デジモンアドベンチャー 選ばれてない子供   作:noppera

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パートナーデジモン孵化。
一応究極体までのルートは考えてありますが、ちょっと強引な進化に感じると思います。
そもそも究極体まで行くかどうか……
ていうかベイビーたちの出番があんまりない……


第4話 ベイビー誕生!チョロモン&チコモン

「………ふわぁあ。あぁ~よく寝た。」

 

結構寝てたはずだけど、時計がないから時間がわからないか。

たぶん夕方位だと思うけど……ん?

 

「これ、孵るんじゃないか?」

 

俺の横に置いてあった二つのデジタマが震えている。こんなに早く孵るのか……

よし、いっちょ撫でてみるか。

 

「よーしよし。元気なデジモンになってくれよ~」

 

いやぁ、ほんとに楽しみだ。何しろこれから一緒に冒険をする仲間なんだ。

楽しみじゃないという方がおかしい。

 

「よしよし……お?」

 

撫で続けているとデジタマにひびが入り始めた。どうもいよいよらしい。

次の瞬間、デジタマが孵り二匹のデジモンが生まれた。

 

「○△□#!」

「ぷはぁ!」

 

銀色のデジタマからは鼠の機械の形をしたデジモンが、黒と青のマーブル模様のデジタマからはと水色の体をしたスライム型デジモンが生まれた。

 

「???」

「だぁれ~?なんてデジモン~?」

 

「俺か?俺はデジモンじゃなくて人間だ。高倉信人って名前なんだ。」

 

「のぶと~?」

「@*¥……nobuto……=……master…ok」

 

「ほう。チョロモンとチコモンですか。」

 

「ワイズモンか……」

 

「チョロモンはマシーン型デジモンやサイボーグ型デジモンに成長する可能性が高いですね。チコモンはあらゆる竜型デジモンに進化する可能性を秘めています。いいデジモンを持ちましたね。」

 

この鼠型の機械のデジモンがチョロモン、スライム型のデジモンがチコモンか。

前世の記憶からのイメージならチョロモンはガードロモンやアンドロモンになりそうだ。

チコモンはちょっと予想しづらいな。竜型といってもいろんな奴がいたはずだし。

……あ!こいつたしか02に登場したチビモンの進化前のデジモンじゃなかったか?

ブイモンになる可能性もあるってことか。

 

「これから長い付き合いになる。よろしくな。」

「♡♡♡!」

「よろしく~!」

 

チコモンは力強くジャンプし、チョロモンは尻尾の先から電気を出している。

でもチョロモンのこれって大丈夫なのか?威嚇されてるんじゃないのか?

 

「心配ありません。チョロモンが尻尾の先から電気を出すのは機嫌がいい証拠です。」

 

「そうなのか、よかった。」

 

嫌われたかと思ったけど、むしろ好かれてたんだな。

こいつらとこれから一緒に冒険するのか。想像しただけで胸が高鳴る。

 

「そうそう。選ばれし子供たちには連絡しましたよ。ただ、あまり信用はしてくれていないようです。悲しいです。」

 

ワイズモンが顔を覆ってよよよと泣いている。

まぁ、いきなり本の中から出てきたやつを信用しろというのが無理だろ。

しかもすっぽりかぶったフードのせいで怪しさ満点だしな。

 

「なので、あなたに直接連絡を取ってもらいたいのです。」

 

「あぁ。わかったよ。で?通信ってのはどうやるんだ?」

 

「私が乗っているこの本に乗ってください。あぁ、できるだけ優しく乗ってくださいね。」

 

「わかった。」

 

俺はチョロモンとチコモンを抱えたまま本に乗った。

 

「では行きますよ。通信開始。」

 

ワイズモンとともに俺は眩い光に包まれた。

 

………………

……………

………

……

 

太一side

 

ワイズモンが俺たちの前に姿を現してから大分時間がたった。

もうすっかり夜だが連絡はない。

俺たちは今ピョコモンの村の近くにある座礁した船の中で野宿の準備をしている。

 

「……あのワイズモンってやつからの連絡はまだなのか?」

 

「本からなんの反応もないわ。」

 

「やっぱり騙されたんだ。あいつは俺たちをおちょくっただけだよ。」

 

「滅相もございません!」

 

「「「「「うわぁあああ!!」」」」」

 

またこいつはいきなり!

