多分・・みんなの想像を超える事態になっているかと。
SIDO イッセ―。
さて・・・今俺は思っているのだよ。
どうして俺の知り合い・・それも幼馴染とされる連中は人外なのか?
言われてみればそうだよな。
「ネロ!渡!!お前達にも会えるとは嬉しいぞ!!」
「相変わらず暑っ苦しいやつだぜ。だが・・・すげえ強くなったな。」
「俺はまだまだだ。もっと鍛えないといけない。そう言うお前も強くなったじゃないか。」
「上から目線気味だが・・・まだあんたに勝てる気がしねえな。」
鋼兄・・・あんたどんだけ怪物になったんだよ?
拳一つで山をかち割って地震を起こすなんて、鍛えたら何でもできるというのですか!?
しかもあれでまだまだって・・・どこまで強くなる気だ?
「うん。それでこそ僕たちの兄貴にふさわしいよ。」
ふさわしいって、そこが渡の判断基準なのか!?可笑しいだろ!!
色々とツッコミを入れる中、鋼兄は部長の姿を見て、頭を下げる。
「・・・しばらく厄介になる身だ。よろしく頼む。」
「ええ。必ずあなた達の無実は晴らしておくわ。しかし・・・並いるはぐれ悪魔ハンターをすべて返り討ちか。すごい子がやって来たものね。」
こいつは黒歌というSSS級のはぐれ悪魔の無実を晴らすために奔走していたらしい。
信頼できる奴を見つけ、彼にすべてを託したというが・・・。
「あのサイラオ―グと変身していない状態で互角に殴りあうなんて・・・化け物ね。」
「そう・・・ですね。」
サイラオ―グってそんなにすげえのか?
生身で互角に殴りあったというだけで、部長も朱乃さんも笑みをひきつらせているぜ?
鋼兄がすげえのか?それともサイラオ―グという人がすごいのか?
まさかどっちもすごすぎるのか?
ん・・・なんかそいつと近い将来会う気がしてならねえぞ。しかも・・・すげえライバルとして。
こんなときに力が発動するなんてよ。はあ・・・不幸だ。
「あいつに今度挨拶に行きたい。茶菓子なども用意しないとな。機会があったら頼めないか?」
「いいわ。あのサイラオ―クが認めた男なら誰も文句言わないでしょうし。」
部長も承諾するほどの男か。鋼兄も認めた男らしいし、どんな人があってみたいな。
でも・・・やっぱとんでもない怪物のような気がするぜ。
「あの子の手当てもありがとう。感謝してもしきれない。」
九尾の女の子。京都からわざわざ人質として連れされたあの可愛い女の子か。
鋼兄のことを兄として慕っていたモンな。妹分が酷い目にあったら、そりゃ怒るわけだ。
「それと後の問題はあれか・・・。」
「そうね。」
一方、部室のソファーでは大変きまずい空気が流れていた。
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
それは黒歌さんと小猫ちゃんである。
この二人の事情は一応聞いている。
黒歌さんと小猫ちゃんがある悪魔の実験の被害にあったこと。
その際黒歌さんが力を暴走させた小猫ちゃんを守るために主に牙をむいて逃走したこともだ。
だが、その事実が歪められ、黒歌さんが妹を守るためではなく、暴走して勝手に襲いかかってきて、主を殺そうとした凶悪な存在とされた事もだ。
小猫ちゃんにいたっては、その際の責任を追及され、酷い言われ方をし、それを部長達が必死に庇った。
だが、その主はまだ小猫ちゃんを狙っていることもだ。
鋼兄はその逃げだした直後で、ボロボロになって倒れた黒歌さんを助けたらしい。
それが縁で今までずっと一緒にいたというのだ。
力をつけるために黒歌さんに鬼の修行をつけたことや、事情を深く知っている辺り、相当深い絆で結ばれた二人だと思ったぜ。
まさか付き合っているのか?
