赤龍帝の幼なじみ達   作:THIS

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 今回はこの第二弾までです。


 此処で事態をさっそく動かします。

 修行はシンプルに書きます。

 


修行の理由と小猫ちゃんの壁

SIDE イッセ―

 

 その修行・・・あまりにも過酷だった。

 

 冥界のとある森。そこで先輩ライダー五人と二体のドラゴンによるサバイバルゲーム。

 

「はあ・・・はあ・・・生きているか?ヴァ―リ。」

 

「ああ・・・。互いにしぶといのは取り柄みたいだ。」

 

 俺達は背中合わせになりながら互いに声をかける。

 

 ちなみにドライク達は俺達の身体から出ている。

 

 理由はラッセ―を初め、娘達の修行のためだ。

 

 他の娘、息子達と一緒に。

 

 ある意味交流会みたいなことになっているけど。

 

俺達は相棒達不在の状態で一週間・・・粘っている。

 

 神器は禁手化できないが、能力は使える程度。

 

 だが、アギトへ変身はできない。

 

 その代わり、アギトとしての感覚を研ぎ澄ませてきた。

 

―――――ゾク!!

 

 悪寒が走り、俺達はすぐに飛び退く。

 

 それと共に何かが走りぬけていた。

 

「ほう・・・やるな。クロックアップを見切るか。」

 

 しっ・・・師匠だったよ。

 

 俺はこの修行の中で師匠もまた仮面ライダ―である事を知った。

 

 仮面ライダーカブト。多分・・・平行世界の俺が言っていた戦いをくぐりぬけてきたと思う。

 

 しかし、クロックアップで奇襲は鬼畜すぎませんかね?

 

 でも、あれってまだ続く事ができたよな?師匠・・・どうしてわざとクロックアップを解除して・・・。

 

「わきが甘いぞ。」

 

 その理由は飛んで逃げた俺を捕まえた・・・一号ライダーこと本郷さんと、ヴァ―リを同じ様に捕まえた二号ライダーこと一文字さん。

 

 そして、二人はそのまま、俺達を投げつけてきたのだ。

 

 昭和ライダ―の中でこの二人は投げ技もまた必殺技。

 

 その威力は半端じゃねえ!!

 

 地面に叩きつけられる前に。

 

『イオラ!!』

 

 俺達は地面の方に手を伸ばし、揃って爆裂呪文を発動。

 

俺、魔法は苦手だけど、それでも手に出現させ、それを直接投げる形なら出来るようになったぜ!!

 

 爆風を利用して技の勢い削ぎ、その隙に・・・。

 

「ヴァ―リ、息を止めろ!!」

 

 俺はヴァ―リの手を取って発動させる。

 

――――――――Penetrate!!

 

 それは透過の力。

 

 それを使って揃って地面に潜り込む。地面に叩きつけられないことで投げを無効化してやったぞ!!

 

 透過の力は応用が効く。

 

 防御不能の攻撃はもちろん、防御にも奇襲にも使えるのだから。

 

 しかも、それを自分だけでなく、相手にも譲渡できる。

 

「・・・そっ、そんな方法で無効化するか。」

 

「こりゃまいった。これは想定外だぞ。」

 

 先輩たちをびっくりさせたぜ!!

 

 そして俺達は背後の地面から飛び出し。反撃に出ようとするけど・・・。

 

「だがまだまだ甘いわ!!」

 

「ふん!!そういうこと!!」

 

 本郷さんと一文字さん。俺達のパンチを軽くいなされ、そのまま殴り飛ばされる。

 

「・・・すげえ。」

 

「ああ。」

 

 この二人・・・戦闘経験が圧倒的に違いすぎる。それも一つ一つの戦闘が死闘だったのだろう。

 

 そこで培ってきた技がすごい。さっきの奇襲も簡単に読まれてしまった。

 

「ほうけていいのかな?」

 

「さあ・・・こっちもいくぞ。」

 

 吹っ飛んだ俺達にタンニーンのおっさんとティアマットの姉さんが空中から絨毯爆撃のようにブレスを巻いてくる。

 

「げえええぇぇぇぇぇぇ!」

 

「おおおおおっ!!」

 

 必死で俺達は逃げる逃げる逃げる逃げる!!

 

 背後に炎の壁が迫っているのだからな!!

 

 だが、らちがあかん。

 

「ヴァ―リ!!」

 

<BOOST!!BOOST!!BOOST!!BOOST!!BOOST!!BOOST!!BOOST!!BOOST!!BOOST!!BOOST!!BOOST!!BOOST>!!

 

「ああ!!今度はこっちの番だ!!」

 

――――――Transfer!!

 

 俺は倍化した力をヴァ―リに譲渡。

 

 そして・・・。

 

――――――Reflect!!plus Transfer!!

 

 そのブレスをまとめてヴァ―リが反射!!

 

『なんですと!?』

 

 その反射の力は倍化で増強している。しかも、ヴァ―リ自身が倍化した力を反射したブレスに譲渡している。

 

そのため二体のドラゴンのブレスをまとめて、しかも威力を倍化させて跳ね返す!!

