赤龍帝の幼なじみ達   作:THIS

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 とりあえず続きを投稿してみます。

 それぞれの連中のヒロインもここで確定させていきます。

 一人とんでもないことになっている奴がいますがね。

 それともう一作品のクロスも追加しました。


七年後・・・集う者たち。

SIDE ネロ

 

 

「・・・懐かしいぜ。」

 

 フォルトアナのデビルメイクライにて俺は片づけをしていた時に懐かしい写真を見ていた。

 

 それは七年前の幼いころ日本である事件に巻き込まれ、共に乗り越えてきた友達と一緒に記念に撮ったものだ。

 

 皆彼方此方汚れ、ボロボロであったが、共に肩を組み合って笑顔だ。

 

「何を見ているの?ああ・・・これってあなたが日本という国に行った時の写真。」

 

 俺が見ている写真を見た女性――――キリエはその写真を見て呆れていた・

 

「あの時は本当に心配したわよ。兄さんと一緒に来ていたあなたが変な遺跡で行方不明になって・・・。」

 

「・・・あの時はホント信じられない冒険をしたもんだぜ。」

 

 あれは俺にとって初めての実戦。そこでの経験は少し前にあった魔剣教団の事件の解決に至るまで生きている。

 

「もう無茶はしないでよ?」

 

「ああ。」

 

 そのおかげで彼は今・・・隣にいる最愛の彼女キリエを助ける事ができた。

 

「じゃあ、買い物にいってくるわ。」

 

 ネロは右手を見ながら思う。

 

「俺はすっかり変っちまったが、他の連中はどうしているのやら。」

 

 小学五年生にしてエロガキだったが、誰よりも熱く真っ直ぐだった一誠ことイッセ―。

 

 おっとりしているが、誰よりも賢く、皆の参謀であり希望だった晴人ことハル。

 

 気弱だが、それでも勇敢で気高さを内に秘めた渡こと王子。

 

 真面目で実直な騎士らしい性格をした砕牙ことサイ。

 

 豪放かつ天真爛漫、それでいて頼れる兄貴だった鋼鬼こと鋼兄。

 

「・・・・・・こっちのごたごたが落ち着いたら会いにいってもいいかもな。だが、そうなるとこの右腕をどういったらいい?」

 

 七年前と今で決定的な違いは右腕にあった。蒼い光を放つ腕に紅い甲殻が纏ったような腕・・悪魔の右腕(デビルブリンガー)となっていたのだ。

 

 それは俺が悪魔の血を引いている証。それも魔界の神を倒した伝説の魔剣士スパーダの血を引いているのだ。

 

 それともう一つ、

 

 あの野郎―――そうダンテの事だ。

 

 あの野郎がある島で消息を絶ちやがった。

 

 どうも魔界の覇王の力を得ようとした魔術師と戦い、魔界に行ってしまったという推測もあるらしい。

 

 だが、俺は不思議とあいつが死んだとは思っていない。

 

 悔しいがあいつは強い。俺なんかよりもはるかに。

 

 少なくとも俺と戦った時は全く本気をだしていねえ。

 

 今度再会した時は必ず本気ださせてやる。

 

 まだ勝てる気はしねえが。

 

「参ったぜ。」

 

 色々と俺なりの悩みにため息をついた時だった。

 

「キャアアアアアアァァァァァァァ!!」

 

 と聞きおぼえのある女性の悲鳴。

 

 いや・・・聞き間違えるはずがねえ!!

 

「キリエ!?」

 

 その悲鳴と共にとっさに愛剣と愛銃をとって外にでる。

 

 そこには気を失ったキリエを抱きかかえた黒い翼を生やした男が空を舞っていた。

 

 細かい状況は分からない。

 

 だが、たった一つだけ重要なことは理解していた。

 

「・・・キリエを離せ。」

 

 あいつらはキリエをさらおうとしていたのだ。

 

「手放すと思ったか?この女には特別な神器が二つも眠っている。」

 

「神器?」

 

 なんだそれは?そんなも今はどうでもいい。

 

 大切なのはこいつらが誰に手をだしたかだ。

 

「フン・・・人間風情が堕天使に勝てるなど・・・。」

 

 黒い羽の天使。悪魔もいれば天使もいてもおかしくはねえな。

 

 俺が思っていたよりも悪そうだ。

 

 そして、実力のほどもわかる。

 

 大した事はねえ。

 

「!?」

 

 それを示すように堕天使の身体は瞬時に伸ばした俺の右手に殴り飛ばされた。

 

 その拍子にキリエを手放す。

 

 そして、そのキリエを抱き止めようとして。

 

「詰めが甘い。」

 

 横から飛んできた光の槍に身体を貫かれながらふっ飛ばされた。

 

 そしてキリエはその光弾をはなった一人の堕天使といった奴が代わりに受け止める。

 

「油断したな。」

 

「すまねえ。だが、目的の女は手に入った。」

 

「ならよし。急いであっちと合流するぞ。」

 

