ここでイッセーのもう一つの潜在能力があきらかに・・。
SIDE クレア。
みんなが部屋に戻っていく中私は・・・まだその場に残っていた。
「・・・無粋な真似をしている奴が他にいるようね。他のみんなは誤魔化せても私は誤魔化せないわ。」
私の言葉にコウモリとカメラを合体させたような機械が屋根の上から現れる。
―――――いや・・・驚いたよ。僕達の存在に気づけるなんて・・・。そうなるように色々とこのバットショットは工夫しているのにね。
「はあ・・・久しぶりとでもいっておこうかしら?あなたが生きているのには驚いわ。」
――――元々の存在が普通じゃなかったんだ。僕は地球という名のサーバーにあるデータの塊だったから。その身体の崩壊に伴い。この世界に来てこの世界の情報と一体になった結果だよ。新しい龍神といわれているかな?もっとも単独の戦闘力は龍王にも劣るか弱い神だよ。
――――エクストリーム!!
「よくいうわ。全知の龍神様の特殊能力はそれを補って有り余るというのに?あなたの相棒はどうしたの?」
――――号泣中。ずっと気にしていたみたいだけど・・・今の話を聞いて色々と噴き出している。
―――――ウオオオオオォォ・・・イッセ―ェェェェェェ!!済まねえェェェェ!
あの機械から彼の泣き声がきこえてくるわ。
「相変わらずハーフボイルドね。いずれ生きていると名乗り出なさいよ。」
――――そうさせてもらうよ。彼は僕たちがこの世界に来て初めて出来た友達なんでね。
出会った時から二人とも普通じゃない事は理解していた。
子供の姿に化けていたこともだ。
イッセ―には言っていないけど彼らが異世界からの訪問者であることは私はしっていたのだ。
―――――それと・・・あなたに聞きたい事がある。
「なにかしら?」
―――――あなたの色違いの黒い龍をしっているかい?黒い炎で相手を焼きながら拘束する・・。
「・・・・なんであなたが彼女の事をしっているの?」
私そっくりな黒い龍。黒い炎で相手を焼きながら拘束する力。
そんな力を持つのは・・・彼女しかいない。
ずっと探していたのだけど・・・。
――――そうか。なら一つ忠告をしておく。彼の影に彼女がいるとね。
「・・・なっ・・なんですって!?私でも感知できないのに?」
確かに彼女は訳の分からない力を持っていた。私と同等の力を持っていながら、私に無い闇の力を彼女は使うのだ。
――――多分、この世界にきた衝撃でずっと眠っているのだろう。あの日・・・・イッセ―の絶叫で目覚め、その心の闇にとりついてしまった。でもアギト故にその力と存在は封じ込められていると・・・。
「・・・そうか。あの時、怒り狂った私達が動き出そうとして黒い炎が邪魔したので、もしかしたらと思っていたけど・・・。」
あの日は私達も鮮明に覚えている。
イッセ―の悲痛な絶叫に私達は怒り狂っていた。
そう・・・。ドライクも。
イッセ―に襲いかかろうとしたあのマグマド―パントに対しても同じだ。
イッセ―の中にいる私達がそろって実体化しようとした時、私達を黒い炎が邪魔をしてきたのだ。
―――――二人とも・・・邪魔しないで。
その炎の向こうから懐かしい声が聞こえた。
――――この子の悲鳴が私を呼んだ。
そして彼女は唱える。
――――我は鏡の中の闇。
それは私の片割れ。無双龍なのに片割れがいるというのは変な話だろう。
―――鏡に映るは己の闇。その闇の中より我は姿を現さん。
でも、鏡の世界が以前の私の契約者を運命のきまぐれでコピーした。その際無双竜が二体になってしまった。
――――闇の力は光と共にあり。光あるところに我もまたあり。
すべての戦いが終わり、私達が新しい生き方を模索し始めた時、彼女を保護した。
――――さあ・・・・黒き炎で全てを焼きつくそう。己の中の闇のあるがままに。
本来ならありえない妹として。
―――――――変身。
そして、それと共に全ては終わっていた。
倒れ伏せるイッセ―と、姿を消した巧の遺体。
そして周囲のすべてが吹っ飛んでいたのだ。
「・・・そう。ありがとう。あの子がねえ。」
あの子の力の一つ。それは相手の内面世界に潜り込めるというものだ。
なるほど・・・イッセ―の心の中にひそんでいるというのか。
何とか接触しないと。
―――――それともう一つ。巧は生きている。
「・・・今なんていったの?」
その言葉は理解できるものではなかった。
―――――いや・・・正確には蘇ったというべきだろう。何しろ彼は・・・。
SIDE ???
