赤龍帝の幼なじみ達   作:THIS

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お待たせしました、五章はじまりです。たった二話しか書けませんでしたが投稿したいと思います。

 まずは・・・リクエストがあったエピソードも入った話です。




第五章 冥界合宿のヘルキャット
いよいよ夏休み開始です!!


SIDE 一誠

 

 一学期の最期のHRが終わる。

 

「あぁぁぁぁぁ・・・終わった終わった!!」

 

 俺は長い一学期が終わったことをまだ実感していなかった。

 

 そりゃ、今まで生きた中で最高に濃い一学期を過ごしたからだ。

 

 元々普通じゃないのは分かっていた。でも、己を鍛えながらそれなりに平穏に暮らしていたのだ。

 

 それが春、突然俺は死んだ。

 

 そこから部長と出会い、復活し、アギトとして覚醒。

 

 そこからはもう、修羅場と摩訶不思議なアドベンチャーの連続だった。

 

 幼馴染達と次々と再会。

 

 普通なら死なないといけないはずの冥界にも行きました。

 

 何故か列車に飛び込んで時すらも超えました。

 

 魔王を初めとする化け物達とたくさん遭遇しました。

 

 戦って、何とか生き残ってきました。

 

・・・・・・・・。

 

 時を超えた時点でもう濃さがわかってくれるよな!?全人類で時間を超えた奴なんているのか?

 

 あっ、ネロや良太郎、ゼノヴィアを忘れていた。

 

 ダンテ様も超えたらしいし。

 

・・・意外と俺の周りで時間を超えた連中が多いな!!

 

「・・・お前、この一学期のことを思い返しているだろ?」

 

 ネロが呆けている俺に話しかけてくる。

 

 何で分かる?

 

「・・・お前という人間がどれだけ分かりやすいか、他の皆にも聞いてみろ。」

 

 しかも、戸惑う俺に投げやりな言葉をかけてくるし!!

 

 他の皆も苦笑していやがるし。

 

「そこがいい所なんだがな。お前は一生そのままでいてくれ。その方が面白い。」

 

 鋼兄は一応フォローしてくれている。

 

「こっちとしては、それもまた興味深い。」

 

 ヴァ―リが不敵な笑みを浮かべている。

 

「なあ、イッセ―。」

 

 松田が俺の方を見ていう。

 

「お前の知り合い、すごい勢いでこのクラスにやってきていやがるな。」

 

 俺の知り合いか・・・確かにそうだ。

 

 元々このクラスは同じ学年でもなぜか少なかった。

 

 学校の先生曰く「なんか少ない方がいい気がした。」と言っていたらしい。

 

 そして、その予感は的中する。

 

 何しろ、俺の関係者が全員このクラスにやってきやがったしな!!

 

「もう俺達の中で『転校生=イッセ―の関係者』という図式が成り立っているぜ。」

 

 元浜の言葉に話を聞いていた他の連中までうんうんと頷いていやがる。

 

 おかげでこのクラス。転校生の歓迎がすっかり慣れた。

 

 

 

 巧とユウナ、良太郎とゼノヴィアの転校の際なんて・・・。

 

「・・・乾巧。まあ、よろしく。」

 

 巧はぶっきらぼうに自己紹介。

 

「木場ユウナです。みんな仲良くしてね!」

 

 ユウナは礼儀正しく、はきはきと。

 

「ゼノヴィアだ。以上。」

 

 ゼノヴィアは・・・ざっくりだ。

 

「姉さん・・・ざっくりしすぎ。えっと良太郎です。みんなよろし・・・。」

 

 その際、良太郎のセリフを途中で遮ったクラスの反応が・・・。

 

『イケメン(美少女)キタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

 もうクラス中のテンションはアゲアゲである。

 

 なんか弦太郎を思い出したのは俺だけか?

 

 いや、ネロや渡、アーシアと視線を合わせるが同じことを思ったみたいだな。

 

 アギトの直感舐めるなよ!!

