赤龍帝の幼なじみ達   作:THIS

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ここから急展開。オリジナルの話がでてきます。

 此処であの契約モンスターが登場します。


舞い降りる闇の翼。

SIDE イッセ―。

 

 まず初めに言いたい。

 

 本当にこいつは怪物だ。

 

「フン!!」

 

 剣をまるで叩きつけるように振るってくる牙王。その動きは荒々しいのに、力強い。

 

「隙ありだぜ!!」

 

 ネロが右腕の悪魔の腕を巨大化させて掴もうとするが・・・。

 

「その程度か?」

 

 それをあいつは片手で止めやがった。

 

「ちぃ・・・ダンテと鋼兄以来だぜ。受け止められるのはよお!!」

 

 あいつの右腕・・・相当な力だぞ?それを片手で止めるなんてあいつは一体どんな力をしていやがる!?

 

「うおおお!!」

 

 ―――Sword Vent!!

 

 手にドラグセイバーを出現させ、斬りつける。

 

 剣はあいつの身体を捉えたのだが・・・。

 

「がっ!?」

 

 命中の瞬間・・・突然弾き飛ばされた。

 

 全身から発せられる振動みたいなものによって。

 

 グラグラの力って言っていたけど・・・。

 

「無駄だ。その程度でこの俺に・・・。」

 

 弾き飛ばされた所に無数のヤミ―が襲いかかってくる。こいつらも早く片付けないと。

 

 どんな欲望を元に生まれたのか分からないけど、成長したら・・・。

 

「こいつらの動きを止めればいいよな?」

 

 匙は腰にベルトを出現。

 

 そこにある指輪を指し込み発動。

 

――――――スッ・・・スッ・・・スパイダー!!

 

 肩に蜘蛛の頭が現れる。

 

 その肩から発射された無数の糸がまるで網のように張り巡らされ、ヤミ―達を縛り上げる。

 

「それに・・・黒い龍脈(アブソリューション・ライン)を組み合わせて!!」

 

 その糸が黒くなっていき、さらに固くなる。

 

 そして・・・ヤミ―達の動きが鈍くなる。

 

「こいつら欲望ってやつで動く。ならそれを吸い出せば・・・。」

 

 うまい。ヤミ―達の動きを封じつつ、成長を止めたのか。

 

――――――ウリトラの力か。それに、あの指輪の力が組み合わさったことで恐ろしい事になったな。

 

――――確か、後と三つあるのよね?ウリトラの神器って?

 

――――――ああ。四つそろえば神滅具に匹敵する。

 

 だが、全員を封じた訳じゃない。

 

 別のヤミ―がトカゲのように成長した状態で、地面の下から匙を急襲。

 

「おいおい。相棒はやらせねえぞ!!」

 

――――――バッババ・・・バッファロー!!

 

 肩に猛牛を召喚させた仁藤が凄まじいタックルを繰り出し、ふっ飛ばす。

 

「まだお前は変身できない。だから無茶すんな。」

 

「おっ・・・おう。助かった。」

 

「まあ・・・俺も同じだが・・・。おっと!?」

 

 仁藤に別のヤミ―が迫ってくる。陸亀型のヤミ―。

 

 手にした銃・・・ミラージュマグナムで撃ち、牽制をするが弾丸が弾かれる。

 

「おいおい・・・これは・・・。」

 

 打ちながら突進してくる亀型のヤミ―。それに吹っ飛ばされながら仁藤は理解する。

 

 固い甲羅の傷がすぐにふさがることに。

 

「固い・・・だけじゃない。次々と治っているというのか?」

 

 目の前の亀型ヤミ―の防御の秘密を。

 

「なるほど・・・理解したぜ。んん?」

 

 それと同時だった。

 

 首にあいつの神器が現れる。

 

 その神器は告げる。

 

――――――ラーニング・ザ・タートルディフェンス。

 

