リリなの編 木之本桜は最強たり得るのか?   作:シース

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第4話 小学三年生になりました

 小学三年生になりました。

 三年生になるとアリサちゃんやすずかちゃんとも同じクラスになり、とは言え、知り合った頃からアリサちゃんすずかちゃんを含めた5人でお昼を食べたり登下校をしています。

 ですが、カードキャプターであるということを知っているのは、今のところ知世ちゃんだけです。

 

 そして、やってきました。ジュエルシードが落ちてくる日。なぜ日時が分かるのかというと、占いです。

 この日のために知世ちゃんにケロちゃん、ユエさんには時間を空けてもらいました。そこでひとつ演説っぽい事をやってみようと思います。

 

「今回のジュエルシード事件終息の天王山は本日にあり! ユエさんは海に落ちようとしてくるだろう6個の確保、もしくは落下地点の確認!

 ケロちゃんと私は二手に別れて地上の広域を同じように探索! 知世ちゃんは予備戦力という位置付けで! それじゃゴーゴーゴー!」

 

 と発破をかけます。海の探索は骨が折れるので、この時点で確保しておきたいところなのですが。

 

「わかった。それでは、海のほうは任せてくれ」

 

「ワイに任せておけば、地上の残り15個も今日のうちに回収完了や!」

 

 と先に二人を送り出します。残りの15個全部が地球にあるとは思っていませんでしたが期待はしています。

 それはともかく、私はちょっと知世ちゃんに聞きたいことがあったので、まだ残っています。

 

「知世ちゃん。このコスチュームって、もしかして......」

 

「はい。その件についてなのですが、空から種が降ってくる、触ると危なく放置しても危ない、そして地球の危機まで発展、とお聞きしていましたので、

 宇宙ウィルスか宇宙寄生樹などのバイオハザードだと思っておりました。

 なので、カードキャプターたる桜ちゃんの初任務のバトルコスチュームは、ジル・バレンタインの衣装ですわ!」

 

「やっぱりそうだったんだぁ。となるとケロちゃんのバトルコスチュームは......」

 

「えぇ、もちろん、バイオハザードのケルベロスをモチーフにしたバトルコスチュームですわ!」

 

「うん。ケロちゃんにネタバラしはできないね。あんなに喜んでいたんだもん。そこに水をさすようなことはできないよね!」

 

「えぇ。桜ちゃんもケロちゃんもこんなにかっこいいのですもの。元ネタを知っていてもアレンジしてあるのですし、どうということもありませんわ」

 

 とは言え、ゲーム好きなケロちゃんのこと、いつかはバレるかもしれませんが、バイオハザードなんてゲームは今の年齢では買ってもらえません。

 

「それじゃ、私たちも出撃!」

 

「えぇ。怪我をなさらないように、作戦はいのちを大事にですわ」

 

 その言葉と共に私たちも夜の街に二人寄り添って夜の影に消えていくのです。

 

 

 

 

 

 

 私の持ち場になっていて、どこの着地点でもすぐにたどり着くことの出来る場所に陣取ります。後は目を閉じ、落下物を魔力を頼って探ります。

 すると空から、ほぼ全部同時に降り注いできました。そこで、落ちてきている場所を地図にある程度チェックをつけます。

 

「知世ちゃん、一番近くはこっちみたい!」

 

 と言い残してから山の中に突入を開始します。そこで見たものは、何ということでしょう。もうすでに周りの思念を受け取ったのかオバケ化しています。

 

「ほぇええ!? 地上に落ちてすぐにオバケ化してる!」

 

 本物の桜ちゃんの場合、オバケがキライなので、すぐに逃げること間違いなしな立派なオバケの姿がそこにはありました。

 観察を続けているとこちらに気づいたのか、即こちらに突進してきます。

 

「『シールド!』うっ、いきなりの戦闘はちょっと想定外だったよ。とりあえず、距離をとった方がいいのかな?」

 

「桜ちゃん、慌てているのに、カードを使う際の決めポーズをきちんとしてくれるなんて、私も考えた甲斐があったというものですわ!」

 

 どうやら、知世ちゃん的にはあのオバケはどうということはなさそうです。

 

 とはいえ、確かユーノ君もジュエルシードを探してすぐに戦闘に突入したことを考えると、戦闘にすぐに入ることも考えておくべきでした。

 とりあえず、距離をとる、距離をとる。と考えます。

 

「『ダッシュ!』って、ほぇええ!? 全然引き離せないよぉ!?」

 