 

弦太郎のキャラが濃すぎた故に頭に残っているだけかも知れんが。

 

『・・・・・・。』

 

 遠慮も無い反応に驚く転校生の四人。

 

「はいはい。皆落ち着きなさい。」

 

 すっかりこのクラスの担任となったキリエさんが皆をなだめる。

 

 でも、テンションが上がり過ぎたのかみんなは騒がしいまま。

 

「あの・・・。」

 

「やれやれ・・・ふん!!」

 

『ビクッ!?』

 

 凄まじい音で手が鳴る。まるで巨大な風船が破裂したかのような、爆音でだ。

 

 それをやったのはネロの仕業だ。パワーで手を叩いたのだろう。

 

「・・・・・・静かにしてやれ。」

 

 その一言で皆が静かになる。

 

「ネロ・・・。」

 

「いいから話を続けな。」

 

 ちなみにそんなことは一度や二度じゃない。

 

 副担任のキリエさんのフォローをしていたのだ。その結果。

 

「さすが委員長。」

 

 今やクラスの委員長だ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんでだ?」

 

 ひねくれ者のネロが委員長をやることになるなんて誰が思ったか。

 

 本人も深く嘆き、今でも色々と納得できず悩んでいるが、俺は絶対に同情しない。

 

 あいつの愛しのキリエさんをフォローしようとしてそうなったんだからな!!

 

 好きなだけいちゃいちゃしやがれ!!その関係であいつら学校でよく二人きりになっていやがるし。

 

 ある意味役得なんだよ!!

 

「まあまあ。なんだかんだいって皆ついてきている。」

 

 サポート役の副委員長は渡だ。色々とフォローがうまい事に定評がある。

 

 まあ、ネロはぶっきらぼうだけどそのキャラに慣れればみんな分かってくれる。

 

 いい意味でこのクラスをまとめているのだ。

 

 ちなみにネロは知らないが、あいつが委員長になった背景には・・・ダンテ様の意向があったのだ。

 

 一応人を率いる立場となる。そのための経験を積ませたいと。

 

 建前はそう言っていた。そして、それも大きな理由だと思う。

 

 でも、本音ではただ面白そうだからだと思う。

 

―――アーハハハハッ!!だっ・・・だがあいつが委員長って考えてみるだけでも可笑しすぎて・・・はっ、腹が・・・・。

 

―――――ネロ。お前は本当に変わったな。あのはみ出し者が・・・委員長だなんて。

 

 実は何気なく定期的にネロや巧の様子を俺がダンテ様に通信で報告している。

 

そこで大笑いしているダンテ様と目に涙を浮かべしみじみとしているクレドさんを見ればなあ。

 

「説明省くためにいうが「また」イッセ―の関係者だからな。今回の幼馴染枠は巧とユウナだ。」

 

 そして、ネロがざっくりと言ってくれる。

 

 それと共に・・・。

 

――――またお前の関係者が。

 

 とクラス中の視線が・・・。

 

「お前ら・・・何も言うな。」

 

 ネロの奴。余計なことをいいやがって。

 

「言っておくが、ある方から聞いた情報だ。それが正しければこれまだ増えるらしいぞ?イッセ―関係者の転校生。」

 

『!!!?』

 

「しかも男、女問わず綺麗何処ばかり。みんな・・・イッセ―に感謝でもしておけ。」

 

『ハハハァァァァァ!!イッセ―様!!』

 

 今度は俺に向かって一斉に拝んできた!?

 

 というか、ネロの言うある方って・・・。

 

「・・・・・・エヘ。」

 

 やっぱりお前か。アーシアァァァァァァァァァァァァ!!

 

 て言うか、この先さらに俺関係の転校生が来るってどういうことだ!?

 

―――――仕方ないですよ。予知で見ちゃいましたから。変更も可能ですけど、素敵な予知でしたので私・・・そのままにしておきますね。

 

 律義にアーシアがテレパシーで返答してきやがった。

 

 しかも予知の変更可能って・・・さらっとすごい事を言っていませんか?