そんな推測まで考えるくらいだ。
鋼兄の大切な目的の中に、黒歌さんと小猫ちゃんの二人の和解もある。
だが、二人の間にある溝は思ったよりも大きい。
気不味い。はっきり言って気まず過ぎる。
「・・・ひと肌ぬごうかな。」
それ見かねたのか。渡が楽器を取り出す。
今回はギターであった。
軽く鳴らしながら、ギターのチューンをすぐに終わらせる。
「よし・・・。」
そして、静かにギターで奏でる
静かだが、温かい気持ちになれる曲だ。
「いい曲ね。」
「ああ・・・。」
「そうね。」
こいつの音楽は不思議だ。言葉もないのに自然と大切なことを教えてくれる。
その調べは二人にも届いている。
「・・・・ごめんにゃ。」
「えっ?」
ぽつりと・・・黒歌は話す。
「つらい思いをさせて・・・ごめんなさい。私が・・・私がもっとしっかりしていたらこんなことにならなかったのに・・・。」
その旋律はどうも・・・人の心を少しだけ素直にしてくれるみたいだ。
「許してとは言わないにゃ。でも・・・これだけは聞きたいにゃ・・。今白音は幸せにゃ?」
「・・・・・はい。みんな・・・優しいですから。」
「そうか・・・よかったにゃ。それだけが・・・本当に気がかりだった。」
優しい言葉と気持ちが溢れてくる。
「私はそれ以外何もいらないにゃ・・。本当によかっ・・・・。」
そんな黒歌に・・・小猫ちゃんが抱きついてきたのだ。
「・・・・・・。」
「・・・相変わらず甘え下手にゃね。」
「おっ・・・お姉様だけにはいわれたくありません!」
それだけで十分だった。
何しろ確かに姉と呼んでくれたのだから。
「ありがとうにゃ・・・。」
姉と呼んでくれるだけで嬉しかったのだろう。
小猫を強く抱きしめ返す。
「ありがとうにゃ・・・。」
ぽろぽろと涙を流して・・・。
「お姉様が泣くなんて・・・今日は・・・雪が降りそうですね。」
「そういうあんたは・・・本当は泣き虫なの・・・変わっていないにゃ。」
「・・・しっ・・・知りません。」
どうやら・・・和解できたみたいだ。
本当によかったぜ。
鋼鬼は渡の肩に手を置く。
「ありがとう。」
「いえいえ。兄弟の和解に関してはこっちも思うところがあったから。」
そう言えば渡にもお兄さんがいたっけな?
一体どんな人なんだろう?
「結構良いと人だと思う。一見すると爽やかな青年実業家風。」
「そうか・・・って・・・またあの時のゴスロリ娘!!?」
またいつの間にか、あの時のゴスロリ娘が渡の傍にいる!?
ネロの声でようやく気付いたぞ。何時の間に?
「また来たね。もう・・・演奏すると何時も来るんだから。」
「聞き逃したくない。それに渡やルフェイの作るご飯もおいしいし。」
渡にとって可愛い妹みたいな娘なんだろう。そして、餌付けも完了しているとは。
「・・・光源氏でもやるつもりなのかしら?」
『!?』
「?」
部長の言葉に源氏物語を知っている一同が驚き、一斉に渡を見る。
源氏物語を全く知らないネロだけが首をひねっている始末だ。
わっ・・・渡・・・お前・・・何とうらやましいことを・・・。
この子将来・・超絶美人になるぞ。今の何時にキープしているのか?
そうなのか!?
「この娘はオ―フィスって言うんだ。半ば家に住んでいる。演奏を聞くとどこにでもやってくるから・・。」
「えっと・・・この部室。かなり強固な結界で守られているのに、平然と入ってくるの?転送魔法で?」
「僕も行けましたし。」
「ごめんなさい。今の発言、「イッセ―の幼馴染共」限定でなかったことにするわ。」
部長・・渡とのやりとりで、頭が痛くなったようだ。
相当このミステリー部の部室は強固に守られているのだろう。簡単に転送できないくらいに。
それをこいつらは平然と・・・。
「それにオ―フィスって・・まっ・・まさかね?まさか無限の龍神(ウロポロウス・ドラゴン)がこんなところにいるなんてこと・・・ない・・わね?」
困惑した部長の視線が自然と俺に向けられる。
それだけで何を聞きたいのか分かってしまうぜ。
「成長したみたいです。もう愉快な奴に・・・。」
「気にするだけ無駄だ。それに、危ないかどうかそれくらいわかっているだろ?」
「うむ。王としての器をえたということなのか。成長しているな。」
ネロも鋼兄も簡単に受け入れているよ。
「はあ・・・なんか兄様と似た何かを感じるわ。」
部長・・・すみません。変な知り合いばかりで!!
