赤龍帝の幼なじみ達   作:THIS

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 実はまだ三勢力会談はスタートしません。

 なんか駒王朝が人外魔境という言葉すら生ぬるい魔都になってきたような気が。


 さて・・・いよいよ敵が動き出します。


異世界の守護神と邪神

SIDE 朱乃

 

 ・・・何だか今日はどっと疲れましたわ。

 

 私の神社はもはや半壊状態。

 

 むしろこの神社だけ半壊するだけで済んでよかったと思うべきか。

 

「イッセ―君。あなたと出会ってから、非常識な事が多すぎると思いますわ。」

 

「そうですかね?」

 

 それでも、今私は別の理由で気を失いそうになっている。

 

 腰が抜けて立てなくなった私をイッセ―君がお姫様だっこで運んでもらっているのですから。

 

「あの・・・重くないですか?」

 

「鍛えていますから。」

 

 それって答えになっていませんし、鋼鬼さんの口調が移っていますわ、

 

 まあ、それでもイッセ―君は相当鍛えられています。

 

アギトに変身しない状態だとそんなに強くないからと、自ら律しているのですが・・・今のイッセ―君は変身しなくても十分強いと思いますわ。

 

今なら狂戦士化したミノタウロス位ならガチで殴り合い、勝つ事が出来るくらいに。

 

 ただ身内がそれを超える怪物ぞろいばかりで本人は全く自覚なしですけど。

 

 それでもいいと思います。

 

 その・・・男らしいですし。

 

 お姫様だっこされる日が来るなんて思いもしませんでしたわ。

 

「そう言えば・・・朱乃さん。」

 

 そこでイッセ―君は私に問います。

 

「その・・・いや、なんでもないです。」

 

「・・・・・・・。」

 

 でも、それを止めます。何を聞こうとしていたのか・・・。

 

「私から感じる気配ですよね?堕天使の。」

 

 もう、私には分かってしまいます。彼はミカエル様の気配にキリエさんと似ているからと気付いてしまうレベル。

 

 なら、私の事も気付いてもおかしくないです。

 

 比較する対象はいますし。

 

「・・・はい。もう一人に似た奴はいましたけど・・・。」

 

 似た人?・・・気になりますけど、何となく心当たりが・・・。

 

 そう・・・か。そして、記憶を封じたのもやはり彼なのね・・・。

 

「ええ・・・あなたの感覚は正確ですわ。私はグレゴリの幹部バラキエルの娘。バラキエルと人間の間に生まれた娘です。」

 

 私は極めて簡潔に語る。

 

 傷つき、倒れたバラキエルをある場所で神社の巫女をしていた私の母が助けて、それが縁で私を宿したと。

 

 私はついに明かす事にした。

 

 私の生まれを。どうして私が悪魔に転生したのかもだ。

 

「・・・私はあなたを殺した堕天使の血を流しています。いえ、あなただけじゃなく、アーシアちゃんも一度殺し、この街を消滅させようとしたコカビエルと同じ血を・・・。」

 

「・・・本当に穢れているのですかね?」

 

 そんな言葉に対して、イッセ―君の言葉は簡単だった。

 

「堕天使全体を俺は嫌いとは今のところ思っていません。レイちゃんや親馬鹿な総督、その息子を知っているのもありますし。それに・・・。」

 

 彼は本当に罪な子だ。

 

「俺は朱乃さんのこと好きですから。」

 

 そんな事を言われてしまうと・・・。

 

「あっ・・・まあ、それ以上は深くは聞きません。むしろ無神経な事をしてしまったと後悔しているくらいで。」

 

 何であなたは何でも受け入れてくれるの?

 

「私・・・それでも汚れた血を持つのに変わりないのよ?あなたを殺した堕天使と同じ血を引き、それを察して嫌われたくないから近づいているような・・・最低な女なの・・・。」

 

「最低じゃありません。」

 

 どうして許してくれるの?

 

「少なくともそれで朱乃さんが変わる事じゃないです。朱乃さんは朱乃さんだと思いますし・・・俺は一度でも朱乃さんを嫌いになったことがありません。朱乃さんから今の話を聞いても嫌いになりませんでした。いまでも変わらずに好きですから問題ないと・・・あれ?俺って何を言っているのでしょうか?すみません、その・・・気の利いた言葉が見つからなくて・・・ってあれ?」

 

 嬉しすぎて・・・涙が止まりません。

 

 何であなたは・・・そんなに優しいのですか?

 

「そっ・・・その。ごめんなさい!!」

 

「・・・本当に罪ですわ。」

 

 私は思い知ります。

 

「・・・殺し文句を言われてしまいましたね。・・・・・・そんなの言われたら・・・本当の本当に、本気になってしまうじゃないの・・・。」

 

「あっ・・・あれ?」

 

 後半小声で話しましたけど・・・きこえているかしら?

 

 あなたは私を本気にさせたことに。

 

 確かに参戦するとは前に言った。でも・・・もう私は本気だ。

 

 この子を・・・私の物にしたいと。

 

 でも・・・リアスもアーシア、そしてユウナも本気だし。

 

 少なくとも本妻は無理ね。あの三人の思いは強いわ。

 

「そうなると・・・はあ、四番目になるのかしらねえ。でもそれはそれで微妙ね。せめて三番目には食い込みたいけど。」

 

「えっと・・・何をぶつぶつと?」

 

 私も何とかしないと、ライバルは手ごわいわ。

 

「あの・・・本妻や何で順位を?」

 

「あらら~それをイッセ―君がいうのかしら?」

 

「・・・うっ・・・。」

 

――――――あーあ。これで七人目。

 

 ブランカがため息をついている。

 

「六人目?一人はゼノヴィアなのは分かるけど・・・。」

 

―――――私がいる。それに幼馴染のイリナが・・・。幼馴染特権を存分に生かして押してきている。油断できない。

 

「・・・ほう。」

 

 思ったよりもライバルが多すぎる。これは早く何とかしないと。

 

 確固たる地位を築かないとね。彼のハーレムに。

 

「ねえイッセ―君、これからはどんどん私に甘えてもいいのよ。」

 

「えっと・・・それってつまり・・・。」

 

 顔を真っ赤にさせてわたわた慌てるイッセ―君。

 

 うん・・・可愛いわ。ふふふおっぱい大きくてよかったわ。

 