 

 まだ来るのか?そう思うと少し憂鬱だぞ。

 

 

 

 まあ、簡単な紹介の後・・・。

 

「そろそろいいか?皆もウズウズしている。」

 

 ネロが壇上にあがる。キリエさんも苦笑しながら頷いている。

 

「さあ、お前ら・・・待たせたな。」

 

 そして、ネロは告げる。

 

「待ちに待った!!転校生への質問タイムだ!!」

 

『うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』

 

 ネロの言葉に皆が歓喜の雄叫びをあげる。

 

 その雄叫びに学校が揺れる位に。

 

 そして、皆が一斉に質問してきたのは一つだった。

 

『彼氏(彼女)はいますか!?』

 

 という質問。それを聞いた瞬間・・・俺はヤバいと思ったね。

 

 だって。

 

「はい~私、将来イッセ―と結婚する予定です。」

 

 と満面の笑みで応えるユウナがいますので。

 

『・・・・・・・。』

 

「兄の佑斗からも何とか許可を得て(強制)きましたので。父様も母様も祝福してくれて。子供は三人くらいは・・・。」

 

 そして、男子共の殺意が俺に集中する。

 

「なあ・・・イッセ―。お前、最近調子のり過ぎじゃねえか?」

 

 元浜が俺の肩に手を置く。

 

「話をさせてもらえないか?どうやったらあれだけの美少女にべたぼれに?アーシアちゃんといい、お前・・・・お前・・・。」

 

 松田までやってきた。

 

 二人とも・・・すげえ嫉妬オーラを・・・。

 

「にゃはははは。面白いにゃ!!」

 

「これまで入ってきた転校生の綺麗何処は・・・皆彼氏持ちだったしなあ。」

 

「それって誰の事にゃ?」

 

 第一号は黒歌。お前だ!!

 

「黒歌が入ってきた時、俺達は沸いたさ。だがな・・・そいつに夫がいるという事を知った時の衝撃がお前にわかるか!?しかもその夫は、めちゃくちゃ強いし。」

 

 黒歌が結婚している。そのニュースは学校中でえらい騒ぎになったな。

 

「キリエさんという美人教師が入ってきたら・・・今度はすでにネロとの禁断の関係。」

 

「・・・だれが禁断の関係だ?」

 

 余計な事を言った元浜に対してネロが優しく肩を叩く。

 

 本当に優しいタッチだったぜ。

 

「イッ・・・いや~・・・ネロ委員長じゃありませんか?何のことですか・・・?」

 

 元浜が恐怖でガタガタ震えている位に。

 

「夕痲ちゃんは・・・はあ。もう相手がいるし。」

 

 別のクラスにいる夕痲ことレイナ―レはもう言うまでも無い。

 

「下手に手を出すと・・・ハルトという名の魔王の制裁が・・・。」

 

「ほう・・・、君はそんなに僕と語らいたいのか。そうかそうか。」

 

 松田。お前はハルトの地獄耳を知らなかったようだな。

 

 すでにハルトの右手はあいつの顔面を捉えているし。

 

「すまねえ。ちょっとこいつと話があるからつれていくわ。」

 

「俺も。いい機会だ。松田君には新しい世界への扉を・・・。」

 

『ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁお助けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』

 

 凄まじいパワーで引きずられていく松田と元浜。

 

 ネロ・・・お前は同じ名前の暴君みたいになっているぞ?

 

 ハルト。いい笑顔しているな。

 

 頼むから松田にこれ以上変態属性を付加させないでくれ。

 

『・・・・・・・・。』

 

 俺達はそれを見ても憐れみすら感じなくなった。

 

「・・・これがこのクラスか。」

 

 巧はすぐにわかったようだな。そして、これがもう日常なのだよ。

 

『ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

 廊下に響き渡る悲鳴だってな。

 

 教師達も慣れ切ってしまった。

 

「僕・・・うまくやっていけるのかな・・・。」

 

 不安そうな良太郎。

 

―――だったら俺様流を見せてやる!!

 

 そこで良太郎にモモタロスが!?

 

「俺・・・参上!!」

 

―――ゼノヴィア。挨拶とはこうやるものだよ。

 

 あ~そしてデネブまでやってきたか。

 

「みなさん!!どうか僕のことをよろし・・・。」

 

「・・・こんにちは、カオスっていうべきなのかな?」

 

 遠い目をしたユウナ。

 

「俺・・・こんな濃い連中とうまくやっていけるのか?」

 

 巧。がんばるんだ!!

 

 変な連中が多いからこそ、お前のようなまともなキャラは大変貴重なんだ!!

