とある一等空尉の日常   作:オパール

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まさかのお気に入り100件突破。
なんとなしに書いた作品がここまでの人に気に入ってもらえるとは完全に予想外です。ありがとうございます。

感想から入ったネタですが、フェイトさんは肉食系っていうか攻略系ヒロインにしていきたいと思います。
つまり、デュークさんは攻略「される側」になります。
あ、ティアナはちゃんと乙女系ヒロインでいきますので。


尾行じゃないよ、監視だよ byフェイト

「………」

 

「ユーノくん!」

 

「っ………やぁ、なのは」

 

「ご、ごめんね。待たせちゃった?」

 

「いや、気にしないで。僕も今来たところ………」

 

「………ホントに?」

 

「………30分は待った、かな」

 

「え………」

 

「ああ、そんな顔しないで。………その、楽しみで、僕が勝手に速く来ただけだから」

 

「ふぇっ………」

 

「………行こうか」

 

「う、うん………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、そこで………ああ、もう!手じゃなくて腕組め、腕!」

 

「主殿。気持ちはわからんでもないがあまり騒ぐとバレますぞ?」

 

『落ち着いてくださいデューク』

 

「わかってるよ。わかってるけどあの二人を見てると………ああ、もう!」

 

 

 

 

 

 

「………フェイトさん」

 

「何、ティアナ?」

 

「何で、なのはさんとスクライア司書長のデートの尾行してるんですか?」

 

「尾行じゃないよ、監視だよ」

 

 

某月某日。

俺、デューク・ディノアとW執務官+αは「第四次ユーなのCP成立作戦」始動後初となる、かの二名のデートのびこ………監視任務に着いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遡ること数日前。

 

 

「よぅ、フェイト」

 

「」

 

「!」ガタッ

 

本局食堂。

俺がフェイトに挨拶をした瞬間、フェイトはフリーズ。

同時に、後方で誰かが立ち上がる音が聞こえた。

 

 

「………あれ?おーい、フェイトー?」

 

「………あれ?おかしいな。母さんとリニスとアリシアが河原の向こうでタップダンスで火の玉音頭」

 

「そいっ」ペシッ

 

「あうっ」

 

 

何かパニクってたので頭に軽く一撃。

可愛らしい悲鳴と共に机に突っ伏した。

 

てか火の玉音頭て。

 

 

「痛い………」

 

「戻って来たか?」

 

「………デュークさん」

 

「おう」

 

「………今さっき、私を呼んだのは」

 

「俺だな」

 

「………名前でですよ?」

 

「俺だぞ、フェイト」

 

「………」

 

「………」

 

「………Really?」

 

「Yes,I called your name」

 

 

確か地球の言語で英語と呼ばれる言葉で返す。こういうやり取りがすんなりできる辺り、付き合いの長さを改めて実感する。

 

 

「え、えと、どうして急に………」

 

「ちょっとした意識改革だよ。気にすんな」

 

「はぁ………」

 

「………ニヤけるなよ」

 

「す、すみません。でも………嬉しくて」

 

「さいで」

 

 

言って、その向かいに座る。

 

 

「こほん………それで、何かご用ですか?」

 

「ん?いや、ちょいと付き合ってほしい任務があってな」

 

「任務………ですか?また、どこかの貧困地帯に援助とか………」

 

「いんや。もっと俺達らしい任務だ」

 

「………?」

 

 

 

 

「あの………ご一緒しても、いいですか?」

 

 

 

 

「え?」

 

「おお、ティアナか。別にいいぜ」

 

「失礼します」

 

 

いつの間にか背後にいたティアナ。といっても、恐らく先ほど立ち上がった人物は彼女だろう。

 

………さも当たり前のように俺の隣に座った。

 

 

「………」

 

 

それを見て何故かフェイトも隣に。

………ちょうど二人に挟まれる形となった。

 

 

「………ティアナ。ちょっと近くない?」

 

「フェイトさんよりは遠いと思いますが」

 

 

うわーい、何か背筋が冷たいんですけどー。

 

 

「ちくしょう………あの世話焼きキチめ………」

 

「やめとけよ。似たようなこと言ってW執務官にフルボッコされた奴見たことあるから」

 

「でも見た目も中身もイケメンなんだよなぁ、あの人」

 

「ああ。何せ、あのハラオウン提督と総務統括官が認めるほどだからな」

 

「しかも、テスタロッサ執務官の子供二人からも懐かれてるとか」

 

「何それ外堀埋まりきってんじゃん」

 

「既成事実って今からでも有効かしら?」

 

「あんた正気!?」

 

「え。あの人ってノーマルだったの?」

 

「クロノ提督と陰でこっそり付き合ってるんじゃ」

 

「いや、ザフィーラさんとウホッ♂してるって」

 

「グランセニック陸曹とホテルで密会してると耳にした」

 

「アコース査察官に毎日デザート作って貰ってるに決まってるでしょJK」

 

「スクライア司書長と愛人関係だって聞いた」

 

「馬鹿言え!ユーノ司書長は俺の嫁だと世界の意思が告げ………」

 

「なのはさんじゃないけど、少し頭冷やそうか?」

 

「ぬわーっ」

 

 

おい好き勝手抜かすな外野。それと最後の奴、GJ。

 

 

「………えいっ」ムギュッ

 

「!?」

 

「っ………!!」

 

 

何て思ってたら、突如右腕に柔らかな温もりが。

 

当たってる!フェイトそ、じゃない。フェイトのそれが当たってるってか挟まれてますけど俺の腕!