 

「ぬおおおおおおおおっ!?」

 

「そんなのありなのぉぉぉぉぉぉ!?」

 

 それを避けるために消える。

 

 まあ、二人のブレスが凄まじかったせいで、増幅し跳ね返した時には・・・空一面を覆わんばかりの状態になったぜ。

 

 その隙に俺達は逃げようとするけど・・・。

 

「ところがギッチョン!!」

 

 何か聞き覚えのあるセリフとともにエイジ兄さんが立ちふさがっていた。

 

「エイジ兄さん・・・そのセリフはない。」

 

「・・・ああ。やりたい放題やったあげく死亡するフラグだ。」

 

「おいおい・・。」

 

 エイジ兄さんもまた仮面ライダーに変身するのには驚いたよ。しかもメダルの力で。

 

 今は基本フォームであるタトバコンボだけど・・・。

 

「だったらそのフラグを叩きおろうかね?」

 

―――クワガタ。

 

―――カマキリ

 

―――バッタ。

 

――――ガタキリバ!!

 

 腰にあるメダルを緑に統一させてスキャン。別のフォームに変身。

 

 すると・・・一気に百体以上に分身・・・。

 

『・・・・・・。』

 

 エイジ兄さんって・・・めちゃくちゃだ。

 

 ある時は太陽みたいな状態になるし、ある時は超パワー、ブラックホールを起こせる程の重力操作。ある時は津波を操り、自身も液状化。ある時は炎に包まれた不死鳥の化身・・・。

 

――――エイジ。お前、コンボをここまで引き出すようになったか。

 

 アンクが呆れている。

 

 とにかく、あんな数の暴力に飛び込む馬鹿じゃない!!

 

 すぐに逃げるけど・・・・。

 

 その先には・・・。

 

 あっ・・・異世界のアギトが立ちふさがっていた!!

 

 俺達は揃って空中に巻き上げられる。

 

 もう・・・何が起きたのか分からない。

 

 そして、俺達は地面に倒れる。

 

「はあ・・はあ・・はあ・・。」

 

「うう・・・また一撃入れることができなかったか。」

 

「まだまだだな、お前達。」

 

 そこで師匠達が武器を突きつけ・・・終わった。

 

「・・・今回は三時間か。粘るようになってきたな。」

 

 立花さんがストップウォッチを持ってくる。

 

「だが・・・正直危なかったぞ。」

 

「私達のブレスを増幅して跳ね返すか。」

 

「それだけじゃない。」

 

「おい・・・お前ら、透過と反射を使ったのか?」

 

 俺とヴァ―リはこの一週間のしごきの中でようやく神器の三つ目の力を発動できるように進化していた。

 

 俺は透過。

 

 ヴァ―リは反射だ。

 

 そして、お互いの力を取り込んだので、その力を使えるように研究している。

 

 その足掛かりも得ている。きっとこの修行中に使用できるはずだ。

 

 少なくとも本来持っていた力と合わせて使う事でさらに凶悪になっている。

 

「ぶっつけ本番・・・うまくいったのにな~。」

 

「しかも俺ごととはな。透過の力を譲渡するなんていい発想だ。」

 

「そっちもただ反射するだけじゃなく、反射の瞬間に倍化した力を譲渡って鬼畜だぞ。」

 

 それぞれ同時発動させてみると・・・何とまあ凶悪なことで。

 

『・・・・・・。』

 

 他のみんなが呆れている。

 

「こいつら・・・しごき甲斐があるな。どんどん化けて行く。一体何をやらかすのか全く予想できん。」

 

「ああ。本当にとんでもない新人ライダーだ。まあ、こんどは組み手だ。俺達の技・・・しっかりと覚えておけ。」

 

『はい!!』

 

 俺達からしても先輩達は本当に尊敬する漢達だ。

 

「俺・・・ここまで色々と充実した修行は初めてだ。より高みに登っているという実感があるよ。」

 

 ヴァ―リは感激している。成長しているし、さらにいい意味で刺激を受けている。

 

 強くなっている。

 

 そう実感できるのだ。

 

 それでもまだ目の前の先輩達に勝てないけど。

 

 ちなみに俺が本郷先輩から色々な技。

 

 一文字先輩はヴァ―リを担当している。

 

「技の一号・・・力の二号。ある意味二人にふさわしい。」

 

 立花さん曰く・・・何が飛び出してくるのか分からない俺には技を。

 

 圧倒的な力のヴァ―リはその力を生かすべくというらしい。

 

 

 

 

 そして、休む時はドラゴンの大先輩であるタンニーンとティアマットや先輩ライダー達と語らう。

 

 今回はドラゴンの大先輩のお二人です。

 

「・・・そうか。あんた、すげえな。」

 

「はははははは。神様候補にそんな事を言われるなんて光栄なものだ。」

 

「でも、おかげで私達ドラゴンは助かった。それは事実よ?」

 

 タンニーンのおっさん。ドラゴンの主食であるドラゴンアップルの栽培のために悪魔に転生した。

 

 ティアの姉さんもその関係でグレモリ―眷属の使い魔契約をサーゼクス様とかわしたというのだ。

 

 その結果、あのゴルドさんと夫婦になるというのは流石に驚いたけど。

 

「あの馬鹿二人が暴れまわった後、本当に苦労したわ~。まあ、可愛い子供もできてこっちは満足だけど。」

 

「・・・そう言われると肩身狭いな。」

 

「あっ・・・ああ。」

 

 あれ?ドライグ達が戻ってきた。

 

 子供達も一緒だ。

 

「ふっ・・・お前達も円くなったものだな。」

 

「生と死を超えたらそうなってもおかしくないだろう。」

 

 アルビオンの返答が面白いのかタンニーンのおっさんは笑う。

 

「なるほど。それもそうだな、まあ・・・俺からしても暴れん坊な奴らだがしっかり手綱をひいてくれよ?」

 

「もちろんよ。」

 