 そして亀の甲羅の様な指輪が生まれる。

 

「なんじゃこりゃ?」

 

「よそ見とはいい度胸だね!!」

 

 そこに北崎が襲いかかってくる。

 

 とっさに仁藤は生まれた指輪を使用。

 

―――――――・・・・・タートル。

 

 すると仁藤の前に亀の甲羅の形をした半透明の壁が出現。

 

 北崎の攻撃を弾き飛ばした。

 

「なんだい?でもこの程度の結界・・・。」

 

 北崎が怒りのままにその盾を殴り続け、破壊しようとする。

 

 亀裂までは走るが・・・すぐに再生してしまう。

 

「・・・再生する盾?しかも再生するたびに固くなっている?」

 

「あなたの相手は・・・。」

 

「私達だ!!」

 

 その北崎にサイガとユウナが手にした剣と槍を手にかける。

 

 阻もうとした二体のヤミ―をそれぞれ一閃で斬り伏せたよ。

 

 そして、突進の勢いのままにかける。

 

 その一撃に怯み、反撃をしようとするが・・・。

 

「ちょっ・・・なっ・・・反撃できな・・・。」

 

 2人がまるでダンスを踊っているかのように背中合わせに変わりあいながら次々と攻撃してくるのだ。

 

 あいつは見た目からして重装甲タイプなのだろう。動きはそれなりに俊敏だが、あれは何もできない。

 

 そして二人が同時に攻撃を仕掛けた瞬間であった。

 

「舐めないででもらおうか!!」

 

 あいつの身体から灰が爆発したかのように飛び散り、攻撃が外れる。

 

「こっちの姿でやらせてもらおう。」

 

 二人の後ろには重装甲を脱いだ北崎の姿。鎧を脱ぎ、灰色に骨の様な意匠が付いたシンプルな姿をしている。

 

 その動きは早いぞ!?

 

 眼に留らぬ速度で二人に殴りかかる北崎。でも・・・。

 

 サイガはその攻撃を紙一重でかわす。

 

 ユウナに攻撃した瞬間・・・彼女の姿が無数の灰色の鳥となってかわされる。

 

――――ウィッチタイム。

 

 そして、次の瞬間ユウナの姿もまた消える。

 

 耳に入るのは聞き取れないくらい多くの打撃音。そして・・・二人が唐突に現れる。

 

 吹っ飛ばされる北崎と平然と立つユウナ。彼女の傍の空間に穴が開いており、そこから巨大な腕が出現している?

 

 腕を召喚しているのか?

 

「ぐっ・・・何と・・・君も加速能力を?」

 

「ちょっと違うけどね。魔女の奥義の一つよ。この子の召喚も含めてね。」

 

「へえ・・・そっちの彼も僕の動きを見切ったようだけど?」

 

「一応・・・これでも魔戒騎士なので。」

 

 眼にもとまらない動きをサイガはすべて・・・対応していた。あいつの勘って奴か?

 

 勘にしては対応が具体的で、適切すぎる。

 

 まるで誰かの戦闘経験値をそのまま受け継ぎ、無意識のうちに発動させているような。

 

 一方仁藤は出現し続けている亀型の盾を見て唖然としている。

 

「・・・これが・・・巨獣の模写首輪の力なのか?」

 

 茫然とする仁藤に迫ってくるヤミ―達。でもその盾が行く手を阻む。

 

 固い。そして広範囲に攻撃を防いでいる。

 

「仁藤ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 怒声をあげる匙。彼の左腕には青の巨大な蛇の頭がついている。頭の大きさは匙の頭より一回り大きいくらいだ。そこから青い尻尾の様な物が伸びている。

 

「おう。分かったぜ相棒。」

 

――――カメレオン!!

 

 仁藤の右肩にカメレオンの頭が出現。そこから舌が伸び、近くの壁に張り付いてその場から離脱する。

 

 それと共に匙は・・・もう一つの神器を発動させる。

 

 確か名前は巨竜の顎(リヴァイアサンズ・アギト)

 

―――――バキューム!!