 

 

「ちょ、フェイトさん!?何をして………」

 

「デュークさん。さっきの話の続きを」

 

「え?あ、あぁ、それはだな………」

 

「デュークさんも平然と続けないでください!」

 

「これが平然としてるように見えるか!?」

 

「とにかく離れてくださいっ!!」

 

 

マジギレ寸前のティアナの怒号を受け、何とかフェイトを引き剥がす。

 

 

「チッ」

 

 

その小さな舌打ちは聞こえなかったことにした。

 

 

「はぁ………で。続きだけど」

 

「はい」

 

「任務………と、聞こえましたけど」

 

「ああ………コードISD、ハイディングDだ」

 

「!!」

 

「IS………?」

 

 

俺の言葉にフェイトは目を見開き、まだこの意味を知らないティアナは首を傾げる。

 

 

「………ついに、ですか」

 

「ああ。あれからちょうど一月。来たるべき最初の一歩が来たってわけさ」

 

「あの、何の話を………」

 

「参加メンバーは?」

 

「最初で躓くわけにはいかねぇから、少数で行く。それに、お前に声をかけたのは………」

 

「………了解しました。フェイト・T・ハラオウン、ハイディングDに参加します」

 

「感謝する」

 

「ちょっ、何なんですかこのノリ!」

 

 

戸惑うティアナに視線を向け、静かに口を開く。

 

 

「………ティアナ」

 

「っ、はいっ」

 

「お前にも知っておいて貰う。俺達が長年に渡って、未だに成功していない作戦を」

 

「え………?」

 

「いいな、フェイト?」

 

「………背に腹は代えられません。了解です」

 

「よし。………ティアナ・ランスター」

 

「はいっ」

 

「3日後、時刻1300にクラナガン臨海公園に集合だ」

 

「状況開始は?」

 

「1400だ。だが目標の動向からいって、恐らく1330には現地に着いているはずだろう」

 

「了解しました」

 

「えと………13時に臨海公園、ですか?」

 

「そうだ。それと、お前のために補助を一人連れてくる」

 

「はぁ………」

 

「よし。各員、体調を整え、万全の体制で臨むように」

 

「はいっ!」

 

「は、はい………」

 

 

対照的な二人の返事を聞く。さて、数年振りのハイディングD。どうなるかな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでデュークさん」

 

「ん?」

 

「さっきの感想をぜひ」

 

「………ノーコメントで」

 

「言葉にならないほど最高だった、と」

 

「対処の仕方がわからないんで控えて頂けませんか ねぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………最後のはいらなかったな。

まぁ、そんなこんなで、ただいまハイディングD決行中である。

 

 

「ハイディングD………単なるデートの尾行ですか………」

 

「尾行じゃねぇ」

 

「監視だって言ってるでしょ、ティアナ」

 

「はぁ………」

 

 

そう。ハイディングDのDとは即ちDate(デート)のD。 あの二人、高町なのはとユーノ・スクライアのデートを陰から見守ることの総称である。

 

ちなみに、コードISDとは

 

I(いい感じに)

S(セッティングしたユーなのの)

D(デート)

 

の略称であり、コードにはもう一つ、ASDがある。

こちらは

 

A(アルフから伝えられ)

S(司書から聞いたユーなのの)

D(デート情報)

 

である。

 

 

「何でこんな事に………」

 

「すまんな、ランスター執務官。我が主がこのような」

 

「いえ、別に………」

 

 

ティアナにそう言うのは、彼女の肩に乗っている青い体毛に所々白模様が入った鳥。

 

俺の使い魔、霊鳥と呼ばれる稀少生物のエレウスだ。

 

 

「ていうか、使い魔いたんですね」

 

「まぁな」

 

 

ちなみに、先ほどエレウスと一緒に俺に注意してたのは我が愛する相棒、ブラックウィドウである。今は待機形態のベルトとなって俺の首に巻き付けてある。

 

 

『目標、移動を開始。周囲に不穏な生体反応はありません』

 

「よし、行くぞ」

 

「了解」

 

「はい………」

 

 

ウィドウの声に俺とフェイトが動きだし、後から心底嫌そうな顔のティアナが続く。ハイディングD、本格的に開始である。

 




最近、攻略系ヒロインが魅力的に見えてしょうがない

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