「出来る嫁になっているつもりだし。」

 

 クレアとベノが笑っている。

 

「・・・なあ。すごいドラゴン率の高さじゃね?」

 

「まったくだ。」

 

 焚き火をしながら休んでいるその場には龍王二体、二天龍。そして、龍王クラスと二天龍クラスの怪物が揃っている。

 

「・・・この様子だともう一体の龍王も復活しそうだな。」

 

「ウリトラか。そう言えばアザゼルの奴が復活プロジェクトを立ち上げているらしい。」

 

「そうなの!?」

 

 話によると、戦力の増強は急務らしいのだ。

 

 アザゼル先生は何かをにらんで動いている。平行世界のアザゼル先生との交流で色々と思うところがあるらしい。

 

「あいつ関連の神器。全部集めたらしい。まあ・・・和平を結ぶ前に集まってしまった奴らしい。それを丁重に使う。」

 

 ウリドラの四つの神器に分かれているらしい。

 

 それを一つ。つまり、匙に総て集中させて、復活を促すプロジェクト。

 

「契約のカードは配布済み。これで暴走は何とかなる。ふふふふ・・・どんどんすごいことになっていくわ。」

 

 そして、肉体までもミラーモンスター化させるつもりだ。

 

 クレア達ミラーモンスターが集まってくれたおかげでどんどん死んだり、封印されたはずのすげえ奴らが復活していく。

 

「五大龍王と二天龍が揃ったら、面白い事になりそうだな。」

 

「だが・・・あの二人が動くかしら?ファーニブルはこっちにくることは決定しているけど。」

 

 五大龍王の内一体は・・・アーシアが契約するらしい。平行世界でもそれは確定しているらしく、アザセル先生はそれを早めることにした。

 

「・・・だが、平行世界と同じになることを俺は非常に危惧している。」

 

「右に同じく。平行世界の俺が精神に大ダメージを受けたからな。」

 

 ただ・・・何かすごい問題があるらしい。

 

「・・・ふう。嘆かわしいわ。」

 

「右に同じく。」

 

 相棒達はその問題点が何か決して教えてくれない。

 

 平行世界の俺達も何も教えてくれなかったし。

 

「後二体は・・・片方は一番の若手の癖に現役引退宣言。」

 

「後一体は・・・ずっと寝ているからねえ・・・はあ。」

 

 ・・・なんだ?

 

 龍王ってすごく個性的だな。

 

 若手なのに現役引退?

 

 そしてずっと寝ている?

 

「・・・力の塊だからな、だが、ドラゴンは基本的に己がやりたい事をやっている。良くも悪くも正直だよ。」

 

 ヴァ―リの奴もなんか悟った顔をしている。

 

「・・・だが、それでもヤマタの奴に世話になりっぱなしだな。」

 

 そこで・・・俺達の身内と意外な繋がりも分かったし。

 

 タンニーンのおっさんが教えてくれた。

 

 家で酒造りに情熱を注ぐ日本神話屈指のドラゴン。

 

「あいつのおかげでドラゴンアップルの育成だけでなく品種改良もできた。」

 

「・・・イッセ―。お前の身内はすごいな。色々な意味で。」

 

 ヴァ―リが呆れているのもわかる。

 

 まあ本人はそれで美味しい酒が作りたいと思ったから、参加したんだろうけどな。

 

 現にタンニーンのおっさんの手にはヤマタ謹製の果実酒の樽がある。

 

 あれ・・・特別なリンゴで作った自分達ドラゴンのための酒だと言っていた。

 

「ふっ・・・うまい。早くお前らも成人しろ。そしたら、このおいしさを分かち合える。」

 

 タンニーンは笑って言ってくれる。

 

「まさにドラゴンって感じがするな。」

 

「ああ。」

 

 俺達にとって偉大な先輩。

 

 それがタンニーンに対して抱いた俺達二人の印象だ。

 

 ドラゴンとしてはあんな誇り高いドラゴンを目指したいな。

 

「ティアの事は・・・伯母と呼んだらまずいよな。」

 

「ええ。ドラゴンでも女ですもの・・・えい。」

 

 ティアマットの姿が青い髪をした女性にかわる。

 

「クレア。人化の龍魔法を教えてくれてありがとうね。これで人間界も自由に歩ける。」

 

「ええ。今度一緒にショッピングでもいこうじゃないの!!」

 

「ふふふふ・・・ママ友がふえてこっちが嬉しいわ。」

 

「本当にあんた・・・こんな便利な奴があったら早く教えて欲しいわ。」

 

「・・・本当はブランカの魔法なのよ。」

 

『・・・・・・・。』

 

 その光景を最大級の脅威と見ているのだろう。

 

 俺達の相棒達が頭を抱えている。

 

 最強にして最凶のママ友がどんどん増えて行く。しかも、その一人は彼らの幼馴染で姉みたいな奴。逆らえない唯一の相手だ。

 

「まあ、昔のよしみで愚痴位は聞いてやる。俺の息子も世話になっている。改めて挨拶させてくれ。これだけの面々と友になれるのはいい刺激になる。」

 

 タンニーンのおっさんも黒髪のダンティな男に変身しましたよ。そして同じく人に変身した相棒達を慰めている。

 

「・・・お前の息子か・・・。」

 

 遊んでいる子供たちに交じっているのは黒いドラゴン。赤い瞳が特徴的だ。

 

 通称レッドアイズと呼ばれているらしい。ラッセ―とすごく仲がいい。

 

