赤龍帝の幼なじみ達   作:THIS

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 大変遅くなって申し訳ないです。

 暑さで完璧にばてていました。


 さて・・・連続投稿第一弾。

 どうぞ!


怒りのドラゴン達です。

 SIDR イッセ―

 

 俺達はただいま正座中。

 

 いや、少し前まで危険な痙攣をおこしながら気絶していたらしいのだ。

 

 そこにさらなる苦痛を与えられ強制的に目覚めさせられ、また苦痛を受け気絶、それをさらに・・・ドS魔王の調教という名の心をへし折る拷問スパイラル。

 

『ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ。』

 

 ハルトのあれを受けて、俺だけじゃなく異世界の俺とヴァ―リですらも震えている。

 

「ふっ・・・ふふふ・・・。この僕が恐怖をうえつけられるなんて。」

 

 それでも異世界のヴァ―リはすごい。そんな事を言うだけ天晴だよ。

 

「あっ・・・危うく何かに目覚めるところだった。」

 

 異世界の俺よ。よかったな。それに目覚めたら後戻りはできないぞ。

 

「ハルト・・・落ちつけ。」

 

 巧がこういう時、救世主に見える。

 

「これ以上やって話を聞けなくなったら意味がないだろう。・・・これくらいで手打ちにしてやれよ。」

 

「ウィ―、しかたないねえ。」

 

 その言葉に俺達は心の底から安堵していた。

 

 いや、ハルトを止められるのはレイちゃんか巧くらいだもんな。ヴァ―リもそうだけど、あいつの場合は、お仕置きを受ける場合が多いからあまり・・・。

 

「誰だ?あいつ?」

 

 異世界の俺の質問に、少し考えて答えておいた。

 

「ラスボス総督先生の息子さん。」

 

『ぶっ!?』

 

 その言葉に異世界のヴァ―リですら吹いた。

 

「あっ・・・アザゼルに息子だと?」

 

「グレゴリの王子様さ。親馬鹿提督の二つ名を持っているくらいに、アザゼル先生は巧を溺愛している。ちなみに俺とグレゴリ幹部の一人であるハルト、巧は友でもある。」

 

 こっちの世界のヴァ―リは簡潔に説明している。

 

「この世界の交友関係は面白いな。」

 

「おいおい。何納得してやがる。」

 

「そうそう・・・ちなみにこいつはネロ。」

 

「はい?なんでデビルメイクライ4の主人公がいるの!?」

 

 あれ?向うの俺がネロを知っているみたいだ。

 

「ちなみにギルスだ。ちょっと変身してみ。」

 

「はあ・・・よっと。」

 

 ネロが変身して見せると・・・。

 

「・・・・・・・・・。」

 

 向うの世界の俺が茫然としていた。

 

「なっ・・・なあ?もしかしてダンテっているのか?」

 

「ああ・・・冥界五大魔王―――スパーダの?そしてネロの伯父のか?」

 

「って、魔王になっているのかいぃぃぃぃぃ!?まさかベヨネッタまでいないよな?いたら悪夢だぞ!?」

 

 何やら頭を抱えているぞ。

 

 ちなみにいるらしいと答えると・・・すごく震えていたよ。

 

 なんか口で「偶然見たゲームのキャラがいるなんて・・・。しかもいろんな意味で濃い連中ばっか。」って言っていやがるし。

 

「・・・巧に・・・ハルト。そうか・・・555にウィザードってわけかい。他にもいそうだな。」

 

「って・・・なんで五大ギアの事を知っている?」

 

「五大ギア?それってカイザにデルタ、サイガとオーガ・・・。」

 

 おいおいおいおい。なんで五大ギアの名前を全部知っている!?

 

 異世界の俺はどうしてそんな情報を!?

 

「君達説教中なのを忘れているのかな?」

 

 とハルトが言った時だった。

 

 突然俺達の背後でドライグとアルビオンが実体化したのだ。

 

『うお!?』

 

――――――なっ・・・なにぃぃぃぃぃぃぃぃ!?

 

――――――この世界の我らは・・・生前の肉体を持てるというのか?

