時間軸としては本編の甘い物は好きだ~から全員手を上げろぉ!までの辺りです。
詳しい時間軸はジャガーノート食らいました。
※一番最後に嫉妬フェイトさん追加しました。
「………やっぱ寒いな、この時期は」
「しゃーなしだろ。もう十一月だ」
世間が冬に近付きつつある今日この頃。
俺、デューク・ディノアは朝早くから戦技教導隊のヴィータと交差点の前で雑談を交わしていた。
「………にしても遅ぇな、スバルの奴」
「んー?プライベートじゃルーズなのはいつものことじゃん。まだ開店まではあるんだし、待ってようぜ」
「だな。………そりゃそうと」
「?」
「まだ続いてんのか?あの二人と」
「………ナンノハナシデスカ?」
「すっとぼけんなっつの。フェイトとティアナ、まだどっちにも答え出してねーのかよ」
「………あんたの仲間内は必ずその話題を出す決まりでもあんの?」
何か、この人含めた八神家とかその他から毎度聞かれてるんですがそれは。
「はやてやシャマルは面白半分だろうけどよ、あたしは純粋に心配なんだっての。お前ともそこそこ付き合い長いし」
「いやまぁ………」
ちんまいナリして面倒見の良さはマジSランク。シグナムが姐さんならこっちは姉御。
違い?カッコ綺麗な残念美人とちっさ可愛い姉御肌。
OK?
「オッケィ!」(ズドンッ)
「痛い!?」
「不穏な空気を感じた」
「アイゼン下ろして」
ヒュンヒュンと片手でハンマー振り回す姉御がそこにいた。
「まぁそれは置いといて、だ」
「置いとくのか」
「………人出てきたな」
「時間が時間だからな。待ち合わせもそれなりにオーバーしてるし」
「すいませーんッ!!」
声の元に振り向けば、青い短髪がボーイッシュな印象を与える女性、スバル・ナカジマが手を振りながら走って………ヲイ
「む?彼は確か、本局のディノア一尉だったか」
「アッイスー、アッイスー、アッイスがアッタシを呼んでるッスー♪」
「ほら、騒がないの」
その後ろには、紫ロングの美女と銀髪眼帯の幼女と赤いパイナップル頭の少女がそれぞれいた。
「………」
「………」
「す、すみません。もう行っちゃったかと思いましたよ」
「………とんでもねぇ、待ってたんだ」
「へ?」
「そぉいっ!」
「あいたぁっ!?」
勝手に人数増やしたワンコ系腹ペコ娘にチョップを叩き込んだ俺は悪くない。
◇◆◇
「いっただっきまーッス!」
「んんー、おいふぃー♪」
「うむ、やはりストロベリーに限るなっ」
「うう、おいしい………おいしいけどカロリーがぁ」
「気にしたことねーだろうがギンガ」
「セクハラですディノア一尉!」
「何で一言も発言してない俺が非難されるんですかねぇ!」
そうして、本日オープンのアイス専門店に入った俺とヴィータとナカジマ四姉妹。
ナカジマ家にはあと二人いるが、都合が合わず来れなかったらしい。
もちろん、俺も普通に食っている。
美女三人と幼女二人(←ここ重要)の中に男一人は正直浮くかと思ったがそうでもなかった。
むしろギンガと夫婦、チンクとウェンディとヴィータが娘に見えたのかやけに微笑ましい眼で見られた。
ファザコンなんか願い下げじゃ。
ちなみに、名前で呼んでる理由としては名字じゃ誰が誰だかわからなくなるから、以上。
「何ボーッとしてんだアラフォー」
「アラサーだよ!ってか何言わせんだ!」
「落ち着け」
「ったく………んで?お味はどうよ皆の衆」
「おいしいです!」
「サイコーッス!」
「来てよかったです。スバルには後できっちり謝らせますけど」
「なんで!?」
「あ、すみません、ミックスベリーとチョコミントとストロベリーチーズケーキのトリプルで」
「五番目食いすぎィ!」
ビクッとして振り向いた姿に思わず許しそうになったがそれを振り払って席まで引きずっていく。
あざとい子は認めません。
「まぁ全体として好評だったわけだが」
「まだ終わりじゃないですもんね」
「どういうことだスバル?」
「まぁ、論より証拠ってな。行くぞお前ら」
「?行くってどこに………」
「そら次の店よ」
◇◆◇
そんなこんなで、その後も色んなアイス屋を探して歩く。
と言ってもまぁ、クラナガンどころかミッドチルダ中のアイス屋は粗方見つけてあるからほとんど俺とヴィータとスバル以外の他の三人の案内みたいになってたが。
「こんなにアイス食べたの初めてッス………」
