一応アニメではなく小説を元にしていこうかと思います
部活が再開して一週間。前と変わったことが主に二つ。
一つ、俺と雪ノ下さんの距離感。
前よりもまた少し距離が近付いた。まぁ他人が見た程度ではわからないぐらい。
そして…
「……」ジーーー。
雪ノ下さんが俺のことを知るために努力すると言ったあの日から、周りに人がいないときに、こうやってジーっと見てくるようになった。
確かに人を知るためにはその人を見た方がいいとは思うけど…、こう見られると、ねぇ。
部室の前に人の気配を感じるな。俺が入口の戸のほうを見ると雪ノ下さんも同じように見る。
部室の戸が開く。
「うす」
「…なんだ、比企谷くんか」
雪ノ下さんはふっと短いため息を吐いてすぐ雑誌に目を落とす。
これで俺の観察は終わりだな。アレ少し緊張するんだよ。最初のときはどうかしたか聞くと『気にしないでいつも通り生活しなさい』って言うし。そんなの無理でしょ。
「その、席替えしたときの隣の女子みたいな反応やめろ。わりと素で傷ついちゃうだろが」
そんな反応されてるんだ…。
「比企谷、気にしなくても大丈夫だ。さっきのは雪ノ下さんが無意識で言っただけだから」
「やめろ。さらに傷つくだろうが」
「ええ。岸波くんの言う通りで気にしないで。てっきり由比ヶ浜さんかと思ったのよ」
「ああ、そういうことか」
そう。もう一つの変化は、由比ヶ浜さんが部活に来なくなった。
だいたいは予想が付く。比企谷が由比ヶ浜さんを拒絶したのだろう。
そしてその元になる事件は、『入学式の日の事故』のこと、比企谷が由比ヶ浜さんの犬を助けたこと。
どうやってかはわからないが比企谷がそのことを知ったのだろう。
実際は大きな怪我はなくて済んではいたが、比企谷は入学式に出れなかったようだ。
だが由比ヶ浜さんが飼っている犬を助けたことには変わらない。
互い別々の考えや思いがある。片方は好意を持ち、もう片方は昔のトラウマによる拒絶。
故にすれ違いになってしまった。このまま放置してしまえば壊れてしまうだろう。
だから俺は認めない。そんなことで今までの空間を壊してはいけない。
というわけで俺は今、新しいプログラムを製作中。
今回は俺が自分で考えたモノ。由比ヶ浜さんの誕生日プレゼントにするモノ。
ムーンセルの技術を使えばすぐにできる子どものおもちゃみたいなモノだ。ある程度は済んでいるし、あとはプログラミングするだけ。今日には終わるだろう。
それで由比ヶ浜さんの誕生日なのだが、メールアドレスに使われている0618って数字から由比ヶ浜さんの誕生日が六月十八日と考えた。
間違っていたら、まぁ…、そのとき考える。
それに雪ノ下さんも考えてるんじゃないかな、由比ヶ浜さんの誕生日のこと。
そんなことを頭の中で考え、雪ノ下さんと比企谷の会話を軽く聞き流しながら、プログラムを作る。
我ながら昔と違ってハイスペックになったと思うよ。前は、ムーンセルでは最弱とか言われてたもんなぁ。
あと気になってはいたんだけど、二人の会話さっき『諍い』『戦争』『殲滅戦』って不吉な言葉が出てきてたよな。
「まぁ、こういうのはあれだろ、一期一会ってやつだな。出会いがあれば別れもある」
「素敵な言葉なはずなのにあなたが使うと後ろ向きな意味でしか捉えられないわね……。けれど……、確かに、人と人の繋がりなんて案外あっけないものよね。些細なことで簡単に壊れてしまう」
「そんなことはないさ」
俺がそう口を開くと二人は俺のほうを向く。
「雪ノ下さんが言ったようにあっけなく壊れるけど、逆に些細なことでまた結ぶこともできるよ。ですよね平塚先生」
俺が戸のほうを向いて、平塚先生の名前を呼ぶと、戸がガラッと開く。
「岸波…、君はいつから気付いていたんだ?」
「いつから気付いてたと言われれば最初から。平塚先生が廊下で二人の話を聞いていたときです。それで平塚先生が言いそうな言葉を言ってみました」
「君は私が今まで会ってきた生徒、いや人間の中でも最も驚かされる人間だな」
「褒め言葉として受け取っておきます」
「では岸波。なぜ私が来たかもわかるかな?」
平塚先生が挑戦的なことを言っているが…。
「まぁ予想でいいなら。平塚先生が来た理由は、由比ヶ浜さんが来ているかの確認と人員補充とかじゃないですか?」
「ほぉ…どうしてそう思った」
「はい。先生ならそう言うかなぁと、実際は人員補充というのは由比ヶ浜さんを連れ戻してこいって意味じゃないですか?先生はそう言わないとここの部員は動かないと思っているんではないかと」
「やはり君は恐ろしいね。そこまで相手の考えを読めてしまうというのは…」
「はい。魔術師ですから」
この決め台詞もそろそろ定着してきたんじゃないか?
