やはり岸波白野の青春ラブコメは王道か?   作:魔物Z

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今回はあの氷の女王の登場

白野くん友達を作るチャンスだ

今回は上手く終わらせることが出来なかったので、そこそこ長くなってしまいました

見るのも大変だと思いますが、楽しんでもらえたら嬉しいです


続・なぜか岸波白野に友達が出来にくい。

 

 

 

 

 

現在通っている小学校で誰よりも早く家に帰ったであろう俺こと岸波白野は、居間のテーブルに置手紙あった。

 

「父さんかな?なになに…」

 

『今日の仕事は明日まで帰れそうにないから、一緒に夕食を食べることが出来ない。すまないが今日も二人で食べてくれ。それと学校には遅れないように。父より』

 

まぁ、妥当だな。この家ではよくあることだ。

 

「というか今さらだけど、小学生の子供二人って結構危険じゃね?」

 

ムーンセル程ではないが、この世界も危険はあると思うし、どうしたものか。

 

「ただいま」

 

「ん?お帰り桜」

 

俺が今後のことを考えっていたら桜が帰って来た。

 

「兄さん帰ってたんですか?」

 

「ああ。誰よりも早くな!(キリ」

 

「?」

 

桜は俺が言った言葉の意味がわからず軽く首を傾げている。

 

なにこの生き物すごく可愛いんだけど。ハアハア。

 

おっと危ない。前世からある俺のオヤジの部分が出るところだった。

 

「桜。父さんは今日は帰って来ないから夕食は俺達だけで食べててくれだってよ」

 

「…わかった」

 

桜は俺から話を聞いて少し俯いてしまった。

 

やはり小学二年生には大人がいないと心細いんだろうな。

 

俺は俯いている桜を抱きしめて頭を優しく撫でる。

 

「兄さん?」

 

「桜。大丈夫だよ。桜はお兄ちゃんが守ってあげるから。また悲しくなったらこうして頭を撫でてあげるから。元気を出してくれ」

 

「あ、ありがとう兄さん///」

 

うん。やっぱり俺の妹が一番だな。

 

「それじゃあ、一緒に昼食を作ろうか」

 

「うん。あ、兄さん私午後友達の家に遊びに行くから」

 

「………」

 

「兄さん?どうかしたの?」

 

「…イヤ、ナンデモナイヨ…」

 

「でも、言葉が変だよ?」

 

「き、気にしないでくれ」

 

「…わかった」

 

桜に今日友達が出来なかったなんて言えない。まず妹に友達がいて、なぜ兄に友達がいないい。桜だって頭もいいし、運動もできる。俺との違いは、性別とビジュアルくらいのはずだ。

 

何がいけないんだ。ムーンセルの予選でも、月海原学園生徒会でもそこそこいい交友関係はできたはずなのに。凛とラニ、慎二やガトー、ジナコにレオ、あのユリウスですら友人になったはずなのに。

 

「…なぜだ。なぜいけないい」

 

俺が友人が出来ない理由を考えているうちに桜が台所で昼食を作り始めていた。

 

気が付くともう昼食が出来ていた。

 

「ごめん桜…」

 

「大丈夫だよ兄さん。兄さんすごく真面目な顔をして考え事してたし」

 

「ははは…」

 

「何を考えてたの?」

 

言えない。友達が出来ない理由を考えてたなんて言えない。

 

「あ、あれだよ。父さんが遅い時に子供二人だと危険だから、どうしようかってね」

 

「そうなの?」

 

「あ、ああそうだよ。大切なことだからね。まあ、この辺は結構平和だから大丈夫だと思うけど…。でも桜に危険なことがあったら、なにがあってもお兄ちゃんが助けてあげるからな。桜がやってほしい事があれば、俺の出来る範囲で叶えてあげるよ」

 

「ほ、ホントですか兄さん」

 

「ホントだよ」

 

「そ、それじゃあ、父さんが遅かったり、帰ってこない日は一緒のお布団で寝させてほしいです///」

 

桜は頬を真っ赤にしてお願いをしてきた。

 