「本当に新たな世代のドラゴンが次々と生まれていくな。」

 

 ドライクとアルビオンはしみじみと見ている。

 

 集まっている子供達は間違いなく未来で大成する程の規格外の存在ばかり。

 

「本当に教育が重要ね。」

 

「うん・・・。」

 

 親ドラゴン達は教育の重要性で完全に一致している。

 

 新たな世代のドラゴン達は世界の守護者となるのか、邪竜となり世界を破壊する存在となるのか大切な時期になるのだから。

 

 そのための子供たちの交流でもあった。まあ・・・友達同士になれば大概の事は何とかなるというアドバイスをグレイフィアさんと俺の母さんからもらったらしい。

 

 まあ、グレイフィアさんはミリキャス。母さんの場合は、俺という実例があるし。

 

 その結果・・・いい子に育っている。

 

 個性的になるのはもうどうしようもない。むしろそれでいい。

 

 

 

 

 その次の日は、先輩ライダーの本郷先輩と一文字先輩の二人。

 

「へえ・・・ハーレム王っておまえなあ~。」

 

「ははは・・・だが、本郷、お前も若い時はすごくモテていたじゃねえか。」

 

「・・・お前もな。一文字。」

 

 このお二人。すごくモテていたらしい。

 

「意外だな。意外とそう言う軽い部分もあるのか?」

 

「まあ、あの時は俺も若かったということだ。」

 

 意外と気さくなお二人。

 

「なあ、お前達はどうして戦う?」

 

 だが、本郷さんが急にまじめな顔をしてこっちに問いかけてきた。

 

「名誉のためか?それともハーレム王や、皆の王になりたいという欲のためか?」

 

「・・・・・。」

 

「お前達は力をえた。それもこれからさらに大きくなるであろう危険な力だ。それを・・・。」

 

「いや・・・そこまで難しい事は考えていません。」

 

 だが、それに対して俺達は明確な答えは出せていない。

 

「俺は新しい神になるという目標はある。そして、俺の母を殺したあいつに対する復讐もある。その気持ちはある。」

 

 ヴァ―リの奴もうなる。

 

「でも・・・そんな難しいことじゃないんです。俺達が闘う理由、強くなりたい理由は。」

 

 俺とヴァ―リは根元が似ている。俺がエロく、ヴァ―リはその辺はそっけないという明確な違いはあってもだ。

 

「まずライバルがいる。共に高め合いたい奴がいる。そして・・・守りたい奴らが、助けたい奴らが大勢いる。」

 

「あいつらの居場所を守るために力を高めてきた。強くなってきた。それはこれからも変わらないだろうな。フッ・・・俺も甘いものだ。力に取りつかれてただ戦いに明け暮れる事も考えたが・・・俺の目標はそれじゃたどりつけない。」

 

 俺達はライバルだ。共に神の後継、白龍神帝になるというどこか似た目標を持つ。

 

「俺達はそのまあ・・・未来を勝ち取るために戦う。自分達だけじゃなく、みんなの未来のために。」

 

「・・・俺が知る限り、俺のチームの面々はどれも元いた世界の脅威となって死んだやつらだ。どうしてこの世界に来たか分からないが、あいつらの居場所を作ってやれたなと思って、そのためにも今の目標を貫くことにしている。」

 

 俺達が闘う理由は一つだ。

 

『みんなの未来を守るため。そして勝ち取るために俺達は強くなる。』

 

「・・・ふっ。そうか。」

 

「未来か・・・まだ若いが、良い答えだ。」

 

 二人の先輩が俺達を眩しそうに見たのは何故だろう?

 

「お前達の中には確かに「人」としての魂が根付いている。なら・・・大丈夫だな。」

 

「だが、規格外の後輩だと色々と苦労しそうだぜ。」

 

 そう言っている間にできた。

 

「よっし。ヴァ―リ手伝ってくれ。」

 

「ああ・・・しかし料理というのも奥が深いな。」

 

 このサバイバル生活でヴァ―リに簡単だが料理も教えることにした。

 

「先輩たちもどうぞ。この森でとれた食材に米を使ったカレ―です。」

 

「ほう。ではいただこうか。」

 

「どんな味かなっと・・・。」

 

 サバイバルしながら俺達は色々と学ぶ。

 

『うまい!!』

 

 先輩達がどんな思いで戦ってきたのか。

 

 どんなふうにして窮地を脱してきたか。

 

 

 

 

 

 SIDE  アザゼル。

 

 修行開始から二週間。

 

 俺は天道達から成果を聞いて唖然としていた。

 

「まじか。まさか第三の能力を二人とも発揮しているのか?」

 

 聞くに、アギトなら神器の奥に封印されたそれぞれの相棒の能力に行きつくことができるのではないかと思い、立花さんが提案したみたいなのだ。

 

 寝る前の一時間の瞑想による神器の中の探索。その成果だそうだ。

 

 平行世界のあいつらがやっていた事を自分自身でやってみたというのかい。

 

 それもお互いに力を取り込みあった影響もあるって・・・おいおい。

 

 能力三つって・・・上位神滅具クラス確定の所業じゃねえか。

 

 本当にアギトってやつは・・・。こちらの常識をとことんぶち壊す。

 

「現在四つ目も開発中だそうだ。」

 

 あいつら・・・どこまで強くなる?