 

「これが生前の姿か。いや・・・まさにドラゴンって感じが。」

 

「ほう・・・見ることができるなんて光栄だ。」

 

 向うの世界の二天龍達が驚いているが、それどころじゃない。

 

 何しろその身体から凄まじい怒気が発せられている。

 

『グルルルルルルルル・・・。』

 

 相棒達がブチ切れていたのだ。

 

「これって・・・まさか。」

 

―――ああ。相棒、二度目見ることになる逆鱗だ。

 

 向うの俺はどうやら今、ドライグ達に起きていることを知っているらしい。

 

「どっ、どうしたドライグ!?」

 

「アルビオン、落ちつけ!!」

 

 俺とヴァ―リは、必死に相棒達をなだめる。

 

「じっとしていられるか。」

 

「ああ・・・我が娘達を狙う奴が出てきた。」

 

「その通りよ。」

 

 そこに紫の髪の女性が現れる。

 

「あの子達が脱走したのは聞いていたが・・・。」

 

「なにぃ!?」

 

 あの子達が脱走?ヴァ―リ!!なんでそんな重要な情報を話さないのかな!?

 

「・・・・・・私の娘を狙うなんて・・・悪い子ね。ふふふふふふ・・・。」

 

 ベノさん、やっぱり怒っていますね。

 

「ベノ・・・頼むから理性は保ってくれ。」

 

「ええ、それでもどんだけ保つかな?自信がないわ。」

 

 女性が本来の姿――ベノスネ―カ―になる。

 

「あなた・・・そこにいたの?」

 

 その上からクレアまで出てきたよ。

 

『・・・・・・・。』

 

 いや、奥様まで怒っていて。

 

「やっぱり、龍騎かよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 向うの俺が頭を抱えて叫んでいる・

 

――――ちょっとまて!!この世界の俺達に娘だと?

 

――――しかも、あの者達はまさか・・・。

 

 向うの二天龍達は仰天している。

 

「この世界ではお前ら、結婚して娘がいるぞ?」

 

「しかも双子だ。」

 

 俺とヴァ―リの言葉に・・・あっちの世界の俺達は眼を点にしている。

 

『こっ・・・子持ちドラゴン・・・。』

 

 異世界とはいえ俺はともかく、ヴァ―リが目を点にする様を見るのは結構レアだな。

 

――――わっ・・・我らに娘・・・だと?

 

――――・・・・・・・・・そんな馬鹿な。

 

 と、向うの相棒は余ほどの衝撃だったのか、言葉を失っている。

 

「しかも奥さんがミラーモンスターってなんじゃそりゃ!?」

 

 あれ?なんであいつはミラーモンスターって言葉も知っている?

 

「・・・この世界って本当に異世界なんだな。はあ・・・ドライグがドラグレッタ―と結婚し、娘がいるってなんだそりゃ!?アルビオンもそうだし・・・ベノスネ―カ―に至っては人間にまでなれるのかい!!」

 

 あとで問い詰めておかないと。

 

「・・・しかし、お前達の娘を狙う奴がいるか。愚かにも程があるとしか言えん。」

 

 ヴァ―リの奴はため息をついている。

 

「許せん。」

 

「この世界に存在することすら認めぬほどにな。」

 

 うおっ、すごく物騒なセリフが。

 

 でもまあ・・・気持ちは分かるかも。

 

「わかった。一緒にとっちめに行こうか。俺にとっても可愛い妹分みたいな奴らだし。」

 

「あの子達がどんな猛者になるのか楽しみでもある。成長を見守っていきたい子だ。長生きする気にもなるよ。」

 

 あの子達が生まれて、すごく賑やかになった。まあ、相棒の家族ならこっちの家族でもある。

 

 ついでに言うと、ヴァ―リも家で暮らしている始末だ。

 

 あいつの見立てだと、オカ研の部室に続き、俺の家は子育ての環境にとてもいいらしい。

 

 そして、あいつのチームまで住まわせてほしいと言っていやがる。

 

 良い住みか位は提供したいからと。あとそのチームの面々が、俺の料理を食べてみたいと熱烈に言っていやがるらしい。

 

 その話を聞きハルトと部長は家の大改装を行うべきと色々と計画しているのは余談だ。アシュカ様とフィリップ、ポルムの奴も設計に加わるらしい。

 

 その際・・・アーシアが不吉な予言を言って二人が頭を悩ませているのを知っている。

 

 その予言は、とりあえず二百人位を前提に考えた方がいいと。その上で五年後にさらに増築をと

 

 なんか、家に他にも色々と集まってくると予知しているらしい。

 

 部長は戦慄し、ハルトはため息ついて俺を見ていた。

 

―――――あんたは一体どれだけ化け物を引き寄せれば気が済むの?