 堕天使たちの足元に転送の魔方陣が形成させる。

 

 だが、あいつらは油断していた。

 

 俺がこの程度でくたばるわけがねえ・・。

 

「キリエエエエエエエ!!」

 

「なっ・・・まだ動けるのか?」

 

 俺は右腕を伸ばし堕天使の足を掴む。

 

 そして右腕を引き戻す勢いでそのまま堕天使の方まで飛ぶ。

 

 このままぶん殴りてえ。だが、あいつらの手の中にキリエがいる。

 

 迂闊に手がだせねえ。

 

躊躇った時だった。俺の周りの光景が一瞬にして変わったのだ。

 

「ぐっ・・・はっ、離れろ!!」

 

 それが転送だと気付く前に堕天使の一体が光の槍を二本発生させ、それで俺の腹にぶっさしやがった。

 

「ぐがはっ!?」

 

「人外だったか。だが・・・これで終わりだ!!」

 

 そして、そのすぐ後に三本目。それを俺の心臓に狙いをさだめ貫いた。

 

「がはっ!?」

 

 俺はそのまま地面に落下する。

 

「悪魔なのか?まあ悪魔ならこれで終わりだ。聖なる力に蝕まれ死んでいくがいい。」

 

 痛てえ。だが・・・まだ立てる。・

 

「まだ・・・まだだ・・・。」

 

「って・・・まだ立つのか?」

 

「おいおいおい。どうする。」

 

 だが、そこに・・・。

 

――――――仕方ない奴らだ。

 

 という言葉と共に無数の光の槍が雨のように降ってきた。

 

「すみません。貴方の手を煩わせてしまって。」

 

 それが全身を貫いていき・・・。

 

 巨大な槍みたいのが俺の胴体を貫く。

 

 それと共に、俺の意識が遠のく。

 

 意識を失う前に見たのは二体の黒い羽をした連中にキリエが連れ去られた姿。

 

 くそ・・・身体が動かねえ・・・。

 

 キリエ・・・キリエ・・・。

 

 そのまま俺は意識を失う。

 

 その前に俺は紅いコートが降り立つのを見た。

 

 

 SIDE???

 

 久しぶりに姿を見たと思えば・・・。

 

 酷いありさまだな。流石に悪魔の血を引いてもこの傷ではもう・・・。

 

 ・・・そうだな。ちょうどこの駒が余っていた。

 

 誰にも使う気にはなれなかったが・・・こいつなら問題無しか。

 

 ん?

 

 兵士の変異の駒が四つだが、そのうち三つを使うことになるか。まあ・・・それが妥当だよな。

 

 これで兵士の駒はあと変異の駒 二つと通常の駒一つ。

 

 こいつはパワーだけなら俺より上なんだから。

 

 勝手にこんなことしてすまねえな。だが、お前は死ぬべきじゃねえ。

 

 だからこういう形で助けてやる。

 

 安心しな。

 

 万が一の事態の時は力を借りるが、それ以外は好き勝手にやればいいさ。

 

 だから・・・死ぬなよ。俺の兵士(ポーン)。

 

 

 

SIDE イッセ―

 

 

 

 俺、兵藤一誠・・・通称イッセ―はため息を突いていた。

 

 学校ではエロ馬鹿三人衆とされた俺に彼女ができた。

 

 それなのにあまり嬉しくない。

 

『念願の彼女ができたというに浮かない顔だな?年がら年じゅう助平なお前にしては?』

 

 我が相棒ながら酷でえ。

 

 まあ間違ってはいねえけど。

 

「だって初めての彼女に嬉しいぜ?まあ・・・訳ありみたいだが。お前も感じているだろ?」

 

 俺の中から相棒がでてくる。

 

 それはすごくデフォルメされたかわいらしいドラゴン。大きさは手のりサイズ。

 

 その名はドライグ。小学五年生の時の大冒険より目覚めた二天龍の片割れである赤龍帝である。

 

 こいつの目覚めと共に俺は色々と神器の使い方を教えてもらっていた。

 

 ちなみに本来なら魂だけの存在らしいが、こいつはもう一人の相方がもたらした技術により自立稼働出来る肉体を得ている。

 

 肉体を得てよかった事を聞くと。

 

――――――うまい飯がくえる。人間はこんなにもおいしい物を食べていたなんてな。

 

 この通り、食いしん坊ドラゴンになっている。

 

 おかげで家でもペット扱い。

 

「馬鹿でも何も考えていないわけはないわね。」

 

 それが俺の首に巻きつくように現れる。

 

 これもまたデフォルメされた赤いヘビの様な龍。

 

 俺の姉貴みたいなこいつの名前はクレア。正確にはクレアーノ・ドラグレッター

 

 種族名はドラグレッタ―らしいのだが、それじゃ味気ない。

 

 だからその・・・名前を与えた。

 

 ドライグと混同する恐れもあったしな!!

 

 ちなみに名前をあげると。

 

――――――もうこの馬鹿から離れられないわね。

 

 となぜか頬を染めていやがる?何か変なことをしたのか?

