクガク

 

 

 

 

 

「と、まぁあとはあの先輩が来るのを待つだけかな」

 

「来ねぇんじゃねぇか?」

 

「え?どうして?」

 

「あの先輩はさっき完膚なきまでに岸波にやられて、心が完全に折れたと思うぞ」

 

「まぁその場合でも、もう柔道部には顔を出さない、いや、顔を出せなくなるからいいとは思うから依頼遂行にはなるんだけどね。あとはどうやって部員を増やすかになるけどね」

 

「そ、あの先輩が奉仕部に来ても来なくても、すでに柔道部の依頼はできるのね」

 

「うん。でも、私はあの先輩にはここに来てもらいたいな」

 

依頼はできても、あの先輩は救えない。だからこの方法はあまり好きではなかった。

 

絶対に何かを犠牲にしなければ何かを得ることはできない。ムーンセルの聖杯戦争で学んだこと。だけど、やっぱり気持ちのいいものではない。

 

だから、あの先輩には自分の過ちを受け止めて、しっかりと逃げた分も進んでもらいたい。私はあの先輩の心の強さを信じたい。

 

自分勝手なことを言っているのはわかっている。私はあの先輩のことを言える立場ではないね。

 

「はくのん。大丈夫?顔色あまりよくないよ……」

 

「そう、気のせいじゃないかな?」

 

由比ヶ浜さんは人の顔色を窺うのがうまいなぁ。少し不安なんだよね。でもこの結果がどうなるかがわかない以上、これが終わるまでは強がりたい。

 

そんなことを考えていると背後から誰かに抱きしめられた。

 

この感触は……

 

「大丈夫だよ、はくのん。はくのんは正しいことをしたんだからどんな結果になってもはくのんが気に病むことはないよ」

 

「ゆ、由比ヶ浜さん」

 

「なに?」

 

「む、胸が当たってるんだけど……」

 

大きさでいうと桜や陽乃さんより大きんじゃないか?

 

「え?女同士なんだから気にしなくてもいいじゃん」

 

「え?由比ヶ浜さんの中では男だった事実がなくなってるの?私、男だよ?」

 

「あ、そうか。ご、ごめん」

 

由比ヶ浜さんは少し頬を赤らめて、離れた。

 

「ただ、その、ありがとう、由比ヶ浜さんのおかげで少し気が楽になったよ」

 

「ホント!?」

 

由比ヶ浜さんは機嫌が良さそうな、明るい笑みを浮かべる。

 

いやぁ、危ない危ない。危うく由比ヶ浜さんのことを好きになるところだった。これがイケメン魂ですかねぇ?

 

「岸波さんは背中に胸を当てられて元気になる変態だったのね」

 

「なんで、そこを拾うの?さっきの言葉のほうに決まってるでしょう」

 

「いや、どうかな?岸波は中身は男なんだから元気になってもおかしくないだろ」

 

「なぜかあなたが言うと卑猥に聞こえるわね。エロ谷くん」

 

「そうだよ。ヒッキーのエッチ」

 

「なんで俺何もしてねぇのに罵倒されてんだよ!言われるべきは岸波のほうだろ!」

 

他愛のない話をしていると『こんこん』と戸をノックする音が聞こえた。

 

「どうぞ」

 

いつものように雪ノ下さんが入室の許可を出す。

 

そして戸が開き、城山くんと後輩くん二名、最後に先輩が入室してきた。

 

「来ましたか先輩」

 

私は笑顔であの先輩の顔を見る、少し顔が赤い。怒ってるのかな?まぁ仕方がないよね。

 

先輩は他の三人の前に立ち、私へ一歩近づく。

 

そしてすごい勢いで土下座をした。

 

「ありがとうございました!」

 

「「「え?」」」

 

私以外の奉仕部の三人が思っていたことが違っていたのか、間抜けな声をだした。

 

そう、私の本当の狙いはこっち。先輩の改心。

 

三つの解決方法で一番難しい終わりかた。

 

一つ目は、比企谷が言ったように先輩の心を完全に折ってしまう方法。

 

二つ目は、先輩と勝負をする方法。そして私が負けて、先輩のストレスを無くさせる方法。

 

で、三つ目が、先輩を改心させて、前に進んでもらう方法。

 

あの場で私は先輩に三つの選択肢を用意させた。そして先輩は三つ目を選んだ。

 

「あなたのおかげで、今の自分を改めることができました。本当にありがとうございました!」

 

「そうですか。しっかりと自分の過ちを受け入れて前に進めますか先輩?」

 

「はい」

 

「なら、よかったです」

 

こうして柔道部の先輩との関係は丸く収まり、辞めていった部員も戻ってきたそうです。

 

めでたしめでたし。

 

あの後、柔道部の帰り際に先輩に告白されたが「私、好きな人がいるので」と丁重にお断りした。

 

 

 

 

 

そして夏休み!俺はついに男に戻れた。男に戻れたことを報告したら、全員から不満そうな答えが返ってきた。ほとんどの人が「もう元にも戻ったんだ。もう少し女の子でいてほしかったな」みたいな反応をしていたわけだし。

 

あのときは悲しかったなぁ……。枕を涙で濡らすところだった。

 

あの桜だって「もう姉さんじゃないんですね……。まだ一度も一緒にお風呂に入っていないじゃないですか!」と涙目で怒ってきたぐらいだ。

 

夏休みの課題は初めの一週間までに終わらせ、残りの日にちは普段通り、トレーニング、家事、バイト、自習などなど。

 

そして夏休みが始まり、二週間が経とうとした日のこと、珍しく平塚先生から結婚相談以外のことでメールが来た。

 

『明後日、奉仕部の強化合宿を行います。集合場所は後程お知らせするので忘れないでください』

 

相変わらずメールだと人が変わるよな。

 

「って、奉仕部の強化合宿ってなに!?」

 

 

 

 

 




次回は林間学校のお手伝いの回。久々の留美ちゃんの登場。と言っても次回は留美ちゃんの出るところまで書けるかな?

それではまた次回!!

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