「まぁ…、君の中二病発言は置いておくが」
まだ無理だった!!
「君たち奉仕部には月曜日までに一人、人員補充をしてもらう。岸波の言ったように由比ヶ浜を連れ戻すのも構わないが、他の生徒を連れてくるのも構わない。では私はこれで帰る」
そう言って平塚先生は出ていった。
月曜日までか…。まだ時間はあるからどうにかなるかな。
「じゃあ、俺たちも帰るか」
俺はパソコンを鞄にしまい、席を立つ。
「少し待ちなさい」
「はい?」
どうしたんだんだろ急に。
「平塚先生が来てからあなたが勝手に話を進めて、勝手に話を終わらせてしまったせいで、よく話を理解できなかったのだけど」
なるほどそういうこと。
「えーっとですね。平塚先生は月曜日までに由比ヶ浜さんを連れ戻すか、他の生徒一人を入部させろと命れ…依頼してきたわけだ」
「じゃあ岸波はどうして先生の考えがわかったんだ。魔術師はなし」
「魔じゅ……」
い、言えないだと…。
「はぁ…、君ら二人はあんまり意識してないようにしてるかもしれないけど、由比ヶ浜さんが来なくなった日、比企谷が少し違ったし、雪ノ下さんも少し元気なかったからね。平塚先生はそれに気付いていたんだろう。あの人も人を見ることには優れているし」
「「……」」
「それに、この部活には由比ヶ浜さんが必要だと思ったんじゃないかな。そして俺は由比ヶ浜さんを連れ戻そうと思う」
それが一番いいからな。
「だけど俺一人だと力不足だ。というより俺は必要ない。今回必要になるのは彼女が信頼を置いている雪ノ下さんと、由比ヶ浜さんが来なくなった原因の比企谷だな」
「なんで俺が原因なんだよ」
「比企谷、お前はわかっているだろうから言わないよ。まぁお前が原因って言うのは少し違うか。比企谷と由比ヶ浜さんのすれ違いが原因だな」
「では私も岸波くんの意見に賛成するわ」
「ありがとう。それに俺も雪ノ下さんが思っているように、この二ヶ月間は結構気に入ってるんだ」
雪ノ下さんは少し頬を赤らめ、比企谷は変な顔をしている。
そして土曜日。プレゼントはもう完成したしあとは渡すだけ。渡すのは月曜日のなるとかな。
で、現在俺は雪ノ下さんに呼び出され雪ノ下さんの住んでいるマンションの前で待たされている。
昨日の夜、メールで『明日10:00までに私の住んでいるマンションの前まで来てくれるかしら』っときて、理由を尋ねたら『明日話すわ。おやすみなさい』と返ってきた。
現時刻9:48。着いたのは9:45ほど。着いてすぐにメールで到着を告げた。
「岸波くん。待ったかしら?」
雪ノ下さんが出てきた。今日は髪を両側で結わえている。ツインテールってやつだね。
「いや、メール送ったときに着いたから、三分ぐらいしか待ってないよ」
「そ、なら行きましょうか」
そう言いながら雪ノ下さんは俺の横にくる。
「ど、何処にですか?」
「ここよ」
雪ノ下さんは手に持っているチラシのようなモノを見せてきた。
『東京わんにゃんショー』
「ああ…、なるほど。猫を見に行きたいわけね」
「それだけではないわ」
なに?他にも理由があるのか?
