赤龍帝の幼なじみ達   作:THIS

102 / 110
   第二次幼馴染。全員集結です。そして…遂に・・・。


   なお、ある方が凄まじいキャラ崩壊を起こすので注意してください。


   では…どうぞ、


集結と黒幕、そして復活です。

SIDE リアス

 

 

 ついに宇宙から直接やってきたわ。

 

「久しぶりだな~。」

 

 イッセーの幼馴染が。

 

 いつか来ると思っていた。そして、それが現実になった。

 

 ただそれだけのこと。

 

 一人は宇宙刑事。彼の戦艦が私達の秘密基地に降り立った時、驚いたわ。

 

 出迎えた弦太郎が笑顔だったけど。

 

「なんでお前らがここに?」

 

「ああ…話すと長く・・・。ってその前に鉱太を!!」

 

「鉱太!?」

 

 そこには予言にあったイッセーの幼馴染第二波の最後の一人がいた。

 

「・・・どうなって・・・。いるんだ?」

 

「それはこっちのセリフだ。だが、怪我がひどいな・・・うん。」

 

「まさか誠・・・か?」

 

「しかたねえ。マッドドクター!!」

 

 へっ?誠君の手に何かミニカーみたいなものが飛んできたわよ。

 

 弦太郎君も何かスイッチをとりだしましたし。

 

「こっちもスイッチを・・・。」

 

『すげえ、痛いが我慢してくれ。』

 

 二人は真剣な声で同時に告げる。

 

 お互いに驚き、二人は顔を見合わせるが…すぐに頷く。

 

 やるしかないと・・・お互いに覚悟を決めた様子だ。

 

「へっ?一体何を・・・。」

 

 重症の彼に向けて二人は行う。

 

 その名前通りのかなりイカレた治療行為を。

 

「ぎゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 しばし、彼の絶叫が響き渡ったわ。

 

「って、痛すぎるわあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 鉱太君が悲鳴を上げるが・・・。

 

「あれ?怪我が・・・治った?」

 

 怪我がすっかり治っていた。

 

「痛い分効果は絶大。」

 

「二つも重ねればさらに効果は乗数倍。」

 

『その分痛みも乗数倍だけど・・・。』

 

「おい!!」

 

 すごいわね。治療する方法も、痛みに気を失わない彼も。

 

 まさにマッドドクター。

 

「・・・ははは・・・はあ。そうなるとイリアもここにいるのか?」

 

「その通り。来てくれてありがとう。」

 

 イリアって人もやってきたわ。

 

「・・・遂にあの時のメンツが勢揃いだわ。」

 

「あの時のメンツ?」

 

「それ以前にここはどこだ?」

 

 弾と鉱太はあたりをきょろきょろとみながら訪ねてくる。

 

「その前に、イッセーがいないぞ?」

 

「安心しろ、ここはイッセーの家だから。」

 

『・・・・・・・・・はい!?』

 

 うわ~相当驚いているわ。

 

「なんでここがイッセーの家なんだよ!?」

 

「あいつに何があった?」

 

「はははは…まあ、事情がすごいわよ。イッセーは。」

 

 イリアさんも苦笑しているわね。うん・・・。

 

「・・・鉱太・・・。」

 

 そこで後ろから眼鏡をかけた黒髪の女性がやってくる。

 

 その名はソーナの女王。

 

 椿だ。

 

「あっ・・・。」

 

 鉱太の方も驚いている。

 

「姉・・・ちゃん・・・。」

 

 姉だと!?

 

「鉱太ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 涙を流しながら鉱太を抱きしめる。

 

「・・・うう・・・うう・・・。鉱太…いったいどこにいたの・・・ずっと・・・ずっと探していたのよ!!」

 

「あ~いや、ごめん。」

 

「ごめんじゃない!!生きているって予言で教えてもらったけど、どこにいるのかわからずにもどかしかったから!!」

 

「へっ?予言?」

 

「あ~…遂に再会しましたか。」

 

 その後ろからソーナがやってくる。

 

「…あなたの懸念通りね。」

 

「やはり、行方不明だった椿の弟がイッセーの幼馴染でしたか。」

 

「取りあえず、無事だったからよかったよ。でも何があったのか詳しく話を・・・。」

 

 椿の視線が鉱太の傍にいる彼女に向けられる。

 

「それと…そこの人はだれ?」

 

イッセーの幼馴染以外にも女性が一人・・・。

 

「あっ・・・俺の奥さん。」

 

「舞といいます。皆さんのことはいろいろと聞いて・・・。」

 

『ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』

 

 さて、一人すでに結婚していることについてどう突っ込めばいいのだろうか?

 

 そういえば第一波にもすでに夫婦となった人がいたわね。

 

 うん、第三波でも誰か結婚している人がいればこの新たな法則は確実なものに・・・。

 

 驚きはしたけど、すぐに冷静になれるあたり私もだいぶ慣れてきたわ。

 

「鉱太・・・の奥さん?」

 

「紹介したいなと思っていたけど・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

あまりに衝撃的な発言の後に何も反応がない・・・椿さん・・・。

 

「ぶくぶくぶくぶくぶくぶく・・・。」

 

 泡吹いて倒れましたよ!?

 

「つっ・・・椿!?」

 

「姉ちゃん!?」

 

「義姉さん!?」

 

 慌ててソーナと鉱太、その嫁である舞さんが椿さんに駆け寄るけど・・・。

 

 彼女・・・完全に気を失っていたわ。

 

「う~ん・・・・う~ん・・・。」

 

 しかもうなされている。泡吹きながら。

 

「・・・椿がブラコンなのは知っていましたけど、ここまで強いショックを受ける事案がまっていたとは・・・。さすがに読めなかった。」

 

 ソーナ・・・仕方ないわよ。

 

 結婚しているなんてふつう想像できない。

 

 いや、愛しの弟が結婚していると知ったらそうなってもおかしくないかも。

 

「…前途多難ね。」

 

「椿の弟魂(ブラコン)はいやというほど知っていますから。」

 

 ままならないものだ。

 

「それよりも事情聴取をしないと。このメガへクスについて・・・。」

 

 宇宙から来たというのなら、このメガへクスという変な奴について何か情報が得られるかも。

 

「・・・そうだ。鉱太。」

 

「はあ・・・姉ちゃん・・・。」

 

 肝心の弟君はため息をついたまま、泡を吹いて倒れた椿を見ている。

 

「・・・私達の結婚、認めてもらえるのかな?」

 

「認めるわけないでしょう!!」

 

 って、すぐに復活した!?

 

「あっ・・ああああ・・・あなたね!!一体何がどうなったら、結婚なんてしてしまうのかな!?せめて…せめて姉である私に連絡の一つは!!」

 

「だから!!いろいろあったんだよ!!下手したら二度とこの星にもどれない状況だったし。」

 

「でも戻ってきたじゃないの!!そこの舞って人!!」

 

「はっ・・・はい!!」

 

 椿が怒っているわ。

 

「私はあなたたちの交際を認めないわよ!!」

 

「認めるも何も私たちは正式に黄金の果実に選ばれた最初の・・・。」

 

「黄金の果実がどうした!!こっちは鉱太の姉よ!!それにあなたたちには気持ちがないの!?それに選ばれただけで結婚なんて、あなた・・・鉱太のこと…なにも思っていないの!?」

 

「・・・ブチ。」

 

 あっ、その言葉に舞さんの中の何かがキレた音がしたわ。

 

「ああもう頭きた・・・。黙って聞いていれば・・・。私は!!ちゃんと鉱太とは相思相愛です!!姉さん女房ですから!!」

 

「姉さん女房ですって!!実の姉がいながら・・・。」

 

「それに・・・私達・・・こっ…子供だって互いに欲しいと思っている仲です。」

 

『ちょっ!?』

 

「なにぶっちゃけてんの!?」

 

 まっ・・・まあ、相思相愛で結婚しているのだし、こっ…子供が欲しいと思うのもムムムむむ・・・無理も・・・・なななななななないわねえええええ・・・。

 

「リアス、落ち着きなさい。」

 

 だって…そこまで進んでいるなんて・・・。あっ・・・そうだったわ。あちらの夫婦を思い出したら・・・。

 

「すでに妊婦がいるのです。今更その程度で動揺してどうするのですか。」

 

 ソーナ。ありがとう。おかげで落ち着いたわ。

 

