とある一等空尉の日常   作:オパール

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物語は基本デューク視点で進みます


リア充爆ぜるべし byデューク

「おっ」

 

 

いつも通りの哨戒任務を終え、本局の通路を歩く俺の前方に二人の男女の姿。

 

 

「珍しい組み合わせだな、ユーノ」

 

「あ、デューク。帰ってきてたんですね」

 

「ついさっきな。………八神司令も、ご無沙汰しております」

 

「ええ。お久しぶりです、ディノア一尉」

 

 

二人に軽く会釈。

 

男の方は、管理局が誇るデータベース「無限書庫」の総合司書長であるユーノ・スクライア。

女の方は、かつて名を馳せた伝説の部隊、機動六課の元部隊長であり、海上警備部捜査司令である八神はやて二等陸佐である。

 

 

「それで、どうかしたんですか、デューク?」

 

「いや、滅多に見ない組み合わせだから珍しくてな」

 

「あはは。まぁ、わたしらあんまり顔合わせることって無いですからねぇ」

 

「二人はこれから?」

 

「良い時間なので食堂に。たまたまそこでバッタリだったので」

 

「なら好都合だ。俺も腹ごしらえに行こうと思っててな」

 

「ほな、行きましょうか」

 

 

二人に続いて歩を進める。

 

 

「やー、両手に花やねぇわたし」

 

「ユーノはともかく、俺は花って顔してませんがね。ユーノはともかく」

 

「待ってくださいデューク。何で二回言ったんですか。しかも僕はともかくって」

 

「あははっ。まぁ、こんなとこなのはちゃんやフェイトちゃんに見られたら大変なことに」

 

 

「「………もうなってるかもね」」

 

 

「………」

 

「あ、なのは」

 

「おお、テスタロッサ。お疲れ」

 

「こんにちは、ユーノくん」

 

「お疲れさまです、デュークさん」

 

 

視線を向ければ、そこには二人の見目麗しい女性。

 

一人は栗色の髪をサイドポニーに纏め、白い教導隊の制服に身を包んだ、局員で知らぬ者はいないエースオブエース、高町なのは一等空尉。

もう一人は金のロングヘアーに黒の執務官制服を着込んだ女性、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官。こちらは俺の後輩にして同僚でもある。

 

 

「や、やー、二人とも」

 

「うん。こんにちは、はやてちゃん」

 

「奇遇だね、はやて」

 

 

何か眼が笑ってないぞ、お前ら

 

 

「い、今な。二人とバッタリ会ったから、一緒に食堂行こうって事になってん。………いや、ホンマやで?」

 

「………そうなの?」

 

 

高町が問う。それに答えるユーノ。

 

 

「うん。僕も司書のみんなに、「食事摂ってこい」って蹴り出されてね」

 

「………それって、そう言われなかったら行ってなかったってこと?」

 

「………」

 

「もぅ………」

 

 

冷や汗垂らして眼を逸らすユーノに対して、仕方ないなぁ、と言った感じで息を吐く高町。

その後、二人は色々と話しながら食堂へと歩いていった。

 

 

「(………あれでまだ付き合ってないんですよね?)」

 

 

テスタロッサから念話が飛んでくる。

 

 

「(好きあってるのは間違いないけどな。ったく、あそこまでこぎつけるのに11年もかかっちまった)」

 

「(まぁ、友達感覚長いですからねぇ。一部では夫婦扱いまでされとるっちゅーのに)」

 

「(あと一押し、何かがあればなぁ)」

 

 

二人の念話を聞きつつ、前を歩く二人を見る。

 

肩を寄り合わせているのは無意識か、それとも狙ってか。

後者ならば先に進もうという意志が感じられるが。

 

 

「(それはそうと、ディノア一尉はどうなんですか?)」

 

「?」

 

「(いやいや。フェイトちゃんやティアナとよくでかけたり食事行ってるって聞いてますけど)」

 

「(ああ。やたらと誘いは受けるな)」

 

「(そういう浮いた話は無いんですか?)」

 

「(生憎な)」

 

「………報われんなぁ、二人とも」

 

「?」

 

「ま、ええですわ。ほな、わたしも先行きます」

 

「ん?ああ」

 

 

待ってぇなお二人さーん、と言いながら走り出す八神司令。

ふと、背後から視線を受ける。

 

 

「………」

 

「?」

 

「………はやてと、仲いいんですね」

 

「ん?まぁ、色々相談受けたり持ちかけたりしてるからな。主にあの二人の事で」

 

「……あの」

 

「?」

 

「今度、重なりますよね、休暇」

 

「………そう、だったな」

 

「その、よかったら、付き合ってもらえますか?」

 

「買い物か何かか?」

 

「それもありますけど……」

 

「珍しくはっきりしないな。どうした?」

 

「………ついでに、貴方の休暇を私に頂けたらと」

 

「?」

 

「か、代わりに、私の休暇をあげますから………」

 

 

頬を薄く染めて上目使いにこちらを見るテスタロッサ。

………まぁ、断る理由も無いしな。

 

 

「………まぁ、いいぜ。例の作戦も始まったことだし、そのことについても打ち合わせとかしたいと思ってたところだ」

 

「………!」

 

 

パァァ……という感じで表情が明るくなる。

 

 

「……ま、その話はまた後でな。俺達も急ごうぜ、食堂」

 

「はいっ」

 

 

歩き出す俺の後ろを、駆け足で着いてくるテスタロッサ。

 

子犬のようだな、と思ったのは胸の奥底にしまっておいた。




サブタイにつっこんだら負け

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