「膝枕もいいし・・・そうだ!!」

 

 ここで一つ爆弾を落としましょう。

 

「私の事・・・朱乃ってよんでくれないかしら?」

 

「へっ・・・えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 もう完璧に慌てています。

 

「そっ・・・その・・・そんな馴れ馴れしく・・・。」

 

「一度だけでいいから・・・お・ね・が・い。」

 

 さて・・・上目使い。アーシアちゃん、必殺技を借りるわ。

 

「そっ・・・それでしたら、あっ・・・朱乃。」

 

 そう言ってもらえた瞬間・・・

 

「うれしぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

 抜けていた腰がもう治りましたわ!!そのままイッセ―君を抱きしめ、膝枕を・・・。

 

「うわわわわわわわわわわ・・・。」

 

 もう幸せですわ。撫で甲斐のある頭もそうですし。

 

「ふふふふふ・・・。」

 

「こっ・・・この場面を部長に見られたら・・・。」

 

「部長に見られたら・・・何かな?」

 

 その言葉と共にイッセ―君が固まりました。

 

 振り向くとそこにはリアスの姿が・・・。

 

 いえ、リアスだけじゃありません。

 

 他の面々も一緒です。イッセ―君の幼馴染一同に魔王様たちまで・・・。

 

「なっ・・・何でみんな来ているの!?」

 

「あのな・・・。二天龍が喧嘩しようとしているのに、来ない方が可笑しいだろうが!!ったく血相をかいて来て見ればお前らよろしくやりやがって。」

 

 ネロ君が代表で叫びます。それもそうよね。

 

「まあ、喧嘩そのものをキリエが単独で制圧するなんて思いもしなかったがな。」

 

「うん。このメンツなら何とかなるとは思っていたけど、一人で止めたし。」

 

「いざとなれば我・・・本気出していた。」

 

 オ―フィスちゃんまで拳を作ってヤル気だったのですか!?

 

 無限の龍神様がいれば制圧も簡単だったわね。

 

 いなくても、彼の幼馴染全員が揃えばなんとかなると思えるのが怖い。

 

「イッセ―・・・ちょっとお話いいかな?」

 

 膝枕をしていたイッセ―君の顔面にハルトの手が差し伸べられる。

 

「ぎゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 素晴らしいアイアンクロ―ですわ。

 

「部長、イッセ―君を連行してもいいでしょうか?」

 

 イッセ―君の顔面を片手で掴み上げたままハルトは素晴らしい笑みを浮かべている。

 

「私も同行するわ。さっさと行きましょう!!」

 

 プンプン怒っている様子のリアス。

 

「一番がうらやましいですわ。」

 

 そう私が漏らしてしまう。

 

 するとリアスもまた漏らしてしまう。

 

「・・・私の事まだ部長って呼んでいるし。私が一番遠いじゃないのよ。」

 

 本人は小声で言っているつもりでしょうね。

 

『・・・・・・クス。』

 

 そんな嫉妬が少し可愛く感じたのは私だけじゃない。

 

 その証拠に其れが耳に入った全員が微笑ましい笑みを浮かべていた。

 

「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁ。」

 

 イッセ―君の悲鳴は聞き流して。

 

 

 

 

SIDE イッセ―

 

 俺は今・・・人生最大の苦痛を味わっている。

 

「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」

 

 こっ・・・これが提督殺し・・・。

 

 脳・・・脳がつぶれる・・・。首も痛てえええ。

 

 なるほど・・・これは記憶が失うかもしれん・・・。

 

 ああ・・・痛みのあまりにいっ・・・意識が・・・。

 

 だが、すぐに離してくれた。

 

 一応だけど、気絶しているふりをする。

 

「はあ・・・まったく、お前も複雑なのは分かるがやり過ぎだぞ?」

 

 そんな様子を見たネロがたしなめる。

 

「そうです。嫉妬はするのは仕方ないとは言え・・・。」

 

「うっ・・・ネロはともかくキリエさんに言われるのは何か弱いな。」

 

「ハルトって姉属性に弱い傾向にありますから。」

 

「レイちゃん!?さりげなく暴露は止めようよ!!」

 

 どうやら今いるメンバーは部長、ハルト、ネロ、巧、そしてレイちゃんとキリエさんらしい。

 

 他の面々は・・・多分神社の修理だろうな。

 

 それはそうとハルトって姉萌なのか。

 

 いや・・・前の猥談の時もそんな傾向が見られた。まあ・・・本命はまた別のようだが?

 

「・・・仕方ないだろう。姉上がとうとう攻略されてしまったんだ。これくらいの事は許してほしい。」

 

『・・・・・・・。』

 

「ちょっとハルト!!」

 

 レイちゃんの悲鳴に似た指摘。

 

「あっ・・・。」

 

 ハルトは仕舞ったと言いたげに口を抑える。

 

「ちょっと!!それってどういうことなのよ!!姉上って・・・もしかして朱乃の事!!?」

 

 部長が必死にハルトを問い詰める。

 

「・・・ネロ。お前は気付いているだろ?俺も・・・。」

 

 俺は気絶しているふりを止めて立ち上がる。

 

「一度聞きたかったんだ。どうして朱乃さんとハルトから似た気配が感じるのか。だが、そう言う事か。お前ら・・・。」

 

「・・・手加減したとはいえ、気絶する振りをされていたのに気付かないなんて、俺らしくもないか。」

 

 ハルトはため息をついて指を鳴らす。

 

 それと共にあいつの背中から、黒い翼が出てくる。

 

『・・・・・・。』

 

「察しの通りだよ。俺は堕天使バラキエルと人間の間に生まれた子。そして本当の名前は姫島晴人。」

 

 また隠れた人間関係が明らかになった。

 

「姫島朱乃の実の弟だ。」

 

 まさか・・・本当にハルトが朱乃さんの弟だったなんて。

 

「ここに来たのも生き別れの姉上――朱乃姉さんを探してきたんだ。あまりに綺麗になったのでびっくりし、まさか・・・イッセ―が姉上を落としたなんて予想外もいい所だ。」

 

 まっ・・・まさか、ハルトが朱乃さんに弱いのも・・・家族だったからか!!

 

 思い出したぞ、確かこいつは幼い頃、姉によって巫女服という女装をさせられていた。

 

 こいつは姉・・・朱乃さんには逆らえない部分があるんだ!!