 気をしっかり持たないといけないわね。

 

 まあ、あちらはまだ新婚ってところかな。

 

 その爆弾発言を聞いた椿はそうもいかないみたいね。

 

 顔が真っ赤だ。

 

「あっ・・・・あなたたちは!!!鉱太‼!あとでお話があります!!」

 

「なんでこっちまで!?」

 

 弟君。諦めなさい。あなたをめぐっての争いだから。

 

「その歳で性行為は早い!!それ以前にあなたたちの交際を・・・。」

 

「まっ・・・まだしていないから!!」

 

「そうよ!!そんな雰囲気になったところであいつらが来て中断されたのよ!!」

 

「そんなところぶっちゃけないで!!」

 

 言い争いの中、いらないことを私たちは知っていく。

 

『・・・・・・。』

 

 そんな弟君に向けられる彼の幼馴染連中の視線は生暖かさと呆れが含まれているわ。

 

「頼むから言いたいことがあったら言ってくれ‼‼視線だけで語られるのは非常にダメージが・・・。」

 

『・・・・・・。』

 

 その答えは生暖かい視線。

 

「ぐあああああああぁぁぁぁ・・・・・。」

 

 弟君のダメージが蓄積してく。

 

 主に羞恥によって。

 

「…これ以上言い合っても無駄ね。なら・・・。」

 

 椿の手に現れるのは桃のような錠前。

 

 腰には変わったベルトが。

 

―――ピーチエナジー!!

 

「なんで姉ちゃんがゲネシスドライバーとエナジーロックシードを?!」

 

「上等。」

 

 とっさに大きく間合いを離した舞さんの腰にもベルトが。

 

 手には銀色のリンゴ!?

 

――――シルバーアームズ。

 

「なんで舞がそれを持ってんの!!?」

 

 弟君が悲鳴を上げる。

 

 だが、その疑問に二人が同時に応えた。

 

『拾ったの。』

 

「…なんでそんな物騒なモンが落ちているの!?そして、どうして二人とも拾うかな!?」

 

『使えるものを使っただけ!!』

 

――――――ロック・オン!!

 

――――――チャージ・・・。

 

 二人とも似たもの同志なだけじゃ・・・。

 

 二人の頭の上でジッパーが走り、そこから桃と銀色のリンゴが落ちてきた。

 

 そして、それを二人はかぶると同時に変身する。

 

 落ちてきた果実が開いていき二人のアーマーとなる。

 

『さあ。ここからは私のステージだ!!』

 

「二人ともこっちの名乗りをパクらないで!!」

 

 弟君の悲鳴とともに二人は走り出し・・・。

 

「ふはははははははは!!」

 

 二人が対峙しているど真ん中に何者かが現れた。

 

「簡単に潜入できたぞ。ふははははは・・・あーはははははははは・・・。どうだ?完璧な警備にもこのような穴が・・・。」

 

『・・・・・・。』

 

 よりによって修羅場のど真ん中に!?

 

『はああああぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

「へっ?がぶろ!!」

 

 二人の拳がお互いに向けられ・・・。

 

「なん・・・で・・・・?」

 

 間にいた男の顔面を挟むように殴ったわ。

 

「まだまだああああぁぁぁぁぁ!!どらどらどらどらどらどらどらどらどら!!」

 

「うらうらうらうらうらうらうらうら!!」

 

 でも二人はそんなのお構いなしに殴り合っているわ!!

 

 もちろん二人の拳は全部間に現れた謎の人物の体にめり込んでいるけど。

 

「まっ・・・まて!!がば…待てと・・・ごぼ!?」

 

 まるでサンドバック。

 

 だんだん拳のスピードが上がっていき…もはや拳の壁。

 

「どらどらどらどらどらどらどらどらどらどらどらどらどらどらどらどらぁ!!」

 

「おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおら!!」

 

 まさに拳の壁の激突。

 

「がばばばばばばばばばばばばばばばっ!?」

 

 そのラッシュに挟まれ、全身余すことなくぼこぼこにされていく謎の男。

 

「なんで気づかない?」

 

「ダメだ…二人ともバーサク化している。互いを叩きのめすことしか考えていない。」

 

『・・・・・・。』

 

 間に入ってしまった彼は眼中になしってこと?

 

 袋叩きって言葉すら生ぬるいほど殴りまってそれはないわよ!!

 

「まてっといって・・・がばら!?」

 

 二人とも一度大きく間合いを離し、腰のベルトを操作・・・。

 

 足にエネルギーを充電させ・・・。

 

「うう・・ぐう・・・・!?まっ、待て!!本当にまて!!それはシャレになら・・・。」

 

『はあああああああぁぁぁぁぁ!!』

 

 二人はそのまま走り出し、強烈なキックを繰り出す。

 

 ダッシュの勢いを見事に乗せた見事な回し蹴り。

 

 それがぶつかり、爆発を起こす。

 

「がっ・・・ばっ・・・。」

 

 間に謎の彼を挟んだ状態で。

 

『はあ・・・はあ・・・はあ・・・。』

 

 肩で息をする二人。

 

 爆炎が晴れ、現れたのは膝から崩れ落ちる彼の姿だった。

 

 二人ともベルトを操作し、再び足にエネルギーを集める。

 

『・・・・・・んん?』

 

 そこでようやく二人は、ぼろぼろになって倒れようとしている彼に気づく。

 

 やっと正気に戻ったわね、その人を助けないと・・・。

 

『・・・邪魔!!』

 

「がぼうぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

 その彼を綺麗に蹴り飛ばしたわ!?

 

 しかもエネルギーを充電させた必殺キックで。

 

 すごく息の合った回し蹴りだった。

 

 まるでその辺に転がっているサッカーボールを邪魔だから蹴り飛ばすようなノリで、無造作に・・・。

 

「・・・ひでぇ・・・。」

 

 弟君の一言がすべてだわ。

 

 あまりの勢いに壁に激突、粉々にして倒れた。

 

 これ以上はまずいか・・・。

 

 仕方いわね!!

 

 再び拳を繰り出しあう二人の間に私は滑り込み・・・。

 

「ふん!!」

 

『なっ?!』

 

 それぞれの拳を片手で受け止めた。

 

 うん…縮地っていいわね。瞬時に移動出来て便利よ。

 

 おかげで変身するまでもなく二人の攻撃を止めれたわ。

 

 衝撃を受け止めるために、床を粉々に踏み砕いてしまったわ。

 

 二人ともすごいパンチ力ね。結構踏ん張ったわよ。

 

『・・・・・・・。』

 

 あれ?なんかみんな呆然としているけどどうかしたのかしら?

 

 こっちの身内は流石だと納得してもいるけど・・・。

 

 攻撃した二人も完全に固まっているし。

 

「なん・・・だと?」

 

「嘘、変身すらしないでこのレベル・・・。」

 

 止めるという意味では好都合だから気にしないでおくわ。

 

「二人ともここまで。これ以上やるなら・・・私が相手になるわよ?」

 

 体内の皇魔力を少しだけ解放する。おそらく頬にステンドグラスのような文様が現れていると思う。

 

『・・・・・・・。』

 

 二人とも暴れすぎだ。おかげで一人負傷者がでたじゃない。

 

「・・・剛腕女王に言われたら退くしかないわね。」

 

「うぐ!?」

 

 変身を解いた椿の一言に私は落ち込んだ。

 

「・・・あっ・・・あれ?」

 

「まさか、かなり気にしている?」

 

 別にいいわよ。私の新しい二つ名が剛腕だなんて・・・。

 

 これっぽっちも、そうこれっぽっちも気にしていないのだから・・・。

 

「ワンパン姫?」

 

「・・・・・・・。」

 

 そんな二つ名もあったわね~。

 

 スイッチ姫は覚悟していたわ。でも…なんでワンパンなの?

 

 ゴジラを…ゴジラを殴り飛ばしたのが悪かったの?

