赤龍帝の幼なじみ達   作:THIS

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 戦いは駆け足になってしまってもうしわけないです。

 ですがレ―ディングゲームそのものはこの話で終わらせます。

 一人・・・酷い目にあうキャラが出ます。


二人の介入で終わるゲームです。

 SIDE イッセ―

 

 さて・・・今俺達はひどいことになっている。

 

 二体のド―パントはそのままじゃそんなに強いとは思えない相手だった。

 

 T-レックスは頭がでかすぎるし。噛みつきさえ気をつければ行動はワンパターンで読みやすい。

 

―――Sword Vent!!

 

<BOOSTBOOSTBOOSTBOOST!!>

 

 倍化の力をためながら攻撃を避け・・・。

 

 手にしたドラグセイバーで細かく切りつけダメージを蓄積させていく。

 

「ちぃ・・・。ちょこまかと・・・。こいつはテクニックタイプか?」

 

「残念。俺はテクニックタイプじゃねえ。」

 

 そして、ためた力を・・・。

 

―――――Starkc Vent!!

 

――――Transfer!!

 

右腕に召喚したドラグクロ―に譲渡。

 

『Dorgon fire break!!』

 

「ぐがあああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 大爆発と共にふっ飛ばす。

 

「俺は・・パワータイプだ!!」

 

 皆言うに、俺は典型的なパワータイプらしい。もっともテクニックもアギトの本能などで補われている故に、一概に言えない部分もある。

 

 変身しなくてもスペック的に反則的な要素が多すぎるって小猫ちゃんがいっていたな。

 

 トライケラトップスは打たれづよさとパワーを併せ持ち中々のものだったが・・・。

 

「ふん!!」

 

 小猫ちゃんの目のも止まらぬ速度からの拳に後ろに下がり、ハルの手にしたソードガンからの銃弾の連射にぼこぼこ。

 

 そこまではよかったんだ。

 

 そう・・・。

 

 その後、とんでもない事が起きた。

 

「やってくれる。」

 

「だったら・・・こっちも遠慮はしないぞ。」

 

 二体が巨大な恐竜になりやがったんだ。

 

 T-レックスはそこらへんの体育館の瓦礫を集めて体をつくり、巨大な頭がそのままくっつく形で巨大な恐竜に。

 

 トライケラトプスの体はそのまま巨大化して、まんまトリケラトプスになりやがった。

 

「おい・・・そんなのありか!?」

 

 巨大化した二体が襲いかかる。

 

「うぃー・・・これはすごい。」

 

「魔化魍戦を想定した修行・・・役に立ちそう。」

 

 二人は前向きだけど。

 

 

 

 SIDE 木場。

 

 ガイアメモリ。話に聞くに、地球全体をサーバーとして、その情報から生まれるメモリらしい。

 

 そして相手は拳の記憶。

 

 なるほど、戦車で格闘家の彼女には相性抜群ってわけだ。

 

「ちい・・・なんて奴だ。」

 

 ネロ君の剣と僕の剣を同時に受け止めるほどの技量が彼女に付加されている。

 

 何しろ手が二本から八本へと増えているのだ。

 

 しかも一つ一つが自在に巨大化する。

 

「ふふふははは・・・いいね。強いよ君達!!」

 

 僕とネロ君の二人の剣を同時に捌くなんてすごい。

 

 その拳は弾幕といっていい。

 

「なんか・・・あいつを思い出す厄介さだ。」

 

 ネロ君はどうも圧倒的な技量を持つ相手と戦った経験があるみたいだ。

 

「だったら・・・どうする?」

 

「・・・流れを変える。」

 

「わかった。」

 

 僕は剣を捨てる。

 

「剣を捨てるのか?その剣がお前の神器じゃ・・・。」

 

 イザベラさんの疑念はもっともだよ。

 

 僕の手に新たな剣が生まれる。

 

「剣が精製されただと?」

 

「僕の神器の名前は魔剣創造(ソード・バース)。色々な属性や特性を付加させた魔剣を作り出すことができる。」

 

 この神器はイッセ―君の幼馴染達と出会ったことでさらに強化された。

 

「いくよ。」

 

 生み出した剣はネロ君の剣。レッドクイーンを参考にしたもの。

 

 つまり・・・・。

 

 持ち手のアクセルを回し・・・剣から爆音が鳴る。

 

 この剣はイグシードシステムが付いている。

 

 それは剣その物が加速するという普通なら可笑しいと思うシステム。

 

 でも暴れん坊ながらもこの剣は面白い。

 

 うまく使いこなせば僕のスピードと剣の重みが飛躍的に増す。

 

 思い切り加速された剣撃を繰り出す。

 

「ぐっ・・・重いっ!?」

 

 そこにサイガ君仕込みのあの技も付加して。

 

―――――大地斬!

