俺が、”ザ・ワールド”だあっ!!    作:阿久間嬉嬉

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こりゃ逃げられねぇ……

え~……あのあと小太郎少年に脱出方法を聞いて、無事に脱出が出来ましたが……少し混沌とした状況になっております。

今の状況を簡潔に述べさせてもらうと―――

 

・少年の教え子の一人に魔法がばれ、小さい黒髪の妖精が消えた。そんで、俺に瞬間移動で助けに向かってくれと懇願・ ということである。

 

「ディオさん、お願いします! 僕も後で向かいますので!」

「ネギ、あんた親書はどうするのよ!」

「とりあえず後回しです! 今はこのかさんの様子を確かめないと!」

「でも、ここからじゃ距離がありすぎるわよ!?」

「ちび刹那さんの符を使います! これで小さい僕を飛ばすことは可能なはずです!」

「よし、分かった。俺っちも付いていくぜ」

「へ? ふえ?」

 

おい、会話についていけてない奴がいるぞ。俺もだけど。

瞬間移動で先に向かってくれか………。”瞬間移動”じゃないんだけどな……アレ。とりあえず全部は無理だけど教えておくか。

 

「ディオさん! あなたは先に……ん? 『俺の瞬間移動は遠くへはいけない』……そうなんですかぁ!?」

 

厳密にいえば”時を止めて”いるんだけどな。

 

「なら……ディオさん、ここでアスナさんとのどかさんを守っていてくれますか!?」

 

この状況じゃ逃げるに逃げられねぇし(逃げたら後々面倒なことになりそう)………しょうがねぇ…。

 

『……分かった』

「有難うございます! ……では、行ってきます」

 

いってきますって、いったいどうやって――――

 

「よし! 出来た!」

 

うぉ! 小っさい眼鏡の少年出てきた!?

 

「あらよっと。いいぜ兄貴!」

 

あんな小さいのに頭にオコジョ乗っけても大丈夫なのか? ……大丈夫みたいだな、コレ。 

 

「じゃあ、お願いしますねディオさーん!」

 

そう言うと眼鏡の少年はどうやってるのかは分からない(それを言うなら俺の飛行もだけど)が空に浮かび、目的地へと飛んでいった。

少年の”本体”は、眠っているかのように動かない。

 

いや、ほんとに寝てるみたいだな、これは。

 

……さてと、しょうがなかったとは言えども、頼まれごとはきっちりと……

 

「お茶がおいしいわね~…」

「はいー♡……あ、ディオさんもどうですか?」

 

緊張感がねぇ!? 敵一人を退けただけでもうリラックスモードかよ! たっく……

 

『そんなに落ち着いていて大丈夫か? 敵が襲ってきたらどうする?』

「大丈夫、ディオさんが守ってくれるでしょ?」

「あんな事が本当に出来るなんて……ディオさんすごいんですね~」

 

オレンジ! お前人頼みかよ!?  そして前髪! 何であの場にいなかったお前が知ってるんだ、戦闘の事!

 

「それにしても、本屋ちゃんのアーティファクトはすごいわね。相手の思考を読み取れちゃうなんて……絵がほのぼのしてるから緊迫感が出にくいけどね」

 

あーてぃふぁくと? ……まぁなんだかよく分からねぇけど、とにかくあの前髪は読心術が使えるってことで―――――いや、離れた奴の心をどうやって読むんだ!?

 

「はい。この絵日記、本当にすごいですよね」

 

あーてぃふぁくっとって絵日記の事なのか? 絵日記の名前か? 

 

「でも、アスナさんのアーティファクトもすごいと思いますよ」

「いや……いくら能力すごくてもハリセンだしなぁ…」

 

あ~……分かった。アーティファクトって道具の名前か。

 

つーか俺、本当にネギましらねぇから全部一からだよ……原作知らないってこんなに辛いのな……。まぁ、知ってるよりは驚きがあって人生楽しいだろうけど。

――――ん? 何か急に静かに、

 

「ぐかー…」

「すぴー…」

 

寝てんのかよ!? そんな素振り見せなかっただろお前ら! っていうか、こんなローブの男の前でよく眠れるな!? …………初対面の奴を信頼しすぎだ!

 

……なんか考えすぎて頭痛てぇ。 何も考えずぼーっと待ってよ……。

 

 

 

■ 

 

 

 

……あれから何時間たったんだ? 目の前の少年少女は相変わらず寝ているし……俺としてはこの頼みごとを終えてさっさと山奥にこもりたいんだが……。

 

「おーい、アスナー」

 

誰か来たみたいだな……これでもういいだろ。それに誤解されるとまずいし……

 

”時よ止まれ!”

 

これで逃げてっと―――――って、この道広! 二秒じゃ近くの茂みまでじゃねぇか!? 隠れねぇと……。

 

「うわ~呑気に寝てるし。……おーい起きな! ネギ君、アスナ、本屋!」

「ん? ……あ、ハルナさん。それに班の皆さんも」

「ん……ふあ~…なんか寝過ぎたわね。体がだるい~…」

「そうですね……ふわぁ~…」

「あれ!? そう言えばディオさんは!?」

「本当だ! いない!」

「ディオ? 誰なのですか、その人は?」

「えっと……何と言いますか」

 

良し、もういいだろ。

 

”時よ止まれ!”

 

全力ダッシュだっ! うおおおぉぉ!! 説明しづらい状況になってるとか知らんもんね、俺!

 

 

 

 

 

さ~て……山奥にも来れた事だし、早速特訓を開始しますか! 

 

俺は気合を入れたのち、自分の中にある”感覚”を徐々になじませていく。やっとコツをつかんだ、”時止め”の練習方法の一つで、エンヤ婆の言っていた”時を止めるのが当たり前”ということを意識する練習でもある。

 

中々にきついんだよなこれ。まぁ、”時止めの代名詞”みたいな存在に転生したことで神経すり減ったりしないのがいいな。

 

長時間の精神トレーニングを終えた後、俺は筋トレに入った。

メニューは、腹筋・背筋・腕立て・スクワットに加え、相手がいると想定して戦うトレーニングも行う。

 

時間系の能力がこの世界に無いとも限らないし、こういう特訓は欠かさず行った方がいいよな……大抵のオリ主って努力しなくてもクソ強い(チート)か、努力しなかったから負ける(強者)の二つ。その”俺調べ”の中で俺を分類するなら(二つしかねぇけど)後者だろう……だからこそ特訓しねぇとな。

 

 

良し! 今日の特訓は終了―――――ん? もう暗くなってんのか、早いな。

にしても、山奥はいいよな! 人来ないし、原作だってテキトーな山の中にはやってこないだ―――――

 

――――なんか、向こうに祭壇みたいなもんが見えるんだが……!? まさか………

 

”ドオォォン”

 

嫌な予感と同時に、計ったように爆音が聞こえてきた

 

―――やっぱりな!? こうなると思った! ちくしょう!!

 


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