 

 あんなのみんなやって・・・。

 

「いやいや、女子でゴジラまともに殴ったのはあなたとあと一人だけですよ。しかもあなたはたった一発のアッパーで十万トン越えのゴジラを数百メートル上空まで吹っ飛ばしたのだから、単独でやらかしたという意味では男子すら超える偉業・・・・・・いや、もはや伝説です。拳一つでやらかすという意味で皆畏怖を禁じ得ない・・・。」

 

 そこに椿が追い打ちを。

 

「うぐ!?」

 

 なかなか強烈。やるわね。

 

 ふっ・・・ふふふふ・・・でっ・・・でも、これぽっちも気にしていないわ。

 

 隅っこで三角座りしちゃうけど、全然・・・それはもう全然気にしていない・・・。

 

 ふははははは・・・あ~本当に私、遠いところまできちゃたわ~。

 

 鎧と鬼の力を使った状態なら龍王でもワンパンできそう。

 

 お兄様とお父様、お母様が嫁の貰い手がいてよかったといったといったことも全然・・・全然気にしていないから・・・・

 

 あはは・・・ははは・・・・・・。

 

『・・・・・・・。』

 

「そんなものですよ。リアス。」

 

 ソーナが優しく私の肩を叩いてくれるわ。

 

「あなたは強くなると誓った。確実にそれをものにしているのですからむしろ誇りにおもってください。あなたこそ、冥界を背負う逸材ですから。」

 

 ・・・うん。ありがとう。

 

 まだ私は立ち上がれるわ!!

 

 この数か月で私は本当に強くなった。それだけだわ!!

 

―――――いっ、いや。その私から見ても異常としか言えないレベル・・・。

 

 カーミラ、そこはツッコミはなしよ。

 

――――カテナもあと二つだけだし…。その前に四つ目のカテナ解放の際に他の三つを同時解放するってどういう理屈なの?そりゃ四つのカテナ同時解放したらあれだけの破壊力になるわけよ。はあ・・・下手した今年中には全部解放されるかも・・・。私、とんでもない主を持ってしまったわ。

 

「そんなの根性に決まっているじゃない。日頃の鍛錬を重ね、試行錯誤したうえで・・・。」

 

―――・・・あなたもイッセーと同類ってことがよくわかった。これで脳筋じゃないっていうのが信じらない。リアス…恐ろしい娘!!

 

 カーミラはそれ以上、このことについて聞いてこなかった。

 

 なんでそこで恐ろしい娘発言がでるの?まずはそこを聞きたいわ。

 

「…二人のことは保留としましょう。いいですね?椿。」

 

「・・・はい。」

 

「舞も。」

 

「うう・・・わかったわよ。」

 

 ソーナと弟君に諭されおとなしくなる二人。

 

「さて・・・あなたは誰です?あれだけの猛攻をその身に受けて五体満足な時点で・・・只者じゃ・・・。」

 

「・・・うう・・・うう・・・。」

 

 がれきの中から現れた男を見て・・・。

 

『あーーー!!』

 

 弟君とその奥さんが揃って声を上げる。

 

「おまさりさん!!こいつです!!」

 

「弾‼!こいつ…こいつだ!!メガへクスを率いていたやつ!!」

 

「なに?」

 

 弾が驚きのあまりに声を荒げる。

 

「こいつがメガへクスを・・・。」

 

 ちなみにメンツの中に実際の刑事がいるのでおまわりさんと言ってもそこまで問題じゃない。

 

「貴様ら・・・。」

 

 全身ぼろぼろの状態で立ち上がってくる彼。

 

 どうやら・・・敵だったようだ。

 

 ならやることは決まっている。

 

「絶対に許さ・・・。なっ!?」

 

 私は魔術を発動させようとしたこいつの懐に縮地で滑り込むようにしてもぐりこみ、

 

「がっはっ・・・・・・。」

 

 その腹に渾身の拳をアッパー気味にぶち当てた。

 

 相手を吹き飛ばすことは絶対しない。すべての衝撃を内蔵に浸透させる一撃。

 

 二重の極みを併用させたからそうなる。

 

「落ちてろ。」

 

「・・・・ガク。」

 

 その一撃で、彼は沈んだわ。うん・・・。

 

「さて、とっとと縛って事情聴取と行きましょうか。」

 

『・・・・・・。』

 

 みんなどうしてそこで無言?下手に抵抗される前に無力化するのは当たり前でしょう?

 

 あれだけ殴られても平気なのだから、全力でやっただけで・・・。

 

「はっ??なっ…なんだ、お前・・・。」

 

 んん?すぐに意識を取り戻したの?

 

 何かの術を使って私達の傍から離れた彼。

 

「それはこっちのセリフよ。しかし、魔法使いにしては呆れるほどの打たれ強さね。」

 

「あ~いや、リアスさん。こいつは・・・。」

 

 新君がすごく気まずそうに話しかける。

 

 そちらの関係者なの?

 

「うん、なんであんたがここにいるんだ?ロキ・・・。」

 

 ロキ?

 

 ・・・・ってロキ!?

 

北欧神話の神・・・あの悪神!?

 

「貴様・・・只者ではないな・・・。」

 

 腹を痛そうに抑えながら、か細い声で彼は言ってくる。

 

「いやいやいやこっちは普通の悪魔ですから!!」

 

『・・・・・・・・えっ?それマジで言っているの?』

 

 なんでほかのみんなが疑問形で答えてくるのよ!?

 

――――――リアス、あなたはもう魔王と名乗ってもいい。あなたのお兄様を含めた、ほかの全魔王が満場一致でそういっているわ。

 

 なぜ魔王!?

 

「…ダダの悪魔が私にこれだけの打撃を・・うっ・・・がはっ!?そんな馬鹿なこと・・・あるわけないよな?意識を刈り取られたぞ。」

 

 吐血しながら、信じられない出来事に軽く動揺しているロキ。

 

 神様ならその打たれ強さも納得。寧ろ私、それを一瞬とは言え、意識を落とすレベルの一撃を?

 

 それをやらかした自分の右手を見る。

 

 …本当に遠いところまできちゃったわ。

 

「噂以上の人外魔境のようだな・・・ここは・・・。だが…やっと…やっと見つけたぞ。新・・・。」

 

 血走った眼でロキは新を見る。

 

「まだあきらめてなかったんかい。二か月前から姿を見せないと思ったら・・・。」

 

 一方呆れた様子の新。

 

「当り前だ。そのために私は戦力を集めていた。お前から・・・お前から・・・・・・。」

 

 ロキは震える声で言う。その震えは暗い感情からくるものだと疑う余地はなかった。

 

「ヤマト嬢を奪うために!!」

 

 ヤマト嬢?

 

――――・・・・・・あなたはまだそんなことを言っているのですか?

 

 その声に反応して出てくるのは風変わりな衣装をまとった女性だった。

 

 なんかそう・・・朱乃に似ている。

 

「私はあなたを許してもいない。私の提督を殺そうとしたあなたを・・・。」

 

 その背中から・・・戦艦のようなパーツが!?

 

「即刻吹っ飛ばす。お父様やお母様の力を頼るまでもなく!!」

 

 その砲台が一斉にロキに向けられ・・・。

 

「おっ・・・落ち着け大和!!」

 

「これが落ち着いていられますか!!提督!!また巡り合えたあなたを半殺しにした相手に!?」

 

『・・・・・・?』

 

 なぜ、新君のことを提督と呼ぶの?

 

「貴様・・・。」

 

―――提督に手を出すなら、私が相手するよ?

 

 今度は犬耳みたいに毛が跳ねた赤い目の女の子よ?

 

 アーシアにておっとりした印象があるわ。

 

「さあ…パーティの始まりだ。」

 

 彼女の目が赤く輝く。その眼には確かな殺気が・・・。

 

「夕立!!ちょっと待て!!お前が暴れたら本当にやばい!!しかも、どうして改二モードに!?」

 

「安心するっぽい。回避に関しては師匠がいたおかげで大幅に改善・・・。」

 

「安心できる要素皆無!!ほかのみんなも抑えて・・・。ロキを殺してしまうから!!」

 

 神を殺すと世界の法則にもかかわってしまうのだ。

 

 さすがに自重しないといけない。

 

 誰も、神を殺してしまうという発言に関しては突っ込まないのは仕方のないことだ。

 

「ぐっ・・・破壊神の娘たちが次々と・・・。だが…だがそれでも私は!!」

 

 ロキの周りに無数の魔法陣が展開。

 

 …なんて魔力。

 

 さすが神というべきなのでしょうね。

 

 いや、本当にすごい。すごいのだけど・・・。

 

「…なんでお前たちはビビっていない?これでも修行して力を上げたのだぞ?」

 

「あっ・・・まあ・・・。」

 

 さすがにあのゴジラと比較してしまったらかわいそうだわ。

 

 あれだけの強敵と戦った経験はデカすぎる。

 

 途方もない絶望との闘いと言ってもいい。それを潜り抜けたことは確かな自信につながっていた。

 

 相手が神クラスでもイッセーがいない状態の私の眷属で・・・何とかなるわね。

 

「少なくとも、真正面からの殴り合いなら負けないわ。カーミラ!!」

 

――――使った方がいい相手ね。わかったわ!!