 

 龍の頭の口が開き、吸い込み始めた。

 

 ヤミ―達ですら全身をセルメダルに分解させながら・・・吸い込まれていったのだ。

 

 ヤミ―だけじゃなくて周囲の瓦礫ごと吸い込んでいる。

 

 残ったのは寄生されていたはぐれ神父だけ。

 

 なんて神器だ。まさか・・・すべて飲み込むって神器じゃ・・・ないよな?

 

―――なんで、三大巨獣の神器がここに二つ揃っている!?

 

―――――三大巨獣?確か神が創造した最も強力な三体の生物だったわよね?神すら持て余して封印されたって・・・。

 

―――――あいつら・・・神滅具クラスの力を所有している事にきづいていないのか?三大巨獣はそれだけ危険な存在なのだぞ?我らと匹敵するくらいの・・・。

 

 えっ?あいつらが持っている神器ってそんなにヤバいの?

 

「ほう・・・それは面白い。それを奪うのも一興か?」

 

 その話を聞いた牙王が動き出す前に・・・。

 

―――――――ランチャー

 

――――――レ―ダー!!

 

 左腕にパラポラアンテナ、左足に・・・ミサイルランチャー!?

 

 左足から放たれるミサイル。

 

「こしゃくな!!」

 

 出鱈目な起動で飛んでくるそれを牙王は剣で切り払う。そこにゼノヴィアが斬りかかる。

 

 破壊の聖剣の力を発動させた一撃だが・・・剣で受け止めた牙王は全く動じない。

 

「ふん・・・その程度の力で倒せると思ったか?」

 

「思っていないさ。イリナ!!」

 

「あいよ!!」

 

 鎖のように変化させた擬態の聖剣で牙王の腕に巻きついたのだ。

 

 その隙に弦太郎が腰のベルトのスイッチを交換する。

 

―――――ビート オン

 

―――――ウインチ オン

 

 右足にスピーカー、左腕にウインチが出現。

 

 左腕からフックの付いたウインチが発射され、それが牙王のもう片方の腕を封じる。

 

「そしてこれもだぜ!!」

 

 右足のスピーカーから強烈な音が流れ・・・。

 

「ぬうおおお!?」

 

 その音に牙王の動きが止まる。

 

 なんだあのベルト。スイッチを交換することで別の機能が?

 

「くそ・・・やかましい!!」

 

 それに怒ったのだろう。牙王は地面を踏みつけるとともに足元の地面・・・いや正確には足元の空間が崩壊。

 

 それと共に当たりに衝撃波が撒き散らされ、皆が吹っ飛ぶ。

 

「ぐっ・・・だったら・・・。」

 

―――――スピーカー オフ アンカー、オフ

 

 吹っ飛びながらもスイッチを交換する弦太郎。

 

―――――ポッピング オン

 

―――――チェーンソー オン

 

――――――チェーンアレイ オン

 

 って今度は右足にチェーンソー、左足がホッピング?そして、右腕に鎖につながった棘付き鉄球!?

 

 そして吹っ飛ぶ衝撃を左足のホッピングで壁を蹴ることでいなして接近。

 

 不規則に飛びながら横回転しながら鉄球を振り回す弦太郎。その動きがあまりに不規則で牙王も捕えられないでいる。

 

 頑丈な体でもあの鉄球はそれなりに痛いらしく、牙王が呻く。その上接近しようとしたら右足のチェーンソーによる薙ぎ払いがまっている。

 

 あれは・・・痛そうだな。

 

 あれが弦太郎の戦い方か。どれだけのスイッチがあるか分からないけど、それを状況に合わせて組み合わせて戦う。スイッチによって戦い方が変わるから流れを変えるのに適している。

 

「ちい!?うっとうしい。」

 

―――――――――Guard Vent!!