 

「二人のコンビネーションが凄まじくてな。俺達を驚かせる達人だよ。」

 

「一日十回以上は意表を突かれる。」

 

 あの二人、根っこが似ている気がした。それ故か。

 

 赤と白のコンビ・・・。ふふふ・・・ダブルアギトライダーの誕生かい。

 

「二人は新能力を開発した。倍化と半減。それぞれを応用させた・・・な。あれには流石に驚かされた。ふふふ・・・。でもすごく嬉しいよ。」

 

 天道の奴が驚いたって・・・何をしたんだ?あいつら。

 

 天道はすごく満足そうにわえらっているし。

 

「だが・・・一番の成果は、基礎能力のアップか。俺達がみっちりしごいた甲斐がある。二週間のサバイバル、あいつらはたくましくなった。お前さんの狙いであった新たな力・・・楽に制御できるほどにはな。」

 

「言うなれば俺達の後継者。技の赤龍帝と力の白龍皇ってところだ。ドラゴンライダーの一号、二号ってか?」

 

 ・・・マジであいつら、一号ライダーと二号ライダーから受け継いだっていうのかい。

 

「変身しなくても・・・神器なしで並の上級悪魔なら楽に倒せるぞ?」

 

 ・・・そりゃすげえ・・・な。

 

 あれ?なんか思った以上に強くなっていないか?

 

 変身も神滅具無しでそのレベルは流石に想定外・・・。

 

「ふう・・・アギトとしてもまた一段、進化のステージを上げたと思っていいよ。」

 

 そして、アギトに変身していた彼もまた現れる。

 

 変身を解いた彼は軽く肩を鳴らす。

 

「しかし・・・お前自らが修行の手伝いを買ってくれるなんてな。」

 

 俺だって驚いている。

 

「強力なアギトの台頭。多分、使徒たちが動きだすと思う。その対策をしておきたい。」

 

 変身していたのは翔一。イッセ―の父親にして異世界から来た最強のアギト。

 

 その翔一が懸念していることがあるのだ。

 

「十二体のエルロードか・・・。」

 

 アギトに等しい存在である神に仕えし最高位の使徒である十二体のエルロード。

 

 水、風、地、氷、雷、大空、大地、呪毒、燐光、深淵、幻、理 の十二体

 

 それぞれ主神クラス以上か、それを超えるような化け物と聞いている。

 

 だが、姿を見せた事はなく伝説となっている。

 

「グレゴリで一通り、アギトの神話を調べておいたぜ。光の神と共にもう一つのアギトの始祖。・・・十三体目の「火」のエルと言う存在もな。」

 

 本来なら十三体いたが、ある理由で十二体になっている。

 

 十三体目って辺りがすごく因果だが。

 

「・・・そこまで調べたか。」

 

「もともと研究者気質だったんでな。ある意味本郷、一文字。おまえさんと同じだな。アギトって奴は。敵対する存在と同じ力を持つという意味じゃあな。」

 

「・・・そうだな。仮面ライダ―の業をな。」

 

 一号ライダーの業。それは彼が元々はショッカ―の改造人間だったということ。つまり敵として闘った存在と同じだったという点。

 

 そして、それはアギトも同じ。

 

 火のエル。それが行方不明の十三体目のエル。

 

 それが光の神と共にアギトの始祖と言える存在と知る人間はほとんどいない。

 

 今はもういない光の神。

 

 その光の神と火のエルが結ばれ、その子が人と交わることで広まったのだ。

 

 それこそ燃え広がる火のごとく。しかも、同じ現象が異世界でも起きていた。

 

 それを知っているのは先祖がえりのごとく光の神に限りなく近くなった最強のアギトである翔一とそれを調べ上げた俺。そしてこの場にいるメンバーくらいだろう。

 

 まさに炎の十字架(クロス・オブ・ファイヤー)か。

 

 そんなアギトの始祖と同等の存在と戦うことになる可能性は極めて高い。

 

「・・・だが、あいつらは諦めることはしない。」

 

 天道の奴は断言する。

 

「その試練を乗り越えるのもまた神としての試練だろう。だが、あいつらは一人じゃない。だからこそ・・・。」

 

 俺達は出来る限りの事をする。

 

 あいつらという希望を守るために。

 

 

 

 

 

SIDE ほむら

 

 

 私は今・・・この世界の創造神の一人である闇の神と対峙している。

 

「・・・へえ。あなたの部下までいるなんて。」

 

「彼らは力を持ちすぎた。並のオーバーロードではもう歯が立たないレベルにまで。」

 

 たしかにね。

 

 アギトと言う存在は私も知っている。

 

 彼の同胞であった光の神の力。

 

 そして、こっちはほとんど知られていないが、彼の直属の部下であった存在の因子も入った存在だと。

 

 それがこの世界で力の塊と言えるドラゴン達の力を合わさり、あまつさえもう一人の神の遺産である「神滅具」を持っている。

 

 そんな化け物。並のオーバーロードじゃ、歯が立たないどころか、瞬殺されるわ。

 

 現に彼はオーバーロードを幾重も派遣はしている。それも一体二体のレベルではなく一度に百単位でだ。

 

 でも・・・アギトどころか、その仲間達に瞬殺される始末。

 

 あの街は本当に可笑しい。私が観測しただけで様々な力が集まってきているのだ。おかげで並のオーバーロード程度じゃ誰も近づけない魔境となっている、

 

「新たな光の神になりえるアギト。そして、それに惹かれて集まった力すべてを根絶やしにします。その親、親戚も問わず・・・。」

 

「我が主の意のままに・・・。」

 

 隣にいる水のエルが頭を下げる。私から見ても水のエルは・・・化け物としか思えなかった。

 

 その力・・・・・・龍神クラスは確実。

 