ナニコノ子、メチャクチャ可愛インダケド。やばい。鼻血出そう。

 

「ダメですか…?」

 

顔を赤くしたまんま、涙目の上目使いで見てくる。

 

桜これ以上お兄ちゃんを困らせないでくれ。可愛さは正義だが罪でもあるな。

 

「だ、ダメじゃないぞ。むしろ大歓迎さ!」

 

そう言い親指を立ててグッドポーズをとる。

 

今の言動は我ながらバカだと思うよ。

 

「ありがとう兄さん」

 

子供の桜は俺の言動の意味がわかってないのが救いだ。

 

昼食を食べ終わり桜を見送った。

 

夕食の準備までヒマな俺はいつもより多いトレーニングメニューをこなして、食材や日用品の買い出しへ向かった。

 

俺や桜はあまり物欲がないため、父さんも安心してお金を預けてくれる。

 

時間は流れ、桜と一緒の布団で寝る。

 

そうだ。みんなに友達が出来ない理由と、友達の作り方を聞いてみよう。

 

でもセイバー達、女性サーヴァントは友達の作り方違うだろうから、男性サーヴァントに聞きに行こう。

 

訊く以前に、彼らに友人がいたかどうかに問題がある。英雄ってボッチなイメージがあるな…。

 

目を瞑ると意識が薄れていき、気付くといつもの部屋にいる。

 

ここは俺のイメージなのかとても居心地のいい部屋だ。

 

外は電子の海。1と0が泡のように上にあがっていく。

 

そして、この部屋はマンションの一室みたいな感じで、他の部屋に共に戦ってきたサーヴァントや、敵として戦ったサーヴァント達が住んでいる。

 

各部屋そのサーヴァントが過ごしやすい広さ、環境、道具が揃っている。

 

一番広かったのはギルとセイバー。逆に一番狭かったのはアンデルセン。

 

あと、このマンションには開かずの間が六つある。

 

予想はBBとアルターエゴの二人、ガトーのバーサーカーとトワイスのセイヴァーさん、最後は名前も知らないギルガメッシュと契約する前の俺のバーサーカー。

 

いつか開くといいけど…。

 

「よし。じゃあ遠い方から行こう」

 

順番はこんな感じかな。緑チャ⇒串刺し公⇒呂布さん⇒カルナ⇒アンデルセン⇒アサシン先生⇒ガウェイン⇒クーの兄貴⇒ギル⇒アーチャー

 

緑チャの答え。『生憎俺は一人でいることが多かったからな。友人なんかいねぇからわらん』予想通りの答えだなぁ。

 

串刺し公の答え。『友の作り方だと。我には妻さえいれば――――――』正直声も見た目も怖いから俺は逃げ出した。

 

呂布さんの答え。『%$#%@:#%$%&`+*@:.p:@"#$%'#+*`?*!!!』なにを言っているかわからない。

 

カルナの答え。『友人か…。オレは友に裏切られてな…、』悲しくなりそうだから聞かずに次へ行こう。

 

アンデルセンの答え。『お前は阿呆なのか。俺は友人にいい思い出などない。あと俺は忙しいんだ。……』この後忙しいと言ってたくせに長々と毒舌を聞かされた。

 

アサシン先生の答え。『呵呵呵呵呵。儂は戦いに生きた身、友などおらんは!』さすがアサシン先生!そこに痺れる!憧れるぅ~。

 

ガウェインの答え。『この身は我王に捧げた身。友など…ランスロットが…』悲しくなりそうパート2。

 

クーの兄貴の答え。『んなもん。テキトーにやりゃー何とかなんだろ』テキトーはあなたですよ…。

 

ギルの答え。『我の友はただ一人だけだ。アイツとは全力でぶつかり合ったまでよ』はいはい人類史最古のヤンキーマンガだね。

 

「って最後の一人になっちまったよ。やっぱり英雄たちには平穏な生活は向いてないせいか。最初から頼りにはしてなかったけど」

 

「最後はアーチャーか。アーチャーは常識人だし、親身になって聞いてくれそうだな」

 