 

 と言いたげな視線と共に。

 

 そんなくだらないことを思い出しながらも俺はドライグ達を見る。

 

「・・・すまない。俺にとっての宝は妻と娘そして・・・相棒だな。」

 

「違いない。友という存在も含めてもいいかもしれん。」

 

 少し怒りを納めたのか、そんな事を言ってくる。

 

 いや、少し照れるな。

 

 ヴァ―リの奴もぶっきらぼうにしながら、それをごまかす。

 

「・・・はあ。しかたねえ。だったら俺も付き合う!!」

 

 そこで異世界の俺まで名乗り出てきた。

 

 なんで?違う世界のことなのに?

 

「おいおい、意外そうな顔をするなよ。お前は俺だ。なら逆の立場ならどうしていた?」

 

 そして考えてから・・・。

 

「・・・・・・フッ。」

 

 思わず笑ってしまう。

 

 確かにそうだ。こういうの放っておけるわけがない。

 

「こっちはその命知らずと戦ってみたいだけだ。」

 

「・・・上等。なら楽しもうか?」

 

 ヴァ―リ同士でも何か通じる物があるみたいだ。

 

「相棒の大切な宝は俺にとっても宝なんだ。宝を守るのはドラゴンにとって本望だろ?」

 

 ドラゴンは宝を守ってナンボでしょう!!

 

「・・・ならお前達、背に乗れ。」

 

「共に・・・我が宝に手を出した報いを与えてやる。」

 

――――こうなったら付き合うか。その娘とやらも見てみたい。

 

――――そうだな。ふっ・・・宝か。我らにもそのようなものがあったら違ったのかもな。

 

 向うの相棒達も感慨深そうにしている。

 

「やれやれ・・・こっちも手伝うとしようか。レイちゃん?」

 

「はいはい。」

 

 その隣ではドラゴンの翼を生やしたハルトと箒みたいな物に腰掛けて空を飛ぶレイちゃん。あの・・・レイちゃんって、堕天使ですよね?自分の翼で飛ばないの?

 

「こっちの方が速いの。」

 

「・・・・・・・・・。」

 

 気安く話す俺とレイちゃんを見て、向うの世界の俺は押し黙る。

 

「・・・・・・あの世界でももし出会いが違っていたら、こういう風になっていたのかな?」

 

――――相棒。

 

 それを見てレイちゃんは手に水晶玉を出現させる。

 

「レイちゃん?一体何を・・・。」

 

 レイちゃんにはまだ隠された力がある。その一つが水晶玉を介しての力。

 

 相手に何があったのか、その経験を映像として映し出すことができる。

 

 もちろん千里眼なども可能だ。

 

―――――メモリー

 

 レイちゃんは指輪を発動させ、それを異世界の俺にあてる。

 

 そして、水晶玉にあちらの世界のレイちゃんがやったことが映し出されていた。

 

 神器を持っていた異世界の俺をだまし、デートとかこつけて殺した事。

 

 助けたアーシアの神器をその命ごと奪い、己が堕天使の提督の愛を受け止めるために利用したこと。

 

 死ぬ前にも・・・だ。

 

 それを見たレイちゃんは納得した様子だった。

 

 それでこいつはレイちゃんを見て複雑な顔をしたのか。

 

「・・・・・・向うの世界の私が酷い事をしたみたいだね。謝るのも可笑しいかもしれないけど、ごめんなさい。」

 

 レイちゃんが悲しい顔をして謝る。

 

 だが、それを見て逆にあいつは笑った。

 

「・・・・・・いいぜ。話して分かった。本当に俺は異世界に来たんだな。」

 

 そこでもう一人の俺はようやく納得した様子を見せたのだ。

 

「あんたは夕痲ちゃんとは違う。何もかも。そうでないと謝ってこなかった。」

 