 

 この二体の変な龍に憑かれている俺。

 

 そんな俺は次の何かに備えるために鍛えている。

 

 まあ直感で感じ取っている。まだ何かが起こると。

 

 あの大冒険の後・・・妙に勘が冴えるようになったんだ。

 

 その勘は必ず当たる。しかも危機的な状況でそれは特に。

 

 もうすぐ何かが起こる。それを察して俺は鍛えている。

 

 今もこうやってランニング。ドライグとクレアの力を生かすために空手もやっている。

 

 魔力もカスで才能は全くねえって相棒から聞いた時は相当へこんだが根性で頑張っているぜ!

 

『根性。相棒は自分に正直だけでなく、根性の塊だな。善くも悪くも。』

 

『言い得て妙。それでこそイッセ―ね。助平根性も含めてだけど。』

 

 相棒達はその辺はよく分かっている。

 

 もうプライベートは無いも同然だぜ。

 

 まだ禁手(バランスブレイカ―)には至っていないが、それなりに戦える程度になっている。

 

 まだあった事はないが悪魔、天使、堕天使の存在も知っている。

 

『そして、あいつは堕天使だ。それでも明日デートにいくのか?』

 

「・・・なんか放っておけねえ。何か・・・・何か内に抱え込んでいる気が・・。」

 

『・・・その感性の鋭さ。やはり・・。』

 

 俺の言葉に相棒達は少し考える。俺の鋭い勘に思うところがあるらしい。

 

『よくも悪くも相棒は真っ直ぐだ。全く・・・しょうが無い奴だ。』

 

『はあ・・本当に馬鹿。救いようが無いくらいにね。だからこそ・・・私達がいるのよ。』

 

 かなり気位の高いドライグだが、七年間の間に口調も砕けた物になっている。

 

 クレアも口調はすごく辛辣だが、色々と頭が上がらない。なんか姉みたいだ。

 

 お互いにもう気心を知った仲である。

 

『だが忘れるな。お前は神滅具を持つ人間。そして・・・。』

 

「アギトの力だろ?今のところ変身なんかしねえぞ?」

 

 どうも俺にはもう一つ変な力があるらしい。

 

 ある一定段階に達すると人としてかけ離れた力を得ることができるのだと。

 

『こういったところは本当に鈍感よね。』

 

『まだ力が完全に目覚めていないだけだ。おそらく相棒はもう力になじんでいる。さっきの会話の中でもそれを確信させられるほどにな。』

 

 今の会話の中にそんなのあったか?

 

「そうか?そんな風にはちっとも・・・」

 

 まったくわからん。そう首をかしげていた時だった。

 

「!?」

 

――――――くそ・・・このままで終われるかよ・・・。

 

 誰かの声が聞こえてきた。

 

『どうした?』

 

 その声がした方向は・・・わかる。あっちだ!!

 

 夢中で山をかける。そして、俺はその声の主を見つける。

 

 そこには俺よりも背の高い青年が腹と胸から血を流して倒れていた。

 

『・・・これを感じ取っていたのか。だが、もう・・・。』

 

「うう・・・。」

 

『!?』

 

『嘘でしょ!?どう見ても致命傷じゃ・・・。』

 

 手遅れと相棒達が言う前にそいつは息をしていた。

 

『・・・こいつ・・・人間ではないのか?』

 

『私達の力を使いなさい。警戒をしたほうが・・・。』

 

 相棒達が言いたい事は分かる。確かにこいつの右腕は普通ではない。

 

「そんなの関係ねえ。」

 

 だが、それは後だ。

 

『助けるというの?』

 

 こいつは悪い奴じゃねえ。何となくだがそう思う。

 

「重い・・・。」

 

 その時俺はしらなかった。

 

 まさかあの時の冒険仲間の一人と再会していたことなんて。

 

 

 

 

 一方他の面々もまるで何かに引き寄せられるかのように集結しつつあった。

 

 

 

SIDE ???

 

 

「情けないとしか・・・いいようがないね。」

 

 俺は今囚われている。

 

 どれだけ痛めつけられたのか覚えていないくらいにぼこぼこにされている。

 

 ははは・・・痛みすら感じない。

 

『怪我と、人質さえなければこんな事にならなかったのにな。』

 

 俺の中であいつが悔しそうに唸る。

 

「・・・レイちゃんを止めないと。あいつ・・俺のために・・・。」

 

 そんな俺を助けるために・・彼女は罪を犯そうとしている。

 

『まだ力も戻らず、傷も癒えない。時を待つしかない。』

 

「くそ・・・。何もできないのか。せっかく姉様の居場所が分かったというのに!!」

 

 俺の名前は晴人こと―――ハル。

 

 傷ついた身体で暗闇につるされた魔法使い。

 

「諦めないぞ。まだ・・・希望はある。」

 

 そして、其の魔法は皆の希望のためにある。

 

「俺が・・・最後の希望だ。」

 

 俺は待つ。必ずチャンスがくると信じて。

 

 

 

 

SIDE???

