いよいよ、オリジナル主人公 “
side三人称
『さあ、準決勝第二回戦!
さあ、この試合を制し、決勝へと駒を進めるのはどちらなのか!!』
実況に合わせて大歓声の響く会場を、ネギはディエゴを見据えたまま歩く。
(何としても勝たなきゃいけないんだ……父さんに近づけるかも知れないんだから!!)
一方のディエゴ―――DIOも、確固たる意志を持つ瞳のまま歩いていく。
(ここまで来たんだ……主人公補正ぶち破って、ぜってぇ決勝に行ってやる!!)
選手席からも、ネギへの応援の声が上がった。
「ネギ、いい!? 絶対に食らいつきなさいよ!」
「気負わぬようにするでござる」
「入れ替えなど気にするな! ボーヤはボーヤの持ち味を活かせ!」
「頑張ってください、ネギ先生!」
「いけぇ! 勝てアニキぃ!!」
「……フフ」
両者が位置に付き、会場のボルテージが最高潮に達した時――――
『それでは……準決勝第二試合―――ready…fight!!!』
試合は、始まった。
開始と同時にネギは瞬動でディエゴの懐に入り込む。ディエゴは、どうやらその背の高さゆえにネギを見失ってしまっているようだ。
「瞬動の “入り” はもう完璧ですね!」
「いっけぇ! やっちまえ!」
ネギは少々力と魔力を込めた足払いで、ディエゴの両足を打つ。しかし―――
(う、動かない!? なんて体重なんだ! それに硬い!)
まるで鉄塊を蹴りつけたかのようにビクともせず、おまけに今のでディエゴに気づかれたらしく、その場から跳び退る前に蹴っ飛ばされた。保険として張っていた、
「ぐあっ……!」
苦悶の声を漏らしながらも、すぐにネギは立ち上がる。が、ディエゴはタカミチのように待ってはくれず、間髪入れずにもう一度吹っ飛ばされた。
負けじと、八卦掌独特の “円”の動きを駆使してディエゴの攻撃を受け流しながら、近接特化の八極拳での肘打ちを入れるが、又もや鉄塊を殴ったかのような感触が走るのみ。殴った攻め手がダメージを受けるなど、魔法障壁や気の強化でもありえない芸当である。
(実力が違いすぎる……! 師匠や刹那さんは、こんな人相手に堂々と向かっていったのか……!)
「なんであんなに強いんだよあいつ!? 魔力も気もねぇのに!」
カモが言った事は選手席の誰もが思っている事なのだが、だからといって答えを出せるわけでも無
い。
考えるまもなくディエゴは接近し、エヴァンジェリンにも行った地を殴って衝撃波を起こす攻撃で、ネギを場外へと吹き飛ばそうとしてきた。
しかし、ネギは吹き飛ぶのを逆に利用し、タカミチの時と同じように水中に落ちると同時に魔法の射手を無詠唱で溜め始める。……しかし、現実はそう上手くいかなかった。
なんとディエゴがネギを追って自身も水中に潜ってきたのだ。魚類に匹敵する程のスピードで泳ぎネギを掴むと、水上へと思いっきり放り投げる。
「うわあああっ!?」
『ね、ネギ選手が飛び出して―――いや、続いて出てきたディエゴ選手の様子を見るに、投げ上げられたようだ! 水中でもなおこの威力……ディエゴ選手、恐るべきパワーだーっ!』
(マズイっ……なんとか体勢を―――って、ええ!?)
体勢を立て直そうと体を捻ったその矢先、いつのまに出てきたのか目の前にディエゴがおり、ネギは彼の拳でステージに叩きつけられた。その威力で、ステージから木片が舞い上がる。
「アニキィ!!」
「なんなのよあいつ!? 高畑先生よりも強いの!?」
「……言ったはずだぞ神楽坂、タカミチはボーヤの成長が気になって、何かをしてくるのを今か今かと待っていたから、ボーヤに負けたんだ。あの大男には待つ理由など無いし、加えて一般人だからボーヤの事情など知らんし、今までの試合を見ているから油断もない。だから、これまでの相手よりも強いのは当然のことだ」
「しかし、ネギ坊主がここまで押されるとは……やはりディエゴ殿、只者ではないでござるな」
少々よろめきながらもネギは立ち上がり、拳を腰だめに構える。見ると、周りに魔法の射手が待機させてあり、どうやら殴られる前に
そんなネギへと、ディエゴは空中を一度蹴るようにして、勢いをつけて一直線に向かっていく。
「虚空瞬動でござるか!」
「本当に一般人なんですか!? あの男は!?」
驚く彼らをよそに、ネギも飛び出してディエゴを真っ向から迎え撃った。
「桜華……崩拳!!」
魔法の射手を纏った拳と最上級の力を持った拳がぶつかり合い、周りに衝撃波が発せられてまるで間欠泉のように水しぶきが舞い上がる。が、拮抗したのもほぼ一瞬、結果押し負けたのはネギだった。
「うああっ!!」
「ネギ坊主の技を真正面から破ったアル!」
「……とんでもない人ですね。力技で魔法や気を破るとは」
圧倒的不利な状況だが、ネギはそれでも勝つために知恵を絞る。魔法を駆使し、拳法を使い、ディエゴに勝つための方法を考える。
(今の所、師匠達に使った入換えの奇術は行っていない……けどっ、そんな事関係ない! それほどにこの人は……
試合はまだ、始まったばかりだ。