 相当深い傷を受けているのだろう。それでも・・・。

 

 こいつは前を向いて歩いている。

 

 俺とは経緯は違ってもこいつも傷を抱えながらがんばっている。

 

「あとで色々と語ろうぜ。異世界とはいえ俺なら当然あれを・・・。」

 

「ふっ・・・そうだな。」

 

 俺達の共通の話題、それはもちろん・・・

 

『おっぱいに決まっているよな!!』

 

―――――ガッシ×2

 

『は~い。ここで煩悩を全開にしない。君達の欲望は全開にするとシャレにならない。』

 

 軽い口調でハルトが頭を掴んできましたよ。

 

 もちろん右手で。

 

 しかも分身している。

 

 思うけど、ハルトさん?あなたが分身を使うのって反則だと思うよ?

 

『イッ・・・イエッサー・・・。』

 

 アギトである俺のストッパーがどうやらキリエさんのほかにもう一人いたようだ。

 

 ああ・・・ノーモア総督殺し。

 

 まあ、気を取り直そうか。

 

 お互いに少しはリラックスできただろうし。

 

「さあ・・・ここからは二天龍(俺達)の聖戦(けんか)だ!!あいつらに俺達龍の逆鱗の恐ろしさを思い知らせてやる!!」

 

 俺の声に皆が頷き、四体の龍が怒りの咆哮をあげる。

 

 さて・・・可愛い妹分達を助けにいくぞ!!

 

 俺達は飛び立つ。相棒達の逆鱗に触れた愚か者の顔を拝むために。

 

 

SIDE とあるぜ―ベス星人。

 

 ようやく、あの幼体が大人しくなった。

 

 重武装で身を固めた我ら同士が三百人も戦闘不能になるとはだれが思ったか。

 

 とっておきの巨大ドローンを使ってようやく倒せた。

 

「ううう・・・。」

 

 手足から血を流しながら倒れている三つ首の幼体。翼もボロボロ。

 

 今、他の隊から逃げた他五体を発見。追い詰めつつあると報告がある。

 

 向うは念のために五百人も動員している。

 

 確実に捕獲できるだろう。

 

 さあ・・・こいつを捕獲する。

 

 この星を我らの基地として・・・。

 

「があああああぁぁぁぁ!」

 

 だが・・・あいつばまだ立ち上がっていた。

 

 そしてその口から光が灯る。

 

――――高エネルギー反応を確認。

 

 それは蒼い光。口にエネルギーが集まっているのだ。

 

 あいつはまだ・・・力を隠し持っていたというのか?

 

 重力を操作する力だけでなく、こんな高エネルギーを発することができるなんて。

 

 しかもそいつは三つの首から発したエネルギーを目の前で球状に集束していたのだ。

 

 皆はそれに気づいてパワービームを放つ。

 

 だが・・・あまりのエネルギーに、その余波だけですべて弾き飛ばされてしまったのだ。

 

 そしてあいつはその超高圧エネルギーを我らに向かって解放する。

 

 放たれる巨大なエネルギー球は巨大なドローンを飲み込み消滅させるだけではなかった。

 

 そのまま地面を削り、我が隊の半数を飲み込み、山の向うへ消えたかと思うとその山が消し飛んだ。

 

 凄まじい轟音と共に。

 

『・・・・・・・・。』

 

「がっ・・・ぐっ。」

 

 それを放った幼体は完全に意識を失った。瀕死の状態になったみたいだ。

 

 だが、あれだけの力をこいつは秘めていた。

 

 結果として、あの一撃で力尽きたようだが、おかげで四百人の隊の内半数以上が消し飛ばされたのだ。

 

 合計・・・五百を超える同胞が倒された。

 

 恐ろしいと言える。方針を変更しないといけないようだ。

 

 例え死んでも、その細胞サンプルだけでも十分だ。

 

「がっ・・・ぐっ・・・。」

 

 俺達は手にした武器をその幼体に向ける。確実に止めさせないとこちらが危険なのは今の一撃で分かったからだ。

 

 そして、一斉にパワービームを放つ。しかもチャージした物。

 

 それに加えて無数のミサイルも撃ち込んだ。

 

 だが、この星は想像を遥かに上回る魔境だったらしい。

 

「ウェェェェェェイ!!!