 その彼がもうすぐ暴れようとしている。

 

「・・・あまり勝手なことはしないでほしいわ。」

 

 だが、私はそれが気に入らない。

 

「あなたの都合であなたは・・・自分の子供を殺すの?」

 

 この世界の人間の祖である目の前の神。

 

「・・・あなたは恐れているのはわかるわ。人間達の中であなたを脅かす存在が出た事に。私から見てもあれは脅威だし。」

 

「それが分かっているのなら・・・。」

 

「でも・・・あなたの愛ってそんな程度なの?」

 

 私はあえて告げる。

 

「ッ・・・あなたに何が・・・。」

 

「少なくてもこの世界は貴方の脅威となる存在だらけよ?私だってそうだし。」

 

 それでも私は思うのだ。

 

「その程度で神様名乗るな。」

 

 神様を名乗るならこれくらいの脅威は受け入れろと。

 

「あなたもそうではないのか?」

 

「私は神になったつもりはないわ。だって私は異世界の悪魔よ?誰が神っていったのかしら?まあ・・・神としたらせいぜい邪神がいいところだし。」

 

 私は神になったつもりは微塵もない。

 

「・・・それだけの力をもって、神ではないというのですか?」

 

「ええ。私の目的は一つだし。皆に愛を注げない、私が神を名乗るわけないでしょう。」

 

 神になるのなら皆に愛をね。

 

「あなたの愛ってなんなの?」

 

「・・・・・・・。」

 

 その問いに闇の神は押し黙る。

 

「まあ・・・そう言った意味では新たな神の後継はいいのかもしれないわね。あの子・・・あれだけ多くの力と心を惹き寄せる。それはある意味カリスマと言えないかしら?」

 

 この世界は新しい神話が始まっている。

 

 最も・・・私の探し人と関係あるとは思えないけど・・・。

 

 

 

 私は後にその考えが大きな間違えだと知ることになる。新たな神の候補がまさか・・・。

 

 

 

SIDE イッセ―

 

 俺達は一度グレモリ―宅に戻っていた。

 

 そして、そこで・・・。

 

「小猫ちゃんと黒歌が倒れた!?」

 

 という衝撃なニュースを聞く。

 

 そして、俺は急いで向う。

 

 そこにはベットで寝かされた小猫ちゃん。

 

「・・・あっ・・・すまないな。」

 

 それに寄り添っていたのは鋼兄だ。

 

「・・・鬼になる前に一つ壁にぶつかってしまってな。」

 

 鋼兄は言う。

 

 小猫ちゃんの心の奥底に・・・ある恐怖があり、それが彼女の鬼への変身を妨げているのだ。

 

 その反動で鬼に変身できず倒れたのだ。

 

「・・・私のせいにゃ・・・。」

 

 起きあがった黒歌が弱々しげにいう。

 

「私の暴走が・・・小猫に大きな傷を作った。それが・・・。」

 

「お前のあの時の選択は間違っていない。」

 

 うなだれる黒歌。

 

 ・・・あれ?どうして黒歌は倒れたの?

 

「・・・貧血だそうだ。」

 

 鋼兄はため息をついている。

 

「とにかくお前は寝ておけ。こっちの修行は大方終わった。あとは・・・。」

 

 鋼兄の視線は小猫に向けられる。

 

「義妹の壁だけだな。」

 

 鋼兄はため息をつく。

 

 そして、黒歌は再び寝る。

 

「すまない。俺はサイラオーグ達の修行を少し見る必要があるここは任せてもいいか?」

 

「わかった。」

 

 俺の身内である二人を見てやる事くらいどうってことない。

 

 あっ・・・ついでだから・・・。

 

 

SIDE 小猫

 

 私はいいにおいと共に目を覚ました。

 

「おっ・・・起きたか?ちょうどいいな。」

 

 そこには笑顔のイッセ―先輩がいた。

 

「・・・・・・・。」

 

 そのイッセ―先輩を見て私は二つの意味で驚く。

 

 まず・・・目を覚ましたらすぐにイッセ―先輩がいるという事実。

 

 もう一つは・・・。

 

「先輩・・・すごく強くなっている。」

 

 私は分かってしまったのだ。

 

 イッセ―先輩が修行開始前よりも遥かに凄まじい力を得ていることに。

 

「まあ、お腹すいただろ?」

 

その言葉に何故か驚きながらも、先輩は雑炊を作ってくれたのだ。

 

「まあ、猫舌だから、キチンと覚ましてある。安心しろ。」

 

 ・・・細かい気遣い感謝・・・かな?

 

 

 

 

 私は鬼への変身が失敗したことを思い出し、食事の後落ち込んでいた。

 

「・・・・・・。」

 

 まあ、食事が美味しすぎて忘れていたというべきか。先輩の食事は相変わらず凄まじい魔力がある。

 

「・・・大まかには聞いている。」

 

「私がして来た事って・・・無駄だったのかな?」

 

 私はぽつりとつぶやく。

 

 化け物ぞろいの眷属の中で私だけ普通。

 

 ・・・どこかで誰か「どこが普通?」って言った気がするけど、私はそう思っている。

 

 ずっと追いつきたいと思っていた。

 

 平行世界の私から話を聞いて、希望も持てた。

 

 でも・・・でも・・・。

 

 でも、先輩は私の頭を優しく撫でていう。

 

「いや、小猫ちゃんもすごく強くなっている。」

 

 なんで?