 

 その隙を狙い俺はドラグシールドを手にして突っ込む。

 

 ネロもアクセルクイーンを全開にして突っ込む。

 

―――――――ジェット・・・アクセル。

 

『うおおおらああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

<BOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOST!!>

 

――――――――――――Transfer!!

 

『Dorgon Storm Slash!!』

 

――――――ジェット・・・マキシマムドライブ。

 

 俺とネロはそれぞれの必殺技を叩き込む。

 

 アクセルクイーンのジェットメモリのマキシマムドライブとドラグセイバーに倍化の力を譲渡したことによる必殺技を。

 

「ふん!!」

 

 それをあいつは・・・片手で止めやがった。

 

 剣もつかわず、素手で止めたのだ。

 

 もちろん・・・震動を纏わせてはいるし、その衝撃であいつの足は地面に陥没。周りが大きく亀裂が走る始末。

 

「いいねえ。それくらいじゃないと・・・。」

 

 予想していたけど・・・必殺技を止めるなんて流石に化け物もいい所だぜ。

 

 だがな・・・。

 

「ゼノヴィア!!」

 

「・・・もう片方の腕は・・・封じさせてもらうぞ。」

 

 破壊の力を全開にさせたエクスカリバーの攻撃を牙王はもう片方・・・剣を手にした剣で受け止める。

 

「だからうっとうしいぞ・・・貴様ら!!」

 

 腰にいつの間にか当てられた黄金のパス。

 

―――プルチャージ。

 

「どううりゃああああああああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 それでエネルギーが充電された剣であたりを一斉に薙ぎ払ってきた。

 

『ぐああああああああぁぁぁぁぁぁっぁ!』

 

 まるで嵐だ。それに俺達は吹っ飛ばされるが・・・何とか皆をドラグシールドで庇う。

 

 一撃で盾が粉々になったけど。

 

 でも、その瞬間あいつは油断していた。

 

―――――カメレオン。

 

「イリナ!!」

 

 それと共に牙王の頭に強烈な打撃が命中する。

 

「おぶうっ!?」

 

 それは仁藤の魔法で姿を消していたイリナが、手にした超巨大ハリセンで牙王の頭をおもっきりはたいたのだ。

 

「おおお・・・おお・・・。」

 

「ツッコミは兄ちゃんで鍛えているのよ!!その威力を舐めないでほしいわ。」

 

 擬態のエクスカリバーをハリセンに変えている辺り・・・流石と思うぜ。

 

 しかし・・・見事なツッコミ。牙王が完全に怯んどる。多分・・・今までの一撃の中で一番ダメージを与えたんじゃねえか?あいつの振動の防御すら撃ち抜いとるし。

 

 それが聖剣の擬態とはいえハリセンによる打撃なのはなんかな・・・。

 

「みんなどけえぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 そして、その隙に匙が右腕の神器の口を開いてみんなに向けて叫ぶ。

 

―――――リバース・・・シュート!!

 

 凄まじい轟音と共に匙の神器から放たれたのはさっき吸い込んだヤミ―達のセルメダルと瓦礫を圧縮した塊。それを三連射!?

 

 その大きさ・・・運動会の大球ころがし用の球よりもでかいぞ?

 

「がばっ!?」

 

「ちょっ・・・ごぼ!?」

 

 それをまともに受ける牙王と北崎が吹っ飛ぶ。

 

 今しかねえ。

 

<BOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOST!!>

 

 俺は切り札を斬る。

 

――――FINAL VENT!!

 

―――――Explosion!!

 

 両足に倍化の力を解放させた状態での・・・ファイナルベントを。

 

「ぐう・・・ぬう!?なっ・・・何!?」

 

『・・・・・・・・・。』

 

 俺の背後に現れるクレアとドライク。

 

 その姿に流石の牙王も目を丸くしている。

 

「牙王・・・流石にこれはヤバい。手を貸す。」

 

 あいつの肩の上にいるワニモドキも危険を告げるが手遅れだぜ?

