リリなの編 木之本桜は最強たり得るのか?   作:シース

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プロローグ

 ものすごい頭痛がする。呼吸もできないその上に、からだをギュウギュウに締め付けられるような感じで。

 そうこうしているうちに、そのまま体がざざーっと流されるような感じがすると、その苦痛が解け、思わずマジ泣きをしてしまった。

 

「ほぇええええええええええ!」

 

 自分でも思ったよりも大きな泣き声で泣いてしまっていたためか、

 その声を聞いていたのか周りの人たちが集まり、私の体をいとも簡単に持ち上げている。

 あれこれ体をされつつも、思わず巨人兵、本当に存在していたのか!? と思って周りの話し声に聞き耳をたてていると、

 

「おめでとうございます。可愛らしい女の子ですよ」

 

 という声に続いて、家族らしい人達に向けて私を差し出す。

 あれ? もしかして、これは良くある転生ものですか? 神様、もしいたらチート能力とかプリーズしたかったです。

 などなど色々考えていると、そのご家族たちの話し声が聞こえてくる。

 

「良くがんばってくださいましたね。撫子さん。きっと撫子さんににて綺麗に育つでしょうね」

 

「ありがとう。藤隆さん。ほら、桃矢、この子があなたの妹になるのよ」

 

「この子が俺の妹になるの? それでもう名前は決まっているの?」

 

「ええ、もちろんよ。私と藤隆さんで考えた素敵な名前、桜よ。今日からこの子は、木之本桜よ!」

 

 は!?

 

「ほぇえええええええええ!?」

 

 と驚き声をあげながら、体力の限界です、とばかりに眠くなっていく。おやすみなさい......

 

 

 

 

 

 

 さてさて、転生者もとい私、木之本桜は、まずここが「カードキャプターさくら」の世界かを考えなくてはならない。

 もう随分と昔にアニメを見た記憶しか残っていないけど、

 第一に、もしそうだとした場合、確か3歳くらいにお母さんが死亡することになる。

 そうであると、それまでに、なんとかして原作のチート能力であるところのクロウカードをゲットして、使いこなして生きているままでいてもらいたい。

 それでも、回復魔法が確か存在していなかった気がするので、外的な要因であって欲しい。とりあえず、マスコットキャラクターのケロちゃんやユエさんにボディガードしてもらうとか?

 とりあえず、クロウカードによるタロット占いのようなことをして生き残る可能性を探るとか。

 

 にしても、よりにもよって木之本桜ちゃんかー。

 実際に「カードキャプターさくら」の能力を使えるとしても、人それぞれで使い方が変わってきそうな気がする。

 魔法的に、束縛、飛翔、狙撃、剣、シールド、幻影、身体強化、時間停止、時間逆行、収納、操作、回復のことを考えなければ、、

 最強魔法少女の枠を超えて、最強魔法使いの一角にすら入るとは言われているけれど、

 実際には、どうだろう? 時間停止からの剣での心臓一突きで、ほぼ勝てると思うけれど、

 ハンターxハンターのネフェルピトーの念の壁を越えられないだろうし、ドラゴンボールの老人ピッコロ大魔王の気の壁を越えられるとも思えない。

 バトルには少し憧れるけれど、せいぜいゲーム感覚までかも。実際に自分でやるとなると時間を止めて逃げるくらいかな?

 それに「カードキャプターさくら」では、ほとんど戦闘らしい戦闘を見てない気がする。

 ぶっちゃけ、自分でカードをばらまいて、それを回収するのが1作目。2作目は前世でカードを作った人の手助けで、そのカードを自分用にするといった感じだったはず。

 まぁ、ご町内を守るなんとかレンジャーみたいに?

 

 となると、将来は、先にあげたとおり、占いでお金儲けなども視野に入ってくる。

 簡単にいうとハンターxハンターのネオンちゃん。簡単にその能力を言っちゃうと100%当たる占いで闇社会の人たちにかなりの影響力を持っていた。

 クロウカードの占いでそこまでできるのかもまた疑問が残るので、要調査といったところかな。

 

 

 

 

 

 

 さて、そんなこんなで、2歳になりました。

 そんなこんなで、赤ちゃんの頃の黒歴史は、いずれ風化していくだろうと期待しつつも、情報収集は欠かせません。

 今の住所が友枝町ということや、どうやら知世ちゃんも存在するらしいことから、早めにクロウカードをゲットしておきたいのです。最後の審判? 大丈夫!なんとかなるよ、ぜったいに大丈夫だよっ!