 

 私は鬼に変身しつつ紅のキバの鎧をまとう。

 

 それとともにあいつが放ってきた数々の魔法を・・・。

 

「ふん!!」

 

 空間を拳で殴りつけることで破壊する。

 

 この力は守りにも使える。空間ごと殴り、力を伝えることを応用させれば・・・。

 

「ぬお!?これが噂の滅びのキバか・・・。なかなかどうして・・・。」

 

 放たれた数々の魔術を攻撃性のあるものから呪いの類までまとめて粉砕。

 

 清めの音と滅びの魔力のコラボはこういった形でも使える。

 

「・・・・一応龍王とも殴り合えると思っているわ。さあ、かかってきなさい。」

 

「ほう・・・ならためしてやろう・・・って!?」

 

 私は再び縮地を発動。あいつの懐に入り、拳を繰り出すが・・・。

 

「・・・恐ろしいな。結界をこうもあっさりと砕くなんて。」

 

 結界を砕くのはいいが、その拳をロキ本人に受け止められる。

 

 油断していなければ、さすがに防がれるか。

 

 流石・・・というべきね。

 

 お互いに拮抗。お互いに押しあっているが、まったく動かない。

 

「神に届く拳だと私が認めてやる。」

 

「それはどうも!!」

 

 私たちは一度間合いを離す。

 

 やっぱり…手ごわい。神クラスなのもあるけど…目の前のこの相手はそれ以外にも・・・。

 

「ポルム・・・いるかしら?」

 

「だいぶ人を観る目が養われているね。王としても成長していると余が太鼓判を押すよ。」

 

 ポルムがいつの間にか私の傍に立っていた。

 

「あー!!お前は!!?」

 

 弾がポルムを見て驚いている。

 

「久しぶりと言っておこう。文句はイリアから聞いている。あとでじっくりと聞く。それで、そのうえでどうして呼んだの?リアス部長?」

 

「…あなたと似た感じがした。なら毒には毒を持って対抗するべきと考えただけのことよ。あいつ…何か仕掛けたでしょ?」

 

 私の発言にポルムは驚いた様子。

 

 いつも彼には驚き、ひっかきまわされているのだからそういう彼を見るのは新鮮だ。

 

 どうして驚いたの?

 

「・・・まさかこっちの方面でも成長していたなんて・・・侮れぬ。どうやら、余の予想を覆すような段階に入ったみたいだな。・・・それはともかく、さすが悪神。いつの間にか仕掛けていたよ。」

 

 ポルムが指を鳴らすとともにいつの間にか格納庫の壁に展開されていた術式がガラスの割れるような音とともに壊れる。

 

「そちらに知恵者がいたか。やるものだな。」

 

 あちらにはまだ…関心するだけの余裕があるか。

 

「なら・・・こいつらはどうかな?」

 

 その言葉とともに現れたのは巨大な白い狼。

 

「・・・フェンリル!?」

 

 あの有名な神殺しの魔狼・・・。

 

「さあ・・・フェンリルよ・・・。」

 

 さすがにまずいわね・・・。こんなとんでもない切り札を・・・。

 

「みんな・・・。」

 

「悪魔の味を覚えて・・・。」

 

「でかいわんちゃんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 とびかかっていた来たフェンリルに対して横手からまるで弾丸のように何かが飛び込んできた。

 

 フェンリル、あまりの勢いに吹っ飛ぶ。

 

「・・・・・・ああ…宇宙生活は長かったわ。本当に・・・。」

 

 飛び込んできたのはイリアさん!?

 

「ああ…やっとモフモフできる。ワンちゃんをモフモフできる!!しかもこんなにでかいなんて!!里帰りしてよかった!!お父さんお母さん・・・フィル!!私・・・今幸せだわ!!」

 

押し倒したフェンリルをすごくモフモフしている。あまりの勢いにフェンリルの方が驚いている。

 

 あの・・・イリアさん。そいつはワンちゃんじゃなくて、狼。

 

 それも神すら殺すとんでもない魔狼・・・。

 

「・・・なんだというのだ?ってフェンリル‼!そいつを食い殺して・・・。」

 

「ほれほれ・・・ここがえんかい?ここがええんかい?」

 

だが、ロキの命令をフェンリルは聞いていなかった。

 

 イリアさんがあちこち撫でまわし、それですごく目がうっとりしていたのだ。

 

 気持ちよさそうに尻尾を振り・・・イリアさんのモフモフに身を任せて・・・。

 

「・・・・・・・・・。」

 

 開いた口がふさがらないロキ。

 

 私達だってそう。もう訳が分からない。

 

「・・・・・・あ~あいつの犬好き…変わっていなかったのか。」

 

 弦太郎君!!それってどういうこと?

 

「・・・あいつは犬が大好きだったんだ。生まれた時から一緒にいる愛犬がいた影響があってな。」

 

「・・・・・・・。」

 

 幼いころから一緒に犬と一緒にいた。そして、その彼に命を救われた。

 

 その影響からワンちゃんが大好きになったらしい。いや、この場合は家族ね。

 

「ふむふむ・・・そうか・・・。あなたはいい子なんだね。フォースや気っていいわね。こうやってこの子の気持ちもダイレクトにわかる。うんうん…あんな人の言うことは聞かなくていいから安心してよ。」

 

「…フォースをこんなことに使うか。まだ修行を初めて三時間だぞ?それでこのような芸当を・・・。」

 

「ある意味イリアちゃんらしい。」

 

 呆れながら・・・・あの子・・・。

 

 フェンリルと心を通い合わせている。

 

 フェンリルはすっかり気を許してしまって・・・。

 

「我が子が・・・てなづけられようとしている・・・。そんな馬鹿なことが・・・。」

 

 フェンリルを陥落させつつ・・・。

 

「ねえ…この子うちの子にしていい?子供たちもいるからその子たちも一緒に!!」

 

「いやいやいやいやいや!!それはうちの神話的にまずいから!!」

 

「それ以前の問題だ馬鹿者!!」

 

 新君が必死になってそれをやめさせようとしている。

 

 親であるロキにとっては論外だろう。

 

「え~、だってこんなにモフモフで愛らしい子を・・・。」

 

「だって、フェンリルだよ!?全世界から警戒されて・・・。」

 

 神殺しのフェンリル。ラグナロクにて、オーディンを飲み込んで殺すとされる世界でトップクラスに危険な魔狼。

 

 アギトと同じ神殺して、各神話勢力から警戒されている存在。

 

 それを愛らしいって・・・どんな神経をして・・・。

 

「フェンリルちゃんていうんだ!!うん…いい名前じゃない。私の家族と名前が似ているのもそうだし…何かの縁かも・・・。それでこの子そんなに危険なの?」

 

『・・・・・・・。』

 

 キャラが崩壊している。

 

 そして、もう一つ気づいたことがある。

 

 イリアって、宇宙にいたからフェンリルの恐ろしさを知らないってことを、

 

「うんうん・・・いいわ~この子に運命を感じちゃった。」

 

 ただ・・・デカいワンちゃんという認識しかないのね・・・。

 

 そして、それが功となり・・・。

 

「…なんだ…貴様は。」

 

 まさか犬好きというスキルだけでフェンリルを無力化なんて…恐ろしい娘だわ。

 

「よし、なら過去に遺跡で拾ったこのカードで・・・。言い伝えでは心と心が通えば、契約できると・・・。」

 

 ってイリアちゃん!!あなたが持っているカードは・・・。

 

「なぜ貴様がそれをもって!!?」

 

 ミラーモンスターたちが使っている契約のカード・・・。

 

「よし!!これからよろしく!!」

 

 それでフェンリルと契約した・・・の?