 

「俺が具体的にどれだけ強くなっているのか?それが分かったから。すごく仙術の制度が高くなっている。」

 

・・・言われてみれば・・・。

 

 私、いつの間にかそれを当たり前のように感じている。

 

「まず、無駄じゃないって。小猫ちゃんが積み重ね来た努力は着実に実を結んでいる。それは俺が保障してやる。」

 

「・・・・・・。」

 

 私・・・強くなっているんだ。

 

 でも・・・目標としていた鬼への変身が・・・。

 

「う~ん。」

 

 先輩は私の頭を撫でながら悩んでくれる。

 

「怖いのは仕方ないって。」

 

 その上で私の中の恐怖を肯定してくれたのだ。

 

「いい機会じゃねのか?」

 

 それで言ってくれたのだ。

 

「怖いのは悪い事じゃない。だからこそ・・・。」

 

 私の恐怖をやわらげる魔法の言葉を。

 

「答えを見つけるべきだと思う。そこにある大切な答えを・・・何に恐怖し、それをどうしたいのかって。」

 

「・・・・・・。」

 

「まあ、姉妹同士、そこら辺じっくり語らっておけ。」

 

 その一言に、隣のベットで寝ていた姉様が大きく震える。

 

・・・・・・起きていたんですね。

 

「それに何かあったら俺が絶対に助けてやる。絶対に。」

 

 ・・・・・///!?

 

 そこで私は平行世界の私が言ったもう一つの事を理解する。

 

 どうして先輩のお嫁になりたいのか?

 

 駄目だ・・・こんなことを言われると・・・。

 

 

SIDE 黒歌

 

 ・・・あんにゃろ・・・。

 

 私の可愛い妹のハートを射止めやがって。

 

 何故分かるのか?部屋から出て行くイッセ―の背中を顔を赤らめ、呆けた様子で見る様子を見れば誰だってわかるにゃ!!

 

 それでも悔しいけど、賽は投げられちゃったね。

 

「ねっ・・・姉様!?」

 

 それを私にじっくり見られていることに気付いた私の妹は・・・顔を真っ赤にさせる。

 

「・・・はあ。でも、感謝するにゃイッセ―。」

 

 どうやら問題の解決策はそこなのね。

 

 私はベットから起きあがる。

 

「少し外に出ようか?」

 

「・・・はい。」

 

 

 

 私は白音、もとい小猫と共に屋敷の外で散歩。

 

「ねえ・・・。私はねえ・・・後悔はしているにゃ。」

 

 私は告げる。

 

「後悔って・・・。」

 

「色々とにゃ。あの時はそれが一番いいと思っても、結局後になってそれは白音を苦しめる結果だけ・・・。」

 

 私は絶望的な状況の中、必死だった。必死で何とかしようとした。

 

 何とかしたつもりだったにゃ。

 

 それでも・・・白音を苦しめてばかりだったにゃ。

 

 白音だけにゃない。

 

 鋼チンも・・・あの時、死にかけた鋼ちん。私を助けるために・・・。

 

 今生きているから良かったと言える。

 

 でも・・・あの時死んだままだと・・・今でも実はそれが怖くてしかたない。

 

 私はいつも・・・後悔してばかりにゃ。

 

「そんな!!姉様は・・・。」

 

 白音は私に対して強く反論する。

 

「姉様があの時、がんばってくれなかったら私は今・・・ここにいません。」

 

「ありがとうにゃ。」

 

「・・・そうでしたね。」

 

 そして、白音はしみじみと感じている。

 

「・・・・あれは私を守ろうとしてくれたのですね。」

 

「・・・仙術の暴走。怖かったのはごめん。言い訳はしない。」

 

「いや、その・・・私何を怖がっていたのかなって・・・。」

 

 白音の中で何か答えが出たようだ。

 

「・・・なんだ。少し恥ずかしいです。」

 

 そして苦笑する。

 

 それと共に・・・私は感じる。

 

「・・・そうか。また一つ強くなったのね。」

 

 心の成長と共に訪れる妹の成長。それと共に気が一回り大きくなったことに。

 

「・・・あっ。」

 

 そして、白音は私を見て驚く。

 

「あっ・・・あの姉様?姉様のお腹に・・・命の鼓動が・・・。何で今頃。」

 

「そうか。もうそこまで分かる位に成長したか。にゃははは・・・嬉しいにゃ。」

 

 私はお腹をさすっていう。

 

「そう・・・私が貧血になったのはこのせいにゃ。」

 

「まっ、まさか、赤ちゃんですか?」

 

 白音は口をパクパクさせている。

 

「うん。そうにゃ。ついに・・・。」

 

 そこまで言いかけて。

 

「何やっているんですか!?」

 

 っと白音が怒鳴りつけてくる。

 

「えっ?えっ?」

 

「速く鋼鬼義兄さんにいわないと!!姉様・・・まだ言っていませんね?」

 

 あれ?すごく必死。

 

「何故でそんな必死なの?って、顔しないでください!!姉様の事だからまだ鋼鬼義兄さんに言っていないでしょ!?迷惑かけたら嫌だからって!!」

 

 うぐ・・・痛いところを・・・。

 

「めでたいことですよ?すごくうれしい事なんですよ?姉様が・・・そして義兄さんが待望していた子供・・・義兄さんの迷惑になるわけないじゃないですか!!」

 

・・・・・・・。

 

「姉様。急いで義兄さんの所に行きましょう。」

 

 そう・・・だったね。

 

 鋼チンも望んでくれていたこと・・・だよね?