 

 かわせないぜ!!

 

 飛び上がり、二人の炎のブレスを両足に纏わせた状態での・・・ドラゴンライダーキックを炸裂させる。

 

「ぬおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

―――――フルチャ―ジ×3

 

 あいつは三回黄金のパスでエネルギーをチャージさせ・・・。

 

 剣にエネルギーと細かい振動を纏わせる。

 

 そして、その状態の剣を振るって・・・。

 

 その二つが激突。その瞬間・・・空間に亀裂が走る。

 

 そして、その崩壊と共に凄まじい大爆発が起きて俺は吹っ飛ばされた。

 

「ぐあ!?」

 

 その衝撃で変身が解けるほどに。

 

「大丈夫か!?」

 

「ああ・・・ちくしょう。」

 

 ファイナルベントが完全に決まらなかった。

 

「ふふふふ・・・ふはははははは・・・今のは効いたぞ。流石の俺も二度目の死を覚悟するほどまでにな。」

 

「調子に乗り過ぎだ。私のフォローが無ければ消滅していたぞ。」

 

 肩に剣を担ぎ爆発の中から現れる牙王。あちこちダメージを受け、罅が入っている。

 

「あれが噂のファイナルベントか。恐ろしいね。」

 

 北崎もまた健在。

 

「まともに入っていたら倒せたのに!!」

 

「退屈しない。本当にお前達は・・・。」

 

「んん?」

 

 そんな牙王の元に黒い鬼のような怪人がふっ飛ばされてくる。

 

「あいつ・・・つええぇぇぇ・・・。」

 

「どうした?どうしてお前が?」

 

「そこまでだよ。」

 

 そこに現れたのは・・・良太郎であった。

 

「遅れてごめん。でも・・・良くあいつにあそこまでダメージを与えたよね?」

 

「んん・・・ほう。お前が来るとはな良太郎。」

 

「ああ・・・放っておくわけにはいかない。この世界をお前に飲み込ませはしない。」

 

 この二人・・・宿命のライバル同士なのか?

 

「しかし単独でネガタロスをふっ飛ばすとは強くなったものだよ。」

 

「ああ・・・あいつ強いぜ?」

 

 ネガタロスと言われた鬼は立ち上がる。

 

「・・・今度は私もいく。」

 

 その言葉と共に牙王の後ろで何かが飛び出してくる。

 

 大量の銀色のメダルだ。それが人の形をとる。

 

 頭がコブラ、両腕と胴体が亀の甲羅のようになっており、下半身はワニの鱗。足はワニの牙のようなものが生え並び尻尾も生えている。

 

 こいつ・・・牙王と同じくらい強いぞ?

 

「ゲイル。お前の本来の姿も久しぶりだな。」

 

「フッ・・・こっちも暴れたいという欲望がうずいていただけだ。それを喰らいたいとな。」

 

「おいおい。ゲイルのあんちゃんまでくるかい。なら・・・牙王。いくか?」

 

「そうだな。こいつらにはそれだけの資格がある。」

 

 ネガタロスが牙王の隣に立つ。

 

「俺達の変身をな。」

 

 牙王とあの怪人が合体?ネガタロスの身体がエネルギー体に変わって・・・。それと共に腰のベルトに黄金のパスをかざす。

 

――――――カラミティ―フォーム。

 

 全身のアーマーが銅から紫と黒の鎧の様な物に変わる。

 

 そして一番驚きなのは・・・腕が六本に増えた事。

 

 そして、牙王の仮面が牙から二本の角が付いた鬼の仮面になったのだ。

 

「そう来たか。これはまったく・・・。」

 

 良太郎は苦笑している。

 

「身体も強いし、連携も取れているんでな。」

 

「前より死角はないと思え。」

 

 俺達は牙王と対峙・・・。

 

「へえ・・・だったらこっちもギアを使わせてもらうよ。五大ギアの一つ・・・デルタを。」

 

 北崎の腰にもベルトの様な物が現れる。こいつもまだ力を?