 

 突然割りこんできた地球人が手にした棒きれ、確か「箒」を呼ばれる掃除に使う原始的な用具ですべて弾き飛ばしてくるなんて誰が思ったか。

 

『・・・・・・・。』

 

 一体この星はどうなっているというのだ!?

 

 

SIDE 剣崎

 

 何とか間に合・・・ったわけじゃないか。

 

「ごめん。遅くなった。」

 

 ボロボロのラッセ―を抱きかかえて俺は謝る。

 

「がっ・・があぁぁぁ・・・。」

 

 弱々しい声でラッセ―は応えてくる。

 

「そして・・・よくがんばったな。」

 

 片手で抱きかかえながら俺は、高速で箒でビームやミサイルなどをはたき落とす。

 

 その異様な光景に、向うから怯えと戸惑いが見える。

 

 百均の短い箒も掃除以外に十分役に立つ。

 

『・・・・・・。』

 

 駈けつけていたのか、二人の木場君がやってくる。だが・・・二人ともぽかんと口を開けて呆けていた。

 

「あっ・・・ごめん、ラッセ―を頼む。」

 

 そんな二人に攻撃をはたきながらラッセ―を渡しに行く。

 

 それを受け取る木場君たちだけど、まだ呆けたままだ。危ないぞ?

 

「えっ・・・ええ。はあ・・・やっぱりあなたも人外でしたか。いや、元々人外だったけどさ、こんなのありかな?」

 

「ほっ・・・箒、それも片手間感覚?」

 

 なんか木場君達が驚いているけど、その程度出来なくてどうするの?

 

 この程度なら目視しなくても、いや・・・そもそも目視しないでも片手で全部はたき落とせるわ!!

 

 埃やごみと一緒だ。

 

「部長・・・、あなたなんて人を使い魔にしたんですか。この人・・・不死身で最強の用務員になっているじゃないですか。」

 

「この人、学校の用務員なのかい!?この世界の用務員ってこんな人ばかりなの!?」

 

「そんなわけない!!ただ・・・うちの学校は一味違っただけだ。」

 

「一味どころか、大分、いやものすごく違うと思うよ。」

 

 この学校の用務員は結構給料もいい。ボディーガード的な役割も期待されているらしいが、そんな大したことはしていない。

 

 痴漢、盗撮、自殺など色々な事件を事前に予知して防いでいるくらいだ。

 

 それくらいなのにすごく待遇がいい。

 

 それにあれを再現してくれた。

 

「グレゴリの最新技術に感謝。」

 

 それはスペードのバックルがついたベルト。

 

 そう、ブレイドのベルトだ。

 

 実はこの世界に流れ着いてきたらしい。それをアザゼルさんが修復し、ポルムとハルトそして、フィリップという人も加わって、改良と使用方法など色々と研究し、議論していたところに俺がやってきて、その本来の使い方を見せた。

 

 ゲットしたカテゴリーAのカードを入れ、変身して見せた時の四人の顔を今でも忘れない。

 

 だって、すごくいい顔していたから。

 

 視線だけで分かる。

 

―――――すごくいいモルモット(被検体)を見つけた。

 

 なんか、モルモット決定みたいです。

 

 トホホホ・・・。何か俺、こういうマッドな連中は苦手だ。

 

 そんな感じですが、気を取り直しましょう。

 

 人工神器という扱いになっているけど、遠慮はいらない。

 

「変身!!」

 

――――ターンアップ!!

 

 その音声に気付き敵が攻撃を仕掛ける。

 

 だが、その攻撃が俺に届くことはなかった。

 

 俺の目の前にスペードが描かれた蒼い光の壁が現れ、それが攻撃をはじき返したからだ。

 

 その壁を俺は歩いて通り抜ける。

 

 それと共に俺は・・・実に数百年ぶりに変身する。

 

 ブレイドに。

 

 変身した俺を見て向うがさらに慌てだす。

 

 接近戦をしかけようとする者まで現れたくらいだ。

 

 それを軽く掌低でふっ飛ばしながら、俺は剣を抜く。

 

 ブレイラウザー。あの子に渡したあの剣とはまた違うが、忠実に再現してある辺り、流石と言える。

 