「気にしてなかったが、もうお昼の時間なんだな………」
「あんなにアイスしか食べてないけど大丈夫かしら」
妙にご機嫌だがどことなく不安そうな三人。
まぁ、そうなることはわかってたから、ヴィータに提案する。
「そんな時のための」
「あそこだな」
「あそこ?」
「俺の行きつけの喫茶店。いつもアイス屋巡った後はそこに行ってんだ」
「何でッスか?」
「そりゃ昼メシとデュークお手製のアイスでシメるためだよ」
「アイス作れるんですか!?」
「すごいッス!」
「芸達者なんですね………」
割とマジな尊敬の眼差しを向けてくる三姉妹。
それをむず痒く感じて視線を逸らしながら歩を進めていく。
「ほれ、ここだ。マスター」
「やぁ、そろそろ来る頃だと思ったよ」
「今日は何人か多いけど、大丈夫か?」
「きっちり料金払ってくれるならね」
「サンキュー。ほら、入れー」
俺の案内で、他の五人が入ってくる。
「あ、ここ知ってるッス」
「若い女性やカップルに人気のお店ね。雑誌によく載ってる」
「ディノア一尉の情報量には目を見張るものがあるな………」
「ほら、席はあそこの窓際、でしょ?」
「ん。さっ、みんなは先に座って何か頼んどけ。マスター」
「はいはい。いつもの準備はできてるから、いつでも始めていいよ」
意気揚々と座るスバルとヴィータ。厨房に入っていく俺を不思議そうに見る三人。
エプロンと調理器具を借りて、アイス作りに取りかかる。
さぁ、座して讃える準備をしているがいいわ………!
そして二時間後。
「さぁ、食え」
食事を終えて雑談に興じていた五人のテーブルに、それぞれジェラートの入った器を置く。
季節のフルーツをバランスよく混ぜ入れたそれは、ベースをオレンジにして見た目から華やかにしてある。
置かれた途端に、初めての三姉妹は目を輝かせた。
「え、これ、本当にデューさんが作ったッスか?」
「誰がデューさんじゃ。まぁ、時間が無かったからそんくらいしかできなかったけどな」
「おいしそう………」
「見た目も華やかだ………何だか、惹き込まれるな」
「デュークさんのアイス、すっごく美味しいんだよ!」
「癪だが、ぶっちゃけアイス………ていうかデザート類の腕ははやてより上だからな」
「さ。溶ける前に食っちまえ」
「「「いただきまーすっ!」」」
◇◆◇
───三人の反応は、実に嬉しいものだった。
これから時々作ってほしいと言われてたが、丁重に断っておいた。
俺がアイスを作るのはこの日、月に一度の活動の日だけと決めているからだ。
そう───俺とヴィータとスバル。この三人からなる、非公式クラブ。
───ひたすらにアイスを愛する会───
何年か前に、俺達三人で作りあげたこの会。
内容は単純、月に一度、クラナガンのアイス屋を巡って食べ歩き、最後は俺のアイスの腕の見極めというもの。
単なる趣味の一致だったはずが、いつの間にかこの内容にはまってしまっていた。
今まで三人だけだったが、これを境に増えるだろう。アイスを愛する会は。
その日を切に願っている。
───ひたすらにアイスを愛する会名誉会長、デューク・ディノア
「………スバル」
「あれ、ティア?どうしわきゃあ!?」
「ちっ」
「クロスファイアー!?クロスファイアーなんで!?」
「あんた、デュークさんとアイス食べに行ったそうね」
「へ?いや、それ活動だし!ヴィータさんとかギン姉とかもいたし!」
「行ったんでしょう?楽しかったわよねぇ」
「話聞いてぇぇぇ!!」
「問答無用ーーー!!」
「いらっしゃいませー」
「へぇ、ここですか?」
「おう。結構よかったぞ」
「ふふっ、楽しみですっ」
「ご注文は………あら」
「おろ、何してんの?」
「お知り合いですか?デュークさん」
「ああ、ちょっとな」
「………浮気も程々にね?」
「は?」
「………浮気?」
「ウェイ、フェイトさんウェイト」
「あら、紫の髪した女性と仲良かったって聞いたけど」
「あの店員ー!」
「紫の髪ってギンガのことですよね?仲良かったってどういうことですか………!」
「いや、あの」
「ギンガ共々、じっくり聞かせてもらいますからね、デュ・ゥ・ク・さん?」
「………言っちゃいけなかったみたいね」
以上です。
ギンガと夫婦扱いされた描写がありましたが別にフラグは立ちません。フェイトとティアナ固定です。