運良くアイデアが湧いてきただけなので、これからにはあまり期待せぬよう・・・おねがいします・・・すいません。
それでは本編をどうぞ。
武道会は無名の我流拳法使い、ディエゴ・ブランドー(偽名)の優勝で終わり、いつの間にやら戻ってきていたクウネルと、準決勝で敗退したネギと楓が、それぞれ能舞台上の表彰台へ上がっていた。
表情の読めない笑みを浮かべるクウネルはともかく、ネギは何やら考えている様子。楓は特に何も思うところはないのか普通に立っており・・・表彰式の主役であるディエゴ(偽名)は、優勝者にふさわしいくらいにドッシリと構えていた。
(やべぇ・・・やべぇよ・・・さっきからこっちチラチラ見ながら、ネギ少年何か考えてるよ・・・最後のWRYYYでバレちまったしなぁ・・・どうしたらいい・・・!?)
内心は、大物ともドッシリとも違う情けないものだったのだが。そんな彼らに一旦背を向け、観客達へ向けて超が大会主催者としての挨拶を口にしている。
「即効で終わった試合、逆転劇が起きた試合、圧倒的実力で沈めた試合、実力が拮抗した試合・・・どの試合も最高のものだたネ!! この麻帆良武道会での優勝者は、学園一どころか世界一と言ても過言ではないのかもしれナイ・・・いや、もしかしたら世界にはこれ以上のツワモノがいるかも知れない! それを感じさせる、私としても満足のいく良い武道会となたヨ!!」
彼女の言葉に呼応するように、観客達は声を上げる。未だ冷めぬ熱が、この会場を満たしているようだ。
「なお、ディエゴ選手の奇術に圧倒的パワーや高畑選手の砲撃パンチ、クウネル選手の謎の攻撃に子供先生の並外れた強さなど、余りにも現実離れしすぎてヤラセではないかとの声もあるようだが・・・それの判断は、観客の皆様にお任せするネ♫」
どこか意味深な笑みを浮かべて、超は本当に嬉しそうな声で告げる。そして息を吸い込み、最後の一言をマイクいらずの大音量で口にした。
「選手の皆様!! 及び観客の皆様!! 本当に有難う! そして、またの機会に会おう!!!」
拍手と歓声が同時に巻き起こる。
挨拶を終えた超は優勝者たちに向き直り、側に置いてあった『10000000円』と書かれたボードを手に取った。
『さあ! 優勝者であるディエゴ選手に、大会主催者・超 鈴音から賞金一千万円が手渡されます!』
「優勝おめでとう!」
「・・・」コクリ
喋れないので頷くしかない―――しかも表情もそこまで変えられない―――ディエゴ(偽名)は、それでも礼儀のつもりかお辞儀をしてから受け取る。
それと同時に、物凄い勢いでカメラやマイクを持った人達が押し寄せてきた。インタビューの対象は、優勝者である彼に違いないだろう。
「麻帆良スポーツです! ディエゴ・ブランドー選手! 優勝おめでとうございます!!」
「カメラへ向けて一言、優勝のご感想を!」
「そのアメコミヒーローのような格好に、なにか秘密があるんですか!?」
「一千万の使い道は!?」
一斉に詰め寄ってくる報道陣に、しかしディエゴ(偽名)は何も答えない・・・ではなく何も答えられない。喋れないのだから。
さてこの状況をどうやって切り抜けるかと、周りで見ていた人達がちょっと不安になった矢先・・・何と一体どうやったのか、フラッシュがたかれた瞬間、彼の姿が忽然と消えたのだ。
「き、消えた!?」
「どうなっているんだ!?」
俄かに慌てる記者達。彼らがこちらを標的とする前に、クウネルがネギへと近づいた。
「ネギ君、ちょっといいですか?」
「あ、はい。何ですか、クウネルさん」
「後でエヴァンジェリンの屋敷に来て欲しいのですが、よろしいですか?」
「・・・・」