 

「それは事実だぜ?俺も色々とフォローして大変だった。」

 

「ははは・・・朱乃さんに嫌われないように細心の注意を払っていました。」

 

「・・・・・・・。」

 

 そして、部長はまた固まっている。

 

 渡に続き、ハルトもか。

 

 そして俺はもう一つツッコミたいところがあった。

 

「・・・なあ、ハルト。何でお前の翼は十二枚ある?」

 

 それはハルトの堕天使の翼の数だ。ハーフなのにアザゼルと同じ六対十二枚あるのだ。

 

「俺の中にあるファントムの力のせいだ。前にも話したはずだけど、指輪の魔法使いになるには、俺の中にファントムを宿し、それを自力で抑え込む事が条件だ。そのファントムが大変強力でね。おかげで素の力だけでもアザゼルと互角なんだ。右腕と左腕に宿る力を別にしてね。」

 

「・・・・・・・。」

 

 堕天使総督よりも強いというのか?ハルトって・・・。

 

「高い戦闘センスも含め、実力でいうならハルトは間違いなくグレゴリの中でダントツ最強だ。親父も認めている。」

 

 巧の言葉に俺達はさらに固まる。

 

 薄々感じていたけど、やっぱりハルトってグレゴリ最強だったのか。それもダントツと言わしめるくらいに。

 

「それでも器量や人生経験では遠く及ばないさ。流石に生きている年月が違いすぎる。ついでにいうなら、姉上の中にも強力なファントムがいる。姉上自身今は未来の俺による記憶の封印のために忘れているけど、すでに魔法使いとしても覚醒している。あれが体内にあるおかげでスペック的には俺と同じく十二枚になることができる―――そうだな、潜在魔力だけなら俺よりもさらに上。少なくとも1・5倍はあると思ってくれ。」

 

 未来のハルトによる記憶封印!?

 

 じゃあ・・・朱乃さんにかけられた記憶の封印は・・・。

 

 その前に潜在魔力だけならハルトより上って・・・朱乃さんってどんだけの力を秘めているの!?

 

「・・・・・・・。」

 

 あれ?

 

 部長から反応がない。

 

「う~ん・・・・・・。」

 

 えええええええぇぇ!!そのまま倒れた!!?

 

 何か可愛い悲鳴をあげて!?

 

「う~ん・・・う~ん・・・。」

 

 そのまま何かうわごとのようにうなされている。

 

「まさか・・・朱乃・・・あなたまで・・・。」

 

 これって卒倒なのか!?あまりに衝撃的な事実に部長が卒倒したというのか!?

 

 幼い頃からの親友のまさかの事実に部長が受け入れきれなかったために!!?

 

「・・・・・・グレモリ―眷属、これで全員がお前繋がりのイカレタ連中ばかりってことが証明されたな。こりゃ・・・敵対した相手はあの世逝き確定だぜ。」

 

 ネロがしみじみと言っている。そんなの俺も今は初めて分かったって言うの!!

 

 俺だって今のあいつらと敵対したくないわ!!

 

「こら、ネロ。いくら今更どうしようもない事実でもそれは言ってはいけません。」

 

 キリエさん、それってフォローしてくれているようで・・・止めになっています。

 

 ほら!!部長が「うっ・・・・。」と呻き声をあげたじゃないですか!!

 

「部長しっかりしてください!!」

 

 俺は部長の名を何度も呼ぶけど、部長はうわの空でつぶやいているだけだった。

 

 でも微かに意識が戻ったらしく俺の腕の中で問いかけてきた。

 

「私達・・・レ―ディングゲームに出場できるのからしら・・。」

 

 済みません、それに関しては俺も自信ありません。

 

「小猫・・・小猫だけが・・・唯一の希望・・・。」

 

 そうだね。まだ小猫ちゃんは比較的普通だし!!

 

 それが唯一の希望だ!!

 

 きっと・・・時間の問題だろうけど。

 

 

 

SIDE 鋼鬼。

 

「よし・・・今日はここまでにしよう。」

 

 俺は日課となった黒歌と小猫ちゃんとのトレーニングを終える。

 

 昼の二天龍大ゲンカ未遂事件もすぐに片付き、夕方、いつも通りのトレーニングを行う事が出来た。

 

「はあ・・・疲れたにゃ。」

 

「そう・・・ですね。でも、大分体が楽です。」

 

 仙術の修行と鬼としての修行。

 

 それを小猫ちゃんにワンツーマンでやっていた。

 

 仙術に至っては黒歌が師匠となる。

 

「・・・私だけみなさんとは違い普通ですからね。なんとか追いつかないと。」

 

 小猫ちゃんはやる気だ。

 

「まあ、他のメンツが可笑しいだけだ。」

 

「そうにゃ。むしろ普通なのがリアスっちの心の支えになっている気がするくらい・・・。」

 

 最近のリアス殿は眷属の異常な進化に頭を痛めている位だ。

 

 一人くらい普通に強くなる子がいてもいい。

 

 まあ・・・、小猫ちゃんは現時点で相当なレベルなのだが。

 

 上級悪魔クラスに手が届いているのは確実だ。

 

「そうにゃ。小猫はしっかり強くなっているにゃ。まあ・・・足りない要素があるとしたら・・・。」

 

「契約する存在だろ?」

 

 そこに伯父上が突然やってくる。

 

「黒歌ちゃんはすでにヤタガラスと契約をしている。あのカードを使ったんだろ?」

 

「にゃはははは・・・うん。出てきて。」

 

 黒歌の方に止まるのは三本の脚が生えたカラス。

 

 母上の眷属でもある太陽のカラス。

 

 言葉は喋らないが、俺に続いて頼りになる相方を黒歌は得ている。

 

「そう言えば小猫って、あの勾玉もっているの?」

 

「うん。私の大切な物。」

 

 小猫ちゃんは首元から一つの勾玉を出す。

 

 それは銀色の勾玉だ。

 

「大切にしてくれて嬉しいにゃ。」

 

 話に聞くと、それは俺達と出会う前、まだ悪魔に目をつけられる前の幼い小猫ちゃんが拾ったものらしい。それを首飾りにして黒歌がプレゼントしたのだ。

 

「変わった勾玉ですね。ヒヒイロノカネで出来ているのですか?」

 

「いや・・・これは少し違うな。」

 