イッセ―・・・。
すまねえ。俺のせいで。
俺が死んだせいでお前・・・あんなに傷ついていたんだな。
―――そういうこと。
俺の傍に可憐な少女が現れる。
でもその本性を俺はしっている。
俺はこいつに導かれていてやってきた。
「あんたと初めて会った時は訳が分からなかったぜ。」
―――気にしない。でも・・・まだ会わないの?
「わりぃ・・・俺、多分そんなに長くないから。」
俺は手を見る。
そこから細かい灰の様な物が出ている。
そう・・・細胞組織の崩壊だ。
これが俺に課せられた宿命。
―――すまない。我にはお前を癒す力がない。
「気にするなって言ってんだろ。むしろ一度死んで、こうやって蘇っただけでも儲けもんだ。辛うじてつなぎ止める手伝いをしてくれてありがとよ。」
―――――生きる意思があるからだ。それは強いものだ。我はイッセ―の中に戻る。まだ正式な契約じゃない。でも・・・いつか・・・。
そうやって彼女は姿を消す。
あんたはいい奴だ。
だが、アギトであるイッセ―の内面世界に飛び込んでしまった故に本体が拘束されて自由が効かない。
彼女はイッセ―の心の闇と深く同化してしまったのだ。
もう一度解放してもらってからだな。その時に命があったら手伝ってやる。
あんたに命を救ってもらったんだし。
あの日、俺は確かに死んだ。だが・・・蘇ったのだ。
オルフェノクとして。
マグマド―パントの一撃が黒い炎が阻むと共に・・・俺は駆けていた
全身が人のそれとはまったく違う存在に変えて。
「オッ・・・オルフェノクだと!?」
その姿は全身に刃を備えた狼であった。
「俺の友達はやらせねえ。」
「それに背後の龍はなんだ!?」
「・・・んん??うおぅ!?」
俺は後ろを見ると、そこには彼女がいた。
黒い炎でイッセ―を守りながら宙を舞う黒い龍。
ドラグブラッカ―が。
「・・・イッセ―を頼むぜ。」
――――――任せろ。
俺は高速で駆けてマグマド―パントに殴りとばす。
それは俺が死を経て人から外れ、怪物となって戦う第一歩であった。
後ろでイッセ―が黒い仮面戦士に変身した時も身体は彼女が操っており、二人の力で子の危機をだっした。
そして俺は戦っている。
イッセ―を危険な目にあわせたあの組織と。
もう命の残りは少ない。
だが・・・それでも俺は戦う。すべての命を燃やしつくそうとも!!
俺の携帯にある人物から連絡が入る。
―――――絶好調かい狼君?元気に灰をばらまいているかね?
はあ・・・このノリにはなれねえ。
「あんたはあいかわらずだな・・・・親父。」
-――――――おうよ・・・怪傑、555(ファイズ)さんよ!それと親父はよせ。俺はまだ若いぞ。
よくいうよ。途方もなく長生きをしたあんたが。
「今のところ・・禍の旅団(カオス・フリゲ―ド)の動きは?」
――――――どうもな・・・。ガイアメモリ関連で動きが・・。今度フェニックス家とグレモリ―家の婚約を賭けて戦う時に介入があるとみていいぜ。
確か今イッセ―達が巻き込まれている案件だったな。
「そうか・・・この命が必要な時がきたか。」
どうやら・・・イッセ―。お前の手助けができそうだ。
――――・・・・わりいな。巧。お前の身体をなおしてやれなくてよ。
「だから・・・はあ。あんたは普段はお茶らけているのに、なんで肝心な部分は人が良い!?」
――――性分だ。お前も神器を持つものとして保護したのもきっかけだったが。
あいつは俺の親父だ。まったく・・・・ヴァ―リの野郎だけでも面倒なのに!!なんかこう・・・・頭が上がらねえ。
――――これだけは言わせろ。短い命・・・絶対に後悔だけは残すんじゃねえぞ。
「わーかっているって!!」
俺は携帯を切る。この携帯が俺の神器。いや・・・異世界からの贈り物というべきか。
それに俺は選ばれた。
まったく・・・いい親父をもったもんだ。
「大した親孝行できなくてごめんな。」
そして俺は・・親不幸ものか。
「親不幸に関しては俺も同じかな?」