 

 私はこっそりとこの世界にやってきていた。

 

 それはある目的のために。

 

「ふふふ・・・ついにBDゲット。」

 

 魔法少女☆ミルキー。私が愛してやまない魔法少女の中でも・・・飛びきりのお気に入り!!そのBD(ブルーレイディスク)を買いにきていたのだ!!

 

 眷族や通販でもいいけど、やはり直接買うのに限るのだよ!!こういうのは。

 

「さあて、冥界に帰って思う存分。」

 

 だが、そこで私はある邪悪な気配に気付く。

 

「おかしいな。ここに陰囚なんてあったのかな?」

 

 それは冥界とは違う異界――魔界の住人。

 

 この世界に天界と冥界以外に二つの魔界と幻界がある。

 

 そこには大変危険な住人がおり、私達の世界を脅かそうとしている。

 

 そしてこれは魔界の住人である。

 

 黒くやせ細った身体にヤギの角と蝙蝠の羽を持つそれは私達なんかよりもはるかに悪魔らしい。

 

「なんでホラーが?この地区は出ないように結界などで処理しているのに。」

 

 ホラー。それは人間を喰らう存在。私達からしても忌むべき存在。

 

 いたのはまだ憑依していない素体ホラーである。

 

 それが数体。

 

「・・・・・・ちゃっちゃと元の世界に送り返してくれようかね?」

 

 雑魚もいいところだ。

 

 でも、私は少し油断をしていた。

 

 突然、別のホラーが現れたのだ。

 

 それは因果のシルエットに憑依したホラー。

 

 これは血ぬられた木に憑依した木の化け物のような姿をしている。

 

「ぐっ・・・しっ・・・。」

 

 それが私を蔦で縛り上げる。

 

 縛られた私に向かって無数の素体ホラーが襲いかかろうとするが・・。

 

 それが雷鳴と共に放たれた一閃によりすべて消し飛ばされる。

 

 いたのは黒鋼の鎧を纏った騎士。兜は狼を思わせる作りとなっており、そこに竜を思わせるような角が後ろに向けて伸びている。・。

 

 両腕はヒレのような刃と杭のような物が付いた小手。両足は踵がまるで車輪のようなものがついている具足になっている。

 

 その手には銀の刃と黒に金の文様が書かれた刀身の剣。

鍔元に赤い宝玉の様な物が埋め込まれている。

 

 そして額と両拳には竜の頭を模したような蒼い紋章が光輝いている。

 

「魔戒騎士。」

 

 私はそれがどういう存在が知っている。

 

ホラーを狩り、人々を守ることを使命とする魔戒騎士。

 

 その一人だと。

 

 でも、額と両拳に紋章がある騎士は初めて聞く。

 

 木のホラーが私に向けて先端を槍のように尖らせた触手を素早く突き立ててくる。

 

 それをその騎士は私の前に立ちふさがり、その剣で斬り、そして鎧の身体で受け止めた。

 

「あ・・・。」

 

 助けてもらった。それに気付いた時にはその騎士は軽く剣を振るい、私を縛っていた触手を切り裂いていた。

 

 血が出ないように剣に緑の炎を纏わせている。

 

「逃げろ・・・。」

 

 そして、その騎士はホラーと対峙したまま、背中越しに私に逃げるように促す。

 

「・・・・・・。」

 

 そして黒鋼の騎士は歩く。

 

 ホラーが狂ったように触手を伸ばすが、それを次々と剣で切り払いながらゆっくりと近づく。

 

 相手からしたら絶望するしかない光景だろう。

 

 彼は一本の触手を片手で掴み、そしてそのまま・・大樹のホラーを引っ張る。

 

 巨大な根で地面を支えているホラー。

 

 根が地面からひっこぬかれ、そのままホラーは空中に放り出されたのだ。

 

 片手でそれだけのパワー。どうやったら発揮できるというのか?

 

 彼はとっさに手にした剣を逆手に持ちかえる。

 

 その剣に緑の炎が宿り、そのまま飛び上がり切り裂いたのだ。

 

 炎に包まれながら声なき悲鳴を上げながら消滅していくホラーを背に、着地し剣を鞘に納める彼。

 

 完全に消滅したのを確認してから彼は鎧を解く。

 

 そこにいたのは金色の髪をしたまだあどけなさの残る少年がいた。

 

 白のロングコートのような衣を来て、手には蒼い色の鞘に収まった剣。

 

 額と両拳にあった青い光の竜の紋章はまだ輝いていたが、すぐに光は収まる。

 

「なんでこの地域でホラーが?ここはグレモリ―の領域で、出ないようになっていたはずだろ?」

 

『誰かが人工的に呼び出したとしか考えられない。悪魔達からしても契約対象である人間がホラーに喰われるのは避けたいはずだ。』

 

 少年の言葉に銀の首輪が喋る。ちょうど喉元に顔のようなものがある。

 

「あっ・・・あの・・・。」

 

「・・・はあ。記憶を消すのはどうする?」

 