「最近あなたを観察していたのだけど。なにもわからなかったのよ」
「まぁあれだけでわかったら秘密じゃないからね」
「だから、他の方法で探すことにしたのよ」
「で、どうして『東京わんにゃんショー』なの?」
「いつもとは違う視点で見ることができると思ったからよ」
「……」
小動物を前にしたら俺の秘密が見れると思っているのかな?
「わかった。じゃあ一緒に行こうか」
「ええ。では駅からバスで行きましょう」
そうして雪ノ下さんと歩き始める。
「こうやって休日に二人っきりで出掛けるのって始めてだね」
「そ、そうね…」
よく二人っきりでいたことはあったけど、出掛けることはなかったからな。桜やカレンとはよく出掛けるけど。
それからバスに乗り十数分。『東京わんにゃんショー』の会場に着く。入場は無料、犬や猫の展示即売会らしい。その他にも珍しい動物などが展示してもいるらしい。犬と猫以外もいるんだな…。
気のせいだろか…。入場してから周りの動物たちから見つめられている。俺のスキル動物寄せが発動したか!?
動物寄せとは、俺が小学生のころ発現したスキル。前話したと思うが公園でぼーっとしていると自然に動物が周りに寄ってくる。
ムーンセルで動物のような方々と遊んでいたせいかな?たぶんそうだ。
「って雪ノ下さん!何処に行くの!?」
雪ノ下さんはパンフレット片手にきょろきょろしながら遠ざかっていく。
忘れていた。雪ノ下さん少し方向音痴さんでした。
俺は雪ノ下さんを追いかける。
「あら、岸波くん何処に行ってたのかしら?勝手な行動をされると困るのだけど」
「……。うん。ごめん」
ここは俺が悪いことにしよう。雪ノ下さんが猫見たさに勝手な行動をしたんじゃない。俺が周りの動物に気を取られていたのが悪いんだ。
「じゃあ、はい」
俺は右手を雪ノ下さんに差し出すと、雪ノ下さんはオレの手も見て「なにかしら?」と考え始めた。
「……」
何も言わずに手を握ってくるのは桜とカレンだからか。
「俺ガ迷子ニナラナイヨウニ手ヲ繋イデモラオウカナ、ト思イマシテ…」
「そ、そう。でもどうして片言なの?」
「そ、それは…」
い、言えない…。『『雪ノ下さんが方向音痴だからどこかに行ったら心配なんだ』って言うと怒りそうだから、ウソでも俺が悪いことにしたから片言になっちゃった』なんて言えない…。
な、何て言おうか…。
「あ、あれだよ。俺からこういうことを言うのって初めてだったから少し緊張したんだよ…」
「なるほど、………じゃ、じゃあ」
そうして雪ノ下さんが俺の右手を取ろうとしたとき
「あれって……雪乃さんと岸波さん?」
ん?この声はジナコ…、じゃなくて比企谷の妹の小町ちゃんの声だな。声のしたほうを向くと比企谷と小町ちゃんがいた。
俺は右手を軽く上げて右手を振る。
「やぁ二人とも、奇遇だね。ねぇ雪ノ下さん。ん?どうしたの少し不機嫌そうだけど」
「何を言ってるのかしら、別に不機嫌ではないわ」
どうしたんだろか?ああ、早く猫が見たいのか。まぁ会話が始まれば時間も長引くもんな。
「雪乃さん、岸波さん、こんにちは!」
「こんにちは小町さん」
「小町ちゃん、こんにちは。比企谷もこんにちは」
「よう。にしても、お前ら意外なところにいるな。何か見に来たのか?」
「…ええ、まぁ、そのいろいろと」
「俺は雪ノ下さんの付き添いみたいなものかな」
「あれ?デートじゃないんですか?」
「「「……」」」
小町ちゃんは何を言っているんだか。
「小町ちゃん。デートっていうのは付き合ってる男女がするもの?だと思うから、違うんじゃないかな?そんなことを言ったら比企谷と小町ちゃんもデートってことになるけど」
「小町はそれでも構いませんよ。あ、今の小町的にポイント高い!」
「ポイント?」
何それ?それが貯まっていくとなにか起きるのかな?