アーチャーの部屋の前に立ちインターフォンを鳴らすと、アーチャーが出てきて部屋の中に入れてもらう。

 

「マスター今日はどうしたのかね?」

 

アーチャーに今の自分の状況を話しどうすればいいかを尋ねる。

 

「なるほど。だがマスター、マスターはいつものように振る舞っていれば自然に友人など出来ると思うのだが」

 

「俺もそう思ったよ。いつも通りやってるつもりなのに、どうしてもだめなんだよ」

 

「それならば、今と前の状況の違いを考えてみたらどうだ」

 

「なるほど」

 

ムーンセルにいたころは、戦わないといけない状況。

 

現在は、戦いもなく平和な状況。

 

これは交友関係は関係ないか。

 

「状況と環境はあんまり関係ないと思うけど?」

 

「なら今度は、ムーンセルでマスターと交友関係があった人間と今の君のクラスや学校の生徒の違いは?」

 

えーっと…、ムーンセルにいたマスター達はウィザードことプロのハッカーで、財閥の御曹司や、レジスタンスの宝、ホムンクルスに、ゲームチャンプとかetc、それにサーヴァント達とも仲がいい自身がある。そう考える、とみんな才能の持ち主であり、少し変わった人たちが多いよな。

 

でも学校の生徒は、俺が言うのもなんだが普通の子ども。天才の方が少ない。むしろ俺がその天才の部類に入るほどだ。

 

「嫌われる理由がわかっても、友達の出来ない理由がわからない」

 

「嫌われる理由とは何かね?」

 

「今通ってる学校は、お金持ちや各界で有名な人の子どもが多いんだよ。そういう生徒は学校から案内が来るけど、それ以外の生徒には入学するために試験や面接なんかもある」

 

俺や桜は名医トワイスの子どもとして案内がきたけど。

 

「みんなムーセルのマスターたちには及ばないけど、俺の住んでる市のエリートみたいなものだよ」

 

「なるほど。その学校の大半がプチ間桐慎二といったところか」

 

「そうだね。そこに見た目はかなり平凡なくせに、テストをいつも満点とって、体育の授業とかの運動を差をつけられればどうなるかな」

 

「間桐慎二ならケチを付けたり、嫌がらせをしてくるな。大半がそれならマスターが省かれるのは納得だ。だが、大半がそれなだけで、少数は違うのだろ?」

 

「どういうこと?」

 

「大半が間桐慎二なら、少数が君や遠坂凛、ラニⅧのような者がいてもおかしくはないだろ。それともいないのかね」

 

「前のクラスにはいなかった。今回からのクラスはまだわからない」

 

「なら探してみるのがいいと思う」

 

「わかった。がんばって探してみるか」

 

「そのいきだマスター。おや、そろそろ君の世界は朝の五時だ。朝のトレーニングを忘れぬようにな」

 

「うん。そういえばアーチャー?」

 

「なにかねマスター」

 

「アーチャーは俺が嫌われる理由はどう思うの?」

 

「君の話を聞くまではわからなかったが、君がムーンセルで好かれていた理由はわかる」

 

「?なにそれ」

 

「前に私が君には私以上の『女難の相』があると言ったが、実際君には『女難の相』よりかは、『人難の相』と言った方が的確だな」

 

「?」

 

どういうことだ?

 

「簡単に言うとだな、君は一癖や二癖ある厄介な人間に好かれたり、愛されたりするわけだ」

 

「ああ~、なるほど。なぜか納得できる気がする」

 

なんだろ…、全く嬉しくないな…。

 

「なに、マスターなら大丈夫だ。今日もいつものように前向きに行きたまえ」

 

「じゃあ、また夜に」

 

「ああ、またな。マスター」

 

俺はアーチャーの部屋を後にし自分の部屋に入る。

 

そして、自分の部屋で目を瞑る。意識が薄れていく感覚がある。

 

 

 

 

目を覚ますと隣で桜が寝ていた。

 

「えっと時間は…」

 

部屋の中にあるでじたる時計をみる。

 

5:04

 

「よし。身支度してから朝のトレーニングだ」

 

