彼女、提案された魔改造案を膨らましてとんでもない娘になりました。
連続投稿第一弾どうぞ!!
SIDE イッセ―
さて、電車の中で俺は良太郎の色々複雑な事情を知る事になってしまった。
「転生者ねえ。」
いや・・・単語は知っているよ。一度死んで、その記憶を持ったまま生まれ変わるという意味だよね?
でもまさか実際に転生してきた人に会うのは初めてだよ。
「私も・・・なのか?この電車に乗った途端に色々と蘇ってくるが・・・。」
そして、ゼノヴィアまで転生者だって!?
「あなたの前世の記憶はデンライナーに乗った後に蘇るようになっていました。これに乗るという事は貴方の復活の時ということですから。」
このデンライナーのオ―ナーがそう言ってくる。
「まあ・・・女に転生する際、精神も肉体に引っ張られる形ですので、安心してください。違和感はないはずです。あなたという人格に桜井侑斗の経験が加わると思ってもらえれば分かりやすいでしょう。」
「はあ・・・男の記憶が女の身で持っているのは複雑な気分だ。」
いや、女なのは分かる。すっごくスタイルもいいし。
でもね、そう驚きながらデネブにプロレス技をかけているのはどういう了見だ?
「そして、今までどうして変なことになっていたのかも漸くわかった。・・・今までよくも恥をかかせてくれたな、デネブゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
「ああ―――この技・・・やはり侑斗だあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「お前のおせっかいのおかげで私は・・・私はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あーギブギブギブギブ!!」
見事なさば折り。いや・・・いい具合に極まっている。
「ははは・・・ははは・・・。」
多分・・・今までいろんな事があったんだよな?
良太郎の乾いた笑い声で何となく分かる。
「あああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!」
ああもう、ゼノヴィアが泣き叫びながら技をかけているよ。
「ああ・・・さっそくじゃれあっていやがる。あいつが女に転生ってなあ。」
赤い鬼・・・モモタロスが呆れた様子でいる。
物言わぬ屍となったデネブを放置して、ゼノヴィアが立ち上がる。
そしてモモタロスがじっくりと見て。
「結構美人だ。」
「うるさい。」
ゼノヴィアの答えは強烈な拳。モモタロスが殴り飛ばされたよ。
「はあ・・・もう。まだ正直混乱している。今で一応女として生きてきたのに前世が男だという記憶が・・・。」
「でもでも・・・やっぱりお前だよね?」
そこに子供みたいな口調をした竜の頭をしたイマジンも登場。
そこに蒼い亀みたいなイマジンが現れて、ナンパし始めたぞ?
「へえ・・・君・・・僕に釣られてみ・・・がばっ!?」
ナンパに対する答えは・・・腹を打ち抜くような膝蹴りでした。
ウラタロスっていったけ?腹を押さえて崩れ落ちて行くよ。
「私と知っていて、それでよくナンパするよな?」
えっと・・・ゼノヴィアがなんか容赦ない。
そんなゼノヴィアの背中を黄色の筋肉の塊みたいなイマジンが叩く。
「がばら!?」
すごい力なんだね。ゼノヴィアが壁に叩きつけられたよ。
「あいかわらずで安心したで!!」
それに対する答えは・・・。
「ああ・・・こっちもな!!」
「泣けるで!!」
お返しのドロップキックであった。そのイマジンもまた吹っ飛ばされる。
『ぎゃああああああぁぁぁぁぁ!!』
それにモモタロスとさっきナンパしていたウラタロスまで巻き込まれるし。
何このバイオレンスな喜劇は?
「予想以上に・・・濃いぞ。こいつら。」
ネロ。分かるよ。
「素晴らしい肉体言語だな。」
「うん。一部だけど、それだけで十分・・・。」
「降臨・・・満を持して・・・。」
そこに白い鳥の様な奴まで降臨してきた!?