 

「ぐがっ!?」

 

 イザベラの手が粉々に砕け散る。

 

「だったらこれで!!」

 

 イザベラは無数の拳を召喚し、それを僕に向けて飛ばす。

 

 数は多く、とても避けられない。

 

 だが、そこに爆音と共にネロ君がレッドクイーンを振るう。

 

―――――海波斬!!

 

「ぐううう!?」

 

 嵐の様な一撃に短剣はすべて落とされ、その衝撃にイザベラも下がる。

 

「まだ甘いよ。」

 

「ちぇっ・・・剣撃の加速がうまく乗せられなかったぜ。」

 

 そもそも剣その物をイグシードシステムで加速させながら、高速で剣を振るう。それをぶっつけ本番でためそうという発想その物が可笑しい!!

 

 普通に振るえば出来る技何だし。

 

 まあ・・・あれだけの衝撃波の嵐が出たのならあながち失敗とは言えないけど。

 

 今回、ネロ君は悪魔の腕の力その物も封じている。あれもあれで結構ややこしい事情がある故にだ。

 

 部長はあえて止めたのだ。スパーダの血族だと聞いて。

 

 まさか・・・五大魔王の一人と血縁関係があるなんて本人も想像もしていないはずだし。

 

 知り合いの可能性はあるけど・・・。

 

「今後の課題か。」

 

「強い・・・本当にお前ら強いな。だが、惜しいのはお前達・・・本当の意味で全力じゃないという事か。」

 

「・・・ちぇ。気付いていやがんな。」

 

 彼女・・・ガイアメモリ無しでも十分強いようだ。

 

 戦いの中で僕たちの潜在能力に気付いている。

 

「こっちも色々と事情がある。」

 

 こっちのオルフェノクの力とネロ君のスパーダとギルスの力を全開にしたらおそらく瞬殺できる。

 

 でも、それができないから苦労している。

 

 どっちも隠しておきたい力であるからだ。

 

「そうか。なら・・・今のお前達の全力を見せてみろ!!」

 

「そうさせてもらうぜ!!」

 

 ネロ君がこっちに視線を合わせる。手には魔力をチャージした銃がある。

 

 分かった。合わせるよ。

 

「うけとれやあああああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 ネロの銃から放たれた巨大な魔力弾。

 

「おおお・・・これはまた。すごいものだな。」

 

 それを巨大化させた拳で殴り飛ばそうとするが、その瞬間に大爆発を起こす。

 

「ぐっ、ちい・・・。」

 

 ネロ君のそれは命中と同時に爆発する。

 

 その爆炎を突破するように僕たちは剣を逆手に持ってかけていた。

 

「見せてやるよ。」

 

「まだ空波斬はできないけど。」

 

 僕たちはイグシードシステムによる加速を利用して、高速で迫る。

 

「こっ・・・この剣は!?」

 

 僕たちは同時に繰り出す。

 

 イザベラが巨大化した拳を使ってそれを防御しようとするが・・・それこそが狙い目。

 

 僕たちはサイガ君から教えてもらったあの技を繰り出す。

 

 空は極めていないのでまだ完成していない剣。

 

 でも、イグシードシステムを利用してそれを補う。

 

 ――――――アバンストラッシュ!