寝巻からジャージに着替えて洗面所に行き歯と顔を洗い、道場に向かう。

 

トレーニングを終えて、桜を起こし、登校の用意をし、一緒に朝食を作り、一緒に食べて、一緒に登校して、学校の玄関で自分達のクラスの下駄箱に向かうため別れる。

 

いつもと同じだ。

 

と思ったら、俺が在籍しているクラスの下駄箱を前に一人の女の子が立っていた。

 

気になったから話しかけてみよう。

 

「君、どうしたの?」

 

俺の声を聞いて女の子が振り向いた。

 

可愛い子だな。将来は美人になるかな。凛やラニとは違う感じの美人だな。

 

俺が知っている限りだとメルトリリスに近い感じだな。

 

「あなたは確か…」

 

おお。声も似てる。まだ幼さが残ってるが、成長するとあんな感じの声になるかな。

 

「あなたはザビエルくん」

 

「あ、ああ、ありがとう覚えててくれたんだ」

 

まさかそっちで覚えてるとは…。

 

「改めて、岸波白野です。えっと君の名前は?」

 

「あなた自分のクラスメイトの名前もわからないの。あなたバカなの」

 

え、なんで俺罵倒されてんの!?

 

「え、えっとごめん。昨日の自己紹介をスベッたせいで途中から聞いてなかったんだよ」

 

「ザビエルくんは本当にダメな人間のようね」

 

「ご、ごめん」

 

また罵倒された。しかもまだ名前がザビエルのまんまだし…。

 

「仕方がないわね。私の名前は雪ノ下雪乃よ」

 

「よろしくね雪ノ下さん。俺の名前は岸波白野だよ」

 

「ええ。よろしくザビエルくん」

 

この子聞こえてないのかな…?

 

「それで、こんなところで立ってどうしたの?」

 

「あなたには関係ないわ」

 

「いや。気になったし…。それに…」

 

「それに何?」

 

「なんか辛そうな顔しているよ」

 

「ッ!」

 

雪ノ下さんは驚いた顔をした。

 

「私、結構ポーカーフェイス得意な方なのだけれど、あなたにはそう見えたの?」

 

「まぁ、自慢ではないけど、自分の観察眼はかなりいい方だと思うけど。表情の変化とかもなんとなくわかるよ」

 

「そう…」

 

「それで、雪ノ下さんはどうしたの?」

 

「上履きがないのよ」

 

「え?」

 

「なに、あなたはバカなだけでなく耳まで遠いの?上履きがないっていたのよ」

 

「いや、聞こえてるよ。それって誰かの悪戯?」

 

「だと思うわ。まあ隠したのはうちのクラスの女子でしょうけどね」

 

「なんでそう思うの?」

 

「決まってるじゃない。私が可愛いからよ」

 

「すごい自身だね…」

 

このタイプの女の子はBB以来だなぁ。

 

「あらかた私の上履きを隠した女子の、好きな男子あたりが私のことを好きで、その腹癒せに私に嫌がらせをしようと考えたのでしょ」

 

「なぜだろう。確かに筋は通ってる気がする」

 

「当り前よ。見た目平凡で、おバカなザビエルくんにはわからないわよ」

 

「君は俺以外の人にもそんな感じで当たってたりするの?」

 

「あら、私の言葉を否定しないのかしら?」

 

「否定する前にその人当たりが気になりすぎる」

 

「いいわ。その話は置いておいて、私の上履きのことよ」

 

「置いておいたら困るんだけど、確かに上履きの方が大切だな」

 

「私の上履きが大切なんて変態ね」

 

「そういう意味じゃないよ。隠されたってことだよ」

 

「わかってるわよ」

 

「そうですか…」

 

「探すの手伝おうか?」

 

「いいわ。大丈夫よ。自分一人で探せるわ」

 

「探すなら人数は多い方がいいと思うんだけど」

 

「確かにそうでしょうけど、私一人で十分よ。探すのは放課後でいいから今日は職員室に行って来賓用のスリッパでも借りるわ。それじゃまた教室でねザビエルくん」

 