薄暗いところだったから余計ビックリしたじゃないか!

 

「先ほどは信用して頂けなかったようなので、本人をお連れしました。」

 

ワイズモンの隣を見ると一人の子供がいた。

身長はタケルより少し高いくらで、髪は黒。長さは少し長くて目にかかるくらいだ。

あとの特徴言えば少し目が鋭いくらいだ。

 

「あぁ~どうも。お台場小2年の高倉信人です。この度は心配をおかけしました。」

 

「信人君!無事だったんですね!」

 

「はい泉先輩。心配かけてすいません。それで……とりあえず自己紹介しませんか?名前がわからない人もいますし。」

 

「それもそうだな。俺と光子郎はいいから、他のみんなは自己紹介しろよ。」

 

「ええ。私は武之内空。同じ小学校の5年生よ。こっちはピヨモンよ。」

 

「よろしく~」

 

「俺は石田ヤマト。こっちはガブモンと弟のタケルだ。学校は違うけど同じ学年同士、仲よくしてやってくれ。」

 

「ど、どうも。俺、ガブモン……」

 

「僕、高石タケル!こっちはパタモン!よろしくね!」

 

「パタモンだよー、よろしくー」

 

「あたし、太刀川ミミ!こっちはパルモンよ!」

 

「あたしパルモン、よろしくね信人。」

 

「僕は6年の城戸丈。こいつはゴマモンだ。」

 

「おう、よろしくな!」

 

「わてはテントモンや、よろしゅうな。」

 

「僕アグモン。よろしく~」

 

「よろしくお願いします。そういえば、俺のデジモンの紹介がまだでしたね。こっちの鼠の姿をしたやつがチョロモンで、こっちのスライムみたいなやつがチコモンです。」

 

「よろしくー!」

「!!!!」

 

「デジモンが2匹いるんですか!?」

 

「はい、そうしても大丈夫だと言われましたから。」

 

「へぇ~なんか羨ましいなぁ~。」

 

光子郎が驚いて、タケルが信人を羨ましそうに見てる。

 

「あれ?なんで信人君はデジモンのこと知ってるの?」

 

「ワイズモンから説明を受けたんですよ。こいつらはワイズモンからもらったデジモンです。俺がここにいなければ普通に自然の中で育つ予定だったデジモンです。」

 

つまり、アグモン達みたいに信人を待っていたってわけじゃないんだな。

 

「それよりも、自力で合流するって話は本気なのかい?いくらデジモンが2匹いるったって、ここは何が起きてもおかしくない危険なところだ。僕たちがちゃんと迎えに行くから、そこで待っててくれないか?」

 

丈が信人を心配する口調で言う。だけど信人はゆっくりと首を横に振った。

 

「ワイズモンの話じゃ、先輩達ずいぶん遠いとことにいるみたいじゃないですか。今更こっちに戻ってくるのも面倒でしょう?」

 

「私たちはあなた達が森を抜けたちょうど反対の森の端にいます。それに、今は凶暴化したクワガーモンが外を徘徊していますし、そのクワガーモンに中てられて気がたっているデジモンもいるので森に戻るのは危険ですよ。幸いここはすぐ近くに別のエリアに続く道があるので、森を出るのはそこまで危険ではありません。」

 

「それに、俺こいつらと一緒にこの世界で旅してみたいんですよ。現実世界じゃ絶対できない体験ができるチャンスなんです。俺、こいつらと冒険できるって考えただけで胸がドキドキして、じっとしてられないんです。だからお願いします、先輩達。」

