デジモンアドベンチャー 選ばれてない子供 作:noppera
感想批評お待ちしております。
「zzz...zz...z...!」
「くぅ……うん…ふわぁ~」
「ん?起きたかお前ら。」
「~!おはよう、のぶと~」
「☀☀☀!」
「おう。おはよう。」
デジタルワールド生活3日目、現在の時刻は午前五時。
昨日ワイズモンの話の最中に寝てしまったチョロモンとチコモンが目を覚ました。
俺はあの後ワイズモンからトレーニング機材の取り扱い説明を受けて、夕飯を食ってすぐに寝た。
寝る時間が早かったから俺はチョロモン達が起きる30分くらい前に起きて昨日受けた説明の復習をしていた。
チョロモン達が起きた後にすぐにワイズモンが部屋に入ってきた。
「おはようございます。もう朝食が用意してありますよ。」
「ああ、悪いな。チョロモンにチコモン。朝飯を食べたらすぐに成長期になるためのトレーニングだ。」
「うん!」
「!!!」
チョロモンとチコモンはそれぞれ俺に向けて力強くジャンプし、腕の中に納まった。
「では参りましょう。今日のご飯は運試しキノコご飯です。」
「う、運試しキノコ?おい、なんだそれ?」
「運が良ければこのデジタルワールドで一番おいしい食材になります。運がなければ……フフフ。」
「なんてもん食わせようとしてんだ!?」
「ハハハ、冗談ですよ。本当は焼きデジサケです。」
「まったく……」
でもワイズモンはに昨日のときに比べて明るくなったな。こうやって冗談を言って笑うってことは心に余裕ができた証拠だろう。
「のぶと~早くご飯~」
「あぁそうだな。」
俺はチョロモン達を抱えてワイズモンのあとに続いて部屋を後にした。
………………
……………
………
……
…
朝食を食べた後さっそく俺たちはトレーニングルームに行って成長期になるための特訓を始めた。
特訓は適度に休憩を取りながら順調に進み、今は始めてから3時間が経とうとしていた。
「……今だ!」
「えぇい!」
「###!」
俺の声を合図に二匹は同時にそれぞれの目の前に用意された丸太に突っ込む。
二匹が勢いよく丸太にぶち当たった瞬間、二つの丸太は真っ二つに割れて倒れた。
「よし、大成功だ。」
「わーい!」
「♡♡♡!」
二匹ともジャンプしながら喜んでいる。
それにしても、こいつらすごいな。トレーニングをし始めた時は失敗が多かったけど、30分もすれば成功を連発し始めた。こいつらの潜在能力は想像以上だ。
「じゃあ次は……お?」
「うぅー……」
チコモンの様子がおかしい。
たけど苦しいというわけではなく、力をためているといった様子だ。
「ほう?どうやら進化するようですね。」
「え?もう進化するのか。」
「幼年期のから幼年期への進化は早いのです。まぁ、たしかに普通のデジモンよりは早いですが。」
ワイズモンと会話を交わしているうちに、チコモンの体が光に包まれた。
「チコモン進化ー!ベビドモン!」
眩い光の中から姿を現したのはタツノオトシゴに似たデジモンだった。
体表は緑色で、小さいながらも羽がついている。
「うぉー!力があふれてくるぜー!」
いかにもドラゴンといった感じになったな。おそらく進化先もドラゴン系統だろう。口調もチコモンのときに比べて荒々しいものになっている。
ドラモン系はかっこいいよくて頼りになりそうな奴が多いから、これからが楽しみで仕方ない。
「よくやったな、チコモン……じゃなかったベビドモン。」
「おう!これから強くなって、どんどん進化するからな!」
「ああ、これからもよろしく……っと?」
「???……!!!」
「お前もかチョロモン!」
一日たったとはいえもう進化するなんて。やっぱりこいつらはすさまじい力を秘めているに違いない。
マシーン型の幼年期デジモンなんて原作にはいなかったはずだから楽しみだ。
もう少し近くで見てみようかな?
チョロモンが光に包まれてシルエットのみしか見えなくなる。そしてそのシルエットは次第に変化している。
「……!?このシルエットはまずい!信人さん、離れてください!」
「うぇ!?いきなりなんだよワイズモ「シュウウウウウゥゥゥゥゥ.......」…何の音だ?」
ワイズモンにいきなり引っ張られたと思ったらチョロモンがいたところから変な音がした。
音ので所は進化している最中のチョロモンの尻尾のあたりからだ。シルエットの変化は安定してきていて、進化の完了が近いことがわかる。音の原因は尻尾の電気だろうか?