「そういう先輩も変人の仲間であることを自覚してほしい。」
って・・小猫ちゃんから痛烈な指摘がきたよ。
俺って変か?エロに関しては認めるがな!!
「そうにゃ。これで遠慮なく白音にも紹介できるにゃ。」
黒歌さんは黒歌さんで何かうきうきした様子で鋼兄を手招きしていたし。
「姉様この人は?お世話になっていた方なのはわかりますが・・・。」
いささか鋼兄は緊張しているみたいだし。
そんな鋼兄の腕に抱きついて黒歌さんは嬉しそうに言う。
それもう・・・心の底から嬉しそうに
「紹介するにゃ。この人は鋼鬼の鋼ちん。私の命の恩人で無二の相棒!」
黒歌さん。鋼兄を鋼ちんと呼んでいるのね。
すごく仲が良い。やっぱり付き合っているのか?
「そして、白音の義兄になる人。・・・・・・・私の夫にゃ!!」
『・・・・・・・・・・・・。』
皆。黒歌の爆弾発言に固まる。
いや・・ね。俺も耳がいかれたのかね?
幻聴がきこえてきたよ。
想像をはるかに超える発言が聞こえたような。
「おっ・・・と?つまり・・・結婚しているの?」
小猫ちゃんの質問に黒歌さんは満面の笑みでいる。
「そうにゃ!!将来を誓い合った仲というやつにゃ!!」
『・・・・・・・・・。』
――――い ま な ん と い っ た !?
皆の視線が一斉に鋼兄に向けられる。
そうすると・・・鋼兄が照れている!?
あの鋼兄が!?
豪傑なあの鋼兄が・・・デレているだと!?
「いや・・その・・・。夫の鋼鬼だ。」
聞き間違いではないのね。
はい・・・。
『えええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇ!?』
ようやく発言が本当であることを認識して驚きの声をあげる。
おいおい本当なのか?俺達とそんなに変わらない歳で!?
「ちょっ・・ちょとまてい!!鋼兄!!結婚していたのか!?」
「正確には・・・契りだがな。その・・まあ。そういうことだ。」
鋼兄の照れ具合から見て間違いねえな。
ここまでデレデレになるとは・・・。
「おいおい。まじかよ。俺の同い年で結婚しているのかよ!!」
ネロ。軽く混乱しているが、その気もちよく分かるぞ。
信じられん。うそだ。まさか、こんな・・・こんなことが。
「いや・・・何と言えばいいのか分からないけど、おめでとうとだけ言わせて。式は上げるのかどうかも後で聞かせてね。是非その日に一曲送りたい。」
渡。お前復帰早いな。
そして、その発言を聞いた小猫ちゃん。完全に固まっている。
「俺の家族には挨拶を済ませている・・。黒歌の家族は白音ちゃんだけだ。挨拶をしたいと思ってな。・・・・・んん?」
鋼兄が首をかしげている。
「・・・・・・・・・。」
あれ?小猫ちゃん、反応がないよ?
全く動かない事に部長達も気付いたようだ。
「・・・きゅ~う・・・。」
大変かわいらしい声で目を回して気を失っちゃったよ!!
よっぽど衝撃的過ぎたのね。そりゃわかるけど!!
「ちょっ・・・大丈夫か!?」
「にゃははは・・・こりゃ衝撃すぎたかね?」
「かねじゃなくて、そうだろうが!!驚かせたいと言っていたが、これはやりすぎだ!!」
二人のやり取りも自然の様で。うん・・・なるほど、夫婦らしいね。
ははは・・・もう色々あり過ぎて可笑しくなりそうだぜ。
SIDE イッセ―。
鋼兄に妻とはな。結構ないたずら好きみてえだが・・・・美人でグラマー、そして猫耳と・・・いい嫁さんもらっているじゃねえか!!
うらましいぜちくしょう!
冷やかしまくったぜ。そりゃもう。
照れた鋼兄が振り回した腕にぶつかって部室の窓の外まで吹っ飛んじまったからもうやめたがよお・・・。
全くなんてパワーだ。
そして、かくまうついでにあの二人まで転校してきやがった!
