とある一等空尉の日常   作:オパール

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みなさま、ありがとうございます。

今回はちょっとグダってます。


甘い物は大好きだ。ただしリンディ茶、テメーはダメだ byデューク

ある日の昼下がり。

行きつけの洒落たカフェテラスで頼んでおいたカフェ オレを一口。

 

………うん。甘さといいコクといい、やっぱいい仕事するわ、この店。

 

自他共に認める甘党たる俺は、こういう若年層向けの店を好む。過去に何度か、当時の上司であるリンディ・ハラオウン総務統括官に(クロノと共に半ば強引に)連れられて来て以降、すっかりハマってしまった次第である。

 

まぁ、若者が多い中で三十路前の野郎がいるのは激しく浮いているが、もはや馴染んでいるらしく、特に奇異の視線を向けられているわけではない。

 

それから待つこと数分。

 

 

「デュークさん!」

 

「すみませーん!」

 

 

若い、少年少女の声。視線を向ければ、赤い髪の少年と桃色の髪の小柄な少女がこちらに向かって来ていた。

 

 

「おー。待ってたぞ、お二人さん」

 

「す、すみません。途中で渋滞に………」

 

「わたし達がお願いした側なのに、本当にごめんなさい………」

 

「いんや、気にすんな。待つのは好きだし」

 

 

言って、冷えたお絞りを二人に差し出す。

 

 

自然保護隊に所属する両名、エリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエ。機動六課時代まではテスタロッサの庇護下にあったらしいが、現在は自立して両名共に異世界にて活躍中とのこと。

 

二人が息を整え、汗を拭っている間に店員に冷やを持ってきて貰う。ちょうど落ち着いた辺りで、水と氷の入ったグラスと水差しがテーブルに置かれた。

 

 

「ほれ。喉渇いてるだろ?あぁ、一気に飲むなよ。 ゆっくりな」

 

「「は、はい……」」

 

 

返事も水を飲むタイミングも全く同時な二人に小さく吹き出す。 二人はそれに訝しげな顔をするも、それもすぐに水の心地良い冷たさに流されていた。

 

 

「………落ち着いたか?」

 

「あ、はい」

 

「改めて……遅れてしまって、本当にすみません」

 

 

俺がグラスに水を注ぐのを横目に見ながら、キャロが心底申し訳なさそうに言う。

 

 

「いや、それは別にいいって。ていうか、それよりもおまえ達がわざわざ俺を呼び出したことの方が気になるんだが」

 

 

俺の言葉に視線を泳がせる二人。

 

 

「えっと、あの………」

 

「フェイトさんとのことで、その………」

 

 

………こんな子供にすら気を遣われるのか、俺達

 

 

「お二人がとても親しげなのは、伺ってます」

 

「フェイトさんの先輩で、フェイトさんがまだ入隊したばかりの頃、色々と面倒を見てくれた方だって、フェイトさん、本当に楽しそうに話してくれるんです」

 

「僕もキャロも、デュークさんには本当によくしてもらいましたから」

 

 

そう。この二人とは何年も前。それこそ、六課よりも前から面識がある。

 

ある日、「会って貰いたい子達がいる」とテスタロッサに連れられて行って出会ったのが、この二人。その時はまだ、この二人は別々の場所で過ごしていたから会った日時はバラバラだったが。 元々子供の世話も好きなため、色々と話をしたり遊んでやったりする内に結構懐かれてしまった。

 

 

「お二人の仲がいいことも知ってます。それに………フェイトさんが、デュークさんを………」

 

「………どうして、フェイトさんを名前で呼ばないんですか?」

 

「………ほれ」

 

 

視線を移すと、あらかじめ頼んでおいたケーキを乗せたトレーを持った店員がこちらに歩いてくるのが見えた。

 

 

「ここのケーキ、旨いんだ。一回食っといた方がいい」

 

「はぐらかさないでください!」

 

「食いながらでも話はできる」

 

「………」

 

 

納得いかないといった表情ながらもフォークを手にする二人。そして一口。

 

 

「どうだ?」

 

「「………おいしいです」」

 

「そりゃよかった」

 

言って、俺はカップの中の残りを飲み干した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ。エリオにキャロ?」

 

「デ、デュークさん!?」

 

「?」

 

「あ、スバルさん」

 

「それにティアさんも。お久しぶりです」

 

カフェを出てクラナガンを散歩中、見知った二人と遭遇。特別救助隊のスバル・ナカジマ防災士長とその親友、ティアナ・ランスター執務官だ。

 

「よぉご両人」

 

「こんにちはデュークさん!」

 

「ど、どうも。ご無沙汰してます」

 

「スバルさん、ティアさんも、今日はお休みです か?」

 

「うん。ティアが色々愚痴りたいって言うから付き合ってあげてるんだ」

 

「余計なこと言わなくていいのよバカ」

 

「たはは……。エリオとキャロは?」

 

「わたし達は、ちょっとデュークさんにお聞きしたいことがあって」

 

「それに、せっかくなのでフェイトさんにも会っていこうかと。これから三人で行くところだったんです」

 

「………そう」

 

スッ……と、ティアナの眼が細まった………気がした。

 

「………あー、ティア。私、そろそろ帰るね」

 

「え?」

 

「や、実はさっき、ギン姉からメールあってさ」

 

「そうなの?」

 

「うん。だから、ごめん。先帰るね」

 

「………そ。今日は付き合わせて悪かったわね」

 

「ううん、気にしないで。それじゃ、デュークさん、失礼します!エリオ、キャロも、またね」

 

「はい!」

 

「お疲れさまです!」

 

 

そして、スバルは走ってその場から去っていった。 ………逃げるように感じたのは気のせいだと思う。

 

 

「………で、どうする?一緒に来るか?」

 

「………いえ、遠慮しておきます。エリオとキャロも、フェイトさんに会うには私は邪魔かと」

 

「ティアさん!」

 

「そんなこと!」

 

「いいのよ。滅多に無いんだから、思う存分甘えてきなさい。フェイトさんにも………デュークさんにも」

 

 

え、俺?

 

 

「では、私もこれで。失礼します」

 

「あ………ああ。またな、ティアナ」

 

「はい」

 

 

そうして、ティアナも去る。

 

 

「………」

 

「デュークさん?」

 

「………いや、なんでもない。行くか」

 

「はい………」

 

 

二人を連れて歩きだす。

 

………ちょっとは意識を変えてみるか。

 

 

(まずは名前呼びだな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばデュークさん。いつからティアさんのこ とを名前呼びに?」

 

「え?」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

「あれ、ティアナ?」

 

「………あ、なのはさん。お疲れさまです」

 

「うん、お疲れ………って、顔真っ赤だよ!どうした の!?」

 

「………」

 

「大丈夫?風邪とかじゃ……」

 

「……………なまえ」

 

「へ?」

 

「なまえ………デュークさん、名前で………今までランス ターだったのに………ティアナって………」

 

「ティ、ティアナ?」

 

「やばい、顔戻らない………えへ」

 

(デュークさん………恐ろしい人ッ!)




乙女なW執務官マジhshs

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