 

 こういったように転校生が来るたびにお祭り騒ぎに。

 

 

 

 

 現代に話を戻すが、本当に賑やか過ぎて毎日大変だ。

 

「そうそうユウナさん、アーシアちゃん、ゼノヴィアさんや。」

 

『?』

 

 桐生の奴が三人に話しかける。

 

「昨日のあれ・・・読んでみた?」

 

『・・・・・・・。』

 

 その質問に三人は少し押し黙った後・・・。

 

 爆発したかのように瞬間的に顔を真っ赤にさせた。

 

「ふふふふふふ・・・アーシアちゃんは分かるけど、まさかユウナちゃんまでここまで純情だったなんて。教えがいがあるわ。」

 

 そうなのだ。

 

 アーシアはもちろんだが、ユウナはエロに関して全く免疫なし。

 

 すごくドSなのに・・・すごく初心なのです!!

 

 しかもそれがすごく可愛いけど、そこに桐生の奴が付け込んできやがって・・・。

 

「・・・桐生さん。僕の妹に変なことを教えないで貰えないかな?」

 

 そこにいつの間にか双子の兄である佑斗参上!!

 

 もうこいつの事を名前で呼ばせてもらっている。ユウナと一緒だとややこしいので。

 

「いや~変なことじゃないよ。ただ・・・無知は罪なだけだから、親切心で。」

 

「だっ・・・大丈夫よ兄さん。イッセ―との将来を考えれば。でっ、でも、あんなプレイがあったなんて初めて知ったわ、ああ・・・いいわ。私SもMもどっちでも・・・。」

 

 顔を赤らめてあたふたしながらとんでも無い事言ってくるユウナ。

 

 いや、言っている内容全然大丈夫じゃないから!!

 

「・・・・・・・・・君とはじっくりと話合う必要がありそうだ。とんでもないことを吹きこんでくれた事について・・・ね。」

 

 佑斗が素晴らしい笑顔で詰め寄っているぞ。もちろん怒りの四つ角が浮かんでいる状態で。

 

「あはははは・・・。イッセ―さん。いつでも私はお口で・・・。」

 

「ストープッ!!それ以上言ってはいけない!!」

 

 危険を感じたのだろう。アーシアの発言をとっさに遮った佑斗、ナイスフォロー。

 

「勉強になる・・・女としての楽しみ方は・・・。」

 

「ゼノヴィア・・・君もか。」

 

 あっ・・・あれ?ゼノヴィアまでまきこまれている?

 

「ああ・・・ツッコミが足りない。」

 

 佑斗がすげえ嘆いているぞ。

 

「・・・僕も桐生さんに話があるんだ。姉さんに変なことを吹きこんだことについて。」

 

 そして、目を座らせた良太郎参上!!

 

 あれは相当怒っているぞ?

 

 良太郎は俺達のメンバーの中で怒らせたくない一人に入る。

 

 無言でキレたら誰も止められない。

 

「きわどい質問ばかり飛んできてね。本当になんてことをしてくれたんだ?おかげでこっちは対応に苦慮していたよ?」

 

「あははは・・・何を怒っているのかな?ふっ・・・二人とも、怖いから・・・ね?」

 

『・・・・・・。』

 

 追い詰められる桐生。

 

「イッセ―君。助けてくれないの?ヴァ―リ君は?」

 

 俺に視線を向けるが・・・俺の場合はむしろ・・・。

 

「佑斗、良太郎。」

 

 二人の肩に手を置く俺。

 

「俺も混ぜてくれ。アーシアに変なことを吹きこんだ事についてじっくりと・・・。」

 

 なるほど・・・納得したぜ。

 

 最近アーシアがかなり過激な挑発をしてきた事に。

 

 最初は下着姿だった。そして・・・昨日は全裸。

 

 それに対抗意識をもやした部長とユウナも同じ様に全裸でやってきたですよ!!

 

 朱乃さんまで途中でやってくるし!!しかも全裸!!

 

「おかげで今日も寝不足だ。」

 

 真っ裸で迫られて・・・俺、相当やばかったぞ!!

 

 手を出すにも・・・その・・・順序ってもんがあるだろうが!!