 日本神話の神としてその勾玉が何かを興味を持ったらしくいつの間にか来ていた母上と伯母上もそれを見る。

 

「私達の世界の物じゃない?これ・・・。」

 

 そして、母上はとんでもない事に気付く。

 

「これ・・・異世界の勾玉よ!?」

 

「・・・異世界?」

 

 こことは違う別の世界があるとは聞いている。ポルムもあちこち旅をしてきたらしく、その存在はほぼ間違いないだろう。

 

「しかも、この勾玉は・・・。」

 

 突然、勾玉が焔の様な色の光を帯びる。

 

「・・・温かい。最近たまに光る。温かい光を宿して。」

 

 その光と共に・・・小猫ちゃんの周りに凄まじい気が集まっている事に気付く。

 

 仙術で気を集めると共にその光は大きくなる。

 

「・・・・・・いつからにゃ?」

 

「姉さまと義兄様との修行を始めた時から、この勾玉が赤く光を帯びるようになったの。今回はさらに強い。」

 

 その勾玉は間違いなく小猫の気を増幅している。

 

「それだけじゃないにゃ!!自然界の気まで取り込んでいる。それも邪気なども浄化して・・・。」

 

 自然界の気を取り込む際には邪気の類に気をつけないといけない。ホラーなども出ることから分かるように邪気は危険だ。だが、小猫ちゃんの手にした勾玉はその邪気を浄化しているのだ。普通の現象ではありえない。

 

「気って、ある世界ではマナと呼ばれている場合があるにゃ。気をより純粋に高めた星の命の力がそれに該当する。今白音が発している力はそのマナそのものにゃ!!」

 

 そんな純粋過ぎる力を・・・どうして?

 

「・・・呼んでいる。」

 

 小猫ちゃんは呟く。

 

「彼が・・・私を読んでいる。」

 

 母上はうわの空になった子猫ちゃんを見て、叫ぶ。

 

「あの勾玉は何かとてつもない存在との繋がりを得るためのものです。そう・・・守護神クラスのとんでもない何かと!!」

 

 しゅっ・・守護神クラスだと!?

 

 それは世界の法則の一部と言っていい存在。それは世界その物を守るために存在する神々とはさらに一線を画した存在。

 

「・・・ああ、忘れていた。私・・・彼を知っている。ずっと昔、友達になった彼を。酷い・・・なんで私の記憶を消していたの。」

 

 涙を流す小猫ちゃん。

 

「この子はすでにその巫女となっている。」

 

 守護神の巫女だと!?

 

 小猫ちゃんはすぐに気付く。

 

「この世界に来ているの!?どうして!?この世界のギャオスはもう・・・。」

 

 ギャオスだと?なんだそれは・・・。

 

「・・・上で戦っているというの?」

 

 その言葉共に上空で大爆発が起きていた。

 

 それと共に何か黒く巨大な物が落下してくる。

 

 それは俺達の傍に轟音と共に落下した。

 

「ガメラ!?」

 

 小猫ちゃんは名を叫びながら駆けだす。

 

 そして・・・それは落下の衝撃で舞いあがった土煙りの中から姿を見せる。

 

 それは巨大な黒い亀だった。

 

 甲羅だけで八十メートル位はあると思われるくらいの。

 

「なんで・・・どうしてあなたがこんなにボロボロに。」

 

 ガメラと呼ばれし存在は酷い怪我を追っていた。右腕がちぎれ、胴体にも大穴があいている。

 

――――久しぶり・・・だな、白音ちゃん。まさかまた君の世界に来る事になるとは。

 

 鋭い牙に不釣り合いな優しい眼が小猫ちゃんを見る。その声は優しげだが、明らかに弱っている。むしろ意識があるのが信じられない位というべきか。

 

「久しぶりじゃない!!勝手に出て行って!!姉様といいガメラといい、みんな勝手すぎるよ!!どうしてそんな酷い怪我を!?如何して・・・心も体もそんなにボロボロになっているの!!?」

 

 そんな彼に向って抱きつき泣き叫ぶ小猫ちゃん。

 

 どうなっている?記憶を失っていた件もそうだが、

 

 見た目だけじゃなく、心のダメージまで読み取ったというのか?

 

―――――ははは・・・ごめん。繋がりが予想以上に強いみたいで・・・。魂まで読まれているのか。どうしてここまで強くなったの?

 

「どうやら・・・この子の身内でいいみたいだな。」

 

俺はガメラと呼ばれし存在に話しかける。

 

――――――君は・・・?

 

「小猫・・・いや白音ちゃんの兄貴分みたいなものだ。・・・事情は後で聞く。まずは怪我の手当てをするぞ。」

 

「ガメラを渡してもらおうかしら?」

 

 そこに何者かの声が響き渡ってくる。

 

 振り向くと羽音と共に黒い甲羅に一つ目、そして鋭い刃の様な四肢を持つ異形。

 

 全長だけで三メートル程あろうか。まるで一つ目の虫だ。よく見ると左右にもふたつずつ眼の様な物もついている。まるで昆虫やエビなどの甲殻類の物の怪。

 

 それがこっちに話しかけてきたのだ。

 

「どうしてだ?こいつは死にかけているのにか?」

 

「こいつがいると私の邪魔になるの。だから・・・殺す。」

 

「ガメラはやらせない!!」

 

 小猫ちゃんが必死になって庇う。

 

 それだけで俺達がやるべきことは分かった。

 

「・・・そう言う事だ。」

 

「帰ってくれないかにゃ?」

 

 それに俺と黒歌が続く。

 

 いや、俺達だけじゃない。

 

 母上と伯父上、伯母上まで加わったのだ。

 

「この国で勝手なことはさせないわよ?」

 

「そういうこと。この子は私達の娘も同然。」

 

「そいつの大切な存在に手を出すなら・・・覚悟はできているか?」

 

 三人とも厖大な気を発している。これは・・・本気だ。

 

「そう・・・なら残念だけど・・・。」

 

 それを意に返す様子を見せずに物の怪は話す。

 

「みんな死んでもらうわ。」

 

 その言葉と共に・・・地面や空中から次々と同じ奴らが現れる。

 

 その数は軽く見て百体を超えている。

 

――――――我が名はレギオン。我は大勢であるがゆえに・・・。

 

 そいつらは一斉に名を口にする。

 