 

 地下室行きへのドアには背が届きませんが、踏み台を利用してドアを開けることに成功。これまでは踏み台を利用しても届かなかったのですよ。背が。

 

 そして本棚を探し回ると、ありました。背表紙が「THE CLOW」の本が! 本が開くところを見ると、使えそうです。もちろん即、油性マジックでカード全てに、名前を書き込みます。

 すると名前を書き終わった頃に、

 

「こにゃにゃちわー!よう!ワイを目覚めさせてくれたわー!ワイはこの本を見守る封印の獣ケルベロスや!」

 

 あれ? 普通に呼び出したつもりだったのに、ぬいぐるみのような状態......ケルベロスとは呼べないようなケロちゃん状態だけれども。まぁいっかな?

 

「ケロちゃん。カードキャプターなるから、はよ」

 

「まぁちっさい子やし、ワイの高貴な名前はなかなか言えんやろうしな。封印の鍵よ......レリーズ!」

 

 そして何も言われないのに、そのまま杖を引っつかむ。

 

「おっしゃー!カードキャプターの誕生や!」

 

「ケロちゃん、おつ。じゃ次。''星''の力を秘めし鍵よ真の姿を我の前に示せ! 契約の元、桜が命じる! レリーズ!」

 

 色々考えた結果、クロウカードよりもさくらカードに早めにしておいた方がいいと思ったので、即チェンジです。目標1日1枚。お母さんの命がかかっているので必死です。

 そうこうするうちに、鍵が変化......というか、ぱっと見、Fateのカレイドルビーのような性悪そうなステッキだけど、きっと大丈夫! 気のせいだよ!

 と、このままだと確か、前のカードは使えなかったので、

 

「クロウの作りしカードよ、古き姿を捨て生まれ変われ、新たな主、桜の名の下に、ソング!」

 

「なんでや!? ワイの名前はきちんといえんとに、なんでそこまで饒舌に言い切れよるんや!? その上、カードを自分のものに切り替えやと!?」

 

 ここまでくると、もうケロちゃんのことは割りと無視の方向でいいような気がするけれど、一応少しは話しておいたほうがいいのかも?

 

「ケロちゃん。私のお母さんが1年以内に死んじゃうかもしれないの。だから手段を選んでる場合じゃなくって、色々試しているところなんだよ!」

 

 するとケロちゃんは割りと人がいいようで、

 

「さよかー。そんなら必死に何かの方法を考えるのもわからんでもないなー」

 

 と言ってくれてます。チョロイ? いいえ説得の成果と私の意欲の成果です。

 そして、日々、クロウカードからさくらカードへ毎日変換し続ける日々です。千里の道も一歩から。着実に進んでいます。

 最後の審判? さくらカードに変換したら、そもそも審判とか言ってられず、変換したものは私自身のもののような状態です。

 そのうえ、ケロちゃんに対最後の審判用のカードデッキを組んでもらいました。

 というか、ケロちゃんには、さくらカードだけで挑めとか言われたので、「ソング」だけで戦うとか馬鹿なの? 死ぬの? とか色々と説得し、対ユエ戦に勝利しました。

 

 まぁ終わってみればいい思い出話のような気がします。お母さんも死ぬこともなく、平和な日々が続いています。占いでも死相ばっかりが出ていたお母さんも今ではすっかり普通です。

 その他の研究結果、お母様を溺愛していた曾おじい様の協力の下、さくらカードによる占いの正確さを試してみたところ、

 対人に関しては、相手の顔写真と本名が分かれば100%占いが可能でした。あれ? デスノート並みの制限で100%占いはチートじゃとか思ったけれども、

 ネオンちゃんは生年月日、血液型とかあればいいけど必須でもなかったような?それでいて自動書記......カードを手で混ぜて、色々時間がかかるし時間かかるし、ネオンちゃん羨ましい。

 

 

 そんなこんなで、じわじわとテリトリーを広げつつ幸せに暮らしていました。

 そう、テレビで見ていたとある放送を見るまでは......

 

「花丸大吉のなんしょっと!今日は''海鳴市''友枝町の名物品紹介です!こにゃにゃちわーなんしょっとー!」

 

 ......「ほぇえええ!?」と口には出せないくらいにびっくりです。そもそも東西南北が入り乱れていると感じていたときのこのショック。

 となると、あの魔砲少女が入り乱れるあの世界? いやいや、まだ調査不足です。

 まだ、3歳とちょっとになったばかりなのですから。




編集の仕方がいまいちわからないので2話目の投稿は明日になるかも

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