 

 ある意味良い精神修行にはなったぞ。

 

 ・・・おい。誰かヘタレって言わなかったか?責任を考えないといけないだろうが!!

 

―――――そのままの意味でしょうが。

 

―――――はあ。相棒、お前もそろそろ覚悟を決めろ。熱望していたハーレムだぞ?

 

 あのな。相棒達。いきなり夢叶っても、困ることだってあるんだ!

 

「・・・えっと。」

 

 危機を覚えたのか桐生の視線がヴァ―リにむけられるが・・・。

 

 ヴァ―リはハルトと一緒に語らいながら視線を向けて一言。

 

「自業自得に救いの手はなし。」

 

 バッサリと切り捨てた!?

 

「まっ・・・それが妥当か。」

 

「俺も参加させてほしい。あの時のお礼をまだだった。」

 

 巧がそこに参加。

 

 そう言えば巧も桐生の被害者だ。意外と世間知らずだった故に、とんでもないことを吹きこまれた事が多数。

 

 特に一昨日のは酷かったね。

 

 内容は・・・親しい連中には「おっぱい」とあいさつするということ。

 

 こいつ、それを信じてしまった。

 

 いや~こいつが「おっぱい」と真面目な顔で挨拶してきた時、俺達は固まったね。

 

 何事かとクラス、いや、生徒、教師問わず学校中のみんなが固まった。

 

 あまりの衝撃に俺達の方が異常なのか!?可笑しいのは俺達なのか?そんな風に思ったくらいだぞ!!

 

 オカルト研究部全員で緊急会議を開催したのは言うまでも無い。

 

 アザゼル先生や通信に出てくれたダンテ様ですら混乱させるほどの破壊力。

 

――――――なあ?なんで「おっぱい」という?そんな挨拶があるなんて初耳だぞ?

 

 そこに空気を読まないヴァ―リの奴がストレートに聞いてきやがったもんだから・・・。

 

 あいつ、ようやくそれに気付き、あまりの恥ずかしさに一時部屋に引きこもり。

 

 昨日なんて学校休んだよ。

 

 慰めるのにみんなどれだけ苦労したか。

 

「・・・あははははは・・・。まっ・・・まさかあれほどの事態になるとは思ってもいなかったの。本当に・・・ごめんね?」

 

 それに対する答えは手首を軽くスナップを利かせる仕草。

 

・・・・・・必殺ですか。

 

『・・・・・・・。』

 

 四人で追い詰めてやろう。この罪深すぎるエロの伝道師に冥界へ旅立ってもらうためにな!!

 

「そうか・・・てめえがうちの巧にあんなことをした元凶かい。ふはははははははははははははははははははっ!!」

 

 最後にアザゼル先生が邪悪な笑みと共に登場!!

 

 巧ひきこもり事件はアザゼル先生も相当な心労をうけた。

 

「安心しな。生徒指導室という素晴らしい場所を用意している。みんなでじっくりと語り合おうじゃないか。」

 

 ラスボス先生まで参戦とは、すごく心強い!!場所まで用意してくれました!!

 

 すごく邪悪な笑みが今はすごく頼もしい!!

 

「・・・あっ!!あそこに通りすがり魔法少女ならぬ魔王少女が!?」

 

『何!?』

 

 魔王少女の名に俺達は揃って反応してしまう。

 

 しかたないじゃん!!魔王少女がこっちの身内になってんだし!!

 

 しかも・・・。

 

「あれ?どうしたのみんな?」

 

「ふふふ・・・まだまだ私もいけるわ~。」

 

 サイガの奴がセラ様を連れて本当にやってきてるし!!

 

 セラ様・・・駒王学園の制服似合っていますね。

 

 あなたの妹様よりも違和感ないです。

 

 しかも隣には・・・ツクヨミさんが大人っぽいスーツとキレのある眼鏡をかけ、出来る教師風になっとる!!