 

 そして、二つの剣撃を交差させることでその破壊力は一気に十倍以上になる。

 

 かつてサイガの父が単独で行ったという奇跡の様な必殺剣を僕たちはタイミング合わせて放った。

 

―――――――アバンストラッシュX

 

「ぐぐ・・・があああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 その一撃はイザベラの拳を粉々に打ち砕き、身体を十字に切り裂く。

 

 イザベラの身体が元に戻っていく。

 

「みっ・・・見事。次会う時は是非・・・本当の全力。こっちも強くならねばな・・・。」

 

 イザベラはそう言って気絶。リタイアシステムにより姿を消す。

 

「・・・はあ。厄介な相手だったぜ。」

 

 ネロ君の言いたい事はわかる。本当の意味で彼女は強かった。

 

 そして、また本気で戦いたいと言ってきた以上・・・前より強くなってまた現れそうで。

 

「お疲れ。イッセ―君達の手伝いを・・・て・・・。」

 

 巨大な恐竜二体に苦戦していると思われるイッセ―君達。

 

『はい!?』

 

 だが、彼があまりに予想外なことをしでかしていた事に僕たちは目を丸くしていた。

 

 

SIDE イッセ―

 

 まじでやべえ。

 

 でかい、速い。それだけでここまで厄介とは。

 

「ちょこまかと動くな!!」

 

―――――アギトの本能は便利だものだ。あいつの攻撃を一応だが見切っているぞ。

 

 ドライク。ほめてくれてありがとう。

 

 だが・・・怖い事に変わりはねえよ。

 

 鋼兄の修行は攻撃をギリギリまで引き付けてみろというものだった。恐怖に耐え・・・ギリギリまで引き付ける事がアギトの本能を呼び覚ます鍵となったのだ。

 

 本当に怖かったぜ。

 

――――あれのおかげで、精神的にもタフになったわ。そう言った意味でも成長したわね。

 

 でもだ。あの攻撃も見切ってかわすのは神経が削られる。

 

 あの俺様師匠の事を思い出すよな。

 

 師匠って言っても料理なんだけどな。

 

 非常にグルメな食いしん坊ドラゴンとなったドライクのために料理スキルを上げようと思ったんだ。

 

 その際に出会った師匠なんだ。

 

 何故かついでに格闘の心得も教えてくれたんだ。

 

 師匠はカウンタータイプだった。ギリギリで避けながら最低限の動きで攻撃を叩き込む。

 

 その見切りは中々できなかった。

 

 いまは自然と出来るのが信じられないねえ。

 

「おばあちゃんは言っていた」から始まる格言の中にあったな。

 

 いまは出来なくても経験を積めばできるようになるって。才能が応えてくれるって。

 

 まさにその通りになったあたり、あの俺様師匠は本当に俺の師匠だ。

 

 そのおかげでこうやって攻撃を見切って交わす動きも様になってきたぜ。

 

 それでも怖い事に変わりはねえ。

 

 カウンターを叩き込みたくてもあの身体じゃ効果はねえし。

 

 あの身体コンクリートや鉄骨を纏って作っている。固すぎる。その上。その一撃をまともに受けたらそれだけで終わりだ。

 

 まるで服みたいに纏いやがって。厄介すぎるぞ。

 

・・・あれ?服?

 

「・・・・・・もしかしたら。」

 

――――――相棒?

 

――――――何を閃いたの?

 

 やってみるか。

 

 俺は・・・俺の煩悩を信じる!!

 

「行くぜドライク!!」

 

<BOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOST!!>

 

 赤龍帝の篭手に力を集中させ、瞬時の倍化を行う。

 

――――あっ・・・相棒!?禁手化しないでそのような芸当を!?

 

 アギトの力に目覚めた結果だ。神器の力を意図的に上げる事ができるようになったぜ。

 

 気付いたのはいまだし、瞬時にできる倍化は六段階までだけど。

 

――――ドライク。やっぱり私達の推測はまちがっていないようね。

 

―――――そのようだな。おそらくはあのドラグブラッカ―の件ですでにあいつは。

 

――――Explosion!!

 

 そして、その力を解放させる。

 

 行くぜ・・・俺の必殺技。

 

「燃え上がれ俺の煩悩!!その欲望・・・解放させてもらうぜ!!」

 

 妄想全開にして俺はあの恐竜にタッチ。

 

 脳内にはド―パントになる前の可憐な姿。その全裸を妄想したぜ!!

 

『洋服破壊<ドレスブレイク>』

 

 それをカウンター代わりに叩き込んで、実現させてみる・・・っておいおいおいおいおい!!!