『やめとけ。あのお嬢ちゃんは悪魔だ。はぐれではないみたいが、記憶消去の術は効かんぞ?』

 

「・・・だから夜もいるというわけか。ホラーも悪魔は食べないし。まあ裏の連中なら問題ない。面倒なことがなくてよかったよ。」

 

 少年はため息を突きつつその私の方を見る。

 

 すごく・・・格好いい。

 

「この件を仲間に伝えるかどうかはあなたにまかせます。でも安心して、こいつらは私が必ず狩る。」

 

 その笑みは頼もしいものである。

 

「/////!?」

 

 その笑みに・・私の心に強烈な一閃が叩き込まれる。

 

「だから少し待ってくれ。すぐに心地いい夜の時間を取り戻してあげるから。」

 

 彼はそう言ってコートを翻してその場から歩き去る。

 

「・・・・・・。」

 

 彼女はそれを黙って見ていることしかできなかった。

 

 その背中、その頼もしさ、私が知っている数多くの猛者と何かが違っていた。

 

 これがのちに数々の武具を使いこなし、異なる世界にもその名を轟かす異界の竜の騎士の力を持つ黒龍騎士・・狼龍(ロウリュウ)の称号を持つサイガ。

 

「・・・・・・格好いい。あんな殿方・・・初めて・・。」

 

 これが彼と私、五大魔王の一人であるセラフォル―・レヴィアタンの馴れ初めである。

 

 私はしばらく呆けたあと・・・冥界の屋敷に戻る。

 

 あまりに惚けていたので抜け出していた事を叱ろうとしていた皆も逆に心配する始末だ。

 

「ねっ・・・姉様?いっ・・・一体どうしたのですか!?」

 

 ソ―ナたんもどうしたものか戸惑っているよ。

 

 はは・・・そうだね。

 

 普通ではないのは分かっている。

 

 これは・・・きっと・・・。

 

 どれだけ呆けていたのだろうか。

 

 時間の感覚すらもあいまいだ。

 

 でも・・・もう私が次にとる行動は決まっていた。

 

「セラフォルー様・・・その食事の用意が・・・気分が悪いようでしたら・・・。」

 

 その声をきっかけにして私は立ち上がる。

 

「・・・決めた。」

 

「えっと・・・何がですか?」

 

「あの子・・・私の物にするわ!!」

 

「へっ?あの子って誰の事ですか?その・・・。」

 

「すぐに調査と交渉に長けた者を集めなさい。今から会議を始めるわ。」

 

「はい?いっ・・・いきなり何を!?」

 

「い・い・か・ら!!集めなさい。集めている間に食事はいただくわ。」

 

 仮にも魔王なのだし、呆けたまま待つのはつまらない。

 

 絶対にみつけだす。

 

 そしてみつけたら堕としてあげる。

 

 そのためにはまず・・・彼の事を徹底的に探して、調べないとね。

 

 元老院に直接聞きにいこうかな?それが手っとり早いわ。

 

 今の内に交渉のカードを考えないと。

 

 ふふふ・・・覚悟して待っていてね。

 

 この私の心を奪った責任・・・取ってもらうから。

 

 

 

SIDE サイガ

 

――――――ゾク!?

 

 言いしれない悪寒と共にとっさに剣を抜き放つ。

 

『どうした?』

 

「いっ・・・いや・・・。なんかものすごいプレッシャーを感じたような。まるで父さんから昔に聞いた大魔王を思わせるような凄まじい何かを・・。」

 

『・・・俺は何となくその原因は分かるような気がする。』

 

 首元で私の相棒、エイガが呆れた声をあげる。

 

「なんだよ。何か悪いことをしたのか?」

 

『悪い事していないからこうなったんだ。はあ・・・恐ろしいまでの勘を持っているのお前の父親と同じで鈍感すぎるぞ。絶対にお前は後で痛い目にあうぞ。』

 

「そうか・・。父さん結構鈍感だったの?」

 

『ああ。母さんもやきもきしていたらしいぞ。』

 

 私の父と母は幼いころに亡くなっている。

 

 だが、二人は確かに私に大切なことを遺してくれた。

 

 母は父と同じ師の持っていた書物。そこには武術だけでなく、心構えも載っていた。

 

 そして父は・・・。私に力を残してくれた。

 

 両腕に宿る光の紋章がそれだ。

 

 そこには力だけでなく父さんや歴代の騎士達の戦いの経験と父さんの想いも宿っている。

 

『この凄まじい力・・だいぶ制御できているな。鎧と剣もうまくなじんでいる。』

 

 其の力は強大で、並の剣や鎧では発動した瞬間に耐えきれずに粉々になってしまう。

 

「まだ一割にも満たないけどね。」

 

 魔戒騎士の中でも異端中の異端とされるほどである。

 

 それで悩んでいた時手を差し伸べてくれた恩人がいる。

 

「鋼牙さん達のおかげだよ。本当に大変だった。でも、まだ完全じゃないから迂闊に全力だせない。成人になったら問題なくなるとは聞いているけど・・。」

 