 

「すまないがここまでにしてもらえないか?流石にこれ以上の大暴れは困る。」

 

 第三者の声でそのあの戦闘が中断された。

 

 

SIDE 木場

 

 僕はフリードを・・・エクスカリバーを追い詰めていた。

 

 天閃のエクスカリバーにより速さは互角。精神的には無理やりだけど冷静。

 

 そしてあとは勝っているパワーで押している。相手の高い防御すら圧倒出来るパワーでごり押しさせてもらっているよ。

 

「大地斬!!」

 

 渾身の一撃でフリードが召喚させた盾を粉々に砕く。

 

「ちぃ・・・キャンサー!!」

 

 召喚されたカニの怪物。

 

 それを僕は下半身を馬に変化させて対応する。

 

「邪魔しないでもらおうか!!」

 

 馬の体による後ろ蹴り。知っているかい?馬の後ろ脚の蹴りって・・・人間なら即死しておかしくない威力あるんだよ?

 

 それで今の僕は普通の馬なんかよりはるかに強い。

 

 その蹴りを受け、ボルキャンサーが吹っ飛ぶ。

 

「・・・へえ・・・これは思いがけない。北崎さんと同じオリジナルと見ていいでしょうね。それにその剣技。なるほど・・・強くなっているということですかい。」

 

 オリジナルのオルフェノク。一度死を経ることで覚醒するタイプはオルフェノクの使徒化の能力で覚醒させたオルフェノクと一線を画す力を誇っている。

 

 フリードは冷静に僕の出方を見ている。思ったより・・・冷静だよね?

 

「ふっ・・・これでもあんな怪物的なあなたの仲間を見たのです。・・・・・・殺戮におぼれたらこっちが瞬殺されますよ。何しろファイナルベントすら防ぎきった連中ですからね。」

 

 こいつは狂っていると思った。でも・・・戦闘に関してはこの上なく冷静でそして・・・謙虚になっているぞ?

 

「あんな強さ・・・私は久しく求めていませんでしたからねえ。もっともっと強くなりたいですよ。そのための命・・・そのための存在として生まれましたから!!」

 

 フリードはまだ切り札を温存している。

 

 切り札のファイナルベント。これは僕単独では防ぐ事すらできない。

 

「私にとってこのエクスカリバーは念願の力。あなた達に対抗できるね。」

 

「すでに其れなりに力を持っているというのに?」

 

「これじゃ足りませんよ。少なくともアギトと対抗するには。」

 

 フリードの周りにもう青と赤の二体のカニの怪物が現れる。

 

「ですが・・・現時点でもあなたに負けるのは勘弁なりませんよ!!」

 

 そして、左腕の召喚機にあるカードを装填する。

 

―――――UNITE VENT

 

 それと共に三体のカニの怪物が合体する。

 

 現れたのは巨大な赤と青の巨大なハサミに黄金の甲羅を持つ巨大なカニ。

 

 その高さ・・・学校の三階建ての校舎程はある。

 

「ここからが本番・・・。私の切り札、ボルガデスキャンサー。」

 

 それは一目で強大な力を持つモンスターである事が分かる。

 

 クレアさん達と引けを取らないか、それすら超えかねない程の。

 

 その瞬間・・・背後で大爆発。

 

「ぬおお!?」

 

 後ろで何か巨大な力がぶつかったみたいだ。

 

 その威力・・・イッセ―君がファイナルベントを使った可能性が高い。

 

「・・・なんですかあれ?」

 

 現れていたのは二体の龍。ああ・・・あれを見たのか。

 

「あっちのファイナルベントは反則もいい所でしょうが!!」

 