 レギオンという名を。

 

「すっ・・・凄まじい数にゃ。」

 

「まだまだ・・・現れているというの?それにこの気配、この星のものじゃない!!」

 

「・・・さあ・・・後悔するが・・・。」

 

 先ほどから喋っていた奴がこっちに向かって鋭い刃の様な足を振り上げて襲いかかろうとしていたが・・・。

 

「・・・義は我らにあり。」

 

『!?』

 

 そいつがバラバラになる。

 

「嵐、加勢してくれるのか?」

 

 それをやったのは俺の前に日本刀を逆手に持ちながら現れた嵐だ。

 

「当然・・・。」

 

「なら久々に義兄弟同士で大暴れしようか。」

 

 俺は音叉を打ち鳴らす。

 

「小猫ちゃん・・・お前ブランカから契約のカードをもらっていただろ?それをガメラとやらに使ってやれ。このままの大きさじゃ運ぶのは無理な上に、格好の的だ。」

 

「っ・・・はい!!」

 

 小猫ちゃんは持っていた契約のカードをガメラにかざす。

 

「契約・・・もうしているからいいよね?」

 

―――うん・・・わかった。

 

 その言葉と共に、カードにガメラの絵が現れる。それと共にガメラが手で抱きかかえる事が出来るほどまでに小さくなる。

 

 腕の中でガメラはぐったりとして気を失った

 

「お前達、逃がさないで!ガメラを・・・。」

 

 レギオンと呼ばれた連中は小猫ちゃん達に殺到しようとしていた。

 

 だが、それを俺は強制的に止めてやった。

 

 拳圧で空中の連中をふっ飛ばし、地面を踏みつけ地響きを起こして地面の上、そして下にいる連中を足止めしたのだ。

 

「っ!?なんでパワーなの?」

 

「おい・・・さっきから言ったはずだぞ。」

 

 俺はいい加減怒っている。

 

「俺の妹分に手を出そうとしたんだ。それ相応の覚悟は・・・出来ているよな?」

 

 怒りのあまりに、大気を大きく震わせる。

 

「ほう・・・お前、さらに強くなったな。怒りの覇気だけでここまでになるとは。」

 

 伯父上は感心した様子で俺達の横に並ぶ。

 

「ったく退屈しないぜ。黒歌ちゃん、姉上達は小猫ちゃんを頼む!!」

 

「・・・分かりました。すぐに応援を・・・。」

 

 母上がそう言おうとして・・・。

 

「いらないとは思いますけどね。みなさん・・・イッセ―さんの家に転送します。」

 

 何故か苦笑しつつ、皆を転送させた。

 

「ぐっ・・・お前達、私の邪魔を・・・。覚悟はいいかしら?」

 

「覚悟?それはお前達の方だ。」

 

「そう言う事です。」

 

 俺は鬼に変身する。そして・・・嵐も刀を鞘に戻し、その音を鍵として変身する。

 

 鷹の眼と頭、そして方から鷹の羽を無数生やした異形の変身忍者へと。

 

「この街に来てから二度目の大暴れか・・・こりゃ三度目も期待していいな。二度あることは三度あるっていうしな!!しかもどんどん派手になってきているじゃねえか!!」

 

 伯父上、それは言わないでくれ。現実になりそうで頭が痛い。

 

「・・・お前達この国の神話勢力!?なんでこんな場所に!?」

 

 そこで声の主も俺達の正体に気付く。まあ、授業参観で来ているとは誰も思わないか。

 

『さあ・・・派手な喧嘩を始めるぞ!!お前ら覚悟はいいか!?』

 

 その言葉と共に俺達はレギオン軍団に向けて走り出した。

 

 その瞬間・・・レギオンと呼ばれた連中が次々と宙を舞っていく。

 

「義兄上・・・。」

 

 戦いながら嵐は俺に聞いてくる。

 

「なんだ!?」

 

「小猫ちゃんもまた・・・すごい事になっていたんですね。まさか・・・あんなとてつもない存在と契約を・・・。」

 

「・・・いうな。出来ればその現実を直視したくなかった。」

 

 頭が痛いのだから。小猫ちゃんはまともな方だと思っていた矢先に・・・。

 

 あの存在のせいで小猫ちゃんの浄化の力が恐ろしい事になっている。

 

「これでまともな部類なのは朱乃殿だけになったか・・・。だが・・・この様子だと。」

 

 俺はもう確信せずにはいられない。

 

 朱乃殿もリアス部長が卒倒しかねない何かを持っていると。

 

「グレモリ―眷属・・・恐るべし。いや・・・イッセ―、お前の絆は一体どこまで俺達を強くする?いい加減怖くなってきたぞ。」

 

 俺はイッセ―の運命という名の力に戦慄すらしていた。

 

 

 

 

 

SIDE ???

 

 これは計算外だった。

 

 この子達を使って異世界より取り寄せたギャオスを追ってきた満身創痍のガメラを殺そうと思ったのに・・・。

 

 止めに放った四百体のソルジャーレギオンが全滅するなんて。

 

 それもたった五分で。

 

「・・・この街にて三勢力会談が開かれるのよね?」

 

――――そう聞いているわ。

 

 マザーレギオンである彼女は私の声に応えてくれる。

 

 手乗りサイズで私の傍を飛んでいる。

 

 代々のマザーレギオンの知識をDNAレベルで受け継いでおり、いい相談役になってくれて私としては助かっている。あちこちの惑星を飛んで回ってくれた経験は伊達じゃない。

 

「そう・・・きゅうべい。」

 

 私の声に応えるように一体の白いヌイグルミみたいなナマモノが現れる。

 

 無駄に長い耳と紅い宝玉の様なつぶらな瞳を持っている。

 

「あの街を調べて来て頂戴。」

 

「え~・・・面倒くさ・・・。」

 

 だだをこねる生意気な子に手から銃を取り出してそれを突きつけてあげる。

 

「い・い・か・ら、行きなさい。」

 

「は~い。」

 

 そう言ってあいつは姿を消す。

 

「斬新なコミニケーションね。」

 

 生意気な子にはこれが一番ですから。

 

 あっ・・・そう言えば、あの子が三勢力会談にちょっかいをかけようとしていたのよね。

 

 まどかを探すのであまり気にしていなかったけど・・・少し力を貸してもいいかもしれない。

 