 

「うっ・・・嘘!!?」

 

 なんと変身がとけてしまったじゃありませんか。

 

 恐竜の身体もはじけ飛び、恐竜の頭の姿をした体も消えちゃって・・。

 

――――――・・・・・・。

 

――――――・・・・・・。

 

 もちろん全裸は脳内メモリに保存しましたよ。でも・・・ガイアメモリまで排出させて、壊しちゃった。

 

「どっ・・・洋服破壊で・・・メモリブレイク・・・。」

 

―――――助平根性恐るべし。

 

―――――私の想像・・・越えたわ。

 

 いや俺も流石にここまで効果が抜群とは。

 

「・・・・・・。」

 

 この時点で変身した彼女は戦意喪失しちゃっているよ。

 

―――――――ビック

 

「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 唖然としている中、ハルの野郎が指輪の力で右手を巨大化させて、トライケラトップスの頭をわしづかみにしていた。

 

 つかみながら驚いている。

 

「信じられない。あんな卑猥な術がここまでの効果を発揮するなんて。」

 

「はっ・・・離せ!!いっ・・・いや離してくださあああぁぁぁぁぁい!!」

 

 トリケラトップスの頭ってすごく頑丈だよな?

 

 それが握力でみしみしと悲鳴をあげ、亀裂がはいっているし。

 

「ぐぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 あっ・・上の角が二本折れた。

 

 鼻先の角も折れた。うわ・・・痛そう・・・。

 

 そんな事を全く無視しながらあいつは考え込んでいるし。

 

「・・・うん。決めた。この件が解決したらその魔法を指輪にしてみよう。あとでデータをとらせてほしいって・・・。」

 

 そして、改めてトリケラトプスを見て・・。

 

「おっと、すまない。驚きのあまりに力が入り過ぎたよ。」

 

 そう言って、ぽいっと投げ捨てるし。

 

「しっ・・・死ぬかとおもった。」

 

 あの巨体でも死ぬかと思うほどなのか?

 

「そんなわけないだろ?」

 

 ハル。はっきりいって説得力はないぞ。

 

「味方には最期の希望。敵には最悪の絶望を与える魔法使いに決定。」

 

「おいおい、なんてことをいう?」

 

 いっ・・いや小猫様の言うとおりですよ?

 

 味方になると本当にこの上もなく頼もしいけど、敵に回したら地獄を見る。

 

「ぐうう・・・こっ・・この女の敵が!!お前が悪いのだな!」

 

 しかも怒りが俺に向けられている!?

 

 そっ・・そりゃ仲間にしたのはおれだけど。

 

<BOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOST!!>

 

 仕方ない・・・もう一つの切り札をここで斬らせてもらうぜ。

 

 倍化も十分たまったしな。

 

「ハル!!小猫ちゃん!!受けとれ!!」

 

――――Transfer!!

 

 両手に赤いエネルギーの塊のような物を作り出し・・・それを二人に向けて投げる。

 

 二つは誘導するように激しく動き回る二人に吸い寄せられ、力は譲渡される。

 

「ふふぁああぁぁぁぁ・・・力が?そっ・・・その前にすごくううううあああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「こっ・・・この言いしれない快楽・・・癖になりそうだよ。なんて事をしてくれるんだ?!」

 

 なんか二人ともすごく気持ちよさそうな声をあげて震えていますけど?

 

―――――あっ・・・相棒!?何だ今のは!!?

 

 ドライク。驚くのは分かる。

 

 可笑しいな。譲渡って普通直接触らないとできないはずだったよな?

 

 離れた相手にも出来たよ。何となくできる気がしていたけど。

 

―――――アギトの力か。凄まじい進化ね。この様子だと私の力にも影響が出そうね。

 

「でも・・・でもこれならいける。」

 

 小猫ちゃんに向けて突進してくるトリケラトプス。

 

 それを真正面から拳で迎え撃つ暴挙。

 

「ぐががががあああああぁぁぁぁ!?」

 

 でも吹っ飛んだのはトリケラトップスの方で・・・。

 

『うそ!?』

 

 凄まじい強化具合。

 

 そこにハルの手にした銃剣からの砲撃が重なる。

-

―――――シューティングストライク。

 

 それが命中してさらにふっと飛ぶ。

 

 グランドに転がるトリケラトプス。

 

「・・・はあああぁぁぁぁぁ!!」

 

 手に黄金の炎を纏わせた小猫ちゃん。

 

「フィナーレだ。」

 

――――――キックストライク!