「そうだね。二天龍クラスのドラゴン二体同時の一撃だし。でも・・・それで倒せないのか?あいつは・・・。」

 

 イッセ―達と対峙している相手はそれでも健在であった。

 

「さすが牙王様。ですが・・・むしろあの方にあれだけのダメージ。恐るべきはアギトか。」

 

 牙王って男は強い、でも・・・イッセ―君達を信じるしかない。

 

 こっちもそのために一対一にしてもらった。まあ・・・厳密には二対一だけど。

 

「でもよそ見禁物ですよ!!」

 

 ボルガデスキャンサーの巨大なハサミが振り回される。

 

 とっさに盾で防ごうとするけど・・・パワーが違いすぎる!?

 

 堪え切れずに吹っ飛ばされる。

 

 そしてもう片方のはさみで僕の体を挟み込み持ち上げてきた。

 

 体が掴まれ・・・凄まじい力で僕の身体をネジ切ろうとしてくる。

 

 必死で抵抗するけど・・・このままじゃ・・・。

 

「あまり自分で戦っている気になれないので、使いたくありませんでした。でも・・・それを使うだけの相手だった。それを誇りに思いながら逝きなさい!!」

 

―――――さすがにそれは困るわね。せっかくの契約者なのに・・・。

 

 その時、女性の声が響き渡ってきた。どちらかというと・・・クールな声の。

 

 その声と共に、鏡から黒い何かが飛び出し・・・凄まじい音と共に衝撃波が発せられてボルガデスキャンサーをふっ飛ばす。

 

 その隙に僕はハサミから脱出する。

 

――――でも・・・面白い子。あなたが戦う過程はすべて見せてもらっていた。

 

 僕を助けたそれは・・・黒く巨大な翼をしたコウモリであった。

 

「誰だ?君は・・・。」

 

「私の名前はダークウイング。あなたを見定めに来たものよ。」

 

 見定め?

 

「闇の翼まで来たのか。厄介な。」

 

「キャンサー知っているのですか?あのコウモリ。」

 

 キャンサーが喋っている?

 

「闇の翼。数々の特殊能力を持ち、その実力・・・ドラグレッタ―と互角。」

 

「・・・あの龍と互角!?」

 

 あのクレアさんと同等の存在?

 

「手を貸す。」

 

「・・・ああ・・・。ありがとう。」

 

 その言葉と同時に手が光る。

 

 僕の手に・・・神器を発動させていないのに変な剣が現れる。鍔元が閉じたコウモリの羽、刀身は細いレイピアとなっている。

 

「そうか。やはりあなたが私の契約者。」

 

『・・・・・・。』

 

 いきなり契約者って?えっと・・・つまり僕はイッセ―君と同じ存在になったと?

 

 じゃあ・・・これが召喚機?

 

「へえ・・・目の前で契約が行われるなんて。面白くなってきましたね。まさに・・・相手にとって不足無しですよ!!はははは!!」

 

 フリードはむしろ歓喜の声をあげている。あいつ・・・この戦いを楽しみ始めている。

 

「訳が分からないけど・・・協力感謝する!!」

 

「ええ。行きましょうか。我が主。」

 

 状況が五分になったところに・・・辺りが黒い煙が覆う。

 

――――――スモーク。

 

 その煙がまるで意思を持っているかのごとく、僕を弾き飛ばす。

 

「ここまでにしてもらおう。これ以上の大暴れは計画に支障がでる。」

 

 その煙が集合して現れたのは・・・一人の男であった。

 

 僕はこの男を知っている。

 

 この男こそ・・・あの忌まわしき過去の元凶。

 

「バルパー・ガリレイ。」

 

 彼がそこにいた。

 

 手には筆が握られている。

 

 こいつが・・・こいつのせいで同志が・・・。

 




 牙王がつよすぎたかもしれません。

 本当に怪物にしてしまいました。

 

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