「おーい、ほむらのお嬢ちゃん!!」

 

 そこに精神年齢悪意全開の幼児といっていいジジイがやってくる。

 

「おーい・・・おーい。」

 

 あえて無視。

 

「ほむらちゃん?ほむほむ・・・ほむりん!?」

 

 こんなジジイにかまけている暇はないというのに。

 

 はやくまどかを・・・。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ツルペタ、」

 

「レ・ギ・オ・ン(怒)。」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

 

 この糞ジジイ、元の姿に戻ったレギオンの前足でつかみ上げてやったわ。

 

 削岩機にもなっている前足の力・・・一度人体実験をしてもいいわね。

 

「レギオン・・・ふざけた事を言ったらそのままにぎりつぶしてあげなさい。じっくり、ちぎれる瞬間までその感触をねぶるように味わって。」

 

「あいあいさ~。」

 

「ちょっと!!ノリが軽いよ!?そう言ったところもゾクゾクするけど、流石に命が関わると勘弁してほしいぞ!!」

 

「早くふざけたことしないかな~。ウズウズ。」

 

「しかもお前は握りつぶす事を楽しみにしてんのかい!!ギャアアアアアすっ・・・少し力入れているだろ!!?」

 

「それでも駄目ならディススパイダーが大歓迎してくれるから。」

 

 足元では糸で出来た巣の上で巨大な蜘蛛が待っている。人くらい簡単に飲み込めそうな巨大な蜘蛛だ。

 

「一度魔王の血を引く者の味を確かめたいと思っていた。さあ・・・我が腹の中へ、私は大歓迎だぞ。丸のみもまたいいものだしな。じっくりと味わってやろう。」

 

「そんなの死んでもお断りだ!!」

 

 彼は食いしん坊だからねえ。

 

でも、そんなの食べてお腹を壊さないでよ?美味しいご飯の店・・・また探さないと。

 

 それにそれくらいで今のあんたは死なないでしょうが。

 

「君も過激だねえ。いや・・・ドSだ。」

 

 そこに私をこの世界の招待してくれた存在が現れる。

 

 この世界の闇の神。

 

「あら?裏で色々と暗躍しているあなたほどではないと思うけど?」

 

「・・・本当に面白い子を呼んだものだ。君が表に立ってくれると動きやすくなるしね。異世界の悪魔さん?」

 

 何言っているの?私はほんの一部だけ神の力を得ただけよ?

 

「ったく殺すつもりですかい?」

 

――バイラス

 

 生身の姿のまま体を粒子ウィルスに変換させて糞ジジイは私の傍に降り立った。

 

「・・・バトルファイトの開催はいつできそうだ?」

 

 そこにモノリスみたいな奴も現れる。

 

「五人目も見つかったからね。近いうちに・・・そうだね・・・夏休み明け位には出来ると思うよ?」

 

「そうか・・・。井坂、お前も存分に暴れろ。あと二人ももうすぐ参戦する。」

 

「さらに私は進化した。二体のジョーカーなどに遅れは取らんぞ。」

 

「へえ・・・。」

 

 井坂と呼ばれた男の傍に現れるのは白いカミキリ虫みたいな存在がいた。

 

「五人目・・・紫藤イリナを捕えろ!!あいつを我らの陣営に呼びこめば・・・勝てる!!」

 

『御意。』

 

 そう言って二体のジョーカーは姿を消す。

 

「へえ・・・それはそれで面白そうね。ならアンデットの解放はあそこでやったらどうかしら?」

 

 私の提案にモノリスみたいな奴は少し黙るが・・・。

 

「面白い。あの街の恐怖と混沌に陥れてくれる。

 

 面白い余興が始まりそうね。

 

「もうすぐ私達の存在は表にでる。宣戦布告の時よ。」

 

 この世界を私の物にしてみせる。そしてまどか・・・あなたを・・・。

 

 

 

side レイヴェル

 

 私はただいま、忙しい日々を過ごしております。

 

 ハルト様から魔法使いとしての修行・・・グレゴリの通信教育という形でやっています。

 

 兄と共に専用のドライバーも貰っています。

 

 しかも、勉強しているのや指輪の魔法だけじゃないのです。

 

「・・・魔戒筆って扱いが大変です。」

 

 私は今・・・魔戒法師としての修行も受けております。その関係でカンタイの地に足を運ぶ事が多いですわ。

 

 まだ見習い程度ですが、上達は早いらしいです。悪魔が魔戒法師になるという事自体が前代未聞のことでしたけど。

 

 邪美師匠達には大変お世話になっています。みなさん共仲良くできて本当にいいです。

 

 柔軟体操も欠かさない日々が続いています。新体操顔負けの動きが求められます故に。

 

 こっちの学校で新体操部やっていてよかったですわ。

 

 そんな私にある声が聞こえてきました。

 

――――私の進化は・・・間違っていたというの?

 

 それは女の子の声です。

 

――――――助けて・・・

 

 それは屋敷の外にいました。

 

 小さなカタツムリみたいな外見をした不思議な生き物です。

 

―――だっ・・・だれ・・・か・・・。

 

 その子は傷つき弱っています。

 

「・・・大変。」

 

 つぶらな瞳をしたその子を私は抱き起こします。

 

 

side ???

 

 私の進化は間違っていたのだろうか?

 

 あの子の憎しみに呼応して私は蘇った。そして強くなった。

 

 その力を持ってその対象を倒そうとした。私達の敵でもあったあいつを・・・。

 

 でも、最後になって拒絶された。共に戦おうと、一つになろうとして。

 

 それが間違っていたというの?強くなるためにたくさんの贄を得てきたというのに。

 

 私は死ぬ前にそう己に問う。答えを考える前に意識を失って。

 

「・・・あれ?」

 

 でも私は生きていた。

 

 気付けばふかふかのベットの上で寝かされていたのだ。

 

「ここ・・・は?」

 

「あら?起きましたか?」

 

 助けれてくれたのは金髪にドリルロールの女の子だ。年は・・・あの子に近い。

 

「・・・あなた・・・人の言葉は分かるみたいね。」

 

 そりゃ、人間のDNAを取り込んでいますから。

 

 一応あいつの体液も摂取したので、身体はさらに変わっているかもしれない。

 

 でも・・・。

 

「幼体に戻っている」

 

 私の姿は幼い頃の姿に戻っていた。

 

 ついでに言えば・・・以前にはなかった口が出来ていた。そのため喋れたのだ。

 

「幼体?んん・・・こういった専門家の方を私は知りませんし。そうだ、あの指輪をつかってみましょう。」

 

 いえいえ、わたしの専門家なんていないわ。一応ギャオスではあったけど、もう完全な別物になっている。

 

んん?あれ?私ってこんなに知能が高かった?