「他の子達を頼む。こいつらは俺が・・・あれ?」

 

 そこで、俺は気付いてしまった。フォースが教えてくれる。

 

「なんであの子達こっちにむかってんの?」

 

 ラッセ―が逃がしたはずのあの子たちがこっちに凄まじい速度で向っていることに。

 

「しかも・・・あの子達・・・怒って・・・げっ!?」

 

 俺だけでなく皆、目を点にしただろう。

 

 遠めに見えたのはアカリちゃんだった。

 

 超巨大になった。

 

 轟音と共にこっちに向かって突進してきているのだ。

 

 しかも普段蒼い眼が紅く輝いている。明らかに怒っていたのだ。

 

「ちょちょちょちょちょちょ!?」

 

 アーシアちゃんからアカリちゃんは本来の大きさから大分小さくなっていることは聞いていた。

 

 だが、本来の大きさがあまりにもでかすぎる。

 

 それはまさに、怪獣。

 

 それが道路を家の塀ごと破壊しながらこっちに向かってきている。

 

『グルルルルルル・・・。』

 

 その頭の上にはあの子達がいた。

 

 その視線にはボロボロになったラッセ―の姿。

 

『グルルルルルルル!!』

 

 それを見た二天龍の娘達は唸る。怒りと共に。

 

 あいつらは流石に危険を察したのか、逃げようとするが・・・。

 

 その行く手には最悪な奴らがいた。

 

「あらあら・・・うふふふふ。」

 

 そこにいるのは二人の朱乃さんとユウナちゃん。

 

「ちょうどいい相手がいましたわ。」

 

 そして、三人の眼がドSのそれになっている。

 

「今からト―チャ―アタックという物を二人に教えます。まずは・・・。」

 

 ユウナちゃんが突然ギロチン台をある敵の目の前に召喚。

 

 呆けている敵の尻を踏みつけるようにユウナちゃんが蹴り始めた。

 

 足が幾つも見えるほどの蹴りの連打。

 

「ギッ!?ギィィィィィィィ!!!」

 

 それが何を意味しているのかとっさに判断したのか敵はそのギロチン台の柱を持ち必死に抵抗するが・・・。

 

「ふん!!」

 

 それを強引に蹴り飛ばして相手がギロチン台に首と手首にはまり、完全に拘束された。

 

 そして指を鳴らすとともに・・・あっ・・・ギロチンが落ちて。

 

『・・・・・・。』

 

 そこから先はあえて何も言わないでいいだろう。

 

 あまりに唐突な残虐行為に敵味方共に言葉を失っているぞ。

 

「このように、かつて魔女が受けたあらゆる拷問を敵にやりかえすことで・・・。」

 

 それなのにすごく可憐な笑顔で説明を続けているのが逆に怖い。

 

 敵の背後に今度は変な人型が出たよ?それが空くと、鋭いとげとげが!!?

 

 あれってアイアンメイデンと呼ばれるものじゃ。

 

「こちらの魔力を回復させるという技よ!!」

 

 その敵を容赦なくアイアンメイデンの中に蹴り飛ばした!?

 

 そしてふたが閉じるとともに絶叫が・・・。

 

『・・・・・・・。』

 

 何?この残虐ショー。

 

「魔女の恨みを晴らしているの。」

 

 いやいや、魔女の恨みといいますが、明らかにこいつらはそれとは関係ないよね?

 

 だって宇宙人だよ?宇宙人が魔女を拷問したり、処刑したというの?

 

 明らかにとばっちりじゃん!

 

「・・・フッ。」

 

 それを見た木場君が倒れた!?

 

「君!!大丈夫か!?」

 

「イッ・・・妹が、こんなドSなわけがない・・・そう・・・ドSなわけがないさ・・・はは・・・あははははは・・・。」

 

 ・・・・・・駄目だ。現実逃避している。

 

「彼女はこの世界の木場君の双子の妹なんだ。生き別れたけど、とある魔女の教えであんな風に・・・。」

 

「一体どんな魔女なの?双子の妹がいる事も驚きだけど、そこが一番気になるよ!!」

 

 簡単にだけど、事情を説明する。もちろん、異世界の木場君は混乱するばかり。

 

 まあ、こっちもユウナちゃんの師匠にはまだ会ったことが無い。

 

 今後も会う事がないことを心の底から祈るばかりだ。

 

「さて・・・私は三角木馬でもしましょうか。」

 

 朱乃さん。何で三角木馬にまたがっているのですか。手にした鎖をまるで鞭のように振り回し・・・すごくわくわくしていますけど?