『まだいるのか・・・。』
もう・・・お腹一杯だ。
まあ・・・色々混乱も収まったところで自己紹介もしてもらった。
良太郎との契約イマジン。いや、良い個性をしていやがる。
「・・・まあ、悪い奴らじゃねえというのはわかる。それに、気骨もある連中ばかりみたいだしな。」
ネロは話を聞いてイマジン達を気にいった様子だ。
「ほう、言ってくれるじゃねえか。そう言うお前も同類か。」
モモタロスと不敵な笑みを浮かべ会っている。
彼らは、イマジン達の本来の使命を拒否した者達。いわば裏切り者みたいな存在。
イマジン達は自分たちの未来に時間を繋ぐために時間を改変しようとする者達。
だが、彼らは自分たちが消滅することも覚悟で良太郎と共に戦った。
なるほど、そう考えると確かに気骨あるわ。
こいつらは個性だけじゃない・・・覚悟が違う。自分の存在すらかけて戦える奴なんてそうはいないぞ。
その戦いはそれらを率いたカイと呼ばれる男達との戦いに勝つことで決着をつけ、彼らも奇跡的に己の時間を得ることで消滅することもなくすべては解決したはずだった。だが、またイマジン達が大量発生しているらしい。
「それが・・・牙王の仕業か。」
「うん。どうやったか分からないけど・・・カイの時間を喰らい、彼が数多くのイマジンを率いるボスになった。グリードと融合し、ネガタロスまで率いている最悪の形でね。」
牙王。それはかつて良太郎達が闘った相手だった。
その強さは圧倒的。
そして、ネガタロスもまた同じらしい。
「牙王は何者かの元で復活している。それは間違いらしい。誰があんな危険な奴を復活させたのか分からないけど。」
あいつを復活させた奴がいる。
それってつまり・・・あいつよりもヤバい奴がバックにいるということなのか?
勘弁してくれ!!あいつ単体でもラスボスって言っていい怪物だぞ?
本気出していないあれで、中ボス扱いなのか?
「それで、どうして私が転生したんだ?」
「・・・ハナのおかげだよ。」
「ハナが?」
「そう言う事。」
そこにもう一人・・・妙齢の女性が現れる。
大人の女性って感じがするし、すごい美人だ。
「お前・・・ハナなのか?」
「ええ。久しぶり。私が分かるってことは記憶が戻ったみたいね。」
「お前・・・小さくなったりしたけど、今度は大人の女性になったな。まあ・・・前世の記憶だけで何とも言えないけど。」
どうもこのハナという女性も関係者らしいが・・・。
「元々あなた自身が特異点として生まれる事が分かっていたの。でも牙王たちは貴方を殺し、この世界の時間を我がものにしようとしていた。それを守るために・・・良太郎が己の時間を逆行させる形で転生してやってきたのよ。貴方の弟として。」
そう、良太郎は一度死んだが、己の時間を逆行させる形で転生。
だから最初から記憶があったのだ。
「でも、そのあなたに侑斗の魂が宿っているってデネブから聞いた時は流石に驚いたわ。何処の神様のいたずらか分からないけど、契約が切れていないという話なら納得だしね。だから、護衛としてデネブも一緒にしたの。何時でもあなたを守るようにね。」
「お前・・・私をずっと見守ってくれていたのか。」
「ずっと見守ってきたよ。俺は君を・・・一人にしたくなかったんだ。」
ゼノヴィアはデネブを見る。デネブは密かに彼女を守っていたのだ。
良太郎と共に。
「でも安心して、侑斗としての記憶と経験はあっても、貴方はあくまでも貴方。侑斗ではないから。まあ・・・もう人格は融合しちゃっているけど。」
えっと・・・あくまでも生まれ変わりだけで、ゼノヴィア本人には変わりないってこと?
なんかよく分からないけど・・・。
「なら、お前も好きにしてもらってもいいぞ。私は桜井侑斗の生まれ変わりだ。でも・・・それでも別人だ。性別だって違うし。」
デネブにそう話しかけるゼノヴィア。
「いいや。俺はずっと付いていくと決めていた。生まれ変わってもずっと、死んでも生まれ変わりを探すって決めていたんだ。それが約束だから。」
約束?
「小さいころからの約束だった。それを侑斗は守り、死ぬ前にまた会おうと言ってくれた。だから・・・それを待っていたんだ。侑斗は絶対に約束を守ってくれる。」
そのために、こいつはずっとゼノヴィアと一緒にいたというのか?
それだけのために?
その言葉に良太郎とハナさん、そして他のイマジン達もしんみりしている。
「お前・・・本当に一途だよな。侑斗が亡くなった時の落ち込みようからしても。」
モモタロスの言葉に皆が頷いている。
そうか。こいつ、それほどまでにその人が好きだったんだな。
「・・・そうか。だったら・・・さ。改めて契約してくれ。桜井侑斗としてじゃなく、私。そう、ゼノヴィアとして。」
えっ?契約?
でも契約したら時間が・・・。
「安心して。特異点は例外だから。」
そう言えば良太郎も契約していましたな。
それって特異点だからなの?