 其の力は強力すぎる。皆の協力で父さんの剣を使ってこの特性の剣と、それを参考にして新しい鎧も出来上がったくらいだ。

 

 狼龍の鎧は生きている。生きて・・進化をしているのだ。私の力に対応できるように。

 

「とにかく元老院からの指令を果たそうか。ホラーの発生に関してグレモリ―の方々と交渉するようにとだ。」

 

『ああ。確かお前、あの街には思い入れがあったのだな?管轄を希望していたみたいだし。』

 

「・・・ああ。あいつにも会えるな。また会いに行こうか。」

 

 あの街にはイッセ―がいる。数少ない私の友が。

 

 もう一人の友も探している。

 

 風のうわさで悪魔としてここにいると聞いている。

 

 私はあいつにある人達から、そして私自身のプレゼントがある。それを渡したいのだ。

 

 私は二人の友に救われた。今度は私が彼らを守る番だ。

 

 七年間で磨いた騎士としての技と力、そして心をすべて賭して。

 

 

SIDE 渡

 

 僕は引っ越してから傍にあった夜の公園でバイオリンを奏でていた。

 

 満月を照明にして、

 

 奏でられているのはセレナーデ。

 

 満月の下で奏でられるその演奏は幻想的な雰囲気も相まって酔っていく

 

「うん・・・今日もいい音だ。出来もいい。」

 

 その音色に、夜なのに鳥や色々な動物が集まっていた。

 

 そんな彼らに僕は一礼する。

 

「あとは素晴らしい歌姫がいれば完璧なのに残念だよ。」

 

「我・・・唄おうか?」

 

 そんな僕にゴシックロリータ服を着た女の子が現れる。

 

「おや?唄ってくれるのかい?」

 

 僕は少し気障な物言いで言ってみる。

 

「歌という物を覚えてきた。唄ってみる。」

 

 彼女の名前はオ―フィス。どことなく現れる不思議で純粋な心を持つ少女だ。

 

 僕が分かるのはそれだけだが、それだけで十分だった。

 

 共に音楽の楽しさを分かち合えるのだから。

 

「わかったよ。オ―フィス。唄ってみて。それに合わせて演奏するから。」

 

 其の言葉と共に、僕達の小さなライブが始まる。

 

 僕は紅 渡――この街にいると思われる幼馴染からは王子と呼ばれている。

 

 もしかして、明日転校する駒王学園に通っているのかな?

 

「へんなことにならないといいけどな。」

 

 肩に蝙蝠をデフォルメ化したような何かが止まって言う。

 

「ああ。キバット。それに関しては安心してくれ。なんか素晴らしい出会いがあるような気がするんだよ。」

 

「それは一波乱あるな。」

 

 素晴らしい出会いがある予感。それは何かトラブルを伴う僕の中のフラグである。

 

「すばらしいだろ?あっ・・・ルフェイからメールだ。何何・・・へえ・・・アーサーさんも相変わらずのようで。」

 

 僕は明日から始まる色々と素晴らしい予感がする日々に胸をたからせていた。

 

――――――――渡君の探し人・・見つかることを祈っています。

 

 ルフェイからのメールはそう締めくくられていた。彼女は渡がある人を探しているのを知り、応援してくれているのだ。

 

「おっと今度は兄さんからだ?」

 

 その内容は・・非常に心配してくれているメールだ。

 

 全く・・・我が兄ながら過保護すぎるよ。

 

―――もう一人の弟が見つかったらすぐに知らせろ!!兄として仕事を放り出してすぐに駆け付ける!

 

 いやいや、仕事を放りだしたらダメでしょう。

 

 そうツッコミを入れながらも僕は期待してならない。

 

「今度こそ・・・弟に会えるかもしれないな。」

 

 ずっと探していたもう一人の肉親に会える予感に。

 

「サービスだ。もう一曲やるとしようか。」

 

「我も聞きたい。」

 

「そう・・・だったら今度はこれにしようかな?」

 

 彼はバイオリンをしまい、どこからともなく別の楽器を取り出す。・

 

「それ・・・何?」

 

「ギターだよ。こう見えて楽器ならなんでも演奏できる。」

 

 今度はギターを奏でる。

 

 歌詞なき歌と共に。

 

 その音色も優しく、皆の心を穏やかにしていく。

 

 オ―フィスもその演奏を心地よさそうに聞いている。

 

「心地いい。」

 

 僕はこの音楽がある世界に生まれた事をいつも感謝している。

 

 そして、それを聞いてくれる人達がいる事もだ。

 

 幸せを皆で分かち合おう。そして、もっと届けよう。

 

 この幸せが世界のどこかにいる弟にも伝わればいいな。

 

 

SIDE三人称

 

 一方ある山の中では・・・二人の男が大の字になって倒れていた。

 

 木々はへし折れ、岩は粉々。地面のあちこちには大穴がたくさんあいていた。

 

「ぐぐぐ・・・ふはははは・・・。」

 