 

信人が興奮しながらそう言って、頭を下げた。

 

「だけど……」

 

「大丈夫ですって、これでも周りからは手のかからない子ってよく言われているんです。一人で大丈夫ですよ。」

 

うーん、森の反対側っていうとだいぶ遠いし、最短距離の森に戻って突っ切るコースは危険らしい。

 

「島の中央にある山のふもとで落ち合いましょう。それじゃ!」

 

「あ、おい!」

 

「本人がこういっているので、私も失礼いたします。」

 

そう言ってワイズモンと信人は消えてしまった。

 

「勝手に消えやがった。」

 

「自分で手のかからないって言っておきながら、今の信人君すごく子供っぽかったわよ?ほんとに大丈夫なの?」

 

「やっぱりはやく合流した方がいいよ。なんとか森を迂回して山を目指そう。」

 

「よし、これで目的地が決まったな。みんないいよな?」

 

「「「「「異議な~し!」」」」」

 

よし、あてのない旅に目的地ができたことでみんなにも元気が出てきたみたいだ。

……まぁ、その山までの道がよくわかってないけど、まぁ何とかなるだろ。

さて、明日に備えてもう寝よう。明日はたくさん歩くことになりそうだしな。

 

………………

……………

………

……

 

信人side

 

「あれでよかったのですか?」

 

「ちょっと状況が不利だったから、つい無理やり……」

 

先輩たちに心配させちまったかなぁ?でもあのままだとここにいろって言われて押し切られそうだったし……。

 

「まぁでもあなたのデジモンなら問題ないでしょう。そのデジモンたちには他のデジモンより潜在能力が高いです。きっと強力なデジモンに育つでしょう。」

 

「期待してるよ。チコモン、チョロモン。」

 

「えへへ~」

「///!」

 

二匹とも照れたような反応見せている。

 

「ではこちらにどうぞ。さっそく成長期にするためのトレーニングを始めましょう。」

 

ワイズモンに案内されて館を進むと、トレーニングルームのような場所に出た。

 

「ここは私たちの一族がワイズモンになるために修行する場所です。」

 

「一族?」

 

「そうです。この館を建てたのは私のご先祖様にあたるデジモンです。ご先祖様はこの館を存続させるために、館を受け継ぐデジモンを探していました。ですが結局適任は見つからず、自分が死んだときにできるデジタマを使って後継者を育てることにしたのです。」

 

「なるほどな。代々それを繰り返してこの館を存続させてきたのか。たしかに一族みたいだな。」

 

「はい。この館の管理するのはワイズモンとなるのが最適なのです。」

 

「だけど、死んじまったら教育もなにもないだろう?どうやって後継させるんだ?」

 

「この時空石を使うのです。」

 

ワイズモンは両手に持った石をこちらに近づけた。

 

「これは空間の記録と再生を行うことができます。これを使って私の意思を伝えるのです。私も幼年期のころはこの仕組みを用いて育てられました。ちなみにこの時空石を扱えるのはワイズモンのみだといわれています。」

 

なるほどな。ワイズモンになるのは記録を管理したり、後継者を育てるという点でも最適なわけだ。

 

「あと、この時空石にはデジモンを封印することもできます。しかも永遠に。」

 

「そんなおっかないもん近づけるんじゃねぇ!?」

 

慌ててワイズモンから距離をとる。あの石ってそんな危険なものなのか。

 

「私たちワイズモンはこの石を扱えるので、デジタルワールドの争いに参加することは禁じられているのです。デジタルワールドのバランスが崩れる可能性がありますので。……たとえこの世界の存亡を賭けた争いであっても。」

 

そういってワイズモンは顔を俯かせた。

 

「選ばれし子供たちが来るということは、デジタルワールドに歪みが生じている証拠のなのですが……私には関わることはできません。」

 