「・・・ああ。よろしく、ゼノヴィア。」
「ああ。この世界でも共に戦おう。」
「分かった・・・ゼノヴィア。後・・・これを受けとってほしい。」
デネブが渡したのは、ベルト?そしてチケットみたいなものがある。
「特異点となった今ならゼロノスの力も回数制限なしで使える。」
「そうか。それはよかった。また共に戦おう・・・デネブ。」
「そうだな・・ゼノヴィア!!」
感激のあまりに涙を流すデネブ。
『・・・・・・。』
俺達は少し泣いています。
「はあ・・・何かこう、ここにいるイマジン達って濃いけどいい奴らばかりだな。」
「馬鹿みたいだぜ・・・死んでも一緒にいたいという奴、そうはいないぜ。普通重いといわれても仕方ねえのに。」
ネロも呆れながらも少し声が震えている。
「さて、ゼロノス復活の景気づけとして、あいつの時間を助けに行こうか!!」
ゼノヴィアが、すごくやる気をだしている。ゼロノスって何?
何かベルトからして、変身しそうで怖いですけど?
今度はゼノヴィアまで変身するのか?
「これで戦力的に不安はない。行くよ、木場君の過去を助けに。」
良太郎の言葉に皆が頷く。
なるほど。これだけ濃いメンツを纏めるだけはあるわ。
皆の気持ちが一つになっている。
時の列車の移動中。
「わりぃ、ちょっとトイレに行きたい。」
「まあいいよ。トイレの車両は・・・。」
良太郎からトイレの場所を聞き、そこに向かう。
「・・・連れションは勘弁してほしい。」
ネロも行きたいのかい!!野郎同士はこっちの方が勘弁したいぜ。
だが、俺達は見知った人を見つけて立ち止まった。
トイレのある車両にはちょっとした喫煙室みたいなところにその人はいた。
それはハナさんだった。
「・・・・・・。」
そして、ハナさんが泣いている?
「はあ・・・そんなに泣くのなら名乗り出たらいいじゃねえか。」
その傍にモモタロスがいるぞ?なんか呆れた様子で?
「お前があいつの母親だって・・・。」
『・・・・・・。』
なんですと?
俺とネロは互いに顔を見合わせる。
「言えないじゃない。生まれ変わったのは私がこの世界で子供を授かり、そこに魂が宿ったからだって・・・。色々な意味で混乱するわ。」
「あいつがお前の娘ねえ・・・そのためか、いい拳してやがった。」
殴られたい頬をさするモモタロス。結構痛かったのね。
「・・・今や私は時の番人みたいなものよ?私は数多くの時間をつないでいる。この世界だけじゃなく・・・色々な時間を。あの子がこの世界の特異点になったのも、私がこの世界であの人と一緒になって生まれた娘だからって・・・。」
「・・・・・・。」
なっ・・・何を言っているの?
「・・・知ってはならない事を知ってしまったね。」
『ビク!!』
うっ、後ろにいつの間にか良太郎が?
あれ?他にウラタロスに、キンタロス、リュウタロス、ジ―クまで?
みんな、すごい迫力で俺達に迫ってくる。
「安心しな。記憶を物理的になくすだけさかいに。」
キンタロスさん。それって力技で俺達の記憶をなくすってことですよね!しかもその言葉を鉞(まさかり)持った状態で言わないで!!それを使われたら失うのは記憶だけじゃ絶対にすまないから!!
「いやいや・・・ここは僕の力で操って。」
リュウタロス。お願いですからショットガン見たいな武器を仕舞って!!どんな力を使うのか知らないけど!!
「アギトに力が効くのかな?だったらこっちが催眠か調教でも・・・。」
ウラタロスさん。その調教って、手にしたオールみたいな槍でやるのですか?
「・・・・・・・・・姫のために一肌脱ぐか。」
ジ―クさんが両手に刃物を手にしていますよ。一肌脱ぐってそっち!?
『いやいやいやいやいやいや・・・!!』
なんかすごい迫力に追い詰められる俺達。
こいつら本当に怖い。気迫が、気迫が違う!!
ネロが言っていた気骨がこういった部分で発揮されているって!!
「・・・・・・。」
特に良太郎。何か、黙っているけどそれが一番怖い。
「って・・・あんた達何しているのよ!!」
俺達は騒ぎに気付いたハナさんが襲いかかろうとしたみんなを止めてくれて、そこからとんでもない事情を聞くこととなった。
さっきの意味がどういう意味で、どうしてそれを隠していたか。
あれは、流石に驚く。
ゼノヴィアは本人が知っていることの他にすごい秘密を抱えている。
それを口外しないことを俺とネロは誓った。
さて・・・ゼノヴィアに伏せられたもう一つの秘密はいかがでしたか?
これは彼女が持っている聖剣を見て思いついたネタです。
それが彼女の父親のヒントとなっています。
彼女は英雄派にスカウトされてもおかしくない娘なのです。
さて次からは過去編です、