 

 そうか、私こんなに進化を・・・。人と変わらない知能を得るまでに。

 

「ねえ・・・あなたって名前は何というの?」

 

 私の名・・・名乗る名は一つしかない。

 

「・・・イリス。」

 

 それはあの子が名付けてくれた名前。

 

 かつて私の巫女出会ったあの子から残ったDNA以外の唯一の贈り物だ。

 

「そうか。私はレイヴェル・フェニックス。ねえ・・・あなたこれを知っている?」

 

 レイヴェルと名乗った女の子の手には・・・私の勾玉があった。

 

 それが淡い光を放っている。

 

「そう・・・か。今度はあなたなんだ。」

 

 私は無意識に新しい巫女を見つけてしまった。

 

 この子が今度の巫女なんだ。

 

「・・・ちょっとあなたの情報を読み取らせて。」

 

 そう言って私はその子の腕に私の触手を浅く斬るように突き刺す。

 

「・・・ッ!?」

 

 そして、私は知る。そして取り込んでしまう。

 

「ここ・・・異世界なの?それも・・・あなたは・・・。」

 

「あなた・・・悪魔を知らないの?私は不死身だからよかったですけど。このコミニケ―ションは止めることをお勧めしますわ。」

 

 レイヴェルに付けた傷はすぐに治る。

 

 そして、私はその情報を取り込んでしまった。

 

 フェニックスの不死身のDNAを。

 

「・・・でも、私のあなたの情報を逆に読ませてもらったわ。そう・・・あなたってとんでもない存在なのね。相手のDNAを取り込み、遺伝子の構造を変化させながら進化を続ける生命体。」

 

 えっ?私の情報をあなたが読み取ったって・・・。

 

―――――スキャニング。

 

 いつの間にかレイヴェルの腰には掌を模したベルト、そして、左腕には指輪があった。

 

「ねえ・・・あなたの事を聞かせてくれないかしら?この魔法じゃ、あなたの生態しか分からないの。」

 

 私の事を知りたい?

 

 あの指輪の効力には驚いていたけど、その情報以外で何を知りたいの?

 

「そう・・・私も自分の事を教えるから。」

 

「・・・えっと、それって一体化するじゃわからないことなの?」

 

 その言葉に対してレイヴェルは首を横に振る。

 

「それじゃつまらないですわ。」

 

 そして、その行為をつまらないと言い捨てたのだ。

 

「私を助けてくださったあの方・・・イッセ―様ならそのように断言しますわ。」

 

 その彼女の出会いが私の第二の人生、そして進化のリ・スタートとなる。

 

 私はそこで本当の意味で朱雀となる。

 

「友達の証として・・・ブランカさんから貰ったこれを・・・。」

 

 そして、私はこの子と契約のカードで契約することになった。

 

 

 

SIDE サイガ

 

 

 俺は魔戒騎士としてのゲートの見回りをしながらため息をついていた。

 

 あれだけの大混乱の後だ、色々と気が乱れている。

 

 現れたホラーを今日だけ十体も斬った。

 

―――――どうした?サイガ。

 

 久々にエイガとゆっくりと語らう事になった。

 

「今の僕のままでいいのかなって・・・。」

 

―――――ああ・・・それか。全くこっちは黙って見ていたが・・・。

 

「いや・・・そのね。」

 

 僕はセラさんから誘われていた。

 

――――私の女王になってくれないかな?

 

 ついでに言えばツクヨミさんからは・・・。

 

――――私の巫女になってくれない?

 

 さて・・・まずツッコミ何処かな?

 

―――お前・・・男だよな?って俺も思ったぜ。

 

「そうなんだよ。」

 

 男なのに女王と巫女になってくれて・・・。まあ、あとあと聞いたら女王は魔王眷属の女王の駒の事。

 

 巫女も・・・巫子で問題ないこと。

 

 そして、それはすでに元老院を初め、父様達も承諾しているとのこと。

 

 その二つは同時になることができる。セラさんが女王の駒、ツクヨミさんが神としての力を・・・それぞれ同時に分け与えることで。

 

―――――でもサイガにとっても悪くない話だろ?お前の本来の力が発揮できるようになるのだからな。

 

 そう、その際の特典があまりにもすごすぎた。

 

 その際に特殊なことをすることで、僕は今発揮できていない本来の力を発揮できるようになるということだ。

 

 そう・・・私の中の三つの竜の紋章の力を。

 

 その結果転生しても悪魔ではなくなるが、セラさん曰く「そんな程度、問題ないって。」事らしい。

 

 ツクヨミさんからも転生することで永い時を共に生きる事ができるようになるなら諸手を挙げて賛成らしい。

 

 むしろ二人が協力することになったのは、セラさんの三倍の価値がある女王の変異の駒だけでは私を転生させることができないと判明したらしい。

 

 魔王の女王の駒・・・それも通常の三倍の駒で転生出来ない私って一体・・・。

 

 でも私は・・・納得ができないでいた。

 

「いいことだと思う。でも・・・私は騎士だ。なんか納得できない。」

 

 騎士としての性分なのか・・・このまま流されるようにしていくのが我慢ならならなかったのだ。

 

 もちろん・・・あのお二人の事は好いている。

 

 必死でアピールしてくれるのもそうだ。

 

 私なんかにもったいないくらいに素晴らしいと思う。

 

 それに惹かれているものわかる。

 

 でも・・・それだけじゃ足りない。

 

 この話を承諾するには・・・。

 

―――お前も意外と頑固だな。

 

「人生の中の重大な決断になると思うんだ。だからこそ・・・仕えるだけの何かを見出したい。変だと思うだろうけど・・・。」

 

――――でも、俺はお前さんと長い付き合いになったらそれはそれで嬉しいぜ?

 

「そうかな?」

 

――――お前さんの他の幼馴染共もそうだろう。あいつらも永い時を生きる。

 

「そうだよね。だからこそ・・・悩ませて欲しい。」

 

 私はじっくりと考えさせもらう。

 

 後悔が無いように。

 

―――――だが、何となくだがサイガは選ぶと思うぜ?