ワイズモンは沈んだ声で話を続ける。

 

「……本当はつらいのです。デジタルワールドが歪んでいくのを見るのが。デジタルワールドを一番よく見ているのは私であり、我々の一族なのです。何も感じないはずがありません。」

 

「ワイズモン……」

 

「救おうと力を振るえば逆に滅んでしまうかもしれないとは、なんと皮肉なことでしょう。先代もそのことで頭を悩まされていました……」

 

ワイズモンの右手にある時空石が輝く。するとワイズモンの隣にもう一体の半透明のワイズモンが現れた。

 

『わが子よ。お前も記録の管理をしていけばデジタルワールドを愛することになるであろう。だが、我々の一族はこの館を受け継ぎ、職務を全うすることでしかデジタルワールドに貢献していくことができない。デジタルワールドが危機を迎えるとき、お前がたまらなく悔しくなることは容易に想像できる。しかしその力を無作為に振るってはならない。この館のデジタルワールドに関する記録を持ち出してはならない。それをすれば必ずお前は後悔することになるであろう。』

 

半透明のワイズモンは威厳のある声で言った。

 

『……私も苦慮したものだ。わが子よ、その苦しみはお前だけのものではない。我々一族すべてが味わった苦しみだ。だが、その苦しみにどうしても耐えられなくなったときは、行動するがよい。無理やり苦しみ押さえつけてしまえば、お前は狂ってしまうだろう。だが、最低限のことは守るのだ。この館の位置はできるだけ隠し、必要以上に情報を公開してはならん。これが私の最後の言葉だ。お前の未来に幸あれ……』

 

最後は自らの子供を愛する父親のような声で締めくくり、半透明のワイズモンは消えてしまった。

 

「……それが俺を助けた理由か?」

 

「はい。他の子供たちはまだデジモンがいたので、ハラハラはしましたがまだ我慢できました。ですが、あなたの状況はあんまりでしたよ。いてもたってもいられなくなりました。」

 

「は、ははは……あの不幸っぷりは自分でもびっくりだよ。」

 

こっちに来てから二日足らずの短い時間で何回死線をくぐったことか……

 

「私は今とてもうれしいです。あなたの力になれて。ただ……ちょっとサービスしすぎたかもしれませんね。」

 

「そうだな。」

 

サイクロモンから助けてもらって、ゲンナイさんと通信をつないでもらって、パートナーデジモンをもらって、太一先輩達とも連絡を取ってもらった。しかも今からチョロモンとチコモンを鍛える場所も貸してもらえる。ほんと至れりつくせりだ。

 

「職務以外でデジタルワールドに貢献できると思って、舞い上がりすぎたかもしれません。私もまだまだです。ですが……かなり気持ちが楽になりました。これからも頑張れそうです。さて、私の最後のサポートですが……おや?」

 

「ん?……あー、しまったな。」

 

「zzz...zzz...」

「くぅー…くぅー…」

 

「話が長すぎたみたいですね。すいません。」

 

「まぁ仕方ない。特訓は明日からだな。」

 

「そうしましょう。2匹は部屋に戻して、あなたにはトレーニング機材の使い方を教えましょう。」

 

「あぁ、じゃあ俺は一旦部屋に戻る。」

 

俺は元来た道を戻って部屋に戻ろうと歩き出した。

 

「……私個人としては、まだ語りたいことはあるのですが……すいません。」

 

この部屋から出ようとしたときに、ワイズモンのつぶやきが聞えた。

そんな悲しそうな声で言わなくてもいい。奇妙なことに、お前が言いたいことは全部知ってるからな。

さて、ワイズモンができるだけ悲しまずに済むように、いっちょ張り切って原作介入といきますか。

 




デジタマから孵ったのはチョロモン&チコモンでした。
初めて書くシリアスらしきもの。何か自分で気づかない矛盾がないか心配です。
チョロモンは成長期くらいになればまともにしゃべるようになります。

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