学園祭では、自分のクラスの生徒達のお願いに出来るだけ答えると決めていたネギ。どうしようかと悩んだ折、時間移動装置である『カシオペア』を使うしかないかと、ちょっとため息をついた。
「分かりました」
「ふふ、ではお待ちしております」
言うが早いか、クウネルの姿も煙のごとく消えていってしまう。
「しょうがない、こうなったらクウネル選手・・・も居ない!?」
「子供先生と忍者少女だ! 彼らがまだ残ってる!」
「うげっ・・・ほら、早く行きなネギ君、長瀬! 巻き込まれるよ!!」
「そのようでござるな、ではゴメン!!」
「あ、有難うございます!!」
ネギと楓も大きく跳躍して通路を飛び越し、記者達から逃げるのだった。
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「フフ、この大会を開いて良かたネ。おかげで面白いものが見れたヨ」
軽く笑みながら通路を歩く超。
そんな彼女の四方に・・・いつの間にやら教員と思わしき人達が立っていた。タカミチもいるようだ。
「コレハコレハ、皆さん。高畑先生までお揃いのようネ」
「職員室まで来てくれるかな? 超さん」
「ふむ? 何か罪でも犯したカ?」
「いや、罪なんてものじゃないさ、ただ話を聞きたいだけだよ」
まだ余裕ある態度で接しているタカミチだが、周りの魔法先生達は、そこまで余裕はないようだ。
「高畑先生、甘いことを言わないでください。彼女は危険すぎます・・・魔法使いの存在を公表するなんて!」
「魔法使いの存在の秘匿・・・現実は言わずもがな、創作物でも厳重に隠しているものは多いネ。・・・が、だからこそ逆に聞こう、何故そこまで秘匿する? この大会の出場者達のように、強力な力を持つ個人の存在を隠す事こそ危険ではないカ?」
「逆だ! 無用な誤解と混乱を避けるために我々は秘密を守っているんだ! 現代兵器でも争いがやまないのに、それに魔法という力を加えたらさらに悪化する! それに、強大な力を持つものなどほんの一部で―――」
「現に一人、『ディエゴ・ブランドー』という、闇の福音をあしらい、神鳴流やサウザンドマスターの息子おも完封する実力と、妙な奇術をもっているにも関わらず、今大会に出場するまで貴方達も名前すら知らなかった正体不明の人物が居たヨ。彼のような者がまだ存在すると、そう見るほうが自然じゃあないかナ?」
「ぐっ・・・」
ディエゴ・ブランドー。
彼の事は教師達の間でも話題になっていた。魔力反応も気の流れもなく、強大な力と凄まじいスピード、無茶苦茶な型をカバーできる精密動作性に入れ替えや瞬間移動の奇術。容姿や力はおろか、名前すら知らなかったのだから、話題になって当然だろう。
「とにかく・・・君は、多少強引な手を使ってでも連れて行くぞ」
「やってみるがいいネ」
挑発的な態度をとる超に対し、しかし教師達は安易に挑発には乗らずに呼吸と準備を整える。
「いくぞっ!」
「何をしてくるかわかりません、気を付けて!」
四方から一斉に飛びかかり、魔法も使って逃げ場を無くした教師たち。しかし、超は不敵に笑うと・・・・
「ではまた会おウ。魔法使いの諸君」
一瞬にして、気配ごと消えてしまった。
「き、消えた・・・!」
「ぬ、トレースもできない・・・」
「すごいなー・・・どうやったんだ?」
「感心している場合じゃないでしょうに」
「・・・」
超 鈴音の計画、ディエゴという男の存在。謎が積み重なっていく事に教師達は眉をしかめ、タカミチは静かに考えるのだった。
〔ブアックシ!!(うぐっ・・・誰か噂してんのか?)〕
「いたぞ! ディエゴ選手だ!!」
「お話聞かせてくださーい!!」
(ぬあああ!? また来たァ!!)
真剣な空気とは裏腹に、ザ・ワールド(偽名・DIO,ディエゴ)は、情けなく逃げ回っていたが。