雪ノ下さんそう言って職員室にむかって行ってしまった。

 

「すごい変わった子だな…」

 

俺はため息交じりに自分の下駄箱を開いた。

 

「あれ?俺の上履きは?」

 

まさか、俺も隠された…。

 

「はぁ~。俺も職員室で来賓用のスリッパ借りよ」

 

俺も彼女を追うように肩を落とし職員室へと向かう。

 

 

 

 

 

スリッパを借りて教室について自分の席に着く。

 

教室の中は元のクラスの人と作ったグループと、昨日のうちに仲良くなった人で作ったグループなどの二種類グループが出来ている。

 

俺はどちらにも属せない。

 

男子と女子でグループの数は5、6グループはある。

 

そのグループの一つに雪ノ下さんがいる。

 

あれはグループではないな。

 

雪ノ下さんの周りに男子が集まっているだけだ。

 

好意丸出しで雪ノ下さんに話しかけている感じだな。

 

雪ノ下さんわかりにくいが、嫌そうな顔しているよ。

 

キーンコーンカーンコーン

 

チャイムが鳴り、みんなが自分の席に着く。

 

そして先生が入って来た。

 

「みんな。今日は一時間目から三時間目を使って抜き打ちで学力テストやるよ」

 

多くの生徒がブーイングをするが決まったものは仕方がない。

 

「明日にはテストを返すから頑張ってくださいね。教科は国語、算数、英語の三教科ね」

 

先生はそう言って教室から出て行った。

 

一時間目まであと十分、授業の間に十分づつあるし、予習復習もしたからどうにかなるか。

 

軽く教材に目を通し、テストに向けて頑張る俺なのであった。

 

 

 

 

 

最後の授業が終わり、帰りの準備をして、ランドセルを背負い、教室を出て行く雪ノ下さんの後を追う。

 

「雪ノ下さん。ちょっと待って」

 

「何かしらザビエルくん?」

 

「上履き探すの手伝うよ」

 

「朝に大丈夫だって言ったと思うのだけど」

 

「いや、それがね…」と俺は目線を自分の足に下ろす。

 

「俺の上履きも無くなってたんだよ」

 

「そう…。あなたも…」

 

雪ノ下さんが俺に可哀そうな者を見る眼で見てきた。

 

「だから、一緒に探そうよ」

 

「それならむしろ、バラバラで探した方がいいわ。だからあなたは自分の上履きを探すことだけに専念なさい」

 

「わ、わかった」

 

「それじゃあ、さようならザビエルくん」

 

そう言って、雪ノ下さんは俺から離れって行った。

 

なぜだろ、なぜ彼女は人と関わらず、人を頼らないんだろ?

 

「そんなことより、上履きを探すか。そうだ、あれ使おっと」

 

周囲に誰もいない事を確認して、俺はそれをイメージをすると、俺の右手の中にムーンセルで使ったあの電子手帳が出てくる。

 

物探しや探索は礼装『遠見の水晶玉』を使えばかなり楽だし。

 

ムーンセルでは、アリーナの全面とアイテムボックスの位置を標示するものだったが、この世界では、今自分が求めている物の位置を標示してれる。

 

「view_map()…えっと俺の上履きのある場所は…、あれ?二カ所ある。バラバラに隠されたか」

 

そして俺は歩き出した。

 

一つ目は体育館近くにあるゴミ捨て場。

 

「ゴミ捨て場ってひどくない。あった。あれ?両方あるぞ。ってことは、もう一カ所はもしかしたら雪ノ下さんのかな?」

 

そうだな。自分のを探してるついでに見つけたことにしよ。

 

また歩き始めた。

 

「次の場所は…ここか。まさかグランドの体育倉庫の上じゃないよな」

 

俺は近場の木に上り体育倉庫の上に飛び乗る。我ながら運動神経はいいな。

 

そしたらすぐに見つけることができた。

 

「上履きに名前書いてあるかな?あった」

 

『雪ノ下雪乃』っと丁寧に踵の部分に書いてある。

 

上履きを回収した俺は、遠見の水晶玉で、今度は雪ノ下さんを探す。

 

