無色の加速能力者《バーストリンカー》   作:チャレンジャー

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前回はグダグダになってしまったので今回から少しずつ力をつけていこうと思います。

追記致しました。(10/6)


Phase1

「桐嶋遊佑です。」

 

場所は梅郷中学校2年の教室。ユウスケは今日、この学校に転校してきたのだ。

 

「何だ、あいつの髪の色?日本人か?」

 

「でも、名前完全に日本人じゃん。」

 

「結構カッコよくない?」

 

「あたしタイプかも。」

 

クラスメイトの何人かはヒソヒソと小声で話している。

 

「あー、質問とかあるなら後で聞くから。」

 

とりあえず、ユウスケはこの場を抑える。

 

「じゃあ、これから1時間目を始めます。」

 

教師が授業開始を宣言すると同時にユウスケは盛大に溜め息をつき、午前中の授業をダラダラと受けた。そして、昼休み。

 

「さてと、ここなら人もいないから安心だな。」

 

やってきたのは体育館裏。当然ここなら人気は全くない。

 

「ダイレクト・リンク」

 

お決まりのボイスコマンドを発声し、学内ローカルネットの空間へフルダイブした。

ユウスケの服装は黒いフード付きのロングコートに変わっていた。顔はリアルのままだ。

 

「ここが梅郷中のローカルネットか......なんか普通だな。」

 

物珍しそうにそこらへんをウロウロしていると、やはり周りからの視線が入る。やれやれと溜め息をつき、顔が見えにくくなるように、フードを被る。今日転校してきたから、知っている者などいないだろうし、この格好だとやはり目立つ。

 

「怪しまれる前にさっさと行こう......ん?」

 

ユウスケは足を止めた。視線の先には学内アバター、もとい生徒が集まっていたからだ。ひとつのアバターを囲んで。別にいじめられているわけではない。むしろ、そのアバターは周りの連中と団欒をしているようだ。顔は丁度向こう側を向いていてまったく見えない。

 

見た目は透明な宝石が散りばめられた漆黒のドレス、黒い日傘、背中には黒揚羽蝶の翅。そして、ストレートの長い黒髪に雪のように白い肌。自作にしてはかなりクオリティが高い。

 

「黒雪姫先輩、これ教えてください。」

 

「どうやったらそんな綺麗なアバター作れますか?」

 

どうやら彼女は黒雪姫と呼ばれているようだ。珍しい生徒もいるんだなとユウスケはその場を後にした。

 

「なんだ、ここ?」

 

たどり着いたのはバトル形式のゲームだ。ただ、現れる敵を倒し続けるという至ってシンプルなものだ。

 

「ここでいっか。」

 

10分後──

 

「もうちょいいけたな、今の。」

 

ものの10分で、ユウスケはかなりこのコーナーに熱中してしまっていた。

 

「あれ、先客?」

 

「あぁ、悪いな。もうすぐ終わ......る......」

 

ユウスケは言葉に詰まった。背後からかけられた声に返事をしようと振り向いたとき、相手が自分の知り合いだったことに対する反応に困ったからだ。

 

相手は身体を銀の毛皮に包んで、片方の耳と尻尾の先に濃いブルーのリボンを結んだネコのアバターだ。

 

「まさか......チユ?」

 

「ユウ?......ウソでしょ、ホントに?」

 

それは2年ぶりに見る幼なじみ──倉嶋千百合の顔と同じだった。

 

「ひ、久しぶり、元気そうだな。」

 

「.......いつから?」

 

「は?」

 

「いつからこの学校にいたの!」

 

チユリは凄い剣幕で睨んでくる。

 

「今日から......だけど。」

 

「だったら連絡くらいしなさいよ!ユウが2年前いきなり引っ越して離れ離れになったときにあたしがどれだけ辛かったかわかってんの!ユウが戻ってくるって知ってたらすぐに会いに行こうと思ってたのに!」

 

「悪かったよ、許してくれ。」

 

「ふーん、じゃあ今日の放課後あたしと一緒に帰ってよね。」

 

「......あぁ、わかったよ。」

 

ユウスケは頭を掻きながら答えた。

 

 

 

 

こうして、放課後

 

「ホント、いきなり現れたからびっくりしたじゃない。」

 

「はいはい。あ、そういえばタクは?」

 

「タッくん?タッくんなら別の中学に通ってるよ。頭のいい名門校なんだって。」

 

「へぇー。」

 

そこにもう1人の人物が。

 

「ゆ、ユウ?」

 

「あっ、タク。」

 

黛拓武、通称タク。彼もまたユウスケの幼なじみだ。

 

「久しぶりだね。戻ってきてたんだ。」

 

「あぁ、会えてよかった。」

 

それから3人はワイワイと雑談をしながら自分達の住んでいるマンションに着いた。

 

「あれ?ユウもこのマンションなの?」

 

タクムは右横にいるユウスケに尋ねる。

 

「ああ、お前らがここに住んでるって聞いたからさ。また昔みたいに遊べたらいいよな。」

 

「あ、そーだ。ねぇ、ユウ。今度パーティーしようよ!ユウがこっちに帰ってきたお祝いにさ!」

 

「マジか!?ありがと、チユ!」

 

「えへへー、じゃあまた明日ね!ユウ!」

 

「じゃあ僕も。またね、ユウ。」

 

「おう!またな!」

 

2人がマンションの入口に入っていったのでユウスケもマンションの入口に足を踏み入れようとしたとき。

 

「ほう、随分と元気そうだな。」

 

「!?」

 

後ろから声をかけられた。ユウスケは驚きながら振り向く。

 

「久しぶり、ユウスケ君。」

 

それは梅郷中の制服の女子だった。リボンの色から2年生であることは分かるが、他の生徒と違い、シャツの色が黒く、脚は黒のストッキングに包まれている。さらには髪の色も漆黒と言っていいほど黒い。第一印象は“黒い”だ。

 

「......あんた誰だよ?」

 

「......フッ、よもや忘れているのか?私はキミのことは100%覚えているというのにな。」

 

「......!!もしかして、ロータス?」

 

「うん、よかった。ちゃんと覚えていたか。でもその名前で呼ぶのは感心しないな。

 

話したいことがあるから、明日の昼休みに梅郷中のラウンジに来てくれ。待っているよ。」

 

彼女はそれだけ言い残して去っていった。

 

「......了解、『黒雪姫』さん。」

 




なんか、ペースが遅いですけれど一生懸命頑張ります。

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