あと、木場もまた・・・己と向き合うこととなります。
SIDE リアス
イッセ―の家に帰ってきた私に予想外の連中がいた。
「・・・・・・・・・イッセ―。これはどういう事よ?」
「お邪魔しているぜ・・・イッセー!!」
家のリビングでくつろいでいる弦太郎達がいたのだ。
「ごめんなさい部長。今日の朝に泊めてくれって電話があったので。」
事情を聞くと今日の朝の時点では事情は知らないか。・・・タイミングが悪いわね。
「ホテル代はないの!?」
『・・・・・・・・。』
その言葉にイリナ、そしてゼノヴィアが固まる。
「この馬鹿二人が作戦資金を悪徳商法でだまし取られてしまってね。」
「・・・相変わらずだな。お前ら。」
イッセ―のジト目にイリナが顔をそむけて口笛を吹くというベタなごかましをやっているわ。
本当に馬鹿なのね。この子達。
「・・・グレモリ―の家の者としてあなた達を表だって協力はできないわ。でもまあ・・・はあ。仕方ないわね。」
ここまできたら追いかえせないわ。悪魔らしからぬ事と思うかもしれないけど。
「家に泊めているのは教会の連中ではなく、イッセ―の幼馴染達という事にしておくから。それと私達の事は教会の人達に話さないでほしい。それで譲歩するわ。」
「そうさせてもらいます。はあ・・・もう。」
――――グゥゥゥゥゥゥゥー!!
――――キュ~。
――――ガルルウルウルル!!
――――グー。
そんな時に四人のお腹が鳴る。四人ともそれぞれ個性的なお腹の音ね。音だけで誰か判別できそう。
「わりぃ・・・昨日から何も食べてねえ。」
「ああ・・・ひもじいわ。」
「腹が減って戦ができない。」
「はは・・・不幸だよ。」
なんか可哀そうに思えてきたわ。
「ふふふ・・・そうか。」
そして、その腹の音を聞いたイッセ―が立ち上がる。
あれ?なんか様子が変だわ?
―――――イッセ―の前でお腹を空かせた。
―――――ふふふ。やってしまったわね。
えっと・・・ドライクさんとクレアさん?
どうしたというのですか?
「本当お前ら・・・・・・いい度胸しているぜ。」
イッセ―がエプロンを装備し、袖をまくってご飯の準備をする。
「一時間待て。帰ってきた記念に久しぶりの和食をごちそうしてやる。」
その背中は・・・料理人として燃えているわ!?
――――相棒は腹を空かせた相手を放置することはできない。こっちも今日は美味しいご飯にありつけそうでなによりだ。
――――楽しみで何よりだわ。あの子の師匠も、それがお前の「道」かと笑っていた。イッセ―も空腹の人は本当に美味しく食べてくれるからやりがいがあるって言っていたから。そう言えば。あの三人も美味しく食べていたわね。
――――――エイジ殿とユウスケ殿、士殿か。ユウスケ殿は我々ドラゴンの秘密を絶対に解き明かしてやるってヤル気満々だったな。それに加えて妹を探し続けていると便りで言っていた。エイジ殿はまた旅か。士殿は今・・・どんな写真を撮影しているのやら。また話を聞きたい物だ。
イッセ―ってこんなキャラだったの!?
それに今の会話で別の幼馴染共の名前が出てきたわよ!?
まだいるの!?この世界の常識に喧嘩を売っているような滅茶苦茶な連中が!?
『おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!神よ感謝します!!』
四人が瞳を涙で濡らしながら歓喜の声をあげているわ。
ぐっ・・・だから悪魔の前で神に祈らないでよ!!
悪魔にとってダメージなのよ!!