 

 ハルも指輪の力で足に炎を纏わせる。

 

 トリケラトプスが立ち上がってそれを迎え撃とうして・・・。

 

「させません!!」

 

 小猫ちゃんが地面をおもいきり踏んで、地割れが生まれた。

 

そこに足がはまってうごけなくなったよ。

 

 踏むだけで地割れって・・・鋼兄のしでかしそうな技を小猫ちゃんがしでかしましたよ?

 

 鋼兄・・・しっかりと小猫ちゃんを鍛え込んでいるな。

 

 ツッコミの威力が増してこっちの被害がまた甚大になりそうだ!!

 

 動けなくなったあいつに向けて二人の必殺技が命中。

 

 グランドで大爆発が起きて、トリケラトプスが消えたよ。

 

 変身していた人も完全に気を失ってリタイアシステムで回収。

 

「・・・・・・イッセ―君って本当に何をしでかすのか読めないね。」

 

 木場の方も片付いたようだな。しかし・・・なぜそんなにも呆れかえっている?

 

 まるで驚きを通り越したような。

 

「助平根性・・・これから侮らないことにするわ。」

 

 ネロの言葉に皆頷いている!?

 

 そんな時だった。

 

 学校の校舎の屋上で大爆発が起きた。

 

『!?』

 

 俺達は部長の元に合流することにした。

 

 だが・・・その行く手を阻む者があらわれる。

 

「わりぃな・・・ここから先は通行止めなんだよ。」

 

 それは赤に金色の混じった服を着た男だった。

 

「・・・ファントム。」

 

 ハルは苦虫をつぶしたような顔でそいつを見る。

 

「俺の名はフェニックス。さあて・・・お前らがどんだけ強いのか確かめさせてもらうぜ。」

 

 そうか。こいつがファントム。

 

「・・・なるほど。ハルと似た力を感じるわけだ。ということは・・・。」

 

 ネロはある事に気付いた様子だ。

 

 そして、いままで気付かなかった事が悔しいのか舌打ちをする。

 

「チィ・・・このフィールドにハルとレイちゃんを除いて、ゲートが三人もいるってわけかい。」

 

 それは衝撃の言葉であった。

 

『なっ・・・なに!?』

 

 その言葉にフェニックスも含めて全員驚いている様子。

 

「へえ・・・二人はターゲットなんだが、もう一人いるのか。あとで教えてくれないか。そいつも絶望させて俺達の仲間に・・・。」

 

 奴の言葉はそこで止まる。

 

「させると思ったか?その一人は・・・大切な人なんでね。」

 

 ソードガンを持ったハルによって。

 

 その顔には明らかな怒りが宿っていた。

 

「ちい・・・グレモリ―眷族内にいるってわけか。おもしれえ、だったら力づくで聞きだしてやるよ。操「魔」晴人。」

 

 その名前にハルが驚いている。

 

「なんでその名前を・・・っておまえまさか・・・。」

 

「そうだよ。あの時はよくも太陽にぶっこんでくれたな。お返しさせてもらいたくて、この世界で復活したんだよ。」

 

 あの世界って・・・ハル。お前はまだ何かの秘密を?

 

「本気を出せない状態でどこまれやれるかな?」

 

 フェニックスの姿が怪人へと変わる。

 

 赤と金色の身体を持つ怪人へと。

 

「一人だったらそうだろうね。」

 

「楽しいパーティの始まりってわけだ。」

 

 木場とネロが剣を構える。いや・・・本当に息があっている。

 

「まあ・・・お前の背負っている物はまだわけんねえが、手伝わせろや。」

 

「みんな仲間。」

 

 はあ・・あいつはまだ何か背負っていやがんな。俺も人の事は言えねえが、

 

「イッセ―君。小猫ちゃん・・・。」

 

 ハルは気分を落ち着かせるために息を吐く。

 

「手伝って。あいつを突破して部長達の応援に行くために!!」

 

「あったりめえよ。クールになってきたな。」

 

「冷静さは大切だよ。」

 

 ネロ君・・・木場君。

 

「僕たちの邪魔をした事を最高に後悔させてやろうか。」

 

 ハルは微笑むがそれが・・・自棄に怖かった。

 

「へっ?」

 

「さあ・・・絶望へのショータイム開始だ。」

 

 ハルの言葉にフェニックスは思い切り戸惑っている。

 

「ちょっと待て!!この世界のお前・・・何か変だぞ?絶望って・・・・。」

 

<BOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOSTBOOST!!!>

 

「一気に決める。みんな受け取れ!!」

 

 ――――Transfer!!