「彼女は今、一階をうろうろしているな」

 

体育倉庫から飛び降りる。

 

足が痛い…。

 

「よし。雪ノ下さんの所に行こう」

 

見覚えのある後ろ姿を確認。

 

「雪ノ下さん」

 

俺の声に彼女が振り向く。

 

「自分の上履きを探しなさいって言ったはずよ。見つからないからって私を頼らないでくれる」

 

「いや、見つかったよ」

 

「えっ?」

 

「俺のも、雪ノ下さんのも」

 

「えっ?」

 

「どうしたの?」

 

「あなた私と別れて、まだ二十分も経ってないのよ。私は見つけてもいないのに、何であなたがこんな短時間で私たちの上履きを見つけて、私の位置まで把握しているのよ。もしかしてあなたが私の上履きを隠した訳はないわよね」

 

そうだよな。さすがに早すぎだ。

 

「いや、俺は昨日はクラスの誰よりも早く帰ったし、今日も登校した時にはすでに雪ノ下さんがいたから、俺が隠すのは無理だよ」

 

「その証拠は?」

 

「昨日は教室にいるのが辛かったから早く帰った。登校の時は妹と一緒に来たから、妹が証人になると思うけど…」

 

「そう。それでは、なぜこんなにも早く上履きを見つけられたの?」

 

『魔法が使えるんだ(キリ』なんて言えないからなぁ。

 

「えっと、大体こういう嫌がらせで隠す場所は決まってると思うから」

 

「?」

 

「大体はその人への嫌がらせのための場所。または、普通に手の届かない場所とかかな?」

 

「なるほどね。それで、上履きはどこにあったの?」

 

「雪ノ下さんのは体育倉庫の上、俺のはゴミ捨て場の中かな…」

 

やっぱりひどくない!?

 

「なるほどね。ゴミ捨て場くんはその二カ所をすぐに見つけて、最初は体育倉庫、その次にゴミ捨て場に行ったのね」

 

「あの。ザビエルはまだしも、ゴミ捨て場ってあだ名はひどくはないですか…。でもまぁそんな感じだね。はい」

 

俺は雪ノ下さんに雪ノ下さんの上履きを渡す。

 

「ありがとう。ゴミ…いや、ザビエルくん」

 

ちょっとこの子なに、俺はムーンセルでもこんなに罵倒された覚えがないよ。

 

「まあいいや。また同じことがあるといけないから、今後は上履きは持ち帰った方がいいかもね」

 

「そうね。そうさせてもらうわ」

 

「あのさ、途中まで一緒に帰らない?」

 

「別にかまわないわよ。でも、私は車が迎えに来るから昇降口までだけどね」

 

そして、雪ノ下さんと一緒に歩き始める。

 

「ありがとう」

 

「お礼を言われるようなことは私はしていないのだけど?」

 

「それでも嬉しくて、俺こうやって人と話しながら帰るの久しぶりなんだよ」

 

「そうなの?」

 

「ちょっと、いろいろあって友達がいないんだよ」

 

「あなたも悲しい人ね」

 

「自分でもそう思うよ…」

 

そんな話をしながら、職員室にスリッパを返し、上履き持ったまま玄関を出て昇降口の方え移動する。

 

「私の迎えは来てるみたいだから、これでさようならかしら」

 

そこには黒塗りの外車がある。リムジンだろうか。雪ノ下さんは前者の方の入学生なのかな?

 

「あの雪ノ下さん!」

 

「なにかしら?ザビエルくん」

 

よし言うぞ。

 

「あの俺と友達になってくれないかな?」

 

よし言った。雪ノ下さんは少し驚いた顔をしているが答えはどうだろ?

 

「いやよ」

 

えぇぇ~。

 

「また明日学校でね。岸波白野くん」

 

俺が意外な返答を受けて呆然としていると、雪ノ下さんはそう言って車に乗り、車は出て行った。

 

えぇぇ~…。

 

 

 

 

 




やっぱり長いですね

次回は今回の続きと、高校の始めくらいを書くつもりです

また長くなると思いますが

また見てください


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