「小町の口癖みたいなもんだよ。お前の魔術師みたいなやつ」
「アレは俺の口癖扱いなんだね。俺的には決め台詞のつもりなんだけど…」
「いかにも中二っぽいな」
剣豪将軍よりはましだと思うけどなぁ。俺は事実だし。
「それで、比企谷くんは、どうしてここへ?」
「俺は妹と毎年きてるんだよ」
「うちの猫と会ったのもここなんですよ!」
へぇ、確かカマクラだったけ。彼はここで買ったんだな。
「……相変わらず仲がいいのね」
雪ノ下さんは比企谷と小町ちゃんを交互に見て、透明な笑顔を浮かべる。昔、初めて桜に会った日にした表情だな。
この表情のときは陽乃さんのことを考えてたかな。比企谷たちと自分たちを比べたのだろう。
「別に、年中行事みたいなものだよ」
「そう。……じゃあ」
「おう、じゃあな」
まぁここでお別れか。
「また今度な」
「ちょい待ち、ちょい待ちですよ。雪乃さん、岸波さん。せっかく会ったんですし、小町と一緒に回りましょう!」
小町ちゃんは俺と雪ノ下さんのすそをくいくい引く。
「俺はそっちのほうが大勢で楽しそうだけど、雪ノ下さんは?」
「…邪魔じゃないかしら?……比企谷くんが」
どうして比企谷が外される。
「ちょ、ばっかお前何言っちゃってんの?俺、集団行動だとだいたい黙ってるから全然邪魔にならねぇよ?」
「比企谷、お前も俺と同じみたいだな」
「え?岸波。お前もこっち側?」
「ウソ…。岸波さんはお兄ちゃんと同じでボッチなんですか」
「あ、うん。友達がいないんだよ…」
そろそろ、友達できないかな…。
「……わかったわ、一緒に回りましょう。何か見たいものはあるの?と、特にないなら…」
「そうですねー…せっかくですし、普段見れないものにしましょう!」
閃いたように小町ちゃんはぽんと手を打った。
「……お前は空気読んでんのか読んでないのか全然わからないな」
「え?何が?」
小町ちゃんは首を傾げる。
「……それでいいわ。はぁ……」
雪ノ下さん、大丈夫。猫ゾーンはいつか行けるから。
それから俺たちは鳥ゾーンに行って、比企谷が鷲、鷹、隼などにテンションが上がっていた。それでその鳥たちが俺の肩や腕に乗ってきた。おかしいなぁ、『ふれあいコーナー』じゃないんだけど…。そして周りの人たちから写真を取られたし。
鳥ゾーンを出るとき、鳥たちが悲しそうに鳴き声を上げてたし。
そして今俺はさらに困っている。
「うわぁ、岸波さんすごいですね」
「そうかな…。はぁ……」
現在鳥ゾーンを抜けて小動物ゾーンの『ふれあいコーナー』。
最初俺の足元に子リスが来たから、屈んで正座になり子リスを掌に乗せて頭を撫でていたら、周りに他の小動物が集まってきた。
結果。
「どうしてこうなった?」
俺の頭の上だの肩だの腕の中だの膝の上だのに、ハムスター、ウサギ、フェレット、モルモットのような小動物で埋め尽くされている。ってか眠り始めてるし…。
「小町ここまで動物に好かれる人始めた見ました。兄とは大違いです」
「俺もここまでとは思っていなかったよ」
比企谷と雪ノ下さんは先に行った。雪ノ下さん俺の観察より猫のようだね。
「小町ちゃんは行かなくていいの?」
「いやぁ、小町ってこういうふれあいコーナーみたいの好きなんですよ」
「まぁそんな感じはするね」
なんか動物たちに俺のほうが頬ずられてるぞ。くすぐったい…。
「そういえばですね。この前大志くんがお姉さんと話し合いできたそうで、前みたいに戻ってくれたそうです」
「それはよかったね」
川崎さんはわかってくれたようだな。
「兄から聞いたら、ほとんど岸波さんが解決してくれたそうじゃないですか」
「いや、そうでもないよ。実際俺は川崎さんにきっかけを作っただけで、元に戻ろうとしたのは彼女の意思。それに解決方法を提示したのは比企谷だから」
そろそろ正座は疲れてきたな。小動物も集まればそこそこ重い。ん?今雪ノ下さんに助けを求められたような…。犬かな?