 

 カードにフェンリルの姿が描かれているし・・・・。

 

『・・・・・・・・・・。』

 

 オーフィスの時ほどではないけど、これもまたすさまじい衝撃だわ。

 

 ロキを含め、みんな絶句しているし。

 

「・・・これじっちゃんになんて言えばいいだろう。」

 

 新君。私達だって説明できないわ。

 

「ええい!!フェンリル‼!私のいうことを聞け!!」

 

 ロキの言葉とともにフェンリルを縛る術式が発動。

 

 フェンリルが苦しみだす。

 

「・・・抵抗するなどと・・・無駄があがきを・・・。だが、ヘルヘイムの実で強化したお前の力を解放させて・・・。」

 

 その言葉とともにフェンリルの姿が変わる。肩から鋭いブレードのような刃が生えてきたのだ。

 

「・・・お前、果実の力を・・・。」

 

 弟君の表情が険しくなる。

 

「何しろこちらには専門家がいるものでね。契約されるとは予想外だったが、それでもフェンリルのコントロールはこちらの・・・。」

 

 そこまで言って、ロキの口はふさがれる。

 

「…今すぐやめろ。」

 

 目を座らせたイリアの蹴りによって。

 

「ぐぶっ!?な…なんだ貴様・・・。今の動きもみえなか・・・。」

 

 それ以上いう前に、ロキの口をイリアはふさぐ。今度は拳で。

 

「がばっ!?」

 

「もうしゃべらせない。あなたがしていいのは・・・あの子を解放することだけ。」

 

「ぐっ…調子にのる・・・なっ?!」

 

 イリアさんがとっさに銃を放つ。それとともに何かが壊れる音。

 

「言ったはず。フェンリルを解放する以外は何もさせないって・・・。」

 

 あれって…フォースの未来予知よね?

 

「助けだって呼ばせない。何もかも、私がつぶすから。」

 

 ロキが下がる。

 

 イリアさんのあまりの怒気と気迫に押されていたのだ。

 

「こいつ・・・ぐぶ!?」

 

「あの子を解放しろって・・・言ったはずだ!!」

 

 あのロキが何もできないまま、一方的に殴られ・・・。

 

 フェンリルに対しては・・・。

 

「まったく。力技で抑えることになるとは。」

 

 鋼鬼さんがその口を腕力をもって強制的にふさいでいたのだ。

 

 それを見てロキはさらに驚こうとするが…そのリアクションすらつぶす。

 

 その前にロキにダメージを与える打撃を平然と行っているイリアさんがすごいような気が・・・。

 

 えっ?お前が言うなって?

 

――――お前はまだ懲りていないというのか・・・。

 

 そこで地の底から響くような異様な重低音。

 

 彼はゆっくりと歩きながらやってきたのだ。

 

 それは北欧神話にて黄昏をもたらすものと呼ばれた存在。

 

 北欧神話最強と呼ばれたある人物と契約した存在。

 

 そして・・・ミラーワールド出身者の誰もが恐れる最強の破壊神。

 

「・・・マグナギガ・・・。」

 

「久しぶりだな・・・。貴様は相変わらず娘とその主に手を出そうとしているのか?」

 

 その彼が怒りを伴っていたのだ。

 

 その怒り、常人なら気を失ってもおかしくないほどの精神的な圧を伴っている。

 

 いつその身に秘められた破壊的な力が解放されてもおかしくない。

 

 この土地が一瞬で消滅して可笑しくないほどの力を、その彼は持っている。

 

ロキですら、平静を装っているが、微かに怯えてもいた。

 

『お父様!?』

 

 大和さんと夕立ちゃんが一斉に彼ことを父と呼んだってことは・・・。

 

「二人ともお待たせ。私たちが来たからにはもう…あいつに好きにはさせない。」

 

『お母様まで・・・。』

 

 リィンフォース。彼女もまた北欧神話最強と呼ばれたある存在がもつ魔導書の管制人格。

 

 そして…あの破壊神の妻・・・。

 

 その二人をそれぞれ父と母と呼ぶということは・・・。

 

「…マグナギガ。あなた、娘がいたの?」

 

「全然似ていない・・・。」

 

 クレアとブランカの二人も本来の龍としての姿でマグナギガの傍に現れる。

 

「ああ・・・。自慢の娘たちだ。私に似ない点においてはむしろ自慢だ。」

 

「いろいろと変な事情が込んでいます。でも私達の大切な娘です。」

 

「達ってことはまだいるの?」

 

「・・・私からしたら、お前たちの娘ということを心底恨んだよ。」

 

 ロキにとってはマグナギガの娘に手を出そうとしていることが最大の障害だったらしい。

 

「・・・フェンリルと契約せし者よ。名は・・・イリアだったか?私達の相棒がその術式を何とかする。安心しろ。」

 

「・・・へえ。なかなかえげつない魔術を。幾つのルーンを使えばこんなことを・・・。」

 

 その二人の契約者である北欧神話、最強の存在がいつの間にかフェンリルの傍でうなっていた。

 

「実の子に使う術じゃないわよ?あなた・・・。」

 

「ひっ!?」

 

 いよいよ、ロキの口から悲鳴が漏れる。

 

「姉さん・・・。」

 

――――バインド。

 

 新の姉であるロズヴァイセ。彼女は光の鎖を次々と出現させ、フェンリルを縛る。

 

 もちろんこの鎖は・・・。

 

「フェンリルを縛るだと?まさかそのバインド・・・。」

 

「ええ・・・。もちろんあれを術式に組み込んでいるわよ?」

 

「ぐっ・・・。だが、強化したフェンリルを単独で押さえつけることなど・・・。いや、お前ならそれくらい可能だったな。こちらの強化がそっちの魔法を上回ることができなかった。ただそれだけのことだ。」

 

 ロキは冷静だった。

 

 切り札であるフェンリルを封じられているというのに・・・。

 

 それってつまり・・・。

 

「・・・ッ!?みんな!!気を付けて!!」

 

 私がそう告げるとともにそれは空間に裂け目を作って現れた。

 

「探したぞ。随分とやられたようだな。」

 

「・・・ああ。だが、いい仕事だ。さすが破壊大帝。」

 

 現れたのは巨大な金属人間。それってつまり・・・。

 

「トランスフォーマー・・・。」

 

「やっぱりトランスフォーマ―がかかわっていたか。」

 

 弾はため息をつく。

 

 オプティマスプライムと同じ種族。乗り物などに擬態できる金属生命体。

 

「紹介をするのが遅れたな。俺の名はディセプティコンの破壊大帝・・・かつてメガトロンと呼ばれたものだ。今は転生し、新たな名―――ガルバトロンと名乗っている。」

 

 その言葉に宇宙からやってきた弾とイリアが息をのむ。

 

「・・・伝説の破壊大帝がやってくるなんてね。」

 

「この星って、相当だよね?此奴一人で星が滅ぶぞ。」

 

 破壊大帝、どうやら宇宙でも相当らしい。

 

 でも、それはわかるかも。

 

 あいつ…単純な戦闘力ならロキよりも強い。

 

「転生ついでに強くなった。わが娘の恩恵というものだ。もっとも…死の国で軍を作り上げ、わが娘を娶った時点で普通ではないが・・・。」

 

「ふはははははははははははは!!父上と呼べばいいのかな?ふははははははははは!!」

 

「よさんか馬鹿者。」

 

 彼の周りから次々と現れる亡者たち。

 

 一度死んでから、死の国で軍を作り上げて大暴れって普通じゃない。

 

 とんでもない化け物がロキの味方になっていたわね。

 

「・・・まさか、また貴様と会うことになるとはな。」

 

 そこに現れるのは…オプティマス!?