それにしても、イッセ―に神の感謝って・・・。
皮肉だけどあながち間違ってもいないのよね。
アギトってそう言う存在だし。
「僕も手伝うよ。」
良太郎さんがキッチンにやってくる。
「はあ・・・私も手伝うわ。」
仕方ない。この腹ペコどもに食事を作りましょうか。
「そうそう・・・空いている部屋に怪我をしている奴を寝かせているんだ。そいつにも何か作ってやってほしい。」
「・・・怪我をしているのか?」
「今は眠っているけど、酷い怪我をしている。」
「・・・厄介事ばかり持ちこむわね。アーシアが帰ってきたらその部屋に行かせるわ。」
この家になんで教会の連中がくるのやら。
頭が痛いけど・・・今はもう考えない方がいいかも。
SIDE アーシア。
家に帰ってきたら教会のみなさんがいてびっくりしました。
「うまい・・・うまいよお・・・。」
みんな・・・涙流して食べまくっています。
「味噌汁久しぶりだ!!ああ・・・白いご飯も。うおお箸が、涙が止まらないぜ!」
「納豆もいい感じだわ。塩焼きのしゃけが・・・ああ・・・きんぴらごぼうがおいしい!」
「これが黄金の国ジパングの食事。質素ながらなんて味わい深いだ。もぐもぐもぐもぐもぐ・・・。お代わり!!」
「お姉さん落ち付いて食べなよ。もぐもぐ・・・でもおいしい。ああ・・・久しぶりに和食を口にできたよ。」
「はあ・・・これはまた愉快なことになっていますね。」
後ろではキリエ姉さんと朱乃さんが買い物袋を持ってやってきています。
三人でイッセ―さんから頼まれた買い物を帰る前にやってきたところなのですが・・・その理由がよく分かった気がします。
「オッ・・・アーシア。買い物袋から卵持ってきてくれ。」
「はい。」
「弦太郎!!怪我人はどの部屋だ?」
「えっとな。ああ・・・。」
弦太郎君がその部屋を教えてくれます。
「悪いアーシア。こいつら以外に怪我人がいるみたいでな。シチューと雑炊を作ったからお願いできないか?ついでに怪我も見てやってくれ。」
「はい。」
「・・・本当に君は誰でも癒すのか?」
その言葉にゼノヴィアさんが箸を止めます。
どうも私のことを測りかねているみたいです。
「はい。それが私の決めた道です。」
「・・・・・・。」
その宣言にゼノヴィアさんは言葉を失う。
「なるほど、弦太郎の言うとおりだ。」
でも、そのあと静かな笑みを浮かべる。
「あの時はすまなかった。こっちの目が間違っていたようだ。それと・・・あいつの事を頼む。悪い奴じゃないから。」
「はい!!分かりました。」
少しぶっきらぼうですけど、悪い気持ちは入ってきません。少なくとも任せてもらえる程度には認めてもらっているみたいです。
認めてもらうって何か、嬉しいです。
「あらあら・・・私も手伝おうかしら?」
朱乃お姉様はイッセ―さんの手伝いをするみたいです。まだまだ何か作っていますし。
しかし、本当に手際いいですよね。私は味噌汁の極意がまだつかめていません。
密かに毎日研究はしていますけど中々・・・。
いつかイッセ―さんと、その師匠に認めてもらう最高の一杯を作りたいです。
「私はアーシアちゃんの手伝いをするわ。怪我の手当てなら心得あるから。」
キリエお姉様も手伝ってくれるみたいだ。
「ああ頼む。」
ほどなくして私とキリエお姉様はその怪我人がいる部屋に向かいます。
「失礼し・・・まっ・・・。」
そして、私は包帯でぐるぐる巻きになったあの人と再会します。
「巧・・・さん。」
「・・・君は、イッセ―の所の・・・。」
これは私も予想もしていなかったこと。
どうして、巧さんが家にいるのですか?
SIDE 木場。
今僕は森の中にいる。
エクスカリバーを求めて彷徨い歩くのもよかった。
でも、さっきの彼女との手合わせで嫌というほど僕は現実を突きつけられていた。
今のままじゃ・・・偽物とは言えエクスカリバーを砕けない。
超える事ができない。
故に・・・瞑想している。
僕を逃がし、死んでいった者達のために僕は・・・僕一人が生き残って本当によかったのか、本当に後悔しているのだ。
こんな僕がのうのうと生きていいのか?
その答えのために・・・僕はあの剣に挑まないといけない。
「修行・・・手伝ってあげるよ。」
僕の目の前にサイガ君が現れる。彼は何か呪文を唱えると、その手に焔の様な何かが現れる。
「君にアバン流刀殺法の最期・・・空破斬を伝授させる。心は答えに近づいているみたいだしね。」
そういって、彼は鉢巻を取り出す。
「これで目を隠して。そしてその状態でこれを斬るんだ。音もしないこれをね。必要なのは相手の邪悪なエネルギーを感じる事だから。」
「ああ・・・。」
「その修業。俺も付き合うぜ。」
そこにネロ君まで?
「俺も修行をうける。きちんと極めたいから。」
ネロ君は僕たちの手荷物を取り出す。それは弁当箱?
「そして、これはイッセ―からの餞別。」
中にはおにぎり。水筒の中身はみそ汁。
簡単なおかずも入っている。
「腹が減ったら戦もできねえだろう?」
「二人とも・・・。」
僕は涙が出そうになった。
なんでみんなここまで・・・。
「いなくなると寂しいだけだ。」
・・・それが理由だとしたら本当に人が良すぎる。
ありがとう。
本当に僕は友に恵まれた
「じゃあ・・・三人で食べようか。」
僕たちはイッセ―君の差し入れを食べる。
かなり腹が減っていたせいでもあるだろう。そのおにぎりはシンプルなおにぎりはずなのに、とっても美味しかった。
中にイッセ―君が作った大変酸っぱい梅干しが入っている奴があってネロが悶えてたのには笑えたけど。
「あの野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉ可笑しいくらいに酸っぱいのを入れやがって!!」
イッセ―君が作った梅干し・・・鬼のように酸っぱいのだよね。
これに慣れると市販品が物足りなくなるというのが恐ろしい。
ネロ君の悲鳴を聞きながら僕は修行に挑む。
今回のエクスカリバーですが、原作と同じように木場が砕かないと意味がないのです。
今回の事件にかかわっている他のみんなも木場にそれを成し遂げることを望んているゆえ野行動です。
さて・・・次話でキリエさんとハルトが大活躍(笑)します。