そこにもう一人の声が聞こえてくる。
「ハルトか。ちょうど良かった聞きたい事があった。」
「それはこっちもだ。総督の息子さん。はあ・・・。」
俺達はそろってため息をついて同時に言う。
『お前・・・イッセ―の友達だったんだな。』
全く同じことを聞こうとした事に気付き・・。
『ハハハハハハハハ!!』
俺達はそろって笑う。
まったく、同じ組織に属しながら全く分からなかったぜ。
知らない仲じゃねえし、それどころかイッセ―達以来の友達だったのにな。
「お互いに、変な縁だ。」
「まったく。君の力をあてにさせてもらってもいいかな?赤い閃光さん。」
「ああ・・・。」
イッセ―。お前の縁は面白いぜ。
こんなところで繋がっていたなんてな。
「あとどれだけ生きられる?」
「わかんねえよ。でも・・・一年もない。多分・・・半年は持たねえ。」
俺の残りの命は多分そんなもんだ。
あっさりといった俺に対してハルトはつらそうな顔をする。
「・・・心苦しいかな。君が生きている事を伝えられないなんて。」
どうせ俺はもうすぐ二度目の死をむかえる。死体も残らず灰となって消えるだけなんだ。
「気にするな。むしろ黙ってもらっているだけでも嬉しい。だが・・お前さんの事情を手伝えないことはもうしわけねえ。」
「それこそ気にするな。こっちはこっちで何とかするから。だが・・・お前を助けるために作った二つ目の賢者の石も効果は無かったし。」
「しかたねえだろう。俺はゲートじゃねえ。魔力も全くないから石があっても意味がなかっただけのことだ。あんたの姉さんのようにうまくはいかねえ。まあ・・・延命の効果はあったんだ。それだけでも上々だ。」
俺の中のもう一つの石はあの龍の力とともに、俺の寿命を五年で終わるのを辛うじてつなぎ止めてくれている。
「もう一つ何とかなりそうな事例は見つけたんだ。でもそれは難しい方法だし。」
ハルトは何か答えを見つけたのか?
「あの彼の場合は本当に幸運だった。もしかしたら・・・・。でもどうやって手に入れるかが問題で・・・。」
色々とぶつぶつと考えていやがるし。こいつ親父と同じで研究家だねえ。
「俺はまだあきらめていない。お前の命・・・絶対に救って見せる。」
「・・・ありがとよ。お前が最期の希望だ。」
感謝してもしきれねえ。俺はイッセ―を助けたつもりだが、あいつから始まった縁は俺を助けようとあがいてくれている。
「・・・って人の決め台詞をとらないでくれ。」
「たまにはいいだろうが。耳にタコができるくらいに聞いているのだし。」
本当に心安く付き合える。
「じゃあな。また生きてあおうぜ。」
「ああ。お互いにね。」
俺もまだ・・・生きることをあきらめちゃいねえ。
友がいる。そして・・夢も目標もある。
俺は体を異形・・・ウルフオルフェノクへと変えてその場から駆けだす。
さて・・・俺もショータイムに参加しましょうかね。
SIDE 鋼牙
俺は今・・・悪夢を見ている。
「そうですか。だったら息子の事をよろしくお願いしますね。」
俺の屋敷にとうとう・・・あのコスプレ魔王がやってきたのだ。
「鋼牙・・・現実は無情だな。」
しかも・・・カオルと意気投合していやがる!!
「よろしくお願いしますね。お義母様。」
「・・・・あなたの方が年上なのにねえ。」
「ふふふ・・・年齢に関してはしかたありませんわ。」
そして一番脅威は・・・どうしてカオルの手料理を平気で食べている!?
人を殺す毒すら平気で耐える俺達魔戒騎士ですら昏倒するほどの威力があるんだぞ?
サイガにとって最大級のトラウマを・・・あの魔王は平然と・・・。
「それでサイガは何の駒で転生させるの?」
「それはもちろん・・・女王。いやね・・・イミテーションの女王の駒です。」
悪魔の駒に関しては俺も聞いている。潜在能力によって必要な駒の価値があると聞く。
よりによって・・・あいつが最強の駒・・女王に選ばれようとしている。しかもイミテーション・・・。駒価値が変則的になったあれを?