 お稽古で山道のような悪路も楽々と走れるようになったかと思っていましたが、まだまだなようです。

 その上、相手は浮遊しているので悪路も関係ありません。木々も無視して突っ込んできます。

 知世ちゃん? お嬢様のようでいて動きが機敏です。

 

「桜ちゃん! そう、拘束をうまく使えば動きの早い相手も止められるし、大型魔法も当てられますわ!」

 

 と、何処かのユーノ君のようなアドバイスでした。

 実体のなさそうな相手に効くのかどうか心配で使えませんでしたが、使ってみる価値はあります。

 

「かのモノを束縛せよ! 『ウィンディー!』」

 

 風の魔法がオバケごとジュエルシードを拘束します。実体がないようでいてあったんだ。そうだよね。そうじゃないと、コンクリートに穴を開けたりは出来ないかもね。あとは......

 

「かのモノに鍵をかけよ! 『ロック!』」

 

 少し微妙かなとも思っていたのですが、思ったように捕らわれています。オバケ化は解け、そこにはジュエルシードだけが残ります。

 

「桜ちゃん。これはもう大丈夫なのでしょうか?」

 

「うん。もう大丈夫みたいだよ。魔力の暴走みたいなのも感じられないし」

 

「ということは、カードキャプター桜の初任務は無事成功のようですわね! それでは、あとはどうしましょう? このまま他を探すという選択肢もありますが」

 

「えーっと、とりあえず、戦力分散で各個撃破されるのは良くないと思うから、一度みんなで集合とかいいかも?」

 

「そうですわね。それでは、ケロちゃんとユエさんにそれぞれ集合の連絡もいれておきますね」

 

 今日のところはひとつしか手に入れることは出来ませんでしたが、地上部分に降り注ぐある程度の場所の特定が出来ただけでも良かったかもしれません。

 

 

 

 

 

 

「海に落ちそうな6個というのはこちらの方で確保した。しかし、魔力が不安定な物質のようだから押さえ込むのにもかなりの魔力を割かれるな」

 

「あっはい。ありがとうございますユエさん。それじゃ鍵をかけますね。かのモノに鍵をかけよ! 『ロック!』×6」

 

 さすがはユエさんです。ちょっと無理そうな任務もキチンと抑えてもらえました。

 それに6個がこの場で暴走、さらに確保したもう1個まで巻き込まれる事態はさけられました。

 って、あれ?

 

「ケロちゃんはどうでしたの? ジュエルシードがオバケみたいなのになって、戦略的撤退にまで追い込まれたりされましたか?」

 

 と知世ちゃんがケロちゃんに声をかける。

 

「そんな訳あるかい! 封印の獣たるワイがそんなものに遅れをとるかい!」

 

 そこになんらかの直感が働いてしまいました。

 

「......ケロちゃん。私たちに何か隠してるよね。さぁ怒らないから、お話聞かせて欲しいの......」

 

「うっ、そこには実は海よりも深いわけがあるんや。ワイの待機場所になっているところにはコンビニがあってな、

 そのコンビニが何を考えよったのかデザートを大量に廃棄しようとし始めよったんや! そのデザートたちを捨て置けんでな。

 ワイの胃の中に救いを求めてる気がしたんや! 気がついたら知世からの帰還の連絡がはいってな? ワイもその残りのデザートの救助をあきらめたんや」

 

 うん。ケロちゃんは言葉を濁して逃げられるかと思っているみたいだけれど......

 ケロちゃんならそういうこともあるかもしれない。ケロちゃんだし。でも、ケロちゃんはガクガクで私の判決待ちの状態です。

 

「ケロちゃん? 私はお母さんを助けてくれているケロちゃんやユエさんにすごく感謝しているんだよ? それに今回のことを放置しても解決していたかもしれない。

 だから、今回の判決は3日間オヤツ抜きの刑。今夜はお楽しみだったようですね」

 

「そんな殺生な。桜、考え直してーな!」

 

「ケロちゃん。ゲームも3日間抜きにする?」

 

「イヤ、何でもないわ! オヤツだけ3日間抜きな!」

 

「うふふ。色々とまとまったことですし、桜ちゃんのマークしてくれてた部分に人を送り込んで探りを入れていますので、今日のところはこれで解散でしょうか?」

 

 その知世ちゃんの言葉で一気に解散ムードになってきます。

 

「場所はもうだいたい割れているのです。ぜったいに大丈夫ですわ」

 

 という知世ちゃんの一声で今日のところは解散となりました。

 これからの計画もちょっと知世ちゃんには話しておきましょう。


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