何してくれてんだよ神様……俺はDIOの”ザ・ワールド”が欲しかったのに、”ザ・ワールド”そのものにするとかなんなんだよ……神って、人の思考とか読みとれるんじゃねぇの? そう人間が都合よく思っているだけかもしれねえけど……
『オハロー』
この声はっ!?
『おいコラ神! なんて間違いしてんだてめぇは!』
テレパシーでは普通にしゃべれんのかよ
『ご、ごめん……君の様子を見て間違いだってようやく気付いたよ。それに誰にだって勘違いとかあるでしょ?』
『これはそういう問題じゃねえだろ!? せめて”ザ・ワールド”がほしいの? それともなりたいの? って確認しろよ!』
『ごめん、勘違いしてた時あまりにショックが大きくて………それに実は私知らなかったんだよね、ジョジョの奇妙な冒険。だから簡易的に調べた情報と勘違いをしちゃった結果こうなっちゃったという……』
『それぐらい調べとけよ!』
『神だって生きてるんだよ! 万能じゃありません!』
後付けみてえな事言いやがって……もういいや、何言っても変わらねぇのは自明の理だし……
『あ、そうだ。お詫びと言ってはなんだけど、特殊能力ではないけどちょこっと追加したものがあるからよろぴく! じゃっ!』
勝手にかけてきて勝手にきりやがった!
どうすんだよ、俺……。時を止められる代わりに、スタンドの姿でさらに喋れなくて、これからどうすりゃええのよ……。
なにやっても〔無駄〕か…………ん?
〔無駄……無駄〕
ま・さ・か
〔無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!〕
”無駄”は喋れんのかよ!? それにDIOの台詞だしこれ!? 調べ方適当すぎるわ!
なんかちょっとエコーっぽいのかかってるし……つーか追加したものってこれか!? 地味だぁ!
■
――転生してから数時間後――
俺は、姿を隠すため魔法使いみたいな、けど地味な黒いローブ着、長ズボンをはいて夜の道を歩いていた。
最初は大きめのパーカーにでもしようと思ったけれど、神の奴が背中のタンク部分も再現するからきれなかったのだ。まぁ、背の高さは原作通りで(高さとか公表されてなかった気がするが)外国人の店じゃないといいものがなかったため、変な外国人とみられるだけで終わったのは幸いだな。
追加したものの中にお金が入っていたのもな……
つーかローブ普通に売ってたよ……。
そしてこの数時間で分かった事と言えば―――
・時間を止められるのは現時点で最大1.7秒ほど
・運動能力は普通の人間より圧倒的に高い
・ちゃんと腹が減る。
・尿意などを催す事がない
・浮遊できる
これぐらいか……。つまり今の俺は、”人間要素が少し混ざったスタンド”ってとこなのか? ものすごく自力で動いて、本体が居ないスタンドってなんだよ……どっちか一つなら原作にも居たけど。
―――それにしてもここはどこなんだ? 駅名が途中で知らないものが続いて、少し怖くなったから降りたけれど………。
ネギまって俺、アニメの一話を見たっきりでそれ以外何も知らねぇんだけどなぁ。
……桜が多いところだな此処。”わびさび”だったか…こういう雰囲気が―――
「ぁぁぁっ」
!? 今悲鳴が……!?
俺は急いで悲鳴のした方へと走る。スタンドの脚力はやっぱりすごく、あっという間に現場へ着いた。
変なローブを着た奴が(俺もだけど)女の子を襲おうとしている!? させるかっ!
”時よ止まれっ!”
俺は力を発し、”ザ・ワールド”の力を発動。時を止めた。
一秒も止められれば十分だっ! 喰らえ!
「な!? お前、いつの間―――」
〔無駄ぁ!!〕
「ぐぼえぇ!?」
目の前の、ローブ&帽子にアッパーを喰らわせた。
…神様、無駄しか言えないのを地味って言ってごめん。……これ決め台詞にちょうどいいわ。普段はものっそい不便だけど。
「きゅうう~……」
あ、襲われてた子気絶してら。まぁ理解不能な事がこんだけ続きゃ気絶もするか。
「待てぇーっ! 僕の生徒に手出しなんかさせません!」
と、その場に子供の声が乱入した。
何だあの子供!? 空飛んでんのかよ!?(俺も飛べるけど)
「
子供の手から矢のようなものが複数放たれる。
〔無駄!〕
それを俺は一殴りで落とした。
スタンドすげえ!? 鍛える前からこれかよ!
「な、何なんですかあなたは!? 何者なんですか!」
敵じゃねぇから大丈夫―――そう言おうとも無駄以外喋れないからどうしようもない。ええい、やっぱり不便!
これ以上ここにいても不利になるだけだな、三十六計逃げるにしかずだ!
「ああっ!? 待てぇ!」
追ってくんな、魔法少年!?
「あれ……? 私はほったらかし…か?」
淋しそうな声が聞こえた気がするが気のせいだろう。…気のせいに決まってる!
■
――鬼ごっこ開始から数分後――
あ~…何とか逃げ切れた……しつこいっての。あの子供。
確かにこんな時間に、女の子に近寄るローブの間は怪しいと思うけどさぁ……”ザ・ワールド”の方も怪しいけどな。
―――それにしても息切れしてないな。どこまで”人間要素”が入っている事やら…。
と、上から突如、炸裂音が聞こえてきた。少し離れて聞こえた場所をみると、人影が三つ見えた。
あの少年と金髪の少女と変な耳の女……あの子供が戦っているとってことは、あの二人は事件の真犯人か?
「誰か助けてぇ~~~っ!?」
しかも少年ピンチかよ!? ……元はと言えば、あの二人が事件なんか起こすから勘違いされて鬼ごっこする羽目になったんだ……逆恨みだろうとも知るか!!
”時よ止まれっ”
俺は、力を込めて大ジャンプをし、浮遊して飛ぶまでの高度を一気に稼ぐ。
つーか、ジャンプだけで高度を半分以上稼げるって……スタンドすごいな!
「うわ!? またお前へぶぱ!」
「!? マスター!」
「あ、あれ?」
良し、少年救出成功。このまま立ち去るっ!
「あ! 待っ―――――」
すまん、待たん。
飛び降りると同時に走り出し、俺はその場から去った。
今回は悪目立ちしすぎたな。あの少年が主人公じゃありませんように……無理か、多分。
■
side金髪少女
何だったんだあいつは!? 前触れなしに突然現れるわ、魔法障壁突き破って殴り飛ばすわ、気配感じさせずに近づくわ、挙句の果てには空まで飛ぶだと!?
結界を越えたものがいたと思ったら……だが越えたのはあいつではない筈だ、力の度合いが違う。
めんどくさいがもう少し調べてみるか……
あ~…殴られた個所が痛い……くそ。
sideout
■
side少年
あの人……僕を助けてくれた……? エヴァンジェリンさんと組んでいたんじゃないのかな?
だとしたら僕なんて勘違いを…ちゃんと謝らないとなぁ…いやでも、本当に悪人だったらどうしよう……う~ん…