「アシュカちゃんから聞くに・・・軽く三十以上の価値はあるって。多分選ばれた相手のためにあるって。話を聞くに、それだけの価値もあるとみましたけど?」
「ええ・・・。そうよね?」
しっかりサイガの潜在能力も調べているか。
「ああ。あの紋章の力はそれだけのものがある。アバンの書の最後に書き記された記述な本当なら・・・あいつは異世界で竜の騎士と呼ばれた存在のはずだ。」
竜の騎士についてアバンの書に書かれた考察を教える事にする。
異なる世界で竜の力、魔族の魔力、そして人間の心を兼ね備えた存在が生み出された。
争いを静める究極の戦闘生物・・それが竜の騎士だと。
それはマザードラゴンによる転生で幾重の世代が生まれていたが、ある竜の騎士で例外が起きた。
人間と間に生まれた子供がいたのだ。
その子は生まれつき竜の紋章を持っていた。そこに父の歴代の紋章も受け継いだのだ。
結果・・・二つの竜の紋章を持つ超戦士の誕生。神すら倒す異世界の大魔王を倒した。
そして、その息子が・・・サイガなのだ。
父と母が死に絶える直前・・・泣きじゃくるサイガの手をとり、そこから父親の中からサイガの中へと光と共にある物が継承された。
その際・・・額と両拳に紋章が浮かび上がったのを俺は見た。
だから間違いない。彼は今・・・三つの紋章を持っている。
「紋章一つの解放で、鎧を纏わないで使徒ホラーを拳で倒すほどの力だ。」
「それが三つも解放されたら・・・あるいはメシアすらも単独で倒すかもな。いや・・・話が本当なら二つで十分か。」
ザルバの推測はおそらく間違っていない。
はっきり言って凄まじすぎるほどの潜在能力を秘めている。だが・・・人間の血が濃いせいか、制御がうまくいっていない。
「力が強力すぎるからですか?それが人間に近い彼の身体では制御できないと。」
そう言う事になる。薄まった竜の血がその弊害になっている。
「なるほど・・・じゃあ、運命を感じますね。」
セラフォル―は女王の駒を軽くいじりながら思っているだろう。
「この駒でより強靭な体に転生できれば多分その力を発揮できそうかな?一応竜の血も用意してみてもいいかしら?そうしたら伝承どおり魔族と竜、人間の三つの要素が揃いそうだし。」
・・・何か嫌な予感がするぞ?
「後・・・出来れば、サイガ君の両親の墓参りもさせてください。挨拶したいので。」
「一つだけ質問をさせてくれ。」
俺は肝心なことを聞く事にする。
「お前はあいつをどうしたい?」
それは絶対に聞かないといけない。
「俺はあの二人からサイガの事を託されている。」
死に絶える直前のあの二人から俺はサイガを託された。
騎士の誓いとして・・・一人の男として。
そんなあいつを眷族にしようとしているのだ。聞かないといけないだろう。
「そんなの決まっています。」
だが・・・この悪魔は本当に天真爛漫だ。
「一緒に幸せになりたいです。まず・・・私の魅力でメロメロにさせてからですけど。グレイフィアちゃんは幸せになったし・・私もそろそろね。まあ・・・彼女と逆の立場なんだけど。」
ただ幸せになりたいか。
「・・・はあ。いいだろう。もう俺達は折れた。あとはあいつに責任とらせる。」
魔王だというのに・・・誰よりも人間味のある人だ。
「よろしくお願いします。サイガの事・・。」
「俺達よりも長生きすることになるからな。」
「もちろんです!!」
そんな彼女の元に変な使者が現れる。
「お楽しみのところ悪いけど、迎えに来たわよ。」
それは白鳥のようであった。
「スワンちゃん・・・もう時間?」
「そう言う事・・・はあ・・なんで私があなたの監視役をやっているのかしら・・・。そりゃ・・契約をしたのはその天真爛漫さが気にいったからだけど、ここまで振り回されることになるとは・・・。」
見た目に反しでとても感情豊かだ。どうも彼女に振り回されている節がある。
「最後に墓参りだけさせて。それくらいいいでしょ?」
墓参りだけはするのか。意外と律義なんだな。
「どうも・・・セラと契約をしているブラウウイングことスワンといいます。」
「丁寧な白鳥さんだな。俺はザルバだ。よろしくな。」
とても丁寧だ。羽ばたきながらおじぎするなんて・・・。
こうして俺達は変な魔王とそのお供と共に墓参りにいくことになる。
サイガ。お前はもう逃げられないぞ。完全に外堀は埋まっているからな!!
なんか死んだはずのあのあいつの生みの親達まで攻略されている気がする。
オチは・・・・サイガの最後の堀が埋められる瞬間でおわりました。
そして魔王様もまた契約者であるというオチものこしております。
オリジナルモンスターも考えておくべきかもしれませんね。
更新はここまでです。
また会いましょう!!