 

 その鎖をあいつらの中の一体に巻きつけ、三角木馬に強制的にまたがらせて・・・。

 

「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 なんか、敵が絶叫とも恍惚ともどちらとも言えない声で叫んでいる。

 

「おほほほっおほほほほほほほほほほっ!!」

 

 もう一人は電撃を纏わせた鞭で叩きまくっている。

 

 これって完璧なSMだあああああああぁぁぁぁぁぁ!!

 

「やっぱり素質十分。鞭の使い方といい、あの恍惚とした表情といい、私の眼に狂いはなかったわ。異世界の貴方も師匠に紹介したくらいよ。」

 

「ふふふふ・・・あとで変わってくださいな。」

 

「ええ・・・たっぷりと楽しみましょう。」

 

 蹂躙され、危険な痙攣をする生贄達を捨て去り、三人の視線があいつらに向かう。

 

 次の獲物をさがして。

 

 それはまさに食べごろの獲物を見つけた雌ライオンの眼だ。

 

『・・・ヒッ。』

 

 連中の口から悲鳴が漏れるのはもう・・・仕方のないことだ。

 

 しかし、思えばこの子達って異星人とファーストコンタクトしているんだよね?

 

 そして、これがあの子達の異星人とのコミュニケーションってわけか・・・。

 

 百歩譲って争いならまだわかる。

 

 SMで語るなんて誰が思ったのかな?

 

 痛みと快楽って言う意味では分かりやすいけど。

 

 鞭で語る異文化コミュニケーションってなんかおかしいと思うのは俺だけなのかな?

 

 あいつらが撤退しようとする。

 

 変身した甲斐がない。

 

 まあ・・・。

 

「オホホ・・・オホホホホホホ!!」

 

「ああぁぁぁぁぁ!!」

 

 あそこで調教されている彼らを見たらそうなるか。

 

「もっと・・・もっとぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「あらら・・・早速豚みたいな子が現れましたわね。ほら・・・ご褒美ですわよ!!!」

 

「あああああああぁぁぁぁ!!」

 

 ト―チャ―アタックを使って、あいつら宇宙人を調教している。

 

 もう何人か目覚めてはいけない何かに覚醒している。

 

 この子達からあとで事情を聞くとしましょうか。

 

 それよりも・・・あれ?みんながボロボロのラッセ―に駆け寄ってきたぞ。

 

「うう・・・。」

 

 ラッセ―は完全に気を失っている。命すら危うい状態。

 

「・・・う!!」

 

 五体はラッセ―を見る。涙すら流して。

 

 ラッセ―は目覚めない。

 

 そこに彼女達を追いかけてきた別同隊がやってきたのだ。

 

 一斉に攻撃してくる。ビームやミサイルだけじゃない。爆発物すら使ってくる。

 

 でも・・・それがすべて弾き飛ばされて、皆に跳ね返されてしまう。

 

 ナデシコの力によって。

 

 しかも、その跳ね返し方を見事に計算。

 

 あーあ。あいつに迂闊な攻撃は逆効果だというに。

 

 それに驚く連中に、サンゴが叫ぶ。全身から光の粒子みたいな物を噴き出しながら。

 

 それがビームを次々とはじき、その粒子を相手に浴びせると、相手が次々と苦しみ出しながら倒れて行く。

 

 そこに鳥の足みたいなロボットが数体やってきて、上空から攻撃しようとしたが、その身体が爆発と共に消滅する。

 

 ヒナヅキの仕業である。彼女の咆哮でそれが起こったのだ。

 

 そして・・・後ろから迫る連中に対してはライカがすでに駆けていた。

 

 いや、すでに連中の後ろにいたのだ。両手に生やした鋭い刃の様なヒレを振るいながら。

 

超高速移動と透過との組み合わせは相変わらず反則だといえる。

 