 

 しかも俺達が茫然としていた隙に・・・。

 

「さらば!!」

 

 桐生の奴、逃走。

 

『まてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』

 

 そのあと俺達は必死であいつを探した。だが・・・なぜか見つからなかったのだ。

 

「・・・あれ?なんでセラ様を魔王少女って言ったの?」

 

 その違和感に渡だけが首をかしげて。

 

 

 

 

 

 さて、少し時がたって夏休みが始まる朝。

 

 家が一晩でとんでもないことになっていた。

 

「・・・・なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 部屋の外に出ると、廊下が広くなった。

 

 廊下だけじゃない。

 

 外に出てみると家が・・・マンションみたいになっとる!?

 

 いや、むしろショッピングモールに近い。横にもでかいのだ。

 

 屋上なんか、学校のグランドと同じか、それ以上の大きさになるほど。

 

 それに可笑しいのは家だけじゃねえ!!

 

「・・・改装工事やっと終わったわ。」

 

 一仕事終えたといわんばかりのハルト(徹夜明け)

 

「うん・・・いい出来だ。」

 

 感慨深そうに見るポルム(貫徹)

 

「大変愉快な家になったぞ・・・ふふふふ。」

 

 フィリップ(二徹)が満足げな笑みを。

 

「お前達もご苦労さん。その技術、すごく役に立ったよ。」

 

『いえいえ。』

 

 アザゼル先生がねぎらっていたのはゼ―ベス星人ズ。作業服来ていたけど、あいつらも人仕事終えたって顔をしていやがる。

 

 しかも契約のカードによりデフォルメ化した状態だ。

 

 まさかたったこれだけでやったというのか!?改装工事というふざけた形で?

 

「流石ねえ。」

 

「グレゴリの技術、アシュカに集まった冥界の技術と、ポルムが得てきた各世界のテクノロジー。天界秘蔵の秘儀。そして、それを再現できるだけの高度な知能と技能をもった異星人達。」

 

 アーシアに仕えるゼ―ベス星人達は・・・実はすごい奴らだった。

 

 それは戦闘面ではない。技術面でだ。

 

 あいつら四人は元々基地建設、戦艦、兵器製造などの技術屋で、その技術だけでエリートまでのし上がってきたのだ。

 

 四体中二体・・・ガブさんとウルさんは科学者でもある。

 

 本来なら後方なのだが、あの時は仕方なく前線に出た。それが逆に彼らの命を救ったのだ。

 

「お前達もごくろうさんな。」

 

『はっ!』

 

 他にも生き残ったのは大人しいゼ―ベス星人達。

 

 彼らは元々略奪とかは嫌っており、戦闘能力も意欲も低いためにそれで低い地位にいた。だが、それ故に命を救われた。戦闘に役に立たないが、皆・・・何か知らの特技を持っている。

 

 その結果生き残った異端のゼ―ベス星人達二十人もアーシアに仕えている始末。

 

 彼らもアーシアに忠誠を誓っている。命の恩人、居場所をくれた女神として。

 

 計二十四人のゼ―ベス星人達による技術屋集団は今、各世界から注目を集めようとしている。

 

 最近では北欧神話のドワーフ達と交流を持とうとしているらしい。

 

「こいつらを味方にしてよかったぜ。いや・・・研究が進む。」

 

 アザゼル先生は彼らをグレゴリの食客として迎え入れている。

 

 破格の連中をいちはやく早く取り込んだ形だ。

 

 うまいことしやがったと、他の皆は思っている。

 

 アザゼル先生。流石・・・。

 

「でも・・・ここに来てすごく待遇がいい。」

 

「ああ・・・本当に。」

 

 こいつら、契約のカードを利用して、小型、ステルス化してアーシアの警護もこなしている。まあ、それ以外は普通の人間と同じ待遇だ。

 

 それでもあいつらにとっては破格の待遇らしい。

 

「・・・飢え無くて済む。本当に。」

 

「サムスにおびえなくて済む。ああ・・・なんて幸せ。ご飯もおいしいし。」

 

 なんかこいつらがたどってきた経歴を聞くと本当に幸薄かったらしい。

 

 ご飯を作る量が激増したけど、作り甲斐がある連中でこっちも嬉しいもんだ。

 

『ここは天国です!!』

 

「いえいえ。みなさん一生懸命なだけですから。」

 

『はい。アーシア様!!』

 

 寝起きのアーシアを見て皆が膝をつく。

 