 

 俺はみんなに話している間に限界まで高めた力を譲渡!!

 

 四つの力の塊がみんなに体の中にはいる。

 

「うおおおおおこっ・・・これはすげぇぇぇぇ。」

 

 ネロの奴はデビルトリガ―を発動させていないのにもかかわらず目が赤く輝き蒼いオーラを纏い始めた。

 

「たっ・・・たしかに。力が・・・力がみなぎるよ!!」

 

 木場の周りには無数の剣が一気に現れる。

 

「またこれを味わえるなんて・・・うわ・・癖になる。」

 

「ふあああぁぁぁぁぁぁもうっ・・・快感すぎて・・・。」

 

「へっ、ちょっ・・・お前ら・・・?」

 

 みんな力を増強をしたところで行きましょうか。

 

「絶望がお前のゴールだ。」

 

 ネロがレッドクイーンを吹かせながら言ってのける。

 

「いやいや・・・さあ・・ショータイムだ。絶望、いや新しい世界へのね。」

 

「一体この世界のお前になにがあった!?なんでそんなにドSになっていやがる!?」

 

「生まれた家のせいかな?まあ、些細なことだよ。」

 

「全然些細じゃねえ!!一体どんな家に生れたらそんなふうになんだよぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 フェニックスの動揺は最高潮に達しているよ。すごく混乱して、絶叫していやがる。

 

「さあ・・・改めてショータイムだ。」

 

「別名フルぼっこタイム。」

 

 またまた小猫様の言うとおりでございます。

 

「ちょっ・・・まっ・・・待て・・・頼むからまってくれ・・・。」

 

「問答無用。」

 

 心なしか小猫ちゃんのセリフも過激になってきたよ。

 

『ついでにいうなら手加減も無用!!』

 

 皆・・・全力全開もとい・・・。

 

『全力全壊で行かせてもらう!!』

 

「ぎゃああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 あいつの悲鳴は・・・聞こえないふりをする!!

 

 

side リアス

 

 屋上での大爆発は私達の方にも届いていた。

 

「やってくれるわね。フェニックスの涙が無ければ私のまけでしたわ。それに・・」

 

 ライザ―の女王ユーベル―ナが姿を変えた状態で私達の傍に降りてきた。

 

――――――ボム。

 

「よくも私にこれを使わせましたわね。」

 

 それは爆発の記憶のガイアメモリによる変身。

 

 赤と灰色の身体に、手に杖を持つ。頭は爆発を象徴するようなキノコ型のヘルメット。そこから長い髪が流れているという形である。

 

「他のみんなもまとめて・・・・・・。」

 

「感謝するわ。アーシアちゃん。」

 

 でも、さすがに驚いたでしょね。

 

 爆発に巻き込まれたはずの朱乃がアーシアちゃんの傍にいるなんて。

 

「なんで!?確かに爆発に巻き込ませたはずなのに・・・。」

 

「こういう事ですわ。アーシアちゃん。」

 

「はい。2人まとめてグランド上空に!!」

 

 その言葉と共に・・・朱乃とユーベル―ナはグランドの上空に飛ばされた。

 

 あとは任せるわよ。

 

「なっ・・・ななな・・・。」

 

「テレポテーション。万能すぎるわね。」

 

 アーシアちゃんのテレポテーションは一定範囲内なら自在に対象物を飛ばしたり、引き寄せたりできる。

 

 敵味方関係無しにだ。

 

 情報はテレパシーなどで把握している。

 

「それで私の攻撃から逃れたというのね。面白いわ。でも・・・。」

 

「こっちも切り札をつかわせてもらいますわ。」

 

 朱乃が指輪を取り出す。

 

―――――コピー。

 

「へっ?」

 

 その言葉と共に朱乃が二人に。

 

 分かれた朱乃がさらに指輪を使う。

 

――――コピー。

 