「どうしたチョロ「ボン!」……は?」
チョロモンの進化が終わった瞬間、爆発音に近い音がして、俺の顔の横をなにかが猛スピードで通り過ぎた。
首をめぐらせて飛んできたものがなんなのかを確認しようとするが、動きが速すぎてすぐには認識できない。
ようやく目が慣れてきて、謎の飛行物体の姿が確認できた。
「……ミサイル?」
「はい、あれはミサイモンです。あなたのチョロモンが進化したデジモンです。」
ワイズモンの言葉が本当かどうかを確認するためにチョロモンがいたところに改めて顔を向けるが何もいなかった。どうやらワイズモンの言葉は本当のようだ。
進化するときの妙な音はロケットの部分に点火する音だったようだ。
もう一度姿を見てみる。名前の通りミサイルが体になっていて、弾頭が顔になっているようだ。
また、体の中央あたりから腕が生えているのが確認できる。
「ミサイモンは進化した瞬間に体であるミサイルに点火され、自らが超高速で発射されます。そして次のデジモンに進化するまでずっと飛び続けるという特殊なデジモンです。ちなみにミサイモンの突撃は幼年期デジモンにしては規格外な破壊力でして、たとえ相手が成熟期デジモンでも大ダメージを与えられます。」
「……なぁ、あれってさっき俺の顔のすぐ横を通ったよな?」
「はい。成熟期デジモンが受けきれない攻撃をあなたが受けたらどうなるか、もちろんお分かりですよね?」
「……は、ははは。嘘だろ?」
ミサイモンの弾頭は矢じりのように鋭く尖っているし、デジモンであるから大きさは俺の顔くらいある。
それをあの超スピードで顔面にくらうとかギャグじゃすまない。
「……おい、あれはまずいんじゃないか?」
俺は今ミサイモンを目で追っているが、その飛行はふらついていて危なっかしい。あれでは壁に激突してしまうのも時間の問題だろう。
「まずいですね。まだ飛行に慣れていないようです。このまま激突して体制を著しく崩せば墜落必至です。」
「墜落するとただじゃすまないだろうな。」
「はい……あぶない!」
ミサイモンは腕を使って必死にバランスとっているが、高度を保てず失速し床すれすれを飛行するようになり、トレーニング場の出口に向かった。扉は閉まっているのでこのままいけば激突だ。
しかし、ワイズモンが慌てて開けたのでなんとか激突という最悪な事態は避けられた。
「追うぞ!ワイズモン、ベビドモン!」「はい!」「おう!」
俺たちは慌ててミサイモンを追い始めた。
だが、扉を出た時にはすでにミサイモンは俺たちの視界から消えていた。
「どこに行った!?」
「大丈夫です!この館内のことならすべて私が把握しています。どうやらミサイモンは外に向かっているようです。」
「出口……道がわからん!案内してくれ。」
「もちろんです。館内の扉はすべて開いたのでぶつかることはないはずです。ですが外は危険です。」
「あぁ急ごう。」
俺たちはワイズモンの誘導を受けてミサイモンを追う。
外には野生のデジモンがいる。いくら強力な必殺技を持っているといっても、ミサイモンはまだ幼年期だ。飛行にもまだ慣れていないし、襲われればひとたまりもないはずだ。
「でもなんでミサイモンは出口を知っているんだ?」
「ミサイモンは高性能のレーダーを持っています。あの超高速で飛行するためには周りの正確な状況の把握が必要ですからね。」
たしかに周りの状況もわからずにあんなスピードで飛び回れば激突するのは当たり前だ。
しかし進化したのはうれしいけどとんでもないもんに進化しちまったな。
幼年期でありながら成熟期を打倒できる攻撃力を持ってるなんてな。
将来すさまじいデジモンになるに違いない。
こんな相棒をもつなんて、俺のツキもまだ捨てたもんじゃないらしい。
「信人!光が見えたぞ!」
「あれが出口です!」
考えて走っているうちに出口まで来たらしい。
外に出て空を見ると飛行機雲のようなものが見える。あれを追っていけばミサイモンに追いつけるはずだ。
「急ぐぞベビドモン!」
「おう!」
「私もいます…!?しまった、私は本の上しか移動できないのでした。館の中は床も本になっているから忘れていました。すぐに移動機能付きの本を……ってあぁ!もうあんなところに!ちょっと待ってくださ~い!」
なんか聞こえたような気がするけど気のせいだろう。今はミサモンを追わなければならない。
俺たちはさらに走るスピードをあげて飛行機雲を辿って森の中に入った。
幼年期Ⅱはミサイモンとベビドモンです。
次の話で成長期に進化する予定です。
デジモンの姿が想像しにくいという方はデジモンウェブにあるデジモン図鑑を見るのをお勧めします。