 こいつらのアーシアへの忠誠心は半端じゃない。アーシアのためなら命すら惜しまぬくらいの気概までみせているのだ。

 

「・・・まさかあいつらとこんな形で再会だなんてね。」

 

 そこに褐色の肌に銀色の髪をした女性が登場。

 

「もともと、勤勉な部分はあったからな。まあ・・・異端な奴らだけど。」

 

 隣にはノエルさんまで。

 

 気配からなんとなく褐色肌の女性の正体はわかる。

 

 いやしかし・・・信じられない位美人だ。

 

「ダークサムス?いや・・・ダースというべきか?どうした?」

 

『・・・・・・。』

 

「いや・・・、操ったことのある連中がやってきたと聞いてね。一応どんな様子か見に来たのよ。でもすっかり可愛い姿になちゃって・・・。」

 

 操った事があるですと?

 

『ガタガタガタガタガタガタガタ・・・。』

 

 あれ?ゼ―ベス星人ズ達が震えてアーシアを庇うようにして立ちはだかっている。

 

『こっ・・・この方に手出しは・・・。』

 

 なんか恐怖に逃げ出したい気持ちに駆られながらも、主を必死で守ろうとしているような光景・・・。

 

「・・・・・・へっ?」

 

 それを目を点にして見ているダースさん。そのあと苦笑する。

 

「・・・ああ・・・そのね。安心して。あなた達の主には手を出さないし、変なことはしないわ。」

 

「まったく。この世界でフェイゾン汚染による洗脳はするなよ?」

 

「そんなことしてもこの世界じゃ、あまり意味ないわ。それにフェイゾンの量にも限度がある。洗脳を維持していくだけの厖大な量を作り続けるなんてしんどい。」

 

「確かにね。」

 

 ポルムとダースのやり取りを聞きながらゼ―ベス星人達は安堵した様子。

 

「しかし、すごいわ。」

 

 俺達は一晩で変わり果てた我が家を見る。

 

「そりゃまあ・・・俺達のリクエストをすべて叶えたもんだからな。十五階建てだぜ?」

 

 十五階建てですか。しかし横幅が広がっているのはどうしてです?

 

「天界、グレゴリ、冥界、日本神話。特に日本神話勢力が大きすぎね。おかげでうまいこと言ったわ。」

 

「ええ。しっかり話したので無事に・・・。」

 

 部長とユウナ、朱乃さんが悪魔の笑みを浮かべています。

 

 三人とも何をやったの!?

 

 でも、今更触れるけど建物だけじゃなくて、その周りも明らかにおかしくないですか?

 

 いつのまにか裏山もいくつか現れていますし。それも結構でかい。

 

 庭は途方も無く広く、湖までできていますよ?

 

「ふふふ・・・日本神話からは山、それも川と滝、湖もプレゼントです。」

 

 いつの間にかいたアマテラス様がとんでもないことを言っています。

 

 山プレゼントって・・・。水源には困らないわ。

 

「まあ、ある程度ですが、地形を変えることは簡単ですし。まあ、本州の土地を五十分の一だけ広げ、そこに当てただけですし。」

 

 ツクヨミ様が微笑む。いっ・・・いや、簡単というわりにやっていること半端ねえですから!!

 

「しかも男のロマン満載だぜ?何しろ地下もすげえから。」

 

 アザゼル先生がうきうきしている。

 

 地下まであるのですか?

 

「地下は二十階まであるぜ!!あの山の下も実は建造中だったり。」

 

 地下の方がすごい!?しかもまだ何か作っているのかい!!

 

 庭どころかもう・・・。

 

「屋上は庭園になっているぜ!!翔一さんの要望でな!!」

 

「おかげで立派な農園ができたよ。」

 

 屋上は畑。

 

 他に広くなった庭に蔵も見える。

 

「ふははははははは・・・ついに・・・ついに我が蔵ができたぞ!!田んぼも畑もある!!感激だ!!麦もブドウだって、サツマイモも作ってくれる!!」

 

 ヤマタの奴・・・歓喜している。酒の材料を次々と栽培し始めている。

 

 天候操作できるあいつなら美味しいのを作ってくれそうだ。

 

「・・・・・・本当にあのヤマタノオロチが変わりましたねえ。」

 