それも・・・同じクラスだと!?
本当なら、鋼兄が一つだけ年上らしいが、なんか部長が・・。
――――――人外どもはなるべく固めておきたいわ。
って、とっても疲れた様子でその理由を話してくれたよ。
ははは・・・なんかごめんなさい。
悪魔の部長に人外と言われる時点でもう色々と俺達は終わっているかも・・。
そして、鋼兄は筋骨隆々の巨体と物静かさと豪快さ、そして迫力を兼ね備えたたたずまいから一日目にして・・・番長となったぜ。
周りが勝手にだけど、それとなく彼はそのまま番長となっていった。
喧嘩をとめ、絡まれた他のみんなを助けたりなど・・・色々とやっているからだ。
多くは語らないが・・・その背中だけで皆が番長とみとめている。
何故か先生からもだ。
「・・・なぜ番長?」
本人は本気で首をかしげている。自覚ないのかよ!!
黒歌さんはその容姿(もちろん猫耳尻尾は消しているぜ。)から黒猫姫とよばれるようになった。
性格はすっごくフランクでいたずら好きで、猫っぽいいうのも高ポイント、
小猫ちゃんの姉というのも堂々と言って、あっという間に有名人になった。
そして・・・二人が親を初めとした親類公認の婚約者同士という事を話すと、うんあの二人は涙を流していた。
元浜、松田。残念だったな。
せっかくの美人の転校生が売約済みなのを知らなかったか。
まあ、黒歌さんは鋼兄と堂々と一緒にいるために言ったみたいだけど、その話すたびに巻き起こるみんなのリアクションを明らかに楽しんでいる!!
だってスマホでその時の表情をばっちりとっているもん!!
小猫ちゃんは・・・二人の結婚こそはまあ認めているが、まだ兄と呼ぶのには抵抗があるらしい。
言うのがすごく恥ずかしいのだそうだ。
色々と頼りにはしているみたいだぞ。
いたずら好きな姉の暴走を止められる唯一の存在として。
悪魔の眷族として忙しくも・・・すげえ騒がしい日常だぜ。
その一方で、ネロとレイナ―レの件は皆も仕事の合間を縫って捜索を手伝っている。
特にネロが探しているキリエさんは・・・話を聞くに神器を持っている。
それも二つも。生まれながらに二つの神器は異例中の異例だそうだ。
それが目的で連れ去られたと考えられる。
それとレイナ―レの大切な人は魔法使いらしい。レイナ―レも色々あって魔法は使えるのだが、それに必要な指輪も奪われてしまっている。
名前は晴人というらしいが・・・・なんだ?その名前を聞いてあいつを思い出すのだが・・。
まさか・・な。
囚われているのはあいつだというのか・・・ハル?
ここのところ、あの日の冒険仲間と再会し続けているからもしやと思ってはいるが・・。
そんな事を振り返りつつ、俺は久しぶりの休日を楽しんでいた。
さて・・そこで俺は一人の迷子シスターをみつけてしまったのだ。
外国語で話しているが・・通じなくて困っている。
やれやれ・・かな?
SIDE ???
その日。私は運命の出会いを果たしました。
「あっ・・・ありがとうございます。」
それは優しそうな男の子でした。
「いいよ。」
私は彼の手をとった時・・・運命が見えました。
それは私が死ぬ運命。あの人にみとられて・・そのまま永遠の眠りにつくという。
それは私のもう一つの力。
未来を見ることができる予知の力。
それと触れると相手の心に直接触れることができる力。
癒しの力と共に神様が送ってくれた大切な力。
「あっ・・・あの・・・名前は?」
「兵藤一誠。まあ・・・イッセ―と呼んでくれ。」
彼との出会い、それが私は運命だと悟った。
「はい。私はアーシアです。あの・・・友達になってください!!」
彼はその手をとってくれた。
彼との出会いによって私は死ぬだろう。
でも私は知りたい。どうして未来の私は笑いながら死んでいくのだろうかを。
私はあえてその運命に手をとる決意を固めた。
最後のほうでアーシアがついに登場。
彼女も彼女で原作にない力を得ています。その力は強力です。
ここからこの話の終盤へと物語は加速していきます。