 

「貴様・・・転生したのか?」

 

「それはお互いさまのようだな。オプティマス!!」

 

 黒い霧となってガルバトロンは私達の後ろに瞬時に移動。

 

 その攻撃に反応するオプティマス。

 

「・・・どうやら貴様との腐れ縁はまだまだ続きそうだ。強く生まれ変わってこちらはうれしいぞ!!今度こそ・・・お前を倒してくれる。」

 

「死んでも殺せないということだな。お互いに!!」

 

 二体のトランスフォーマ―の激突の余波はすさまじい。

 

 二人は互いの拳をぶつけ合ったのだ。

 

 私達よりデカいのに、攻撃のスピードもはやく、体が金属でできているためかウェイトも硬度も別物だ。

 

 車同志が衝突したような轟音が鳴り響く。

 

「・・・なんでサイバトロンがここにいる?」

 

「大方、俺に引き寄せられたのだろうよ。まったく、お互いに嫌な因果なものだ。」

 

「厄介なものだ。お前たちの因果は転生してもそのままか。」

 

 ロキは頭が痛そうにしている。

 

「北欧神話がどんどんおかしくなっていく。ヘルを娶ったって何!?」

 

「文字通り、おかげでわが陣営に強力な婿殿ができたということだ。そして・・・。彼との間に優秀な孫が生まれてな!!そして・・・。」

 

 そこまで言って、ロキは笑みを作る。

 

 それと同時にそれは放たれた。

 

「なっ・・・。」

 

 それは完全な不意打ちだった。

 

 どこからともなくはなられた光の矢。

 

 それが二発。

 

 一発は新君を貫き。

 

 もう一発はロズヴァイセさんを貫いた。

 

「…ご苦労。戦国リョーマよ。」

 

「いやいや・・・。これくらい楽勝だよ。だが・・・。」

 

 何もない空間から彼は現れた。右目を長く伸ばした髪で隠した痩躯の男。

 

「お前は・・・。」

 

 それを見て弟君はうなる。

 

「久しぶりだね。君にも挨拶したいと思っていたよ。」

 

「なんで生きている。一度メガへクスに取り込まれたのは知っているが・・・。」

 

 弟君の言葉に彼はうなる。

 

「これでも復活に手段はいくつか考えているのだよ。君も知らない方法でね。まあ、これは少々不本意な方法だったけど。」

 

 彼の姿が幽霊みたいになって消える。

 

 そして、いつの間にかロキの傍に立っていたのだ。

 

「こいつのおかげでヘルヘイムの力を得ることができたということだ。」

 

「そういうことか・・・。」

 

「それで我が出願も・・・むっ?」

 

 だが、新君はすぐに動いていた。

 

「…提督はやらせません。」

 

 新君の中から現れた一人の少女がその光の矢を、手にしていた装甲板で受け止めたために。

 

「榛名助かった。」

 

「ぐう・・・新をやることはできなかったか。だが・・・。」

 

 ロキは満足げな笑みを浮かべている。

 

「最大の障害は排除できたようだな。」

 

「姉さん!!」

 

 負傷したロズヴァイセ。

 

「こっ…この程度傷・・・がばっ!?」

 

 吐血して倒れこむ。

 

「く・・・無駄だ。これはこちらができる限りの呪詛と、フェンリルの牙のデータを使用した、神殺しの矢。半分神であるお前にも効果絶大だろう。まあ…物理的な防御で防がれるのは想定外だったが。」

 

「…ロズヴァイセお姉様をよくも・・・。」

 

「ぐっ…やってくれるわね・・・解呪するにも時間が・・・たりな・・・。」

 

「ははははははははは!!さあ、最大の障害はこれで死んだ。あとはゆっくりと・・・。」

 

「部長!!」

 

 だが、そこで援軍が現れる。

 

 アーシアと・・・。

 

「イッセーの見舞いとほむらの様子を見に来たら、何がどうなっている?」

 

 ヴァ―リだった。

 

 そういえば彼は最近良く、この家に来ていたわね。

 

 生涯のライバルと認めたイッセーとなぜか居候になっているほむらの様子を見るために。

 

 かなり心配している様子だったわ。

 

 戦闘狂なんだけど、なんだかんだ言って彼はいい人だと思う。

 

 最近はいろいろと苦労しているみたいだし。

 

「…貴様は白龍皇!!?」

 

 おかげで心強い味方がやってきた。

 

「ぐっ・・・。こいつ…強いな。私でもまともに戦ったら負けるか。」

 

 ロキはすぐにヴァ―リから離れる。その実力を見抜いた上でだ。

 

「すまない、クレアとベノ。私の相棒を・・・。」

 

「言われなくてももうやっているわよ!!」

 

「ちぃ…厄介な呪詛を・・・。」

 

 クレアとベノも来てくれており、ロズヴァイセの治療に取り掛かっているが、難航している。

 

「・・・んん?闇の書が・・・。」

 

 だが、そこで彼女の魔導書が反応を示す。

 

「・・・・・・・。」

 

――――――――紫天の書…機動。

 

 真っ黒な本が紫へと変わっていく。

 

「これは・・・どうして?」

 

――――紫天の書の主・・・呪詛による浸食を受け危篤。癒すための最適な手段を検索。

 

 へっ?私のルークの駒が手に現れる?しかも光っていますよ?

 

――――検索完了。悪魔の駒。変異体と確認。

 

「・・・あっ・・・わっ・・・私の駒が!!?」

 

――――――転生システムに足るものだと確認。

 

 転生って何?あれって悪魔に転生させるだけの・・・。

 

 ってまさか!?

 

 転生する機能だけを利用するつもりなの?

 

「やらせると思ったか!!」

 

 ロキが特大の攻撃を仕掛けてくる。

 

 それはロズヴァイセの周囲を一気にふっとばす魔術なのだろう。

 

 無数のルーンが書かれた魔法陣がロズヴァイセたちを閉じ込め・・・。

 

 その魔術が一気に崩壊した。

 

「ちぃ…なにが・・・。」

 

 それを行ったのは十枚の光輝く翼を背負った一人の女性。

 

 私達の守りの要。

 

「みなさん…お待たせしてすみません。」

 

 キリエさん。その守り、前のゴジラとの闘いでも重要な要となっていた。

 

 彼女がいなかったら全滅していた場面がいくつもあったほどに。

 

 その守りは神クラスだと私達は結論づけている。

 

「へえ・・・愉快なことになってんじゃねえか!!俺たちが買い物に出かけている間に何があった?」

 

 そして、彼女を守る一人のナイトがいる。

 

 スパーダの血を引き、それでいてキルスであるネロ。

 

「もう一人のアギト・・・。なんでこうアギトが次々と・・・。」

 

「私もいます。これ以上、好き勝手にはさせません。」

 

 黄金のアギトにして、世界の女神。イッセーと同じくらいにいろいろと規格外すぎる私の眷属。そして、大切な妹分。

 

 アーシアもそこに立っていた。

 

「…アギトが三人も・・・。」

 

 イッセー以外のアギトが勢揃いだった。

 

 一人一人がロキクラスがそれを凌駕する戦闘能力を持つ。

 

 アーシアは戦闘は得意ではないが・・・それを補って有り余るのが・・・。

 

「私達の同胞の覚醒を予知して急いできました。」

 

 予知をはじめとする多彩で強力な能力だ。

 

 アーシアが足元にアギトの紋章を展開。

 

 転生の手伝いでもするの?

 

 って、転生させるのはいいけど!!それに使われるのは私の・・・。

 

 そして、あなたたちの同胞って・・・。

 

――――共鳴により、アギトの因子の覚醒確認。

 

 って・・・ロズヴァイセの真下にアギトの紋章が・・・。

 

「なにぃぃぃぃ!?ロズヴァイセにアギトの因子・・・。」

 

―――最適化のため、転生・・・開始します。

 

 紫の書の言葉とともに、ロズヴァイセの体に私の悪魔の駒が入り込む。

 

 それとともに悪魔の翼が生えてきて、その悪魔の翼が・・・黒い天使の翼へと変化。

 

――――転生…完了。スリープモードへ移行・・・。

 

 それとともにロズヴァイセの体の容体が安定。

 

「・・・うう・・・。」」

 

『・・・・・・・・。』

 

 気を失ったままのロズヴァイセが弱々しく唸る。

 

「転生機能って・・・姉さん何を準備していたの?」

 

「とにかく体力を回復させます。まだ転生直後ですので。」

 

「・・・そんなこと…認められるか!!」

 

 ロキが叫ぶ。

 

「北欧神話からアギト・・・それも、ヴァルキリー、なんでよりにもよってロズヴァイセなのだ!!?暗殺に失敗したあげくに、最悪にもほどがあるぞ!!」

 

 まるでこの世の終わりと言いたげに悲鳴を上げるロキ。

 

「・・・・・・絶対に覚醒させん。今すぐあいつを・・・。」

 

 とりあえず、私はこのとんでもないことを起こした元凶をぶん殴ることにした。

 

「ばがっ!?」

 

「・・・あなたのせいよ。」

 

「がっ…なっ…なにを・・・。」

 

 反論は許さん。もう一発殴らせてもらうわ!!

 

――――――ウェイクアップ1!!