「ちょっ・・・そんなのあり!?」

 

 朱乃が四人・・・いえもう一度使って八人になったわ。

 

『ふふふふ・・・あなた達だってフェニックスの涙やガイアメモリを使っているのですからこれくらい問題ないですわ。』

 

 朱乃・・・反撃開始ね。

 

―――――ビック

 

 指輪であの子、手にした鞭を巨大化した状態で打ちつけてきたわ。

 

 それも八つ同時に。

 

「ひっ・・・ぎゃあ・・・やっ・・・やめて・・・・・・。」

 

 しかも絶妙な加減でうちまくっている。

 

「あっ・・・ああ・・・・・・。」

 

 なんか彼女が恍惚とした声を上げ始めたわ。

 

「八人に増えると簡単ですわ。」

 

 朱乃、調子があがっているわ。

 

「そらそら・・・もっとしっかりとしつけてあげますわ。」

 

「ハッ!?・・・わっ、私は犬じゃないわ!!」

 

 目の前に爆発を起こし、それを目くらましにしてユーベル―ナは下がる。

 

「危なかった・・・目覚めてはいけない何かに目覚めそうになった。一度退くわ。」

 

「あらあら、もう少しでしたのに。」

 

 私が言うのはなんだけど・・・退いて正解ね。

 

 私はライザ―とガチで戦っているわ。

 

「ぐっ・・・お前ウィザードタイプだったよな?」

 

「ええ。」

 

 ライザ―は私を簡単に屠れると思ったはずよ。

 

 少なくとも前の私なら簡単にやられていたわね。

 

「なんで格闘が馬鹿みたいに強くなっていやがる?」

 

 でも・・・今の私、私、接近戦でも少しは戦えるの。

 

「がば!?絶・・・絶対少しじゃねえ。こんなの一朝一夕で身につくようなものじゃ・・・。がばろ!!?」」

 

 綺麗に滅びの魔力付きのパンチが決まったわ。拳を痛めないように手袋はつけているけど、良い感じだわ。

 

「ぐっ・・・。」

 

―――――検索させてもらったけど、カ―ミラの力を使いこなすために格闘もならっているのだね。

 

 先生になってくれた鋼鬼さんと渡君に感謝だわ。

 

 兄様は格闘も強いからこっちもやってみて問題ないみたい。

 

「ぐうう・・・やってくれる。がば!?」

 

 綺麗な回しけりも決まったわ。うん・・・よしよし。

 

 素人より強く、本格的なファイタ―タイプには負ける程度かな。

 

―――――カ―ミラの力を使う決意を固めてからいままでの努力がさっそく出ている。

でも気をつけて欲しい。彼の持っているメモリは少々厄介だ。

 

「ちい・・・だったらこれをつかってやる。」

 

――――ナスカ・・・。

 

 ライザ―がガイアメモリを使おうとする。でも・・・

 

「させません!」

 

 それを察したアーシアのサイコキネシスが腕を止める。

 

「ちいいぃぃぃ・・・まっ・・また邪魔を・・・。」

 

 アーシアちゃんのサポートは完璧に近い。

 

「ぐっ・・・おっ、お前ら・・・。」

 

 ライザ―が連れ来た他の四人を見るけど・・・。

 

「ぐあ!?」

 

「ぐう・・・。」

 

 バイオレンスとメタルが吹っ飛ぶ。

 

「どうした?まだまだこっちは行けるぞ。」

 

 鋼鬼さんが悠然と歩いていく。

 

 そんな鋼鬼さんにバイオレンスは鉄球で殴りかかり、それを顔面に受ける。

 

 顔面から軽く血が流れる。

 

 それでも不敵な笑みを浮かべている辺り・・・どういう体をしているの?