切れない物体は無いから。

 

 時間差をおいて次々と切断される連中。

 

 あっという間に・・・五百体のエイリアンが全滅。

 

 上空からは何やら戦闘機みたいな物が来たが・・・。

 

 アカリちゃんがその巨体で攻撃をすべてうけとめる。びくともしない辺り、すごい頑丈だ。

 

そして、口から強力な糸を吐きだし、撃退しちゃった。

 

 うん・・・この子達明らかに怒っている。

 

 しかも、ここぞとばかりに反則級の自身の能力を発動させているし。

 

 ナデシコちゃんの能力の一つ・・・ベクトル操作。

 

 サンゴちゃんの能力の一つ・・・謎の粒子。

 

 ヒナヅキちゃんの能力の一つ・・・爆発消滅。

 

 ライカちゃんの能力の一つ・・・物質空間透過。

 

 これに親達の能力、そして他にも能力を持っているからねえ。そもそもナデシコちゃんとライカちゃんの力は親の力をさらに発展させたものだし。

 

「うう・・・だが、この街には一万を超える我が同胞が・・・。」

 

 倒れたあいつらがとんでもない数字を言ってくる。

 

 それと共に街のあちこちから一斉に奴らの仲間が転送してくる。

 

「はあ・・・その程度か。」

 

 でもこう思うんだ。

 

 たったそれだけなんだと。

 

 出現したあいつらが四本のブレスによって一斉に薙ぎ払われる。

 

『我が娘たちよ!!無事か!!?』

 

 来たか。

 

 パパドラゴンズが。

 

『アカリちゃんというでかい目印のおかげで分かりやすかったわ!!』

 

 ママドラゴンズが。

 

 そして、その上から二人のイッセ―とヴァ―リ、そして、ハルト君とレイちゃんが降り立ってくる。

 

「・・・やっと見つけた。アカリちゃん。一体どうし・・・。」

 

 そして、アーシアちゃんがもう一人のアーシアちゃんを連れて突然現れる・・・って。

 

「ラッセ―?」

 

 ぼろぼろのラッセ―を見て言葉を失っていた。

 

「・・・ラッセ―。あなた・・・。」

 

 彼に触れるだけでアーシアちゃんはすべてを察したらしい。

 

「・・・こやつ、娘達を命がけで守ったというのか?」

 

「その根性、認めぬわけにはいかぬな。」

 

 ドライグさんとアルビオンさんはボロボロのラッセ―に泣きついている娘たちを見て唸る。

 

 ラッセ―は何気にイッセ―のトレーニングや戦いをよく見ていた。

 

 その影響を多大に受けているのは間違いない。

 

 特に根性という点は。

 

「口だけではないという事か。」

 

「どうやら、お前を見くびっていたようだ。」

 

 そして、獰猛な笑みを浮かべる。

 

「小僧、今は眠っておけ。そして、起きたら今度は俺達がお前を鍛えてやる。」

 

「娘を守る気概・・・天晴なり。ならそれに見合う実力を身につけてもらわんとな。」

 

 そして、ラッセ―に優しげな視線を送ってから、あいつらに怒りの視線を向けてくる。

 

「ええ。そして、家族でもあるあの子に手を出した報いを与えないとね。」

 

「・・・みんな殺ってあ・げ・る。遺言すら・・・認めないわ。」

 

 その奥さん達も同様だ。すでに本来の姿を見せながら殲滅にかかっている。

 

 もう一人のアーシアちゃんが回復の光を照る。

 

「・・・それであなた達は怒っているのですね。んん?」

 

 そこに突然一人の閃光が走る。

 

 それと共に・・・アーマーを纏った別の奴らがボロボロのラッセ―ごと二人のアーシアちゃんを捕まえ、そのまま高速で離脱してきたのだ。

 

 敵ながら見事といえる。だが・・・。

 

「・・・やってくれるな。こい!!トルネ!!」

 

 こいつらが逃がしてくると思ったのかな?

 

 

 

 

 




 
 やりたい放題名剣崎さんはどうでしょうか?学校の一人、剣崎さんがいれば平和になると私は断言しますWW


 もうすぐ次隊も終息に向かいます。


 もう一話投稿します。

 

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