「岸波さんと雪乃さんってどういう関係なんですか?」
「俺と雪ノ下さんは幼馴染っていうほど長くはないけど、小学生四年のときクラス替えで知り合って、それからずっとライバルって感じかな」
「ライバルですかぁ…。なんか男の子チックですねぇ」
「そうかな?結構わかりやすいと思うけど。そろそろ重いな。係員さーん、この子たちをどうにかして下さーい」
俺じゃあこの子たちを退かすことができない…。退かそうとすると瞳を潤ませながら見つめてくる。とても心苦しくなる。
係員さん総掛りで俺の周りの小動物を離していく。みんなごめん。俺には君たちを養えるほどの財力は…、十年くらいはあるかな?
最後に俺が最初に出会った子リスを手放す。
ばいばい。なんだか君とは運命的なモノを感じるよ。また何所かで会おう…。
「そろそろ二人と合流しようか」
俺は立ちあがって小町ちゃんにそう告げる。
「そうですね。雪乃さんたちは何処にいますかね」
「猫ゾーンじゃないかな」
「ほぉ、といいますと」
「ここだけの話、雪ノ下さんはバレていないと思い込んでいるけど、彼女はかなりの猫好きだかね」
「なるほど!では行きましょう!」
この子は比企谷と違って社交的で明るい子だな。まぁ考え方がたまに似てる時があるからさすが兄妹って感じな部分もあるけど。
二人で猫ゾーンをむかうために歩き始めた。
「小町ちゃんは、俺の妹とも仲良くなれそうだね」
「岸波さんに妹さんがいるんですか?」
「桜っていうんだけど、俺には勿体ないほど可愛い妹だ」
「岸波さんはシスコンなんですね」
「ああ、否定はしない。むしろ肯定します」
「これまたお兄ちゃんと仲が良くなりそうですね」
比企谷もシスコンなんだな。まぁ一緒に出掛けるほど仲がいいんだし当たり前か。
「小町ちゃんは高校は総武高にするの」
「はい。頑張って受かりますよ!」
「ならもし受かったら桜と仲良くしてあげてね。桜も小町ちゃんと同い年だし総武高を受けるつもりだから」
「任せて下さい。小町的にも早く友達ができそうで嬉しいです」
「じゃあ今度紹介するよ」
猫ゾーンに行くにはここの犬ゾーンを通らないといけないわけか。雪ノ下さん大丈夫だったかな。
「きゃっ」
小町ちゃんが誰かに当たって転びそうになって小さな悲鳴を上げる。
俺は反射的に手を伸ばし小町ちゃんの手を掴んで引っ張り抱き止める。
「大丈夫?」
「は、はい…(こ、これはお兄ちゃんに勝ち目が見えないぞ…。捻デレさんが好きな小町でも少しドキドキする)」
「怪我とかしてなければいいんだけど…。本当に大丈夫?」
俺はそう言いながら小町ちゃんから離れる。
「だ、大丈夫ですよ。あははは…(しかもこの紳士な対応。大抵の女の子ならこれだけで一発KO。雪乃さんはこんなのを小四から…。お兄ちゃんのことは結衣さんにどうにかしいてもらおう)」
それから俺たちは猫ゾーンに移動しようとした途中、犬ゾーンの終わりぐらいで二人を確認した。
犬ゾーンの途中で平塚先生らしき人がキャーキャー言いながら犬の写真を撮っていた気がしたけど…、人違いだろう。絶対に人違いだ。
「およ、犬ゾーンに二人ともいますね」
「まさか予想が外れるとは…。まぁ合流できたからいいか」
俺と小町ちゃんが二人に近付くと
「そ、その……つ、付き合ってくれないかしら」
と雪ノ下さんは比企谷に向かって言う。
「「「……は?」」」
俺と比企谷と小町ちゃんが雪ノ下さん言葉に間の抜けた声を出してしまった。
急展開だな。何があったんだろう?
次回はプレゼントを買いに行く回ですね。ということは陽乃さんが出るかな?
ザビ男と小町がふれあいコーナーで話している間にガハマさんがゆきのんとヒッキーの関係を勘違いしているところになりますね
ではまた次回!!