 

「その程度か?」

 

「ぐっ・・・まったくきいてねえ。」

 

 逆に拳で殴りとばしたわよ。

 

 その後ろからメタルが棒で突きにかかるけどそれをしたから掬いあげて逸らし、そのまま後ろへと投げ飛ばす。

 

 鋼鬼さんを前後に挟んだ二人はそのまま挟み撃ちにせんと一斉に攻撃をしかけようとするけど、それに対して床に手を当てて・・・。

 

「ふん!!」

 

 床をまるで畳がえしのようにめくりあげた。

 

 それに乗り上げた二体が打ち上げられ、落ちて行く二人を鋼鬼さんはまとめて殴りとばす。

 

 二人がかりなのに、いいようにあしらわれている。

 

「くそ・・・なんだこいつは!?」

 

「鬼に変身していないのに二人で圧倒するところか、一方的に・・・。」

 

「お前ら鍛えが足りん。いい機会だ。しっかりと鍛えなおしてやる。」

 

『ひいいいいいいいいいぃぃぃぃぃ!!』

 

 変身しなくてあれなのね。

 

「なんだ・・・あいつは!?」

 

「まだまだ調べが足りないわね。肝心な部分を知らないじゃないの。彼・・・私のいとこと真正面から互角に殴りあった仲よ。」

 

 私の・・・報告が本当なら鋼鬼さんと互角の怪物になっているであろう、サイラオークの名前をだす。

 

「まさか・・・次期大王のあいつとか!?」

 

 やっぱりそこは知らなかったみたいね。素でも彼は強すぎるのよ。

 

 サイガ君の方はと・・・。

 

「よっ、とはっ・・・と!!」

 

――――メラミ!!

 

 手から火炎球を飛ばすが、ヒートがそれを簡単に薙ぎ払う。

 

 そこに剣を逆手に持って斬りかかるサイガ君。

 

 その剣撃に怯むヒート。

 

 背後からカメレオンド―パントがいきなり現れて舌を伸ばそうとするが・・・。

 

――――ライデイン

 

「があああぁぁぁぁ!?」

 

 突然落ちてきた雷が命中して攻撃が中断された。

 

「すっ・・・隙がない。」

 

「不意を突いたはずなのにどうして!?」

 

 サイガ君はとんでもないテクニックタイプね。魔法と剣を途方もないくらい高いレベルで両立させている。

 

「魔法剣・・・。」

 

 そして、彼の手にした剣が冷気を纏う。

 

「氷結海波斬!!」

 

 凍結の衝撃波が二体を切り裂くと同時に凍らせる。

 

 と言うより・・・魔法剣ってなに?魔法と剣の組み合わせってすごいわ。

 

「魔法まで使うのか。」

 

 魔法に関しては使えるのは知っている。でも・・・剣を組み合わせて使えることはさすがにしらなかったわ。

 

 一体どれだけの力を彼は隠し持っているの?

 

 まだまだとんでもない何かを秘めていそうで怖いわ。

 

「ちい・・・まずい。」

 

 はっきり言って私達が優勢である。

 

 王同士の戦いも、互角以上にもっていけている。

 

 私は皆を信じた。

 

 そして、皆は傷つき倒れても自分のために戦ってくれると誓ってくれた。

 

 だから、私はこうやってみんなのために堪え・・・そして戦える。

 

「投了するならいまの内よ。」

 

 このままいけば勝てる。

 

 そう思っていた。

 

――――――おやおや・・・仕方ありませんね。ここであなた方に負けられるのは計画に支障がくるので。

 

 変な男が現れた。

 

 それを見たアーシアの表情が一気に変わる。

 

「リアス姉様!!逃げてください!!その男は危険です!!」

 

 それは彼女のアギトとしての直感なのだろう。

 

――――――君がこの世界にいるとは思いもしなかったよ。あの陽動のおかげでこっちも気付けなかった。

 

 コウモリ型の機械はその男を知っている様子だった。

 

「一応眷族登録しているのでね。うまくすり変わっただけですけど。」

 

―――――井坂・・・。君の様な怪物がこの世界に。

 

 その手には・・・ガイアメモリ。

 

 字は・・・W

 

――――ウェザー。

 

 そして、男は白いド―パントへと姿を変えた。

 

 次の瞬間・・・

 

 原因不明の災害が起きた。

 

 凄まじい竜巻、そして無数の雷。

 

 それがこの戦いの終わりを告げた。

 

 私は巻き起こる嵐にのまれ、そのままリタイアしてしまったのだった。

 

 

 




 本当の戦いはこの後の例のイベントで起こします。


 みんな・・・本気を出します。

 介入者達の目的もそこで明らかにする予定です。

 フェニックスに関しては・・・ご愁傷さまと言ってあげてください。



 本日の更新はここまでにします。またよろしくお願いします。 

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