「ふふふははは・・・。」

 

 二人とも全身ぼこぼこ。でも何故かすっきりした様子で笑っている。

 

「まさか・・・拳でここまで語り合えるとは思いもしなかった。」

 

「こっちもだ・・・ははは・・・・・・どれだけお前は鍛えているのか想像もできんぞ。」

 

「それはこっちのセリフだ。ここまで重い拳は初めてだぜ。」

 

 その様子を見ていた黒い髪をした女性が呆れた様子。

 

 ただし、猫耳に尻尾が生えている辺り彼女は普通ではない。

 

「馬鹿にゃ・・・馬鹿が二人いるにゃ・・・。」

 

 そんな二人を黒髪の猫女こと・・・黒歌は仙術で治療していく。

 

 その間にも二人はすっかり意気投合している。

 

「お前達の事情を聞きたい。」

 

 男――サイラオ―グは青年と黒歌に問う。

 

「お前程の男がSS級・・・いや、お前のおかげでSSS級にまで跳ね上がるまでに実力を高めたはぐれ悪魔―――黒歌を命がけで守っているのには筋の通った理由があるはずだ。」

 

 青年―――鋼の様な銀色の髪と黒い赤銅の様な肌をした彼はサイラオ―グの目を見て、その眼の輝きを確認した後、不敵な笑みを浮かべる。

 

「・・・ああ。あんたになら頼めそうだ。」

 

 先ほどまで殴り合いをしていた二人がえらい息の合いよう。

 

「あっあれ?なんで二人ともそんなに・・・。」

 

 先ほどまで壮絶な殴り合いをしていた二人がすっかり仲良くなっている。

 

 それに戸惑う黒歌だが、難しいことではなかったらしい。

 

『拳で語り合った仲だからだ!!』

 

 細かいことはもう不要である。

 

「・・・はあ。」

 

 黒歌、熱い二人に押され気味である。

 

「だったら話させてもらうぜ。実はな・・・・・・。」

 

 そうして彼はサイラオ―グに二人の事情を話す。

 

 黒歌がどうしてはぐれ悪魔となったのか。その訳を。

 

「そうか・・・なら俺が動こう。なんとかする伝手もある。証拠は・・・。」

 

「これにゃ。それと・・・・・・。」

 

 黒歌は今まで温めていたその証拠を彼に渡す。

 

「それと、妹・・・白音だったか。その件なら耳にしている。今は小猫という名で悪魔の眷族となって暮らしているぞ。」

 

「・・・そうか。幸せかにゃ?」

 

「あそこは眷族を家族として大切する一族だ。例の件も必死で彼女を庇ってくれたらしい。酷い目にあったらしいが。」

 

「・・・・・・・。」

 

 酷い目にあった。その言葉に黒歌の耳がたれる。落ち込んでいる証拠だ。

 

「あと・・・まだあいつは生きているのか?」

 

「生きている。今も小猫を諦めていない。再三トレードをしようと画策している上に、黒歌の捕獲、または殺害に懸賞金までかけているくらいだ。」

 

「だから次々と変な連中が襲いかかってきたわけか。ふざけたことをしてくれる。手段を選ばない奴までいたおかげで俺の身内にまで被害が出たんだぞ!!」

 

 全身から怒気を発する彼。

 

 それだけで山が震える。

 

「凄まじいものだな。どれだけ鍛えればここまでの気を発せられる?」

 

 その怒気に軽く驚くサイラオ―グだが、すぐに気を取り直す。

 

「全員、お前と鬼の修行とした彼女が撃破したのだろ?おかげで俺がここまで出向くことになったが、おかげで裏が読めて助かった。」

 

 むしろサイラオ―グは納得すらしている。これだけの怪物相手なら、今まで討伐に来た連中が全員返り討ちになって当然だと。

 

 現に黒歌の手にはトランペットの様な銃がある。

 

 そして、一通りの事情を話し・・・。

 

「そうだ・・・あんたにならこれを渡せそうだ。」

 

 青年は懐からある物を出し、それを手渡す。

 

 それは・・・音叉のようなものであった。

 

「これは、鬼の変身に使う・・・。」

 

「あんたの鍛え具合から考えて、少し方向性を変えればすぐに使えるなと思ってよ。よかったら受けとってくれ。これも渡す。」

 

 それは金色の石がついた黒塗りの二つの棍棒と、太鼓のようなもの。

 

「俺に話していたあの鬼になれと?」

 

「あんたに使ってほしい。これは鬼になるためにどんな修行をしているのかまとめた書物だ。これも一緒にうけとってくれ。あんた・・もっと強くなれる。」

 

 其の言葉にサイラオ―グは不敵な笑みを浮かべる。

 

「・・・いいだろう。己を鍛え抜いて変身できるという点が気に行った。これで変身できるまで鍛え直してくれる。お前のオーラが良い目安になりそうだしな。」

 

「俺も今度は変身してあんたと戦いたい。」

 

「・・・そうか、それは楽しみだ。」

 