 

「あなたのせいで!!!私は、またアギトを眷属にしちゃったのよ!!!?しかも北欧神話の最終兵器って呼ばれるとんでもない化け物を!!こんなのゲームにでれるわけないじゃないのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 私は絶叫しながらロキを殴り飛ばす。

 

「がばっ!?がっ?」

 

 ああ・・・どうしてこうなったの。

 

「なんという・・・拳・・・。避けれん・・・防げん・・・耐えられん・・・。」

 

 拳に嘆きをありったけ込めて殴った。

 

 そのかいあったか、ロキはそのまま倒れた。

 

 避けれると思うな。

 

 防げると思うな。

 

 耐えようなどと神ですらおこがましいわよ!!

 

 私の眷属…最後の一人は、フェンリルすら生ぬるい超ド級の怪物だったなんて。

 

 まさにリーサルウェポンだわ・・・。

 

 

 SIDE 朱乃

 

 私たちは今、格納庫に向けて走っています。

 

 だが、そこで・・・。

 

 機械の獣に襲われました。

 

「きゃあ!?」

 

 その獣の牙から身を挺して助けてくれたのは・・・。

 

「・・・えっ?」

 

 私の・・・父でした。

 

「がばっ?」

 

 獣に襲われ胴体をかまれる父。

 

「父様!!

 

 そう…私はとっくに父を許していた。

 

 記憶も戻っていたのだ。

 

 母様が生きていることも。

 

 でも…素直に・・・なれなかった。

 

 私の心が弱いから・・・。

 

 そのせいで・・・。

 

 私が雷を放つ前に、彼は動いていた。

 

 機械の獣を握力だけで粉々に粉砕した私の弟。

 

 その名はハルト。

 

 私の・・・血のつながりのある弟だ。

 

「しっかりしてくれ!!」

 

「がっ・・・ぶっ・・・。」

 

 苦しそうにしている父様に駆け寄る私。

 

 だが、そこに・・・。

 

―――――やっと見つけたぜ。

 

 後ろから気配が・・・。

 

 振り向くとそこにはイマジンがいた。

 

 そして・・・。

 

 それが私の中に入り込む。

 

「…つ?!しまった姉様が・・・。」

 

 ハルトの悲鳴とともに私は意識を失おうとしていた。

 

 消えていく私の意識の内に、もう一体の獣の牙が・・・。

 

「・・・ったく、目覚めた途端修羅場ってなんだよ。」

 

 見覚えのある背中によってへし折られる光景を見て、私は少しの安堵を覚えた。

 

 

 

 

 

 SIDE ネロ

 

 ・・・どういうことか、俺たちのお仲間が増えたらしい。

 

 しかも、それを部長がまた眷属にしてしまったという。

 

 アギト三人を眷属という偉業。

 

もう奇跡を通り越して、呪いだぞ。

 

化け物眷属を集めまくる、その出会いの才能と言う名の呪い。

 

 まあ、本人は砲台役がほしいと言ってはいた。そういう意味ではこれ以上ないほどに最高な人選だといえるぜ?

 

 でもこれ以上もないほど最高すぎて、ゲームに出れるか怪しいが。

 

「・・・北欧神話最強。アギトとして覚醒・・・面白くなってきたな。」

 

 ヴァ―リ。お前はワクワクすんじゃねえ。

 

「お前らとは一度戦ってみたいと思っていた。腕試しも兼ねて・・・。」

 

「・・・。」

 

 ロキは何も言わずに倒れたままだ。

 

「いや・・・さすがリアス・グレモリーというべきか。倍化や半減なしでの純粋な意味での一撃の破壊力はこちらもかなわない。まさに神殺しの拳。」

 

 ロキのダメージはデカいようで、倒れたままだ。

 

「しっかりしたまえ、って…あれだけの打撃を喰らったらしかたないかな、」

 

 リョーマとかいうやつの言葉にようやくロキは起き上がろうとする。

 

「がばっ・・・うう・・・まさかこれほどとは・・・。」

 

 ロキの野郎は意識を取り戻したのだが、自力で立ち上がることすらできない。

 

 あの拳で戦闘力を奪われたか。

 

「ちぃ…ここは退くしかないようだな。」

 

 ガルバトロンも忌々し気にこちらをみながら撤退を決断したようだ。

 

「退くしかないって…これだけの連中を相手に逃げられると?」

 

 皆が構える。

 

 もちろん…逃がすわけねえわな。

 

「・・・ふっ・・・なんの対策もないと思ったか?」

 

 ロキが震える指を鳴らすとともにそれは・・・地面の下から現れた。

 

 それは巨大な蛇。ゴジラですらくつろげるような無駄に縦横広い格納庫にいっぱいになるほどの。

 

 それも機械化された・・・。

 

「もう一人のわが子・・・ヨムンガルドのデータを元にし、トランスフォーマーの技術で再現させたサイバークローン。こいつが相手だ。」

 

 ここにきてデカい奴をがでてくるか。

 

「ついでに・・・。」

 

 指を鳴らすとともに・・・。

 

「きゃ!?」

 

「なっ!?」

 

 後ろから悲鳴が聞こえてきた。

 

 振り向くとそこには・・・。

 

「お父様。捕まえました。」

 

「姉さん!!舞!!?」

 

 背中に蜘蛛のような腕を八つ生やしたオプティマスと同じトランスフォーマーが立っていた。

 

「アラクネ。いい仕事だぞ。」

 

 彼女はいつの間にかその両手に椿と舞さんを捕まえていた。

 

「この二人を人質とさせてもらいます。」

 

 アラクネと呼ばれたトランスフォーマ―はすぐに姿を消す。

 

 それと入れ替わるように大量のメガへクスたちが・・・。

 

「・・・ロキ・・・。」

 

「撤退には保険が必要だろう。」

 

 ガルバトロンの腕の中でロキは笑う。

 

 野郎…抜け目がねえ。

 

「家の中でもあいつらが暴れている。お前たちの戦力を分散させてな。さあ・・・。」

 

 サイバーヨムンガルド。

 

 彼がその巨大な口をこちらに向け・・・。

 

「こいつら相手にどこまで戦え・・・。」

 

―――――――Explosion!!

 

 だが、動く必要がなかった。

 

 何しろ、空きっぱなしの格納庫の天井から巨大なアギトの紋章が展開されたからだ。

 

 おなじみの音声とともに。

 

「んん?」

 

 それはすさまじい勢いで落下。

 

 こちらに襲い掛かろうとしていたサイバーヨムンガルドに直撃。

 

 その一撃でそいつの頭部が粉々になり、床にクレーターができ、土ぼこりが舞う。

 

「・・・・・・ったく、最悪な目覚めだぜ。」

 

 彼はクレーターのど真ん中でぼやく。

 

「だがまあ・・・間に合ってよかった。」

 

 それは皆が目覚めるのを待っていた野郎だ。

 

 やっぱり、お前がいないと・・・な。

 

「寝坊しすぎだぜ。」

 

「そういうなよ。まあ…みんな久しぶり。いろいろと話してえが、今はそんな状況じゃねえからおいておくわ。」

 

 土埃の中からあいつはこの騒ぎの元凶をにらみつける。

 

「人の家で遣りたい放題やってくれたな。覚悟はできているよな?」

 

「・・・・・・赤龍帝。」

 

 ロキはうなる。

 

 まあ、あいつの活躍はそれこそ裏の世界の隅々まで広がっているだろうし。

 

「寝坊しすぎよ。まったくもう…心配させないで。」

 

「部長すみません。でもみんな・・・ありがとう。本当に。」

 

『イッセー!!』

 

 イッセーは今、目覚めた。

 

「ちぃ、二天龍が揃うなど・・・。」

 

 イッセーに襲い掛かる無数のメガへクス達。

 

 だが・・・。

 

 そのメガへクス達にイッセーは薙ぎ払う。

 

 その手に宿した青い炎によって。

 

  その炎は瞬く間にメガへクス達を焼き尽くす。

 

 

 その青い炎を忘れるわけがない。あれは・・・。

 

「・・・ゴジラ。お前が託した力、早速だが使わせてもらったぞ。」

 

「なんだその青い炎は?」

 

 再生すらできずに消えていくメガへクス。

 

 その焔は格納庫内にいた大量のメガクス達をすべて燃やし尽くしたのだ。

 

 俺たちに一切被害を出さないままに。

 

 それを見てロキは表情を引きつらせる。

 

「俺の新しく増えた相棒の力。」

 

『!?』

 

 その言葉に、あの戦いを体験した連中は目を見開く。

 

 驚きのあまりに。

 

 それってつまり・・・・。

 

「ちぃ・・・だが、退くのは今だな。」

 

 ロキはその脅威を見届けて自らの仲間とともにその場から離脱しようとする。

 

「新…次は殺す。ロズヴァイセとオーディンとともに。メガへクスの本星の力で!!」

 

 本星?