「ええ。私に農業の知識を乞うなんて誰が思ったか。」

 

 アマテラスさんとツクヨミさんが農業にいそしむ彼を見て遠い目をしている。

 

 あの日本神話で大暴れしたヤマタ。今はツクヨミさんに農業を教えてもらいながら酒作りに励んでいる・・・か。

 

 本当に日本神話が更新されているわ。

 

 ちなみに父さんもツクヨミさんから教えてもらっているらしい。

 

 その関係かツクヨミさん、我が家にほぼ住んでいる状態。

 

 というより、終業式に学校に先生として赴任してくることが決まりやがった。

 

 農業課の先生として!!

 

 ついに神様まで。どんどん学校がすごいことになってくる。

 

「・・・まるで別世界だぜ、」

 

 たった一晩で激変してしまった我が家とその周辺にまだ茫然としている俺。

 

 隣にすむ幼馴染が昔に引っ越してくれてよかった。

 

 あいつ・・・鉱太が見たらびっくりするのは間違いないし。

 

 ちなみに、現世への混乱そのものは・・・大丈夫だろう。

 

 この土地の神様がいるのだし。

 

「さて・・・いよいよ夏休み。みんな、長期旅行の準備をしなさい!!もちろんイッセ―の幼馴染連中も全員よ!!」

 

 あれ?いきなり旅行ですか?

 

「言ったでしょ?夏休みの合宿。冥界への帰省よ!!」

 

 そう言えばそうだった。俺達のための集中合宿。

 

「堂々と冥界にか。フッ・・・楽しみだよ。どこまで強くなれるのやら。」

 

 ヴァ―リの奴もヤル気満々だ。

 

「お前な・・・。」

 

「おっとイッセ―。お前もそうだろ?あの力を使いこなすために必要な合宿だと。」

 

 アギトの新たな進化。紅のアギト。

 

 ヴァ―リは白のアギト。

 

 その力は壊滅的と言える。だが、それを使いこなすレベルに俺達は至っていなかった。

 

「この力もまだ通過点に過ぎない。お前だって分かっているはずだ。それに・・・。」

 

 ヴァ―リはネロの方を見る。

 

「あっちもどうやら面白い力に目覚めているみたいだしな。こっちも負けていられない。」

 

「わかっちまうか。それの披露はおいおいにな。」

 

「それと翔一父様とまどか母様には・・・。」

 

 部長が父さん母さんにあるチケットを渡していた。

 

 

 SIDE リアス

 

「晩さん会・・・悪魔の実態を知るために是非。」

 

 私は翔一さんとまどかさんに冥界へのパスを渡す。

 

 この二人の場合はそれだけで十分なのだ。

 

「やれやれ。大胆な事をするね。」

 

「一応、あなたの家の人達に挨拶したほうがいいのかしら?」

 

「少なくてもお兄様にはお願いします。グレモリ―家は・・・したらお父様もお母様も卒倒しそうですのでもう少し待ってください。」

 

 これでも神様代行しているとんでもないお二人。

 

 本当なら様つけしたいところだけど、二人の意向でそれは無しにしている。

 

「本当なら一緒に冥界いきの列車に乗りたかったよ。」

 

「一度乗ってみたいね。」

 

 いえいえ。あなた達お二人が乗ったらすごいことになります!!

 

 私達若手悪魔の会合にとんでもない方々がやってくる。

 

「・・・私の息子をよろしくね。あの子は私達から見ても規格外な部分があるから。」

 

「アザゼル先生、キリエ先生。ツクヨミ先生もどうか・・・。」

 

「おう。その点はまかせてくれや。」

 

「私達が見守っています。」

 

「しかたないですね。」

 

 オカルト部の顧問としてキリエ先生とアザゼル先生、そして、新たに赴任してきたツクヨミ先生も一緒に行く。

 

 私も一応先生と呼ぶのは、巧君へのあの親馬鹿っぷりのせいでもあるけど。

 

 なんか巧君に親近感を覚えてしまって、それがアザゼル先生と呼ばせてしまうのだ。

 

 

 

 




 いよいよ皆・・・冥界へやってきます。

 そして同時に事件の始まりが・・・。

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