 

 だが、エイガは何となく予感をしているようだ。

 

―――お前さんが近いうちに絶対にその探している答えを見つけるとな。そうなると俺が管理している狼竜の鎧も本来の機能を発揮できるというわけだ。俺としては其れが楽しみでしかたない。いや・・・最近出番が無くて困っていたくらいだし。

 

 私が、その答えにたどりつくと。

 

―――――予感してんだ。あの時あの魔王のお嬢さんとサイガが出会ったのは運命だったんじゃないかって。

 

「運命・・・。」

 

 確かにあの時私はセラさんを助けた。危機に陥った彼女を助けるのは守りし者として当然だと思っただけなのに・・・。

 

 でも、それが今こういう形で繋がっている。

 

 確かに運命めいたものを感じる。

 

―――――頑張れ・・・。お前さんの迷いが解けた時、俺はお前さんの力を全力で受け止める。そのために俺はお前に付いているのだからな。俺に、面白い世界をみせてくれ。

 

 そうだった。

 

 エイガは私のために魔道輪になった。

 

 狼竜の鎧の管理、この鎧はただの鎧じゃない。私のために作られた竜の騎士のための鎧。

 

 ソウルメタルという金属による奇跡と可能性を竜の紋章の力のために使われている。

 

 実際、父上は牙狼の鎧にて様々な人の心や力を借り、鎧を変化させて戦ったらしい。

 

 いや・・・変化というよりあれは奇跡だ。その力はホラーの祖、メシアを単独で倒すという誰もなしえなかった偉業を成したほど。

 

 理論的に、それと同じような現象が竜の騎士の力で、鎧に起きるというものだ。

 

 オリハルコンと呼ばれる異世界の超金属も取り込んだソウルメタルという金属の奇跡によって。

 

―――――――ポルムとやらにも相談済みだ。あいつは面白い物を持っていたぞ。そのための改良案も提出済み。鎧も、あれもすでに改良すみだ。

 

 そう言えば、今回の黒幕ってポルムでもあったよね。徐々に皆に広げて行ったのはイッセ―達だけど、結果的に元締めはポルムだ。

 

 どんな結果になっても、このまま何もお咎め無しというのも癪だよね。

 

 ・・・よし。ここまで巻き込んでもらったんだから、あれをお願いしようか。

 

 こうなったら引きずり込んでやる。

 

「こっちからも二人に聞かないと。見極めるためにはこっちからも問うよ。」

 

――――へえ・・・何をだい?

 

 僕の中で引っ掛かっていたこと。

 

「あなた達は・・・この世界をどうしたいのかって。」

 

―――――・・・・・・そりゃ・・・お前さん。またすごい質問を。

 

 エイガは呆れているかもしれないが私は本気だ。

 

「当然の質問だよ。2人ともそれぞれの勢力のトップの一人。そして・・・私は平和を望んでいる。だからこそ・・・。」

 

 勇者だった父さんと母さんの遺志。

 

 父様と母様からの守りし者としての意思。

 

 二組の両親から受け継いだ心は私にとって何よりもかけがえのないものだから。

 

「まあ・・・少々面倒臭いことになっているけどね。」

 

―――――面倒臭いで済むか?

 

――――まあ・・・違うものだな。

 

 そこにもう一体、私の相棒がくる。

 

「・・・来たな裏切り者。」

 

「うっ・・・そこを言われると・・・。」

 

 轟竜はすっかりセラさんの所のスワンさんと仲が良くやっている様子だ。

 

「冗談だよ。でも・・・安心して。悪い話には絶対にしないから。」

 

 人々を守る。それが守りし者としての私の使命。

 

「すまないな。」

 

「いや、責任を取るのは大切だし・・・それに・・・。」

 

 私自身・・・あの二人に惹かれている。

 

 天真爛漫なセラさん。

 

 引っ込み思案気味だけど、清楚なツクヨミさん。

 

 初めは振り回されたけど、あの二人ともっと一緒にいたいと思うようになっていた。

 

「・・・はあ・・・どうなのかな?」

 

 魔戒騎士として、私はもうすぐ大きな決断を強いられようとしていた。

 

 そして、いよいよ三勢力会談が始まる。

 

 開始前に色々な事件が起き過ぎだと思うけど。

 

 その処理でこっちはあちこち行って正直疲れたよ。

 

 見回り終えて帰ってきたら二天龍と翔一さん、アザゼルさんにサーゼクスさん、ダンテさんに父様を加え、父親とはどういう物かという真剣な議論中。もちろん酒を飲みながら盛大にぶっちゃけていた。

 

 母親達は家の中にいる女子連中を巻き込んで・・・なんでマ○オパーティーでゲーム大会をやっているのですか!?

 

 グレイフィアさんとセラさんが昔のライバル関係を再燃させて燃え上がってましたし。

 

 ベノさんは手足が無いのに、尻尾で達人的な技を見せてきた。

 

 何故か・・・母上が一番になっていたし、頭が痛かった。

 

 その横で・・・イッセ―とヴァ―リって方が天道さんやイッセ―の幼馴染連中としみじみと色々と語り合っていたのが印象的だった。

 

 その内容は目の前のカオスな光景と運ばれてきたガメラという謎生物についてだけど!!

 

 プラズマ火球を吐き、ジェット噴射で空を飛ぶ亀って初めてだ。

 

 しかも小猫ちゃんの昔馴染みの友達らしい。

 

 彼は瀕死の重傷を負っていたが、皆の回復魔法などの甲斐も会って峠は超えた。

 

 それを聞いて小猫ちゃんが泣きながら喜んでいる。

 

 そして、事情を知ったリアス部長は再び卒倒したのは仕方のない事だと思う。

 

 流石に守護神の巫女だったなんて・・・ねえ。

 




異世界よりの訪問者達。

 平成三部シリーズからの参戦です。

 今後邪竜としてギャオスが登場することは確定しました。


 そして・・・リアスの明日はどっちだ?そう心配させていまったオチです。

 今回の投稿はここまでです。

 次でようやく会談開始です。・・・書いていて思うのは一体この街はどうなっているのか?

 作者自身も戸惑う事態になっています。

 ではまた会いましょう!!

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