 

 私との子供ができる事は。

 

 だったら・・・。

 

「さあて・・・いよいよお仕置きタイムだな。」

 

『!?』

 

 私達は悪意に気づく。

 

 私はその悪意を放つ男を見て固まった。

 

 白い髪に、赤い肌をしたあいつを忘れるわけがなかった。

 

「あんた・・・。」

 

「よくも俺に大怪我を負わせたあげく・・・はぐれ悪魔にしてくれたな。」

 

 それは私達にとって大変因縁深い相手。

 

 ジャルバ・ヴァルゴ。

 

「その仕返しにきた。さあ・・・姉妹ともども覚悟しておうか。」

 

 背後に三人現れる。

 

 それは・・・。

 

「さて・・・じゃあ仕事だ。」

 

「さっさとやりますか。」

 

 あの時のテロ事件で暴れまわった二体のファントム。

 

 フェニックスとクレムリン。

 

 そして・・・五大ギアの一つ、デルタの所有者・・・ドラゴンオルフェノク。

 

 二体のファントムが腰にベルトを出現させ、指輪をそこにかざす。

 

――――――トランスポート・・・ナウ!!

 

 それと共に私達は転送されてしまった。

 

 

 

 

SIDE ???

 

 一足遅かった。

 

「ちぃ・・・まずい。」

 

 僕達が駆け付けるのと同時に二人は攫われてしまったのだ。

 

 そこに現れたのはエイジさんも悔しそうな顔を浮かべる

 

 手からメダルを出すとそれが赤い空き缶にかわる。

 

 その空き缶がさらにトリへと変化。

 

 その鳥に監視させていたのに・・・。

 

「ミリキャス君・・・あいつらの転送した位置はこっちが把握する。だから他の皆にこのことを・・・。」

 

 そして、エイジさんは後ろを見て笑顔をひきつらせる。

 

「必要なかったみたいだね。」

 

 そこには必死の形相でやってきたイッセ―さんとヴァ―リがいた。

 

「・・・アギトの勘か?」

 

 イッセ―とヴァ―リはアギトの直感。

 

 そして・・・そのあとには・・・。

 

「・・・・・・。」

 

 鋼鬼さんはおそらく蟲の知らせみたいなものだろう。

 

 やってきていた。

 

 しかも・・・凄まじい怒りのオーラを漏らしながら。

 

「・・・位置は把握している。三人とも・・・協力者がいるから彼女に。」

 

 だが、その言葉を遮るように現れる者がいた。

 

「邪魔・・・させない。」

 

 それは・・・無数のヤミ―だった。

 

 そのすべてがバッタ人間のようなヤミ―とカマキリ人間のようなヤミ―だった。

 

 ヤミ―だけじゃない。

 

 巨大な何かも召喚される。昆虫型の巨大ヤミ―。

 

「お前ら・・・邪魔させない。復讐のジャマ・・・させない!!」

 

 その叫びと共に巨大ヤミ―が一斉に襲いかかってくる。

 

 だが・・・。

 

「喝ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 

「!!!?」

 

 それを一喝でふっ飛ばす方がいました。

 

 爆音のような衝撃と音声。それで地面がえぐれる。

 

 それを受け・・・まるで突風にまき散らされる木の葉のようにヤミ―達が吹っ飛んで行く。

 

「・・・どこだ?」

 

 まあ、それが誰か想像に難しくない。

 

「・・・二人はどこにいる?」

 

「・・・また転送したか。でもすぐに見つける。」

 

「頼む。」

 

「がっ・・・ぎっ・・・。」

 

一喝だけで戦闘不能にされたヤミ―達はメダルにかわる。

 

 イッ・・・一喝だけって無茶苦茶にも程が・・・。

 

「鋼兄・・・おちつけとはいわん。だが・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

 無言の鋼鬼さん。

 

 オーラだけで分かる。

 

 やばい・・・と。

 

「・・・お前がそこまで怒るのは初めて見る。だが・・・仕方ないか。俺も力を貸す。」

 

 追跡魔術にヴァ―リさんが手を貸してくれる。

 

「助かる。」

 

「すまないがイッセ―、譲渡を俺とエイジさんに頼む。処理速度を加速させる奴で。」

 

「わかった。後相棒達も呼ぶぞ!!こうなったら総力戦だ。グレイフィアさんのゼ―ルズ達の力も・・・。」

 

 この二人・・・本当に良いコンビになって・・・。

 

―――――エイジさん。僕の仲間もまぎれています。

 

 僕がが念話で語りかける。

 

―――――何とか時間稼ぎをさせます。

 

 

 

「こっちも一応、黒歌ちゃんの事は聞いているんだ。かなり苦労して今の幸せを掴んでいることに。その幸せを・・・身勝手な欲望でつぶさせない。俺も欲望の王の一人として・・・それだけは絶対に許せない!!」

 

 エイジさんの言うとおりだ。

 

 黒歌さんは幸せになるために相当な苦労をしてきた。

 

 それをこんな形で終わらせない!!

 

「・・・・・・・・・。」

 

 あと・・・二代目荒神が暴走寸前なのもあるけど。

 

 すごく怖いです。

 

 




 すっかりダブルライダーかするイッセーとヴァ―リについて皆さまどう思いましたか?


 あと小猫ちゃんの最大の壁到来です。ある意味原作に近い形です。

 其れを乗り越えるのは・・・新たな命がカギになります。


 今回の投稿はここまでにします。


 今日間に合えば、一周年記念第二弾・・・イギリス編を出したいと思います。


 ではまた会いましょう!!

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