 二人の全身から闘気が発せられ、気温が一気に上がる。

 

「暑苦しいにゃ・・・。あんたたちが鬼に変身して殴りあったら地形が変わりそうだから勘弁してほしいにゃ・・・。」

 

「この案件が解決したら是非冥界に来てくれ。」

 

「ああ。是非寄らせてもらう。」

 

「・・・あの。」

 

「安心しろ。お前の汚名は晴らしてやる。愛する男の傍に・・・愛する妹と堂々と一緒にいれるようにしてやる。」

 

 その言葉に黒歌は驚いている様子。

 

「えっと・・・いいのかにゃ?」

 

「お前はやると言ったのなら必ずやる。そう言う男だ。」

 

「ふっ・・・まかせろ。それに・・・個人的にその外道も許せん。それと・・・その街に向かうのか?指定の解除には魔王との交渉もある故に時間もかかる。その間に追手が来るぞ?」

 

「それでもいく。こいつが叫んでいるんだよ。何か起こるとな。」

 

 青年の右腕に蒼い篭手が現れる。

 

 その篭手を見たサイラオ―グは軽く驚く。

 

「・・・鬼の篭手。まさかこんなところ見ることになるか。」

 

「かなりレアらしいな。」

 

「ああ。神器と同クラスどころか力を引き出せば神滅具クラスと聞く鬼の遺した魔具。」

 

「まだそこまでじゃねえ。だが、そこまで至るつもりだ。それに、こいつは黒歌がちょろまかした悪魔の駒みたいな奴をとりこんでな。身体が少し変化した。」

 

「ほう。悪魔に似た変な気はそのためか。だったらこっちもそれを引き出したお前と戦いたい物だな。こっちも似たような物をもっているのでな。」

 

「ほう・・・まあ深くは聞かねえ。その方が面白そうだ。」

 

『ハハハハハハハっ!!』

 

「もうだめにゃ・・・誰かこの二人と止めて・・・。」

 

 其の言葉に二人は笑う。

 

「ははは・・・お互いにもっと強くなろうぜ。」

 

「ああ。楽しみにしているぞ!!ん?そう言えばお前の名前を聞くのを忘れていたな。」

 

「俺の名は鋼鬼(こうき)。鋼の鬼だ。」

 

「名のごとく頑丈で気骨溢れる漢だな。」

 

「そっちもだぜ、大王様!!そっちもでかい夢があるみたいだしな。応援しているぜ!!」

 

 二人は拳をぶつけ合い、再戦を誓う。

 

――――――また拳を交えよう。友よ!!

 

 この二人はこの瞬間友となる。

 

 そしてサイラオ―グはその場から姿を消した。

 

「では、向かおうか。お前の妹に会うために。」

 

「・・・いいのかにゃ?」

 

「ヴァ―リは許したぞ。こっちは自由に動くだけだ。」

 

「・・・そうにゃね。そしてあんたもヴァ―リの戦ってみたい猛者リストに載っていることを忘れるにゃよ?」

 

「それはそれで面白そうだ。あいつもどれだけ強くなったのかまた試してみたい。」

 

「はあ・・・気楽でいいにゃ。」

 

 どうも不安そうな黒歌の肩を叩く鋼鬼。

 

「安心しろ。きちんと和解させる。俺がついている。いっただろ?責任は取ると。」

 

「・・・・・・うん。」

 

 この二人実は相当深い仲である。

 

「こんな男に惚れてしまった私の負けだにゃ・・・。」

 

「いや・・・そのな。負けという意味では・・・。」

 

 鋼鬼。顔を赤らめて相当照れくさい様子。

 

「ほう・・・えいぃ!!」

 

 それを見ていたずらっぽい笑みをうかべた黒歌が、飛びついてくる。

 

 彼女が着ているのは胸をはだけた大変露出の多い着物である。

 

「なっ、ななな・・・!?」

 

 たちまち顔を真っ赤にさせる鋼鬼。

 

「むう・・・私のほうが圧倒的に年上なのに生意気にゃ・・・えい!!ぐりぐりぐりぐりぐり!」

 

 そのまま胸を押しつける鋼鬼。顔をさらに真っ赤にさせて・・・。

 

「ブハッ!?」

 

 盛大に鼻血を噴き出す。

 

「ふふふ・・・相変わらず純情にゃ。今の内にすこしずつ慣れてもらわないとねん。出ないと子づくり解禁の時に失血で腹上死はいやにゃ!!」

 

「おっ・・・お前、変なところで対抗意識を燃やすブハッ!?・・・ヤメロ・・・血が・・・血が足りなくなるううううううううう!!」

 

 鼻血を噴き出しながらも二人は旅を続ける。

 

 

 今、イッセ―の運命の始まりと共にかつての仲間達が集結しようとしていた。

 




 さて・・・三つの紋章の正体は何でしょう?

 色々とツッコミは多いと思います。

 異様な強化が確定されたキャラもいます。

 他にも色々とネタはあるのでかけたらと思います。

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