 

「・・・やはりメガへクスをお前が復活させたのか?」

 

「ああ。この星で本当の意味でラグナロクを起こすためにな。北欧神話の抑止力は強くなりすぎた。わが宿願を二つともやるには戦力が足りん。だから私が復活させた。キューブの力によってな!!」

 

 ロキがある映像を投影する。

 

 それは機械でできた星。これが・・・。

 

「メガへクス…本体。」

 

「こいつが再び地球に向かっている。ラグナロクを引き起こすためにな。」

 

『!?』

 

「しかも、各惑星のデータも収集し、星そのものを強化している。これもまたキューブの力とその英知によるものよ。」

 

 キューブ?

 

 その単語に反応したのはオプティマスだった。

 

「…なぜ、キューブのことを・・・ってガルバトロン!?お前が・・・。」

 

「ふはははははあ!!ああ。その情報と欠片ががあったのでな。それをルーン魔術で復元させたのだ。」

 

「どおりで、メガへクス達がトランスフォーマーみたいになったわけだ。お前達・・・。」

 

「魂は死の国からいくらでも提供できる。うまい組み合わせだと思わんか?死者の軍がトランスフォーマ―の肉体を得て復活しているのだからな!!」

 

 相当やばい事態らしい。

 

「私は宣言しよう。今から五日後にラグナロクが起きると。そして、その暁にはあの二人の娘をいけにえにすると。」

 

「・・・姉さんと舞のことか!!」

 

「始まりの女。そして、五大家の血を引くもの・・・。供物としては最高だろう。」

 

 ぼろぼろの状態でロキは笑う。

 

「さあ…覚悟するがいい。世界の終わりを・・・。」

 

 別のサイバーヨムンガルドが現れ、俺たちにむかってくる。

 

 だが・・・。

 

 唐突に現れたこの家の主によって殴り飛ばされる。

 

 まるで噴火直前の火山のようなフォームで。

 

「僕の家で好き勝手にやりすぎだよ。主として、これ以上の狼藉は見過ごせない。」

 

 超巨大なサイバーヨムンガルドを力任せに殴り飛ばされる光景に唖然となるロキ。

 

 その家の主が変身を解いてロキをにらみつける。

 

「…アギトがもう一人・・・だと?」

 

「・・・なんで父さんが・・・?それも…なんでアギト!?しかも、その気配…冥界の合宿で稽古つけてくれた・・・・。」

 

 それはこちらが初めて見る本気で怒っている翔一さんの姿。

 

 そして、それを見てイッセー…驚いていやがる。

 

「そういえばお前、知らなかっただよな?」

 

「もしかして、ほかのみんな知ってたの?」

 

 揃って頷いてやる。少なくとっもお前の幼馴染第一陣とグレモリー眷属の連中は全員しっているぜ。

 

「そんな…馬鹿な。」

 

 唖然としているあいつに向かってロキは吠える。

 

「…そのアギトを殺せ!!サイバーフェンリルよ!!そいつは危険だ!!」

 

 どうやらイッセーの危険性を直感的に察したらしい。

 

 機械となったフェンリル達をイッセーに向かわせる。

 

 いい目をしているといっておくか。

 

 あいつの危険性に気づくのだから。

 

 でも、イッセーに手を出そうとするのなら、俺たちはもちろん、その親も黙っていないぜ?

 

 父親も、母親もな。

 

 無数の矢が飛んできて、次々とサイバーフェンリル達を打ち抜く。

 

「イッセー。今は戦闘中、呆けちゃだめ。」

 

 まあ、それをイッセーが見たら混乱必須だけど。

 

「・・・なんで母さんがいるの?しかも、今の力は何!?」

 

 混乱しているイッセーに弓を手にしたまどかさんは苦笑する。

 

「まあ、いろいろとね。説明は後にしたいかな?」

 

「・・・ッ?!なんだこの家は!!」

 

 ロキは軽く混乱しているようだ。

 

 己の予想外の戦力に対して。しかも、そのロキの周りで無数の爆弾が出現。

 

 一斉に爆破。

 

「まどかは無理しないで。あなた妊婦でしょう?」

 

「ははは・・・ごめん。」

 

 となりには渦の団の首領であるほむらが立っていた。

 

「しかし、あの子がまどかの息子か。うん・・・たしかにどこか似て・・・。」

 

「あんた誰!?」

 

  イッセーがほむらを指さして叫ぶ。

 

 …そういえば、イッセーはほむらと会うのは初めてだったっけな。

 

「ぐう・・・こんなにアギトが集まっているとは・・・。常識外れもいいところだぞ。だが、この程度の戦力でラグナロクを防げると思うな。こちらは全宇宙を滅ぼせるほどの戦力を・・・。」

 

 ロキは狼狽えながらも計算しなおしたようだ。今の戦力で自分たちは止められないと。

 

 ある意味強がりにも見えなくない。

 

 だが、その発言を聞いて黙ってはいられない奴がいる。

 

「・・・ったく、お前わかっていねえな。この星のすごさを。一応、この星、出身なのに。」

 

 それはイッセーだ。

 

 ロキの発言を聞き、混乱から立ち直ったイッセーはそうぼやく。

 

「父さん。母さん、それと・・・あんた!!」

 

「私のこと?」

 

「ああ。あとで事情を話してくれ。何がどうなっているのかまったくわからねえ、眠っている間に何があった!?」

 

 安心しな。俺達もこの連中を知った時はひどく混乱したから。

 

 この街の人外魔境化の恐るべき根源に。

 

「だが…まあ、一つだけわかってんのは・・・ロキっていったか・・・お前。」

 

 イッセーは告げる。

 

 

 

「この星を・・舐めるなよ?」

 

 

 

『ッ!?』

 

あまりにそのままの意味だったので、敵味方問わず呆然としている。

 

 だが、今の俺たちのことを的確に言い表した言葉だ。

 

「ぷっ・・・たしかにそうだわ。」

 

 イリアに至っては納得のあまりに笑いを必死に堪えているのだから。

 

「…覚えておこう。ゆえに宣言しておいてやる。お前達のいるこの街、この家をまず滅ぼすとな。お前たちは危険だ。ロズヴァイセと同等かそれ以上に。ゆえに・・・お前達からだ。今度はこちらも力の出し惜しみはせん。」

 

「・・・いいぜ?返り討ちにしてやる。」

 

 にやりと笑うイッセー。

 

 それだけで俺たちはイッセーの狙いを悟った。

 

「・・・なら戦争を始めようか、神々の黄昏をかけた戦争を。楽しみにしているぞ!!ふははははははははは!!」

 

 ロキはそう高笑いを残して、その場から消えた。

 

「・・・・・・ふう。よし、ポルム、とりあえずはこれで上等だろ?」

 

「ああ。上出来だよ。」

 

 元大魔王な作戦参謀はうなる。

 

「事情を聴きながら作戦会議といこうぜ?みんな。特に父さんと母さんには聞きたいことが山ほどできた。それに・・・。朱乃さんにことで話がある。」

 

 第二陣の幼馴染共が全員集合とともにイッセーの復活。

 

 いよいよ盛り上がってきた。

 

 大暴れできそうだ。それも…かつてないくらいに。

 




 私はイッセーにあるセリフを言わせたくてここまで書き上げました。

 
 「この星を舐めるなよ。」


 実はかなり気に入っている名乗りで、これを言わせるためだけに頑張って書きました。



 艦隊娘に関しては前々からこんな形で出せると考えていました。

 マグナギガとリィンフォースの娘。変な足し算だと思っていますがね。



 そして、リアスさんの明日はどっちでしょうかね。

 ちなみに得た称号は「ワンパン姫」 「神殺しの拳」「最凶の出会いの才。」

「出会いと言う名の呪い。」といったものでしょうか。


 一番原作から逸脱しているリアスでした。


 またのお楽しみを・・・・。


 

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。